※ 解決編
ブラ! 事件は無事に解決しました。
19番に置いてあったフルーツを食べたのはリーダー! あなたです。
詳しい話は警察署で聞きますから、サッサと行きましょう。
我々の間柄ですし、事件の詳しい内容はどうでもいいじゃないですか。
犯人はあなたで決まりなんだから。 ほらほら、行きましょうって。
「い・や・だ 絶対に嫌だっ! 手をはなせって!」
「警察署に行ったら、取調室でバンバンと机を叩いて脅してくるでしょ」
「眩しいライトを顔に当てたり、灰皿を投げてきたりしてさ」
「観念しないと思ったら、柔道部や空手部出身のゴツい刑事に囲まれて、
ボコボコに殴ったり蹴ったり」
「黙秘でもしようものなら、1人ぼっちにして部屋に放置するつもりだな」
「何日も飲み物や食事を与えずに、こちらが衰弱するのを待つんだろ」
「意識を失ってる間に、自白したことにされるんだっ」
「どうせ、そんな作戦に決まってるっ!」
いやだから、それはやりますけど・・・。
「やるんかいっ!」
冗談はさておき、事件の真相をお話しましょう。
今回の事件を解決するにあたり、ポイントになったのは20番から19番
に入った謎です。
19番には鍵がかかっていましたから、普通に考えればゲストは誰も中
に入ることは出来ません。
この点については、シュノーケリングで出会ったシマシマの魚やホテル
が用意してくれた広いお部屋がヒントをくれました。
アッチの岩場に入ったかと思えば、コッチの岩場から顔を出したり・・・。
そして、2部屋を1部屋にしたようなお部屋・・・。
リゾートから提供されたマップには正確な間取りが記載されていません
ので、私が手書きで追加をしてみました。
それがコチラです。
はい、20番と19番を結ぶ魔法の扉と通路が登場しました。
壁に自然に溶け込んでいるので、最初にお部屋にお邪魔した時は扉の
存在に気付くことが出来ませんでした。
いや、あなたが壁際に立って扉を隠していたのでしょう。
捜査に協力するように見せかけて、部屋の奥に我々を誘導し、魔法の扉
に気付かないようにしていたのです。
ホテルにはコネクティングルームと呼ばれるお部屋があり、2つの部屋を
普段は独立して使っています。
ファミリーのゲストが滞在するような時には、扉を開いて2部屋を1室の
ようにして使うのだとスタッフが教えて下さいました。
あなたは魔法の扉の鍵が開いていることに気付き、20番から19番へと
移動して、つまみ食いをしたのですね。
この扉を使って鍵のかかっている19番に入ることが出来たのは、20番
に宿泊しているあなたしかいません。
そう、この扉を使ったのです。
「へ~、そうなんですか」
「コネクティングルームの存在は知ってますけど、僕の部屋の室内に扉
があったなんて知りませんでしたよ」
「たしか、僕は20番の鍵を閉め忘れたような気もするな~」
「僕が部屋を出た後に犯人が20番にやってきて、その扉を使って19番
に入り、つまみ食いをしたのかも知れませんね~」
「で、事件が解決したと言ってたのに、聞いてみたらこんな話ですか」
「これで終わりなら、荷物をまとめてサッサとナンディに帰って下さいよ」
「家族や友人らにお土産を買って、楽しいフィジー旅行は終わりですね」
「スタッフさん、まんぼ~さんにヘリコプターを呼んであげて下さい」
ええ、3席以上の空席があるヘリコプターでお願いします。
私と今池君と、リーダーが乗って帰ることになりますから。
お話の本題はこれからです。
あなたはビーチに行くために水着に着替えを済ませ、魔法の扉で19番
に入り、つまみ食いをしました。
そして、今から20番に戻ろうと思ったところで、予想していない出来事
が起きてしまいます。
そう、毎日のようにやってくる清掃のスタッフです。
先ほどもお話をしましたが、清掃のスタッフが20番の部屋にやってきた
時に、あなたは室内にいなかったと証言しています。
普通はランチを終えてビーチに行く準備をしている頃でしょうから、部屋
にいなかったというのは不自然です。
「だからっ、ここはフィジーだと言ってるでしょ」
「彼らは非常に大らかな性格で、細かい時間は気にしてませんから」
「清掃に入った時間を用紙に記録する時に間違えたんじゃないですか」
「僕だって部屋に戻ってからの細かい行動や時間の流れまでは覚えて
ないと言ったでしょ」
「それに20番に戻るってなんなんだ」
お話を続けます。
えー、あなたは20番に戻ってからビーチに行きたいのに、スタッフが
いることで戻れなくなりました。
魔法の扉で20番に戻ると、つまみ食いがバレバレですからね。
「違う、同じことを何度も言わせるな」
「俺はずっと20番にいたと言ってるだろ」
それでも、あなたは集合時間にはビーチに行かなければなりません。
あまり集合に遅れると、メンバーが様子を見に来るかもしれませんし、
お部屋にいないと分かれば騒ぎが大きくなるかも知れません。
20番に戻りたいのに戻れない・・・。
19番で息を潜めながら、このピンチをどうやって乗り切るのかアレコレ
と考えていたはずです。
そして、20番に戻ることを諦めて、19番からビーチに行くことに・・・。
「違うっ! いい加減にしろっ!」
「適当なことを好き勝手にベラベラと言いやがって」
「アンタが言ってることは、捜査や推理を通り越して作り話の世界まで
飛躍してる。 そんなバカバカしい話で犯人にされてたまるか!」
「かくれんぼじゃあるまいし、なにが19番で息を潜めるだ」
「推理ごっこが楽しくて熱が入るのも分かるけど、フィジアンのように
少しは息を抜いたらどうですか」
「百歩譲ってアンタの言う通りだとしても、なぜ俺は19番から20番に
戻る必要があるんですか」
「清掃のスタッフが20番にいても、19番の表の出入り口から外に出て、
そのままビーチに行けば何も問題はないでしょ」
「何か理由があるなら、もったいぶらずに言えばいいじゃないですか」
「残念ながら、アンタは名探偵コナンや金田一少年じゃないんだよ」
「そんな話で逮捕が出来るならやってみろっ、警部補さん」
「そろそろ、堪忍袋の緒が切れてきますよ」
ん~、息を抜くですか・・・。 フフフフ。
私もひと息入れたいところですが、あと少しだけお付き合い下さい。
それでは、あなたが20番に戻りたかった理由をお話しましょう。
南国のリゾートで息を抜いたり、息を入れたりと言えば・・・。
はい、シュノーケルセットです。
最初にお部屋にお邪魔した時にチラっと見えましたが、あなたは自分
のシュノーケルセットを日本から持参していますね。
19番でつまみ食いをした時、あなたのセットは20番に置いてました。
まぁ、つまみ食いにシュノーケルセットは必要ないですからね。
ですから、本来であれば20番に戻り、自分のシュノーケルセットを手
にした状態でビーチに向かいたいところです。
自分のセットを持ってる人なら、当然そう考えます。
これが、あなたが19番から20番に戻りたかった理由です。
フッフッフッ、今回はリーダーがダンマリになりました。
犯人は青息吐息といったところでしょうか。
そして、ここからが一番大事なところです。
清掃のスタッフがいることで20番に戻れなくなったあなたは、19番で
息を潜めながらよく考えた結果・・・。
はいっ! こちらの用紙をご覧下さい!
この用紙にはスポーツセンターでシュノーケルセットをレンタルした人
の記録が残っており、時間と名前、部屋番号とサインがあります。
間違いなく、13時50分にあなたが借りたことが記録されています。
今池君がシュノーケルセットをレンタルした時に、偶然あなたの名前が
書いてあることに気付いてくれました。
これで全てが繋がりました。 もう言い逃れは出来ませんっ!
あなたは自分のセットを取りに戻れないかわりに、19番からビーチに
向かう途中で、スポーツセンターでシュノーケルセットを借りたのです。
もう、お分かりですね。
自分のシュノーケルセットがあるのに、シュノーケルセットを借りる人
なんているはずがないっ!
先ほど、今池君がお部屋にお邪魔した時に確認もさせて頂きました。
あなたが日本から持ってきたシュノーケルセットには、特に壊れている
様子などはなく、現在も普通に使える状態です。
ちなみに、あなたが滞在中に借りたのはこの1回のみです。
つまり、つまりですよ。
シュノーケルセットを借りたことが、あなたが20番からビーチに行って
いないことを証明しています。
なぜ、この時はシュノーケルセットを借りる必要があったのでしょうか。
本当は20番ではなく、どこからビーチに向かったのでしょうか。
そして、19番に入って何をしていたのでしょうか。
これで犯人の息の根は止まりました。
リーダー、あなたをつまみ食いの容疑で逮捕します。
「クソっ、今回は勝てると思ったのに・・・」
ついでと言ってはなんですが、リーダーがビーチの集合時間に遅れた
理由は2つですね。
1つ目は、シュノーケルセットのレンタルで寄り道をしたこと。
2つ目は、19番にいる間は時間の経過が分からなかったこと。
20番にはあなたが持ってきた旅行用の時計がありますが、19番には
時計がありません。
日焼けのあとをみれば腕時計をしないタイプであることは明らかですし、
つまみ食いには携帯電話も必要ありません。
19番に息を潜めて色々と考えている間、どれだけの時間が過ぎている
のか分からなかったはず。
この2つが重なり、集合に遅れたと考えるのが自然です。
「チッ、それでいいんじゃないですか」
「いつから怪しいと疑い出したのか、最後にそれだけを教えて下さい」
「最初に僕に会った時ってのはナシですよ」
最初にあなたのお部屋にお邪魔した時です。
「それはウソだね。あれだけ部屋を入念に確認してもボロはなかったし、
コネクティングルームの存在にも気付いてなかったはず」
「僕なんかよりも、スタッフの方がよほど怪しい状況じゃないですか」
「犯行は認めますけど、そこまで馬鹿にされては困ります」
ん~、お部屋の前のシャワーを使った様子がなかった・・・。
ビーチでのシュノーケリングから帰ってくると、部屋の前にあるシャワー
で足を洗ったり、シュノーケルセットを洗うのが普通です。
そうすれば、地面がビショビショに濡れて、しばらくは乾きません。
ですが、あなたのお部屋の前のシャワーは使った様子がなかったので、
そのことがとても気になりました。
この部屋のゲストは、どこで足を洗ったのかなと。
今にして思えば、シュノーケルセットをスポーツセンターに返却した時に、
スポーツセンターのシャワーで足を洗ったのでしょう。
だから、自分の部屋の前のシャワーを使う必要がなかったのです。
モルディブからタヒチ、そして今回のフィジーと、あなたとは知恵比べを
繰り返してきましたが、そう簡単には完全犯罪なんて出来ません。
いい機会ですから、つまみ食いからも足を洗ってはいかがでしょうか。
南国のリゾートだけに、あまり波風を立てるのは良くないかと。
リーダー、最後に私からも1つだけ質問を宜しいでしょうか。
事件の解決にあたり、どうしても不思議でならないことがありました。
あなたはシュノーケルセットをレンタルすることで、わざと解決のヒントを
残したのではありませんか。
たしかに、20番に清掃のスタッフが来たことは予想外だったはずです。
それでも、19番から外に出て20番の表にまわり、何食わぬ顔で自分の
シュノーケルセットを取りに行くことも出来たはず。
それなら、清掃のスタッフに怪しまれることもなかったでしょう。
あなたは19番で息を潜めながら、この状況であれば簡単に乗り切れる
ことに気付いたのでは。
気付いていたのに、あえて私にヒントを残してくれた。
そうとしか考えられないのですが。
「フンっ、別にヒントを残したつもりはありませんけどね」
「以前にモルディブのリゾートで僕を逮捕した変な刑事が言ったんです」
「南国でのつまみ食いは、足あとを残した方が良いこともあるって」
「いつかどこかで、あの刑事に会ったら言ってやるつもりです」
「アンタのアドバイスを真に受けて、つまみ食いの足あとを残してみたら、
やっぱり逮捕されたじゃないかってね」
「まったく、あの食えない刑事だけは本当に腹が立ちますよ」
ええ、お察しします。
出会い方や立場が違っていれば、その変な刑事とリーダーは息の合う
つまみ食い仲間になっていたかも知れませんね。
「冗談じゃない。 あんなヤツと一緒にいたら息が詰まります」
「フゥ~ さぁ、行きましょうか」
ヘリコプターに乗り混むリーダーの横顔は、南国の空に相応しく晴々と
しており、ほんの少しだけ笑ったことを任三郎は見逃しませんでした。
パパパパパ パパパパ~♪
パパパパパ パパパパ~♪
・まんぼ~任三郎(田村真和)
・犯人のリーダー(大食太朗)
・今池慎太郎(西村正彦)
企画:近藤祐輔
構成:植田正代
美術:東野かおり
技術:内海つばさ
・スポンサー(まんぼ~グループ)
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協力:(株)近藤トラベルサービス
制作:まんぼ~テレビジョン
この物語はフィクションであり、実在の人物や事件とは関係ありません
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