NEST OF BLUESMANIA

ミュージシャンMACが書く音楽ブログ「NEST OF BLUESMANIA」です。

音盤日誌「一日一枚」#351 エリック・クラプトン「UNPLUGGED」(Reprise 9362-45024-2)

2022-10-31 05:00:00 | Weblog

2007年3月18日(日)



#351 エリック・クラプトン「UNPLUGGED」(Reprise 9362-45024-2)

エリック・クラプトン、92年のアルバム。ラス・タイトルマンによるプロデュース。

MTVの人気ライブ番組「アンプラグド」より生まれた本盤、日本にもアンプラグド=アコースティックな音楽のブームを起こす牽引役となった一枚である。

まずはEC作、ロハスな雰囲気の瀟酒なインスト・ナンバー「SIGNE」からスタート。

続く「BEFORE YOU ACCUSE ME」は、ご存じボ・ディドリーの代表曲。CCRのカバー以上に、ECはこの曲を世間に知らしめたといえるだろう。

マーティンのアコースティック・ギターから紡ぎ出されるサウンドは、大音量のエレクトリック・サウンドに慣れ切ったリスナーには、とても新鮮に感じられたはず。

三曲目の「HEY HEY」は、ビッグ・ビル・ブルーンジーの作品。もうひとりのギタリスト、アンディ・フェアウェザーとの息の合ったギター・アンサンブルが、格好よろし。

お次はある意味「アンプラグド」の企画に参加する切っ掛けともなったといえる、当時最新のヒット曲「TEARS IN HEAVEN」。私生活での悲劇を昇華させ、超スタンダードなバラードにまで高めた一曲。

変に感情過多にならず、さらりと悲しみを歌うECに、「漢」を感じファンになったひとも多かろう。

五曲目の「LONELY STRANGER」もEC作。ブルースを隠し味にしたバラード、ゆったりとした雰囲気で淡々と歌うEC。実にいい感じだ。

続く「NOBODY KNOWS YOU WHEN YOU'RE DOWN AND OUT」は名盤「いとしのレイラ」にも収められていたジミー・コックスの作品。アンプラグド化されることで、よりオールド・タイミィでブルーズィな味わいが深まったと思うが、いかがであろうか。

次は、泣く子も黙る、極め付きの名曲「LAYLA」。

激情に溢れたオリジナル・バージョンももちろん最高だが、あえてシャウトせずしみじみと歌うアンプラグド・バージョンにも、大人の音楽の魅力を感じる。

ドミノス・バージョンは激しい恋の渦中でこそ歌えたものであろうし、その恋が彼方に去ってしまった現在は、それを懐かしさ、そしてほろ苦い思いで眺望するバージョンもまたあり、ということですな。

「RUNNING ON FAITH」はジェリー・リン・ウィリアムスの作品。カントリー・スタイルのバラード。

ブルースとならぶアメリカ人の「こころの歌」といえばカントリー。ECは「どカントリー」みたいなのは余り歌わないほうだけど、やっぱり白人、実はお好きなんでしょうな。曲作りでも、かなりカントリーの影響がうかがえるし。

一転、九曲目は「どブルース」な一曲。ロバート・ジョンスンの「WALKIN' BLUES」なり。

ここでのギター・アレンジは、ジョンスン本人のバージョンにかなり忠実だ。深いリスペクトの表れといえよう。

「ALBERTA」は、レッドベリーでおなじみのトラディショナル。会場内の雰囲気もなごやかになる一曲。これぞアメリカン・ミュージック!だね。

チャック・リーヴェルのピアノが、なんともいいムードである。

「SAN FRANCISCO BAY BLUES」は戦前から活躍したギタリスト/シンガー、ジェシー・フラーの作品。ECが取り上げたことで、本曲は20世紀を代表するスタンダードとなったといえそう。

「MALTED MILK」は、ふたたびロバート・ジョンスンの作品。スローで物憂い雰囲気が、アンプラグドならではの味わい。

次のECとロバート・クレイの合作「OLD LOVE」は、「LAYLA」というか、元ネタ曲「AS TIME GOES PASSING BY」のフレーズをうまく折り込んだナンバー。ゆったりとしたビートで、熟成した美しいメロディを歌い上げるEC。技術よりもハートで勝負、そんな感じだ。

アンコールとおぼしきラストの曲は、クリームでおなじみのマディ・ウォーターズ・ナンバー、「ROLLIN' & TUMBLIN'」。アップ・テンポでにぎやかに、ステージをしめくくっている。

エレクトリック・ギターにはない、ギター・サウンドの魅力を再発見出来る一枚。

元リトル・フィートのプロデューサーだったラス・タイトルマンによる音作りは、アメリカン・ミュージックのツボを見事にとらえていて、なかなかの仕事。企画ものとはいえ、あなどれません。

過激でシゲキ的な音楽に飽きたときは、こんな一枚がおすすめです。

<独断評価>★★★★


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音盤日誌「一日一枚」#350 ジョージ・ベンスン・カルテット「クックブック」(CBSソニー 15AP 544)

2022-10-30 05:00:00 | Weblog

2007年3月11日(日)



#350 ジョージ・ベンスン・カルテット「クックブック」(CBSソニー 15AP 544)

ジョージ・ベンスン、66年のリーダー・アルバム。CBSでの二枚目にあたる。ジョン・ハモンドによるプロデュース。

ベテラン・オルガニスト、ジャック・マクダフのバンドで頭角をあらわしたベンスンが、マクダフのもとを離れ、自らのバンドを率いるようになる。

バンドは4人編成だったが、本作ではベンスンのギター、ロニー・キューバのバリトン・サックス、ロニー・スミスのオルガン、ベニー・グリーンのトロンボーン、ジミー・ラブレスあるいはマリオン・ブッカーのドラムスという5人編成となっている。

ベースレス(オルガンがベースラインを担当)で、サックス&トロンボーンの二管編成というのが特徴的だな。

ベンスンというと、「ブリージン」で大ブレイクしてからは、「ギター"も"上手いシンガー」みたいなポジションにおさまってしまったが、本業はやはりジャズ・ギタリスト。本作では、彼のギターの真骨頂が聴ける。

まずは、速いパッセージの連続に圧倒されるブルース進行のナンバー、「ザ・クッカー」でスタート。ベンスンの作品。

キューバのバリトン・サックスも、ベンスンのギターに負けず劣らず、ゴリゴリのノリでカッコいい。

続くはパーカー・ライクなアップテンポのブルース・ナンバー、「ベニーズ・バック」。同じくベンスンの作品。ロニー・スミスのオルガン・ソロがまことにグルーヴィ。このひとは、完璧なベースラインといい、ツボをおさえたソロといい、実にミュージシャンの鑑ともいうべき仕事をするねぇ。

もちろん、グリーンのトロンボーン・ソロも、ベンスンのソロも、申し分ない出来ばえ。

「ボサ・ロッカ」は、当時流行のボサ・ノバを取り入れたベンスンのオリジナル。

ここでのベンスンはテクニックよりも、フィーリングで勝負。きめ細かいフレージングで、ムードある音世界を作り出している。

「オール・オブ・ミー」は、ジャズファンなら知らぬ者もない、超スタンダード。アルバムで唯一、ベンスンがご自慢の歌を披露している。まあ、余技なのだが、当時から堂に入った歌いぶりだ。ジャズィというよりは、ソウルフルで、適当にポップでもある。

のちの人気シンガー、ベンスンの片鱗を感じさせる一曲であります。

「ファーム・ボーイ」はR&Bテイスト、ミディアム・テンポのオリジナル。ファンキー・ジャズなノリが◎であるな。

B面トップの「ベンスンズ・ライダー」はブルース・ナンバー。ベンスンが単弦弾きでソロとるが、まだスタイルが完成されてはいないものの、そのブルーズィなプレイは実にみずみずしい。ウェス・モンゴメリーの後を継ぎうる、もっとも有力な候補と当時いわれていたのも、納得である。

ジミー・スミスの作品、「バイヨー」は、リフにパーカーの影響が色濃い、アップテンポのナンバー。キューバ、ベンスンと続くソロのノリのよさには、格別のものがある。ものすごいスピードで演奏しているのだが、スリリングというよりは、安定感のあるプレイ。まさに職人の仕事だ。

「ザ・ボルジア・スティック」は、ベンスンの作品。テレビドラマの主題曲として書かれたとのこと。スローなテンポで、重厚感のある演奏だ。ベンスンのオクターブ奏法も聴ける。これを聴くに、ウェスの影響は明らかだ。

「リターン・オブ・ザ・プロディガル・サン」は、エイト・ビートのロック調ナンバー。ファンキー&ソウルフルなサウンドが、当時の流行をもろに反映しとります。

ラストのブルース・ナンバー、「ジャンピン・ウィズ・シンフォニー・シッド」はレスター・ヤングの作品。同じようなブルースでも、プレスが作れば、クールな味わいになるのが、面白い。

ここでのグリーンのトロンボーンのプレイは、まことにスムース&スウィンギー。名人の芸とよぶにふさわしい。

続くベンスン、キューバ、スミスのソロも、クールな中にもパッションを感じさせる演奏。特に歴史に残る名演、というわけではないが、プロの手練とはこういうものという見事なサンプルだ。

アメリカ各地をツアーして回るプロのジャズ・コンボは、こういう音楽メニューを毎日演奏していておったのだなと思わせる一枚。

さまざまなビートを、ソツなく料理してみせる、ベンスンの腕前。まさに名シェフの"技"であります。

<独断評価>★★★


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音盤日誌「一日一枚」#349 ドクター・ジョン「GOIN' BACK TO NEW ORLEANS」(Warner Bros. 9 26940-2)

2022-10-29 05:00:00 | Weblog

2007年3月4日(日)



#349 ドクター・ジョン「GOIN' BACK TO NEW ORLEANS」(Warner Bros. 9 26940-2)

早いもんで、もう3月やね。で、今月の第一弾は、これ。

ドクター・ジョンことマック・レベナックの音楽には、ジャズ的なものとニューオーリンズR&B的なもののふたつの流れがあるが、このアルバムは後者に属する。

名盤「DR. JOHN'S GUMBO」(72)から20年を経た92年に制作されたこの「GOIN' BACK TO NEW ORLEANS」は、まさにバック・トゥ・ザ・ルーツな一枚。

ニューオーリンズR&Bのみならず、アメリカ音楽のいくつもの源流に遡った、バラエティに富んだ内容だ。

たとえばM1。「ルイ・モロー・ゴトショークにインスパイアされて」とクレジットされているように、19世紀のクラシック作曲家へのトリビュートとして作られた一曲。あるいはM4、M5。20世紀前半のラグタイム~ジャズ・ピア二スト、ジェリー・ロール・モートンの作品のカバー。ジャズの古典・M6、ニューオーリンズR&Bのカバー、M15、M16、M17、M18などなど。現代風にアップテンポにアレンジしたバラードの古典、M10なんてのもある。

ライナー中の写真、マルディグラのド派手&巨大な衣装に身をつつみ、ステージに現れたドクター・ジョンは、まさにNOの守護神の如し。

極め付きのセカンドラインM3、ドクター・ジョンもリスペクトするNO音楽の父、プロフェッサー・ロングヘア(80年没)に捧げたインスト曲M11、フェスとドクターの共作M14などは、まさに生粋のニューオーリンズっ子のドクター・ジョンでなくては生み出せない世界だ。

歌は相も変わらずの塩辛声。肩の力の抜けた、リラックスを絵に描いたようなボーカル。巧いというよりは、味のある歌だわな。

彼のピアノを中軸に、ホーン・セクションを前面に押し出したサウンドの味わいは、まさにオトナ志向。そのへんのコドモにはちょっとわかるめえ。

要するにシブシブな一枚。派手なのはドクター・ジョンの衣装ぐらいで、あとはひたすら玄人好みの音楽がズラリ。

フェスの死後はオレしかいないっしょ!という感じで、NOの象徴となった男、ドクター・ジョン。

NOサウンドの継承者としての意気込みが伝わってくる一枚。聴かないと、損でっせ。

<独断評価>★★★☆


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音盤日誌「一日一枚」#348 エアロスミス「ROCKS」(COLUMBIA CK 34165)

2022-10-28 05:07:00 | Weblog

2007年2月25日(日)



#348 エアロスミス「ROCKS」(COLUMBIA CK 34165)

エアロスミス、4枚目のアルバム。76年リリース。ジャック・ダグラスとエアロスミスの共同プロデュース。

前作「TOYS IN THE ATTIC」(75)で世界的にブレイク、その翌年にリリースされ、エアロの人気を不動のものとした「ダメ押し」的な一作。

ヒット・シングル「BACK IN THE SADDLE」をフィーチャーした9曲。全曲、メンバーによるオリジナルである。

本盤にはいかにもエアロらしいハードなサウンドが全編につまっており、もう王者の貫禄さえ感じる。

いまでこそエアロは、「バラードが得意なおやじバンド」と成ってしまったが、本作でのエアロは「BACK IN THE SADDLE」「LASTCHILD」「RATS IN THE CELLAR」のようなシンプル、ストレートで超ヘヴィーなナンバ-でガンガン押してくる。そう、究極の押し相撲ロック。

イキのよさでは誰にも負けんぜ! そういう意気込みがビンビン、伝わってくるんである。

それにしても、ジョーとブラッドのディストーション・ギターが実にいい音なんよ。ほとんどエフェクター類に頼らず、ギター本体とアンプのマッチングだけで出している感じの歪み。昔からこの音には憧れてたなあ。

彼らはフェンダーよりもギブソンのギターを好んで使っていたので、筆者がギブソン派になったのは彼らの影響が大といえそう。

別にスティーヴンの歌も嫌いなわけではないが、エアロに関しては、そのギター・サウンドが好きだからファンになったといえる。

「COMBINATION」「SICK AS A DOG」「LICK AND A PROMISE」といったあたりの曲では、コーラス・ワークもフィーチャーしており、ストーンズあたりとはまたひと味違ったハーモニーが聴ける。スティーヴンとジョーのコンビネーションが、実にイカしてるのよ。

筆者的に気になったのは、「NOBODY'S FAULT」。タイトルにいかにもブルースの影響が感じられるからね。でも曲自体は、ブルースというよりはあくまでもエアロ流のハード・ロック。泣きの入ったサビ部分に、彼ららしさを感じる。

シンコペを効かせ、早めのテンポでグイグイとドライヴする、エアロお得意のパターンなのは「GET THE LEAD OUT」。独自の翳りのあるメロディ・ライン、そしてカチッとまとまったタイトなバンド・サウンド、これぞエアロです。

ごくごくストレートなノリのロックン・ロール・ナンバーは「LICK AND A PROMISE」。でも、やっぱり他のバンドとはひと味違ったモノを感じる。メロにせよ、リフにせよ、必ずエアロ流の「ひとひねり」が加えてあるのだ。

ラストは本盤唯一といってよいバラード・ナンバー、「HOME TONIGHT」。ピアノをスティーヴンが担当。当時は海を隔てたライバル、クイーンがお得意としていたスタイルですな。当時の彼らには、いまひとつしっくりとこないというか、消化不足の印象は否めません。

この系統の曲が、後のエアロの主たる路線になろうとは、当時はまったく予想がつきませんでした(笑)。

以上、エアロの魅力が最大に引き出された一枚。他の多くのハード・ロック・バンドのお手本、目標となったスーパー・ヒット・アルバムというだけでなく、30余年経た今でも決して古さを感じない、エヴァグリーンなアルバム。

曲よし、歌よし、演奏よし。掛け値なしの名盤。一家に一枚、ぜひどうぞ。

<独断評価>★★★★★


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音盤日誌「一日一枚」#347 エラ・フィッツジェラルド「エラ・アット・ジ・オペラ・ハウス」(ポリドール 23MJ 3084)

2022-10-27 05:00:00 | Weblog

2007年2月18日(日)



#347 エラ・フィッツジェラルド「エラ・アット・ジ・オペラ・ハウス」(ポリドール 23MJ 3084)

朝から天気の悪い、今日みたいな日には、こんな一枚かな。エラ・フィッツジェラルド、57年10月録音のライブ盤。シカゴのオペラ・ハウス、LAのフィルハーモニック・ホールにて収録。

「エラ・イン・ベルリン」をはじめとして、ライブに名盤の多いエラだが、これもその一枚だ。

当時39才のエラ。歌手として脂の乗り切ったころのライブなだけに、もう、悪いわけがないってもんでしょ。

バックをつとめるのは、オスカー・ピータースン、レイ・ブラウン(エラの当時の亭主でもある)、ハーブ・エリスら、ジャズ界のトップ・プレーヤーばかり。B面の3、4曲目は、JATPを従えていて、このメンツもスゴい。プレス(レスター・ヤング)にホーク(コールマン・ホーキンス)だぜ。

しかししかし、バックにばかり目が行っては、エラに失礼だ。とにかく、主役は彼女。

コール・ポーターの「イッツ・オールライト・ウィズ・ミー」にはじまり、ガーシュウィン兄弟の「オー・レディ・ビー・グッド」に終わる全9曲。どれも彼女が長い間じっくり歌いこんできた、お得意のナンバーばかり。

個人的には、マンディ=スティルマンの「ドンチャ・ゴー・ウェイ・マッド」のブルーズィな感覚、ジョニー・マーサーの代表曲「グッディ・グッディ」の強力無比なスウィング感、そしてベニー・グッドマンの十八番「サヴォイでストンプ」での圧倒的なスキャット、このあたりがツボ。

そのパンチの効いたパワフルな歌いぶりは、いまどきの娘っ子シンガーらなんぞに、とうてい真似の出来るものではないね。

一方、優しく情感あふれるバラード・ナンバーも、文句なしにいい。ロジャーズ=ハートの「ビウィッチト」、ストレイチ&リング=マーベルの「ジーズ・フーリッシュ・シングズ」、アーレン=コーラーの「イル・ウィンド」、スースドーフ=ブラックマンの「ヴァーモントの月」、いずれも心にしみる歌いぶりに感動。

そしてなんといっても極め付きは、JATPの錚々たるメンツを従えてのアンコール・ナンバー、「オー・レディ・ビー・グッド」。その当意即妙のアドリブ感覚、広い声域をフルに生かしたダイナミックな歌唱は、20世紀を代表するディーバ、歌のファースト・レディといった呼び名に恥じないパフォーマンスだ。

この一枚は、出来ればアナログ盤で、そして大型のオーディオ・セットで、低音を効かせて聴いてほしい。エラを支える、ダンナのスーベのプレイがまた、いいんだわさ。

歴史に残る、名唱名演。ナマ録の迫力は、やっぱりスゴい!

<独断評価>★★★★


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音盤日誌「一日一枚」#346 ZARD「永遠」(B-Gram JBCJ-1021)

2022-10-26 05:04:00 | Weblog

2007年2月4日(日)



#346 ZARD「永遠」(B-Gram JBCJ-1021)

WEZARD.netによるディスク・データ

ZARD、8枚目のアルバム。99年リリース。

坂井泉水のソロ・プロジェクト、ZARDは1990年にスタート。翌年2月、シングル「Good-bye My Loneliness」でデビュー。以来、16年間で42枚のシングル、11枚のオリジナル・アルバムを発表している。

この一枚は、ZARDがデビュー8周年を迎え、人気・売上げ、ともにピークだったころのアルバム。前期ZARDの、集大成的な作品といっていいだろう。

ZARDの魅力は、なんといっても坂井のあの「声」にある。

けっして声量が豊かなわけでもないし、声域が広いわけでもないのだが、その透明度の高い声は多くの人を魅了してやまない。

高音を出そうとすると、やや苦しげな発声になってしまうのだが、それさえも逆に魅力にしてしまうぐらい、独自な個性を持つ声なのである。

その線の細さ、やや拙い感じがむしろ、いわゆる「実力派」の堂々たる発声をする女性シンガーたちにはない、チャームの源なのだよなあ。

これはもう、英米系の女性シンガーには、ぜったい真似の出来ない世界だといっていい。

さて本盤は、21枚目のシングル「風が通り抜ける街へ」から27枚目の「GOOD DAY」に至るまでのヒット7曲(すべてチャート第3位以上をクリア、1位も2曲!)を含む13曲で構成。

詞は例によって坂井が全曲手がけているが、曲のほうは織田哲郎をはじめ、徳永暁人、福山廣也、綿貫正顕、栗林誠一郎、北野正人、三好誠、大野愛果ら、ビーイング系8人の作曲家に担当させている。

この複数コンポーザー・システムが功を奏していて、曲の印象が偏るのをうまく防いでいるように思うね。

単一のプロデューサーに楽曲作成を依頼してしまうと、トータリティが出せる半面、どれもこれも似たような曲(特にバラード系の曲)だらけになりがちなので、これはGJだと思う。

その中では、リズムのはっきりした曲(M2、11、12)で抜群のうまさを発揮しているのが、織田哲郎。明るい、テンポのある曲作りでは、彼の右に出る者はいないといっていい。

一方、バラード系の曲でいい味を出しているのが、徳永暁人、綿貫正顕、栗林誠一郎あたり。

ほとんど無名に近い、福山、三好、北野(ex.day after tommorow)といった連中も、それなりにがんばっているけどね。

自分的にベスト・トラックなのは「風が通り抜ける街へ」。スカ・テイストのたたみかけるようなシンプルなリズム、ピアノ中心のちょっとファニーな雰囲気のアレンジ(徳永担当)、そして坂井の例によって高音部で泣きの入ったボーカル。非の打ちどころのない、完全無欠のキラー・ポップ・チューンであります。

この6日で40才を迎える坂井泉水。見た目では、とてもそんな年齢になったとは思えないけどね。同性にも、そしてもちろん異性にも憧れの目で見続けられている彼女、かつてのものすごい人気はほぼ鎮静してしまったけど、これからもマイペースで活躍していってほしいもんだ。

英米ロックにはない、日本ならではのポップ・ミュージックというものがあるとすれば、ZARDこそはその代表選手なんだと思う。

<独断評価>★★★☆


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音盤日誌「一日一枚」#345 R・L・バーンサイド「Mr. Wizard」(EPIC/SONY ESCA 6692)

2022-10-25 05:00:00 | Weblog

2007年1月21日(日)



#345 R・L・バーンサイド「Mr. Wizard」(EPIC/SONY ESCA 6692)

2005年に79才でなくなった超ベテランブルースマン、R・L・バーンサイドのファット・ポッサムにおける三枚目のアルバム。97年リリース。

92年にファット・ポッサムでの初アルバム「Bad Luck City」を出してからのR.L.の活躍ぶりは、まことにめざましい。

96年にはジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンと共演、若い世代のファンをもガッチリつかみ、70才にして最もラジカルなブルースマンとしての道を驀進することとなる。

本作はそのジョンスペとの共演トラック2曲(M2、M7)を含む、翌年発表のアルバム。それ以外は自身の弾き語り、そしてレギュラー・バンド(ギターのケニー・ブラウン、孫のドラマー、セドリック・バーンサイド)を従えての録音である。

とにかくCDレーベルに印刷された、R.L.の呪術師然とした写真を見てほしい。怪しい、怪しすぎる!!

およそブルースとは、洗練、スマートさといったものと対極の位置にある、ゴツゴツした音楽であり、その魅力もまさにそういうところにあると筆者は思っているのだが、彼の音楽はその極致であるように思う。

ある意味単調、ウルトラ・ワンパターン。

同じリフ、同じフレーズ、同じビートを執拗に繰り返すその演奏に、ヤク中毒のごとくハマる、そういう音楽なんだと思う。ドロドロで、ちょっとヤバい。でもそれがまた快感だったりする。

ミシシッピ・フレッド・マクダウェル仕込みのカントリー・ブルースを、ビートを強化、さらにパワー・アップしたバンド・サウンド。R.L.とケニーのハードなギター・プレイは、ロック世代にも十分通用するものだ。

先日取り上げたホームシック・ジェイムズ翁もそうだったが、老いていよいよ盛んなその存在感に、聴き手は圧倒される。チャンジー・パワー、やっぱすげーわ。

「ハイウェイ・7」の、一種祭り囃子のような音の奔流に呑み込まれるのもよし、「オーヴァー・ザ・ヒル」や「ユー・ガッタ・ムーヴ」の、スライド・ギター弾き語りの、ひなびた音に浸るのもまたよし。

R.L.という男、そのスライド・ギター・プレイもさることながら、その「塩辛い」というか、枯れた中にもエグみのある声がまた魅力的だ。けっして技術的には上手いとはいえないけど、これぞブルース!って歌なんだよなあ。

ジョンスペとの共演、「アリス・メイ」が本盤のベスト・トラックかな。その緊迫したビート感覚は、すべての時代の音楽を越えて、新鮮に感じられる。

ブルースという音楽が本質的に「ラジカル」であることを認識させる一枚。怪人R.L.爺の世界にどっぷりハマってくれい。

<独断評価>★★★☆


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音盤日誌「一日一枚」#344 アル・グリーン「Al Green Explores Your Mind」(The Right Stuff/Hi 72435-95219-2-3)

2022-10-24 05:00:00 | Weblog

2007年1月14日(日)



#344 アル・グリーン「Al Green Explores Your Mind」(The Right Stuff/Hi 72435-95219-2-3)

メンフィス・ソウルの立役者、アル・グリーン、8枚目のアルバム。74年リリース。ウィリー・ミッチェルおよびアルによるプロデュース。

筆者はガチガチなソウル・ファンでも何でもないのだが、アル・グリーンは非常に好きなシンガーである。

何より、その声に艶があり、まことに色っぽい。女性ファンが多いというのもうなずける。

この一枚、「LET'S STAY TOGETHER」でブレイクして以来、着実にその実力を発揮してきた彼の、集大成的アルバムだと思う。

とにかく、全編、曲といい、歌唱といい、ストリングスをフルに配したメロウなアレンジといい、あれこれ評するのが申し訳ないくらい、レベルが高い。最後の一曲まで、流れる川のごとく、耳に心地よいサウンドが展開される。

そう、「スムース」。これがまさに彼の本質を、ひとことで言い表している形容詞だと思う。

全曲、アルのオリジナル。その中でも看板曲はA面トップ、スウィートな味わいのヒット・チューン「Sha-La-La(Make Me Happy)」といえるだろうが、実はもう一曲、きわめて重要なナンバーがある。

二曲目の「Take Me To The River」である。

このアルバムの中では、比較的ジミめというか、辛口なノリのナンバーだが、実に耳に、そして心に残る一曲。メロディも、歌唱も、掛け値なしの超一級品である。

これにさっそく着目したベテラン・ソウル・シンガー、シル・ジョンスン(最近売り出し中の歌姫、シリーナ・ジョンスンのおやっさんね)がカバーして、75年に大ヒット(シル自身の最大のヒットでもある)となる。

さらには78年にトーキング・ヘッズもカバー、こちらもスマッシュ・ヒット(全米26位)となる。

この曲の素晴らしさが、二度のカバー・ヒットにより、見事に証明されたのである。

その後も、多くのアーティストによりカバーされ、最近では、アル自身とB・B・キング、レニー・クラヴィッツという、新旧世代による共演版なんてのもある。

しかしまあ、どのバージョンも、アル自身のオリジナルの出来に、およぶものではない。

とにかくそのファルセットを駆使した歌唱は、「完璧」としかいいようがないもの。

アルの歌声はいつものようにスムースながら、しかしきわめて熱く、ソウルフルであり、聴く者を魅了してやまない。

とりわけ、後半部のシャウトには、アルのゴスペル魂とでもいうべきものが、集約されていると思う。

後代に末永く歌いつがれていくに違いないナンバー、「Take Me To The River」。

この、たった一曲を聴くために、このアルバムを買う価値は十二分にあると筆者は思っている。

もちろん、他のナンバーもハズれなし。ソウル・ファンでなくとも、大いに楽しんでいただけるはずだ。おすすめ。

<独断評価>★★★★


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音盤日誌「一日一枚」#343 アニタ・ベイカー「RHYTHM OF LOVE」(ELEKTRA 61555-2)

2022-10-23 05:00:00 | Weblog

2007年1月7日(日)



#343 アニタ・ベイカー「RHYTHM OF LOVE」(ELEKTRA 61555-2)

今年も「巣」をよろしく。新年第一弾は、これ。アニタ・ベイカー、5枚目のアルバム。94年リリース。

彼女自身、エグセクティヴ・プロデューサーとしてクレジットされているほか、トミー・リピューマ、アリフ・マーディン、バリー・J・イーストモンド、ジェラード・スマレック、ジョージ・デュ-クら名うてのプロデューサー達が名を連ねている。

このアルバムの発表後、アニタは約10年の休止期間に入ることになる。第一期(83~94)の締めくくり的なアルバムともいえる。

一曲目のタイトル・チューン、M4、M5、M6、M9の5曲を除く7曲は他人の曲と、カバー・アルバム的性格が強い一枚。それも「LOVE」がテーマといえそう。

M1はアップテンポで、バリー・J・イーストモンドのシンセ・ベースが耳に心地よいファンクなナンバーだが、あとはゆったりしたテンポのバラードが多い。

個人的には、カバーものにやはり目が行ってしまう。そのなかでも特に注目なのは、バカラック作のM2、ドゥービー・ブラザーズのヒット曲M8、そしてなんといってもロジャーズ=ハートの名曲、ラストM12「MY FUNNY VALENTINE」。ちなみに、M3の「BODY AND SOUL」は、ビリー・ホリデイでおなじみの曲とは同名異曲である。

M2はリピューマ、M8はマーディン、M12はデュークがプロデュースを担当。同じカバーものでも、それぞれの持ち味が反映されていて、アレンジは微妙に違う。

M2は都会的なジャズ・ファンク、M8はサックス・ソロの印象的なAOR、M12はこのうえないゴージャス感をたたえたネオ・ジャズといったところか。いずれも見事な出来だ。

とりわけ、これからの心ときめくシーズンには、M12がまさにぴったりですな。

もちろん、カバー曲だけでなく、アニタのオリジナル曲も上々の出来ばえですんで、そちらもお忘れなく。いつもながら、彼女の書くメロディの、センスのよさには感心してしまう。

本作のアニタの歌いぶりは、これまでの5枚と特に変わることなく、非常に安定していて貫禄さえ感じさせる。のびやかな高音はいわずもがなだが、特にその中低音域での、うねるような表現の豊かさは、他のシンガーの追随を許さないものがある。

人間の声こそは、究極の楽器であると筆者は考えているのだが、アニタはまさにその至上の使い手にほかならない。

しなやかで、したたかで、しかもハートフル。歌をうたう以上、こういうシルクのような極上の手触りの歌を目指したいものだ。

音楽的な洗練と、エモーショナルなパワーが見事に共存している、アニタならではの歌世界。20世紀のポピュラー・ミュージックが到達した、至高の境地。貴方もぜひ、味わっていただきたい。

<独断評価>★★★☆


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音盤日誌「一日一枚」#342 ムーンライダーズ「アマチュア・アカデミー」(RVC/dear heart RAT-8817)

2022-10-22 05:26:00 | Weblog

2006年12月31日(日)



#342 ムーンライダーズ「アマチュア・アカデミー」(RVC/dear heart RAT-8817)

ブリッジによるディスク・データ

今年、レコードデビュー30周年を迎えたムーンライダーズの、9枚目のアルバム。84年リリース。ライダーズおよび宮田茂樹によるプロデュース。

筆者は、彼らがあがた森魚のバックで「はちみつぱい」として演奏していた頃から、その独自のサウンドには注目していた。

多くの日本のロックバンドが、本場のロックの「なぞり」に明け暮れていた頃、早くから「なぞり」を脱却して、この国ならではのロックを創り出していた彼らは、まことに異彩を放っていた。

たいていのバンドが「ライブで乗れる」ことを第一義にして曲作りをしていたのに対し、そのことにこだわらず、「作品」としてのアルバム作りを行い、ほぼ一作ごとに新しい作風を掲げたのも、彼らならではのことだった。

これは彼らが一度も「売れた」ことがなかった(もちろんプロとして活動を維持していける最低限の実績はあったが)ことが、プラスの方にはたらいたといえる。

下手にスマッシュ・ヒットを出し、「売れて」しまうと、そのヒット曲のイメージにひきずられることになる。そうなると、次に出す曲もそのヒットの縮小再生産的なものになり、自己模倣を繰り返したあげく、リスナーに飽きられ、見捨てられ、解散せざるをえなくなる。あのYMOでさえ、その憂き目はまぬがれなかった。「売れる」ということは、諸刃の剣なのである。

そういう意味で、ライダーズほど、見事なまでに、セミプロというかセミアマ状態を30年以上、ずっと維持出来たバンドは他にない。

さて、このアルバムはレーベル遍歴のめまぐるしさでは他バンドの追随を許さない(笑)ライダーズが、四番目のRVC=dear heartレーベルにて出した一枚。

話題作「青空百景」「マニア・マニエラ」を経て、ライダーズ中期のサウンドを確立した一作といえそうな本盤は、まず曲名と歌詞カードに異様な特色がある。

タイトルはすべて欧文の略語。歌詞はまるで、コンピュータのプログラム・ソースのような文字の羅列。もちろんひとつひとつの言葉には意味はあるのだが、字間なしのベタ打ち状態ゆえ、ものすごくシュールな印象を見る者に与える。

歌における「意味性」の脱構築。いってみれば、幻想としての「伝統的ポップ・ミュージック」の解体。

22年前、パソコンの影も形もなかった当時、こういう究極のディジタル思考で一枚のコンセプト・アルバムを作ってしまったのだから、彼らがいかに先進的であったか、わかるだろう。

時代より一歩どころか、十歩くらい進んでいたのだから、こりゃ売れるわけないよなあ(笑)。

個人的には「ガッチャ!」とソウル・ミュージックをおちょくりパロった、白井良明作の「NO.OH」が好み。(そういやJBも死んじゃったよなあ)

「軽み」が身上の鈴木慶一のボーカルも、全曲で冴えわたってるし、ホ-ンを大胆に導入したアレンジ、打ち込みの多用も、実にグッド。もちろん、各メンバーの小技の聴いた演奏も、文句なしにいい。

「のせる」ことより「聴かせる」ことにポイントを置いたサウンド、まさにワン・アンド・オンリー。

日本にも、いやいや日本だからこそ、こういう英米ロックの汗臭さとは無縁の、独自のインテリジェンスに満ちたロックが生み出されたのだと思う。

ロックとは「テクニック」よりむしろ「発想」で勝負する音楽だと考えている筆者にとって、「わが意を得たり」という感じ。

彼らの音楽には一貫して、リスナーとの一定の「距離」があって、それが筆者には好ましく感じられる。「オレはキミたちの最大の理解者であり、代弁者なのだよ」と語りかけることでリスナーを取り込もうとするような、聴き手への「おためごかし」で成立している、多くのロック/ポップ・ミュージシャンのような「偽善」がそこにはない。

だから筆者は、ずっとムーンライダーズを信用していられるのである。

<独断評価>★★★★


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音盤日誌「一日一枚」#341 T・ボーン・ウォーカー「THE COMPLETE IMPERIAL RECORDINGS, 1950-1954」(EMI USA CDP-7-96737-2)

2022-10-21 05:00:00 | Weblog

2006年12月24日(日)



#341 T・ボーン・ウォーカー「THE COMPLETE IMPERIAL RECORDINGS, 1950-1954」(EMI USA CDP-7-96737-2)

T・ボーン・ウォーカーといえば、「ストーミー・マンデイ」の一曲であまりにも有名だ。そのせいか、「ストーミー・マンデイ」の収録されたキャピトルのアルバム「モダン・ブルース・ギターの父」(日本編集)ばかりが注目されがちだが、キャピトル/ブラック・アンド・ホワイトレーベル以外にも、すぐれた作品が数多く残されている。

このアルバムもそう。T・ボーンはインペリアル在籍時(1950~54年)に、52曲もの録音を残しているが、それらを(別テイクは省いているが)すべて収録している。

おなじみの背中弾きプレイのショットがジャケ写。洒落たスーツに、白のシューズ。大胆な開脚ポーズがなんともカッコええのう。

中身も負けじとカッコよい。キャピトル時代よりさらにホーン・サウンドに厚みがまし、音の完成度の高さといったら、もうブルース界でも屈指の存在。多くのフォロワーを生み出したのも、納得がいく。

が、どのフォロワーも、ひとりとして、彼を越えることは出来なかった。当然といえば当然だが、もう役者が違い過ぎるのですよ。

彼のボーカル、ギターは、酒にたとえれば、ドライ・マティーニ。

超辛口のようでいて、適度にスウィートな味わいも含み、その酔い心地は極上。決して悪酔いするということが、ない。

ブルースとジャズの、なんとも絶妙なカクテルなんである。

この二枚組の52曲すべてにおいて、T・ボーンならではの名人芸が披露されている。

見事なサウンド作り、小粋な歌いぶり、そして一音一音、全く無駄というものがない、完成されたギター・スタイル。

「モダン・ブルース」というコンセプトを、その音世界で完璧に体現してみせた最初の男。

とにかく、リスナーの貴方が一番リラックス出来る環境で、ゆったりと聴いて欲しいもんだ。極上の酒とともに。

ストマン風のスロー・ブルースよし、ジャンプ・ナンバーよし、ミディアムテンポのスウィンギーなナンバーよし。軽快なインストもあれば、ディープな歌で聴かせるナンバーもある。要するに、彼の魅力のすべてを凝縮した二枚。

まちがいなく、おなか一杯になります。キャピトル/ブラック・アンド・ホワイトの三枚組と合わせて聴けば、T・ボーンの最盛期を堪能出来ます。

はっきり言って、文句のつけようのないアルバム。ブルース史上最高のサウンド・クリエイターのひとり、T・ボーン。アンタはやっぱりハンパなくスゴいお人ですわ。

<独断評価>★★★★★


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音盤日誌「一日一枚」#340 クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル「PENDULUM」(FANTASY FCD-4517-2)

2022-10-20 05:00:00 | Weblog

2006年12月17日(日)



#340 クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル「PENDULUM」(FANTASY FCD-4517-2)

クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル、6枚目のアルバム。70年リリース。ジョン・フォガティによるプロデュース。

本欄では、CCRは4年4か月ぶりに取り上げるが、筆者的には五本の指に入るくらい、フェイバリットなバンドではあるのだ、実は。

なんたって、自分の小遣いでアルバムを買った最初のアーティストであるし、ギターを弾き始めた当初はジョンのプレイが一番のお手本だったぐらいで。

そのくらい、思い入れのあるバンドだが、本盤については、正直評価は微妙だった。

前作「コスモズ・ファクトリー」が、あまりに完璧な出来で、しかもヒット曲てんこもりだったので、どうしてもそのカゲに隠れてしまうというきらいがあった。

でも、ひさしぶりにCDで買い直して聴いてみると、当時の印象とはまた違ったものを感じる。

皆さんご存じの大ヒット(日本ではたぶん最大のヒットだったような)、大江戸ジャムセッションでも定番レパートリーの「雨を見たかい」とそのC/W曲「ヘイ・トゥナイト」を中心にした10曲。全曲、ジョンのオリジナルだ。

カバー曲ゼロ。これは、かつてのCCRのアルバムと比較すると、ものすごい変化である。

これまでのアルバムの、シングル・ヒット集的な作りから脱して、ある意味コンセプト・アルバムを目指しているように思われるね。

前作の「ランブル・タンブル」の流れを汲むような、パワフルな前奏曲「ペイガン・ベイビー」でスタート。

続くは「水兵の嘆き」。サックス、オルガンを加え、まったりとしたR&Bを聴かせる。このへんは、わりと従来のCCR路線かな。

ホーンをフィーチャー、オーティス・レディングばりにソウルしまくるのは「カメレオン」。ギターがほとんど聴かれないあたり、従来のジャンプ・ナンバーとの微妙な差を感じる。

4曲目が「雨を見たかい」。雨をナパーム弾の暗喩として使い、反戦のメッセージをこめたナンバー。アメリカ本国では、放送禁止にもなっている。日本ではそういった歌詞の問題など起こるわけもなく、ふつうのフォーク・バラードのように解釈され、ヒットしてますが。

A面ラストの「ハイダウェイ」は、もちろんフレディ・キングのあの曲ではなく、オリジナルのバラード。オルガンのイントロから始まるあたりからして、従来のCCRらしからぬ雰囲気がプンプン。ボーカルが違うから区別はつくものの、なんかトラフィックとかプロコル・ハルムを想い起してしまう。

B面トップの「ボーン・トゥ・ムーヴ」でも、ソロはギターでなくオルガンをフィーチャー。これには驚き。従来、バックには加わっていても、キーボードがソロで前面に出てくることは稀だったからね。

「トラベリン・バンド」「アップ・アラウンド・ザ・ベンド」に連なる。これまでのCCRらしさを最も感じさせる「ヘイ・トゥナイト」の後は、再びオルガンをフィーチャー、ゴスペルを隠し味にもつナンバー「イッツ・ジャスト・ア・ソート」へ。ジョンは過去にもたまにピアノなどを弾いていたものの、「ギター・バンド」のイメージが圧倒的に強かったCCRなだけに、その変貌ぶりはかなり衝撃的。スティーヴ・ウィンウッドばりのオルガン・プレイ、まことにカッコいい。

もちろん、ライブ・ステージではこの手の曲はほとんど演奏しなかっただろうし、一種の実験的試みなのだろうけど。

ジョンのテナ-・サックス、コーラスをフィーチャーした、すごく懐かしいR&B調ナンバーは「モリーナ」。こういうのが入っていると、ホッとしますな。

ラストは「手荒い覚醒」。これがなんとも形容しがたい、変わったナンバー。絶対ライブではやりようのない、アバンギャルドな楽曲。スタジオにあるすべての楽器を使って遊んでみました、みたいな構成。テープ逆回しも使ってる。いってみれば、チャンス・ミュージックの一種か。一部、ピンク・フロイドみたいな雰囲気もある。

果たしてこれを「曲」として捉えていいものか、という疑問はあるが、「懐かし系の曲ばっかりやってる古臭いバンド」というパブリック・イメージ、過去のカラを打ち破ろうという、ジョンの試みなのではないか。

CCR「らしい」曲、「らしからぬ」曲が混在した異色作。でも「らしい」なんてのは、聴き手の側の勝手な決めつけという気もする。

あのビートルズだって、初期と終期ではまったく違うサウンドになっている。すぐれたバンドほど、過去のものにこだわらず、変貌をとげていくものだ。

CCRの場合は、必ずしもカメレオンの如き変身が成功したとはいえないのだが、過去の固定した「田舎くさい、古臭いサウンド」のイメージ、「ギター・バンド」のイメージを塗り替え、「また違ったことをやってくれそうだ」という期待をリスナーに抱かせるような、意欲作には仕上がっている。

「アメリカのトップ・バンド」という、ハンパなくきついプレッシャーをものともせず、新しい世界を切り開いていくジョンの才能、やっぱホンモノです。脱帽。

<独断評価>★★★★


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音盤日誌「一日一枚」#339 アイヴォリー・ジョー・ハンター「16 OF HIS GREATEST HITS」(KING KCD-605)

2022-10-19 05:10:00 | Weblog

2006年12月10日(日)



#339 アイヴォリー・ジョー・ハンター「16 OF HIS GREATEST HITS」(KING KCD-605)

アイヴォリー・ジョー・ハンター、キング時代のベスト盤。アナログLPは58年リリース。

1914年テキサス生まれ、74年60才にて没。

シンガーにしてピアニスト、ソング・ライターでもあった彼の全盛期は40~50年代。

初期はブルース、ブギ系の楽曲が中心だったが、その美声を生かして、よりポピュラーなバラード系のナンバーで人気を獲得。カントリーの殿堂、グランド・オール・オプリーに出演するなど、人種の壁を越えた支持を勝ち取っていた。

写真を見るに、結構若いころからルックスはオジさんくさかったが、歌声のほうはなかなかの二枚目。ひたすら甘く、艶と華があった。当時はラジオ全盛時代だから、シンガーは声さえよければ無問題だったみたい(笑)。

キング在籍時に飛ばしたスマッシュ・ヒット「ゲス・フー」を中心に、代表的ヒット16曲にて構成されているのが本盤。

2曲(M1、12)を除き、すべて彼自身のオリジナル。コンポーザーとしても、一流であることがよくわかるだろう。

当時はSP盤期ということもあり、すべて3分前後のコンパクトな曲ばかりなのが、時代を感じさせますな。

楽曲の傾向はといえば、ピュアなブルースは全体の4割程度(M2、 M4、M6、M8、M11、M16など)で、他はバラード。ジャズィなもの、二拍三連のカントリーっぽいものも含め、小唄系の楽曲が多いので、ブルースのコーナーにあるからと意気込んで買って来た手合いは、肩すかしをくらうかもしれんなぁ。

でも、当時のトッププロシンガー、つまりレコードを出して人気のある歌手って、ベタなブルースしか歌わないひとのほうが珍しい。ブルース畑出身のひとでも、この手のバラードを数多く歌っているものなのだ。

そして、そういう芸の幅の広さにこそ、アイヴォリー・ジョー・ハンターらしさがあるのだと思う。

筆者的には、彼のソング・ライティング力もすごいと思うが、何より歌のうまさにひかれる。

彼の歌唱力は、ブルースという「地方区」だけでなく、ノンジャンルの「全国区」に出ても十分通用するレベルだと思う。同じ黒人シンガーでいえば、ジャズ畑出身のナット・キング・コールに匹敵するものがある。

単に声がいいというだけでなく、歌ごころがあるといいますか、表現力が素晴らしいのですよ。

アイヴォリー自身は、その後、時代の流れに取り残された格好で、その曲も存在もほとんど忘れられてしまったが、意外とその影響力は強いと思う。クルーナー系のジャズ・シンガーとか、ロッカ・バラードを歌うシンガーなど(いずれも、おもに白人)に、彼の「遺伝子」を嗅ぎ取ることが出来る。

メロディアスな楽曲、甘さの中にも深いニュアンスをたたえた歌唱。時代を越えて、リスナーのこころを捉えて放さない魅力が、彼のうたにはある。

B・B・キングのような、後続のブルースマンにも、その歌ごころはしっかりと引き継がれていると思う。

荒削りで粗雑な要素もブルースらしい一面ではあるが、一方、音楽的にも緻密できめのこまかい、そんなブルースも存在する。この一枚はその証明といえよう。

ぜひ、いい酒と一緒に、じっくりと聴きこんで欲しいものだ。

<独断評価>★★★☆


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音盤日誌「一日一枚」#338 フレディ・キング「フレディ・キング・イズ・ア・ブルース・マスター」(east west japan AMCY-6132)

2022-10-18 05:00:00 | Weblog

2006年12月3日(日)



#338 フレディ・キング「フレディ・キング・イズ・ア・ブルース・マスター」(east west japan AMCY-6132)

フレディ・キング、コティリオンにおける初のアルバム。68年録音、69年リリース。キング・カーティスによるプロデュース。

まずはジャケット写真に注目。「ニカーッ」という感じの、満面の笑みが実にいい。このジャケ写だけで、リスナーを買う気にさせる、そんな一枚だ。

バックは、名サックスプレイヤーにしてプロデューサー、キング・カーティス率いるニューヨークの実力派ミュージシャン連。ホーンのデイヴィッド・ニューマン、ジョー・ニューマン、ギターのビリー・バトラー、ベースのジェリー・ジェモット、ドラムスのノーマン・プライドといった、名うてのプレイヤー達が勢揃い。

アナログ盤のA面にあたるM1からM6は歌ものオンリー。フレディ自身のオリジナルM1をはじめ、リトル・ミルトンのナンバーM2、バターフィールド・ブルースバンドの演奏でもよく知られるアラン・トゥーサン作のM6など、バラエティに富んでいる。

スローのM1、M4、M5あり、アップテンポのM2あり、カントリー・バラード調のM3あり。いずれも、非常にこなれた歌いぶりで、聴いていて心地よい。

個人的には、M6が一番聴きごたえがあると思う。イントロのギターソロからフレキン節全開、歌も力みなくナチュラルな感じ。彼らしさが最も発揮された一曲となっている。

アナログB面6曲は、M12をのぞき、インスト曲で構成。

十八番のM7の再録に始まり、フレディのオリジナル、プロデューサーのキング・カーティスの作品をとりまぜた構成。

キング・カーティスはファンキーなブルース・インストゥルメンタルの先駆者のひとりだが、彼のアレンジにより、おなじみの「ハイダウェイ」もすっかり装いを新たに、ヒップなファンク・ブルースに仕上がっている。

ジェモットのビンビンなベースに導かれ、フレディのファンク魂が炸裂! いやー、ソロがめちゃカッコええ。

ビートが別のものになると、ここまで印象が変わるのか!と思いましたわ。

実はこの曲、60年代初頭、キング・カーティスがキャピトル在籍時代に、すでにカバー録音していた。そのころから互いに引きつけあうものがあったんだろうね、フレディとキング・カーティスには。

タイトルがそのものズバリ!のオリジナル「ファンキー」も実にイカした一曲。

もう、カラダがビンビンに反応しちゃいます。

キング・カーティス提供の「ホット・トマト」「スウィート・シング」もごきげん。ブルースにファンクなスパイスが加わって、ピリ辛な美味さだ。

ラストもキング・カーティスのスロー・バラード「レット・ミー・ダウン・イージー」だが、これは歌もの。この曲がまたいい。リラックスしたムードで、じっくりと歌い上げるフレディ。

締めくくりにふさわしい、快唱であります。

才能に満ちあふれた「二人のキング」の邂逅により生まれた快作。聴いてて快く、これほど「快」の字がピッタリはまる一枚も珍しい。

というわけで、聴かない手はないのであります。

<独断評価>★★★★


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音盤日誌「一日一枚」#337 ブライアン・アダムス「カッツ・ライク・ア・ナイフ」(アルファ AMP-28069)

2022-10-17 05:00:00 | Weblog

2006年11月26日(日)



#337 ブライアン・アダムス「カッツ・ライク・ア・ナイフ」(アルファ AMP-28069)

カナダ出身のロックシンガー、ブライアン・アダムスのサード・アルバム、1983年リリース。ブライアンとボブ・クリアマウンテンによるプロデュース。

ある世代にとって「スペシャル」なアーティストというのが、いつの時代にも存在する。

僕ら50年代生まれの人間にとっては、ビートルズ、ストーンズ、ZEP、パープルあたりがそうなのだが、僕らよりもう少し(5~10年)若い連中にとっては、それがエアロ、ボンジョビ、そしてこのブライアン・アダムスだったりする。

ブライアンの存在を知ったのは、筆者が社会人になってから。会社の仕事でレコード・レビューに書くため聴いたのが、このアルバムやデビュー・アルバム「ブライアン・アダムス」だった。

以来23年来、たまに引っぱり出して聴くし、その後リリースされたアルバムも何枚か購入して聴いている。仕事ではなく、個人的趣味として。

ということで、たしかに嫌いなアーティストではないのだが、かといって自分の青春のカリスマというほどの重要性はない。

これはやはり、十代でなく、大人になってから彼に出会った、ということが大きいんだろうな。

エルヴィスに熱狂していた筆者の前の世代の感覚を、筆者が理解しづらいように、ブライアンをカリスマ、アイドル視する筆者より若い世代の感覚は、どうにもピンとこない。一プロミュージシャンとしてしか、見ることが出来ないのである。

とはいえ、やっぱり彼はカッコいいことに違いない。

いわゆる「白人ロックンローラー」なのだが、先輩格のブルース・スプリングスティーンあたりと比較してみると、全然違うよね。

まず見てくれ。ブロンド、青い眼、ヒゲなし、そしてスリムで長身。黒髪、ヒゲもじゃでいかにもオッサン臭く、わりと小柄なブルースと違い、女性にも受けそう。

それからサウンド。同じロックンロールとはいっても、ブルースは60年代のR&Bをずっと引きずっているのに対し、ブライアンのそれは、もう70年代ハードロック期以降の音でしかない。

たとえばA面2曲目の「テイク・ミー・バック」とか聴くと、明らかにエアロやZEPの影響を感じますな。

ギターのハードなリフ中心の音作り、歯切れよく抜けのいいパワフルなサウンド。これは共同プロデューサーにして名エンジニアとしても知られた、ボブ・クリアマウンテンの手腕によるところが大きいんじゃないかと思う。

とにかく、一曲一曲、ソツなく丁寧に作られていて、安心して聴けるのである。

ことにA面。ハスキーな声でロッド・スチュアートばりの熱唱を聴かせる「ディス・タイム」、メロディアスなバラード「ストレート・フロム・ザ・ハート」(ホンマに名曲です)、そして「カツラがない!」の空耳でおなじみの「カッツ・ライク・ア・ナイフ」の流れは、もうパーフェクト!としかいいようがない。この奥行きのあるサウンド、当時の日本のポップスにも、どれだけ影響を与えたことか。

B面も負けてはいない。ギターリフで始まる「アイム・レディ」。ジャーニーやボストンあたりのプログレ・ハードにも通じるものがあり、実にカッコいい。

ミディアム・テンポの「ホワット・イッツ・ゴナ・ビー」、これはちょっと曲調がブルース・スプリングスティーンぽいかな。サウンドは80年代風だけど。

TOTO、フォーリナーを連想してしまうのは「ドント・リーヴ・ミー・ロンリー」。コーラスはデュランデュラン風とちょっとヒネってありますが。

プチ・モータウンな曲調ながら、バックは明らかにハード・ロック、コーラスはフォークロック・バンド系という面白い取り合わせは「レット・ヒム・ノウ」。

ラストはしっとりとしたバラード「ザ・ベスト・イズ・イェット・トゥ・カム」で締めくくり。ブライアンの、説得力ある歌いぶりが光ってます。

こうして聴いてくると、なんていうか、やっぱりホンモノは違うなあと感じる。日本のポップス&ロックシンガーたちが、彼からパクろうとして、しきれなかったもの。それは「うた」なんだなと痛感。

欧米と日本のポップスは、演奏においては相当差が縮まってきたが、「うた」に関してはまだまだ差が開いたまま。

ハンパな和ものを聴くよりは、やっぱり本場ものを聴くにしくはない。

47才になったいまも、バリバリの現役ロックンローラーなブライアン。その若き日のエネルギー全開な一作、いまだに新鮮な感動をもたらしてくれます。おすすめ。

<独断評価>★★★★☆


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