先日(7日)「無鄰菴(むりんあん)」へ出かけました。南禅寺の近くにあります。無鄰菴は、明治27年(1894)から明治29年(1896)にかけて明治・大正の元老である山県有朋(やまがた ありとも)が京都に造営した別荘です。山県有朋は、高杉晋作が創設した奇兵隊に入って頭角を現し、後に明治政府では軍政家として手腕をふるい日本陸軍の基礎を築いた「国軍の父」とも称される人です。
無鄰菴という名は、有朋が長州(山口県)に建てた(最初の)草庵が隣家のない閑静な場所であったことから名付けられたそうです。(二条大橋のたもとに建てた別邸が2代目、この地が3代目)有朋はこの別荘の庭園をこよなく愛 し、多忙な公的生活の合間にも夫人を伴ってしばしば訪れましたが、大正11年(1922)に83歳でこの世を去っています。その後、この地は昭和16年 (1941)に京都市へ寄贈され、庭園が明治時代の名園として、国の名勝に指定されています。
門をくぐって受付を済ませ、小さな入口から庭に入ると・・・周辺の住宅地とは全くちがう景色・・・「わっ」と思わず声を上げたくなるような眺めが広がっています。
庭園の面積は、3,135平方メートルで敷地の大半を占めています。有朋自らの設計・監督、造園家・7代目小川治兵衛氏の作庭です。ゆるやかな傾斜地に造られた、東山を借景とした池泉廻遊式庭園です。
今の季節は、つつじも終わり、菖蒲?杜若?が咲き始め、青もみじがとても美しいです。最近、青もみじがブームだと、テレビで言ってましたけど、早い話が新緑?ですよね。(^^;)
敷地内流れる水は、琵琶湖疎水の水です。三段の滝を流れ落ち、池に注ぎます。高さがそれほどない場所に、三段に滝を配したのは、滝の音を楽しむためなのだそうです。
滝の様子を撮ってきました。流れる水の音をお聞きください。「水なき庭は庭にあらず」が有朋の持論で、滝から流れる水は右へ左へと曲線を描いて渓流となります。
敷地内には建物が3つ、母屋、お茶室、煉瓦造りの洋館があります。
母屋で庭を楽しみながらお抹茶(300円)を頂きました。お菓子は金谷正廣さんの真盛豆です。煎った丹波産黒豆に大豆粉を重ね、青のりをまぶしたお菓子です。以前ご紹介しています。【前ぶろぐ】
洋館はレンガ造りで、1階は展示室です。無鄰菴、山県有朋氏についての説明や愛用品、小川治兵衛氏についての説明や作庭された主な庭園についての展示が行われています。ちなみに、平安神宮神苑や円山公園も小川氏の作庭です。
2階には、狩野派による金碧花鳥図障壁画で飾られた部屋があります。この部屋で明治36年(1903)4月21日、元老・山県有朋、政友会総裁・伊藤博文、総理大臣・桂太郎、外務大臣・小村寿太郎の4人によって、日露開戦直前のわが国外交方針を決める「無鄰菴会議」が開かれています。写真撮影OKです。フラッシュ使用NG
無鄰菴 http://www.city.kyoto.jp/bunshi/bunka/murin_an/murin_an_top.html
拝観料:400円 駐車場なし 拝観所要時間:30分~
【おまけ】となりは「瓢亭」さんです。幕末に残された書物には、南禅寺の門前に広がる松林の参道の茶店として紹介されています。すでに半熟鶏卵が名物だったようです。