海を見てるだけでも落ち着きますけど、ボーっと眺めてるのは退屈
だなと思って、気軽に始めたのが釣りです。
いつの間にか、タヒチやフィジーに行った時にも釣りをすることが
楽しみの1つになりました。
日本でやる時は人が少ない場所が落ち着きますし、何よりも初心者
であることが周囲の人にバレたくありません。
やっと見つけた理想的な場所にやってくると、ここで仲良くなった
常連のオヤジさんがいました。
「こんにちは。 オヤジさんも来てたんですね」
「おぉ、アニキ。 久々に会ったんじゃないか」
釣りが上手な人は沢山の魚を釣ってる。
沢山の魚を釣った人は自信に満ち溢れてるし、そこに至るまでに
相当な研究や努力をしているはず。
なんだかんだ言っても、釣りの社会は沢山釣ってることが凄いと
される風潮があります。
「アニキ、何か月も会わなかったけど釣ってたのか?」
「そうですね。オヤジさんに会わない間に100匹は釣りました」
本当は1匹も釣ってないけど、たくさん釣ったことにしておいた。
僕は釣れてない時間よりも、釣れてる時間の方が長いですから。
という感じを出したい。
釣りが上手な人はルアーを遠くに飛ばせる。
ルアーと呼ばれるニセモノのエサを使うわけですが、遠くに飛ばす
ことで魚が釣れるチャンスが増えます。
上級者ともなると、ルアーを100mくらいは飛ばします。
「アニキ、もっと遠くに飛ばさないとダメじゃないか?」
「いえいえ、僕の経験では魚は足元にいますから手前を狙います」
本当はルアーを遠くに飛ばす技術がないけど、あえて飛ばしてない
ことにしておいた。
僕がその気になれば、500mでも飛ばせますけどね。
という感じを出したい。
釣りが上手な人は道具に関するトラブルが少ない。
リールの糸が絡まることをバックラッシュと呼び、元に戻すだけで
手間がかかりますし、初心者は避けて通れない道です。
当然、上手な人はそのような道具のトラブルも少ないです。
「アニキ、リールがバックラッシュしとるね」
「チッ、バックラッシュをするなんて何年ぶりか分かりませんよ」
本当は毎回なってるけど、今日は珍しくなったことにしておいた。
久々なので直すのに時間がかかってます。
という感じを出したい。
釣りが上手な人は魚の名前に詳しい。
上手な人は色々な魚を釣ってきてるので、図鑑で調べなくても魚の
名前が分かるものです。
それだけで知的な感じがするし、やはり大人は物知りじゃないと。
「おっ、アニキ! こっちでキジハタが釣れたぞ!」
「これは立派ですね。 やっぱりキジハタはかっこいいな」
これがキジハタなのか!と思ってることは隠して、普通に見慣れて
いることにしておいた。
一般的には珍しい魚でも、僕には珍しくありませんよ。
という感じを出したい。
そうこうしてる間に、自分の竿にも何かが釣れた感触がありました。
リールを巻いて巻いて。 さてさて、何が釣れたのかなっと。
「やったなアニキ! シーバスが釣れたじゃないか!」
「まぁ、この場所ならこれくらいのサイズしかいないでしょうね」
本当は飛び跳ねるくらいに嬉しいけど、そこまで嬉しくない雰囲気
を出しておいた。
僕くらいになると、これくらいの大きさでは喜びませんよ。
という感じを出したい。
オヤジさんに初心者だとバレないように、なんとか乗り切りました。
最後にシーバスが釣れたことで、演出してきた上級者のような発言
にも説得力が出たはず。
ボロが出ないうちに退散した方が良さそうだな。
道具をバッグに入れて、釣り竿とアミを持って帰る準備が完了です。
「オヤジさん、今日のところはこれで帰ることにしますよ」
「そうか、釣り竿やリールは汚れてるのに、アミだけが綺麗だよな」
「たくさん釣ってるのに、アミだけが新品のようだ・・・」
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