スペイン語で遊ぼう!みんなの広場_since2004

スペイン好き、ラテンアメリカ好き、スペイン語好き、スペイン語をやってみようかなぁと思っているヒト、寄っといで!

キツネと王子さま

2005-10-11 | EL PRINCIPITO
>それに、ボクは君にとって、ただのキツネさ。でもね、君とボクが親しくなると、お互いに必要になるんだよ。特別な存在になっていくんだ。そして「情」ってやつが、わいたり、移ったりするんだよ。

王子さまは、星に置いてきた花のことを考えました。

>花が一輪あってね、きっと、ジョウが移ったんだと思う。

>それは有りえるね。地球では、何が起きてもおかしくない。

でも、地球の話ではありません。狩をするヒトも、鶏も居ない、王子さまの星の話でした。キツネは興味を持ちましたが、鶏がいなくちゃしょうがない、と思いました。

>ボクの毎日は単調なんだよ。ボクは鶏をつかまえる。ヒトはボクを追いかける。鶏はどれもこれも同じだし、ヒトはヒトでみーんな同じなんだ。だからボクは、ときどき退屈になってしまう。でもね、もし君とボクが親しくなったら、ボクは人生が楽しくなると思うんだ。

ひと呼吸おいて、キツネは続けました。

>ねえ、麦畑を見てごらん。君の髪は麦畑みたいな金色をしているね。ボクはパンを食べないから、麦畑なんてどうでもいい。でも、あの麦畑を見るたびに、君のことを思い出すなんて、素適なことだと思わない? お願いだから、ボクと親しくなってよ。

つづく。

今日の表現:
「ボクの生活は単調なんだ。」
Mi vida es monótona.
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キツネとの出会い

2005-10-09 | EL PRINCIPITO
王子さまが草むらで泣いていると、「こんにちは」と声がしました。でもだれの姿も見えません。

>ここだよ、リンゴの木の下。

リンゴの木の下には、耳の長い、美しいキツネがいました。王子さまは、キツネに話しかけました。

>ここに来て、ボクと遊んでよ。さびしいんだ。

>それはできないな。「情」がないからね。

>「ジョウ」ってなあに?

キツネは答えてくれません。反対に、王子さまにこう質問しました。

>君はここの子じゃないね。何をさがしに来たの?

>ヒトをさがしているんだ。

>ああ、ヒトってのは、銃を持っていて、鶏を飼っているね。それしか興味がないんだろう。ひょっとして、君も鶏をさがしているのかい?

>まさか。ボクは「友だち」をさがしているんだ。それで「ジョウ」っていうのはなあに?

>それは、古いことばなんだよ。親しくなるときの気持ちかな。

>シタシクナル?

>そう。たとえば、君はいまのボクには、ただのひとりの子どもにすぎない。そのへんのほかの子どもとおんなじさ。……

キツネは語り始めました。

つづく。

今日の表現:
「ここだよ、リンゴの木の下。」
Estoy aquí, bajo el manzano.
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薔薇の園

2005-10-08 | EL PRINCIPITO
王子さまが住んでいたのは、歩いてひとまわりできるほど小さくて、平和な星でした。花と出会う前は、問題といえばところかまわず根を張るバオバブの木くらいのもので、それは小さいうちに引き抜けばすむことでした。王子さまの旅立ちは、花から逃げることを意味していました。

自分の星より小さな星を回り、王子さまが見たのは、変なおとなばかりでした。6番目にようやく、大きな地球にたどりついたとき、だれもいない星のように思えました。岩や砂の中を歩いて歩いて、王子さまが見つけたのは、薔薇の園でした。

>こんにちは。
王子さまは、おどろきながら花たちにあいさつしました。みんな、王子さまが星に残してきた気位の高い花に似ていたのです。

>君たちはダレなの? 
>バラよ。

王子さまの花は、自分は珍しい品種の植物で、世界にたったひとつなのだと、王子さまに言っていました。なのにここには、その花そっくりの「バラ」が5000本もいっぺんに咲いているのです。

王子さまは、泣きたい気持ちになりました。

つづく。

今日の表現:
「みんな、彼の花にそっくりでした。」
Todas se parcían a su flor.
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旅立ち

2005-10-02 | EL PRINCIPITO
王子さまは、花の望むとおり、夜になるとガラスのフードをかけてあげました。そして毎日水をあげました。花の美しさをながめ、香りを楽しむだけではなく、花の話を聞いてあげました。とるにたらない言葉のひとつひとつを真にうけて、悲しくなることもありました。

花を愛おしく思う気持ちはわくのに、花を理解することができないのでした。

ある日、王子さまは花に告げました。
>あなたのおかげで幸せです。でもボク、しばらくここを離れたほうがいいようですね。

>ガラス・フードのことならもういいわ。わたくしがバカでしたの。ごめんなさい。ああ、わたくし、あなたを愛しているのに。気づいてくださらなかったのね。悪いのはわたくし。もう、どうでもいいことですわ。

>でも、風や動物たちが。。。

>風にあたるのも悪くないわ。それに、蝶々と知り合うためには、青虫くらいがまんしなくてはね。

小さな星から旅立つことを決めた王子さまは、星の中をかたづけはじめ、火山のおそうじをし、花に最後の水をあげました。

花は言いました。
>出て行くとお決めになったなら、さっさとお行きなさいな。

とてもプライドの高いその花は、王子さまに涙を見られたくなかったのです。

>さようなら。1年で戻ってきます。

つづく。

今日の表現:
「1年で戻ってきます。」
Regresaré en un año.
en の後ろに時をあらわす言葉があったら、「時点」または「所要時間」を意味します。
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小さな星に咲いた花

2005-10-01 | EL PRINCIPITO
むかしむかし、ある小さな星に、小さな王子さまがひとりで住んでいました。その星には、バオバブの木と、朝咲いてはすぐ消える「はかない花」くらいしか、植物らしきものはありませんでした。

あるとき、どこからか飛んできた種が、王子さまの星に根をおろしました。いったいこれは、何なのでしょう。王子さまは、芽が出るのを待ちました。この新しい植物を観察するのが、王子さまの日課になりました。

つぼみがふくらみ、花びらがいまにも開きそうなのに、まるでじらすかのように、そのまま何日も過ぎました。つぼみは、念入りに化粧をして、ゆっくりとシワをのばし、ようやくある朝、日の出とともに花を開きました。

>いま起きたばかりなのよ。髪がみだれているかしら。

花が咲くのを待ち望んでいた王子さまは、その美しさに声をあげました。
>ああ、なんて美しい!

>そうかしら? わたくし、お日様とともに生まれたのよ。 あら、朝食のお時間ね。わたくしのこと、気にかけてくださるわね?

あまり謙虚とはいえない花の態度にとまどいながらも、王子さまは水を汲んできて、やさしく花にかけてあげました。こうして、すぐに王子さまの心をとらえた花は、意味ありげな言葉を投げかけ、色っぽい香りを星中にただよわせながら、王子さまを苦しめはじめたのです。

>爪をとがらせたトラが来ても、わたくしには「トゲ」というものがあるわ。

>この星にはトラなんていませんよ。それに、トラは草なんか食べません。

>わたくし、草ではなくってよ。

>ごめんなさい。。。

>トラなんて恐くなくってよ。でも風がふくと倒れてしまうわ。ガラスのフードをかけてくださるかしら?

なんて気難しい花なんだろう。王子さまはそう思いながらも、花を放っておくことはできないのでした。

つづく。

今日の表現:
「わたくし、草ではなくってよ。」
No soy nunguna hierba. = No soy una hierba.
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