先日(29日)、第42回非公開文化財特別公開中の智積院(ちしゃくいん)へ出かけました。まずは、特別公開中の宸殿の襖絵をご紹介しました。前のブログにて。
受付で、拝観料を払うと、宸殿拝観の前に国宝の障壁画を見学できます。収蔵庫(写真左)に一堂に展示されています。楓、桜、松に秋草など大きな壁画が展示されていますが、過去に何度か火災などにあい、原形の4分の一以下にカットされています。
作者は、長谷川等伯(はせがわとうはく)一派で、等伯は石川県の七尾で生まれ、墨絵を中心に仏画や肖像画を描いていました。その後上京して狩野派の門をたたきましたが作風が合わず、狩野派と対立する立場となった人です。障壁画のうち、等伯の長子久蔵の25歳の作である桜図と、その久蔵が26歳で急逝した翌年に父である等伯が描いた楓図は、日本の壁画を代表するものとして知られています。
収蔵庫には、対立していた狩野派の障壁画も展示されています。狩野派の壁画は大きな松の木が1本描かれていますが、どーんと重圧感のあり、豪華で装飾的な感じです。一方、長谷川派の壁画は、写実的でつい見上げたくなるような枝の広がりを感じる木です。
この壁画も残念ながら撮影が禁止されていますが、水彩画による模写が大書院に飾られています。こちらは、撮影OKです!(写真下)実際はこの4倍の高さがあったそうですから、楓も桜も驚くほど大きな木だったんでしょうね。(@@)
実際の壁画は、顔料で色付けされているので、これほど鮮やかではありません。左が楓図(等伯:父の作品)、右が桜図(久蔵:子の作品)です。写実的な楓や桜の木に対して、抽象的に背景の池が描かれています。また、桜の花は貝の粉を盛り上げて彩色されており、電灯のなかった当時、暗闇に桜の花が浮かび上がって見えたそうです。この若くして急逝した久蔵の桜図の技巧を真似て、楓図が描かれています。久蔵の死には才能を妬んだ狩野派の陰謀という説もあるそうです。
そのほかにも、長谷川一派による国宝の障壁画の模写が書院に飾られていて、とても華やかです。
この後は、庭園の様子をご紹介します。次のブログにて。