「どうしたんですか。まんぼ~さん。元気がないですけど」
この前、取引先の人が来てくれたけど、僕の変な噂が広まってるとか
言ってたんだよ。 具体的な話まで出してさ。
日本人のタヒチへの渡航者数は、いずれハワイへの渡航者数を超える
ことになるだろう。 って、僕が言ってることになってるらしい。
そんなことは言ってないし、ハワイを超えるわけがない。
って真面目に反論したら、タヒチの可能性を否定してるみたいになる
から、このような噂はタチが悪いんだよ。
「えーっ、そのまま信じてしまう人もいますよ」
「なんか怖い話ですね。そんなことは言ってないんでしょ?」
・・・・・・・・。 フタリ 2人にしか言ってない。
(言ってるじゃないか。言ってないはウソだったのか)
それから、海外旅行に関係のない噂もあるみたいなんだ。
道路で無料で配ってるフリスクを、顔の表情を変えて何回も貰ってた
とか、拾った財布を盗もうとしてたとか、無茶苦茶な話になってる。
フリスクはともかく、財布を盗もうとするってなんなんだ。
そんなことをしたら、僕もいよいよだぞ。 断末魔じゃないか。
迷わずに交番に届けたのに、こんな噂が広まることが信じられない。
ポパイ君だって見ただろ、僕が迷わずに交番に行くところを。
「それは酷いですね。財布を盗もうとしたなんて、名誉棄損にあたる
かも知れませんよ」
(迷わずには交番に行ってないし、その噂を広めたのは僕)
悪質だなと思ったのは、自動車の運転免許の学科試験の話!
免許センターで最後に受ける学科試験を、僕が8回も落ちたことに
されてるんだ。
「それは酷いですね。8回も落ちる人なんて聞いたことがないです」
「僕の知ってる人の最高でも、3回目には合格してますから」
あれは問題が数種類しかないから、何回か受ければいずれは同じ
問題に当たると言われていて、8回も落ちる方が無理があるんだよ。
家に帰って復習さえすれば、8回も落ちるわけがない。
「それで、実際は何回落ちたんですか?」
7回だけなんだって。
(7回も8回も一緒だろ。7回でも相当にやばいと思うけどな)
「そう言えば、僕の耳にも変な噂が入ってきましたよ」
「どこの旅行会社だったか、この前にウチに来た人が言ってました」
「まんぼ~さんがモルディブに食品を持ち込んで、空港の荷物検査に
引っかかって、別室でめちゃくちゃ怒られたみたいな」
「そのせいで、離島に行くための水上飛行機に乗り遅れそうになった
とか言ってました」
「聞いてたら腹が立ってきたから、僕は否定しておきましたけどね」
「さすがに、まんぼ~さんはそんな馬鹿なことはしないって」
「ねっ、やってないでしょ?」
何度もやりました。
(やったんかい! しかも何度も。 せっかく助けてあげたのに)
もっと酷いのがあったな。
まんぼ~は、週に5日はマンガ喫茶にコソコソと通って、少女漫画
を読みあさってるみたいな噂まであるらしい。
マンガ喫茶に行ったことがないし、どこにあるかも知らないのに。
「そんな噂を流されたら、もうマンガ喫茶では少女漫画を読めなく
なってしまいますね」
そうなんだ。まだ読みかけのシリーズがあるのに・・・ ってコラ!
こういうやりとりが、冗談の通じない人の耳に入って、さも本当で
あるかのように広まってるんだよ。
少女漫画だけは絶対に読んでない!
とにかく、変な噂を流されて迷惑してるんだ!
デタラメな噂が耳に入ってきたら、全力で否定しておいてくれよ。
「あっ!ウチの女性社員が広めてる変な噂を思い出しました」
「道路で怖い人に絡まれてたら、緑色のバイクで通りかかった人が
助けてくれたらしいです」
「相手が6人もいたのに、一瞬でやっつけて、名前も言わずに風の
ように走り去り、めちゃくちゃカッコよかったとか」
「ヘルメットを被ってたけど、あの人はまんぼ~さんだと言ってます」
「まんぼ~さんのバイクは青だし、誰かと間違えてるんですよ」
「この噂もデタラメなので、全力で否定しておきますね」
えーとね。その噂はデタラメだけど、そのままにしておこう。
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