#101 カサンドラ・ウィルスン「I Can't Stand the Rain」(Blue Light 'Til Dawn/Blue Note)
1955年生まれのベテラン女性シンガー、カサンドラ・ウィルスンがアン・ピーブルスの代表曲をカバーしている。これが文句なしにいい。ブライアント=ミラー=ピーブルスの共作。
カサンドラ・ウィルスンといえば、ジャズ畑のひとというイメージがあるが、別にスタンダードばかり歌っているわけじゃない。オリジナルも作って歌うし、ソウル、ブルースもしばしば取り上げて歌っているので、結構目が離せない。
「Blue Light 'Til Dawn」は93年リリース、カサンドラの最高傑作との誉れ高いアルバムだ。ここでも彼女は当曲以外に、ロバート・ジョンスンの作品を2曲カバーしている。
アコギ、アコーディオンなど、アコースティック楽器中心のシンプルなコンボをバックに、おなじみの「Come on in My Kitchen」「Hellhound on My Trail」を歌っているのだが、ロバート・ジョンスンの狂気さえも感じさせるアクの強い歌唱とは対照的に、クールで淡々とした歌いぶりがなんとも印象的だ。
そのへんは、やはり、モダンジャズ・ヴォーカル的なアプローチといえそうだ。
さて、この「I Can't Stand the Rain」は、60年テキサス生まれの白人ミュージシャン、クリス・ウィットリー(2005年歿)のリゾネーターをバックに歌う一曲。
最小ユニットながら、カサンドラの落ち着いて深みのある歌声、マディやウルフなど黒人のブルースに強く影響を受けたというウィットリーの達者なギターが絡み合って、えもいわれぬブルーズィな世界を生み出している。
ソウル・シンガーならばフルにシャウトする曲だが、そこはカサンドラ、ひと味違う。悲しみ、苦悩、焦燥。こういった感情を、あえて爆発寸前の状態で蓄え、ラストまでそれを維持し続けているのが、まことに印象的だ。
歌って、こんなに奥の深いものなんだなぁと感じさせる一曲。
真にすぐれたシンガーは、いかなるジャンルの曲を歌っても、第一級の歌を聴かせてくれる。ぜひ一聴を。
1955年生まれのベテラン女性シンガー、カサンドラ・ウィルスンがアン・ピーブルスの代表曲をカバーしている。これが文句なしにいい。ブライアント=ミラー=ピーブルスの共作。
カサンドラ・ウィルスンといえば、ジャズ畑のひとというイメージがあるが、別にスタンダードばかり歌っているわけじゃない。オリジナルも作って歌うし、ソウル、ブルースもしばしば取り上げて歌っているので、結構目が離せない。
「Blue Light 'Til Dawn」は93年リリース、カサンドラの最高傑作との誉れ高いアルバムだ。ここでも彼女は当曲以外に、ロバート・ジョンスンの作品を2曲カバーしている。
アコギ、アコーディオンなど、アコースティック楽器中心のシンプルなコンボをバックに、おなじみの「Come on in My Kitchen」「Hellhound on My Trail」を歌っているのだが、ロバート・ジョンスンの狂気さえも感じさせるアクの強い歌唱とは対照的に、クールで淡々とした歌いぶりがなんとも印象的だ。
そのへんは、やはり、モダンジャズ・ヴォーカル的なアプローチといえそうだ。
さて、この「I Can't Stand the Rain」は、60年テキサス生まれの白人ミュージシャン、クリス・ウィットリー(2005年歿)のリゾネーターをバックに歌う一曲。
最小ユニットながら、カサンドラの落ち着いて深みのある歌声、マディやウルフなど黒人のブルースに強く影響を受けたというウィットリーの達者なギターが絡み合って、えもいわれぬブルーズィな世界を生み出している。
ソウル・シンガーならばフルにシャウトする曲だが、そこはカサンドラ、ひと味違う。悲しみ、苦悩、焦燥。こういった感情を、あえて爆発寸前の状態で蓄え、ラストまでそれを維持し続けているのが、まことに印象的だ。
歌って、こんなに奥の深いものなんだなぁと感じさせる一曲。
真にすぐれたシンガーは、いかなるジャンルの曲を歌っても、第一級の歌を聴かせてくれる。ぜひ一聴を。