プライベートライアン
映画プライベートライアンを知っていても、
どういう映画かわからない人は多い、
と思います。
実際「ノルマンディ上陸作戦がすごい!!」
が一番多い意見ですし。
それでもいいのですが私なりの解釈で書いて
いこうと思います。
なんで書くのに時間がかかったかというと
後から後から新発見があって書く事が
どんどん増えたからです(^_^;)
■1998年 サン・ローラン
冒頭のシーンですが、実はここフランスの
軍人墓地なんですね。
アメリカ人でもフランスの墓に埋葬されて
いるんですかね。
ルクセンブルクにパットン将軍のお墓がある
そうですし。
白人のお墓は十字架、というイメージがありましたが
上に☆が乗っているのはユダヤ人のお墓だそうです。
で、その☆はダビデの星だそうです。
(スピルバーグはユダヤ人)
このサン・ローラン軍人墓地から海が見えますが
そこがトム・ハンクス演じるミラー大尉たちが
上陸したオマハ・ビーチだそうです。
ここへと来た老人がジェームズ・ライアンです。
そう、ミラー大尉たちが命がけで助けることになる
ライアン二等兵(英語でプライベートライアン
これがタイトル)です
この老人の回想で映画が始まりますが・・・
「どうしてライアンさんは映画の前半を
思い出せるのですか?
ミラー大尉の側にいなかったのに?」
と疑問に思う人がいますが・・・
実は『プライベートライアン』は生き残った
アパム伍長が記した小説なのです。
「すべてを小説に書くことになるアパム伍長」
とノベライズにもありますし。
ライアンはアパム伍長から全てを聞いたのでしょう。
ところでライアンの妻のアリスは兄ダニエルと
仲良くしていた少女なのでしょう。
ライアンがミラー大尉と話しているシーン
で出てきたアリスです。
■ノルマンディ上陸作戦
オマハ・ビーチ
1944年 6月6日
上陸用のヒギンズボート。
『史上最大の作戦』でわかりますが兵隊さんは
3日間船に乗せられていた(!)ので気持ち悪く
なって吐いている人もいます。
ノルマンディ上陸作戦に参加した兵隊さんが
この映画を見てひきつけを起こしたとか?
淀川長治さん、もスピルバーグの
『シンドラーのリスト』を見て、
淀川「この映画キライ!もうリアルすぎてイヤ!!」
と言ってました。
なので、『プライベートライアン』の
ノルマンディ上陸作戦は、かなりリアル
なのでしょう。
ボートに第2レインジャー大隊C中隊長の
ミラー大尉が映ります。
理由は不明ですが…手が震えています。
オマハ・ビーチ制圧完了(は、はやっ!!)
このオマハ・ビーチはイギリスの似たような
地形(ウェクスフォード)で撮影したそうですが
自前の軍服で参加したエキストラもいたそうです
(笑)
『マイケルコリンズ』のエキストラも自前で
参加した人が多かったそうですが、イギリス人
は積極的ですね(^_^)
ここでミラー大尉の部下のメリシュが
ヒトラーユーゲントのナイフを拾うのですが…
これが、あんなことになるとは・・・。
メリシュはユダヤ人ですが小説のナイフを拾った
時のセリフがユダヤ人ぽいです。
ノルマンディ上陸作戦でドイツ軍の使用していた
MG42って押井守の『人狼 JIN-ROH』で
ケルベロス隊が使っている機関銃ですね。
■ペンタゴンから指令
ミラー大尉へ
『ライアン4兄弟の内3人までが亡くなった。
母親を悲しませない為に、そしてアメリカ軍の
士気が下がらないように4兄弟最後の
1人ライアン二等兵を救出せよ』
ミラー「広報向けの任務だよ、軍曹」
軍曹「なんですって・・・?」
なんで1人のライアン二等兵
を救出しなければいけないのか?
理由は…4兄弟の内3人まで亡くなり
最後の1人ライアン二等兵が亡くなるとアメリカの
国民はショックを受けて…やる気が落ちる
から・・・でいいかな?(^_^;)
アメリカの軍隊は…実はこの頃はイギリスや
フランスと比べて弱いと思われていておまけに
やる気もイマイチありません…。
パールハーバーが起きたにも関らず、
『父親たちの星条旗』のように、
アノ手コノ手で士気を上げ続けなければいけない、
つまりすぐに士気が下がりやすい、のと似たような
感じです。
なんで1人のライアン二等兵
を救出しなければいけないのか
隊員たちは何度かこの意味を考え続けます。
■ミラー大尉と七人の侍
まず一言・・・。
『第二次世界大戦は、
アメリカVSドイツの戦争ではない!
実はドイツ系アメリカ人VSドイツの
兄弟同士の対決なのである!
第二次世界大戦とは、まるで、
鏡に映った自分自身との対決なのだ!』
という意見があります。
実際アイゼンハワーもニミッツもドイツ系アメリカ人
です・・・。
ヘンリー・アーノルドもカール・スパーツも
ドイツ系アメリカ人でペンシルバニア州生まれ
です。
何を言いたいのかというと
「ミラー大尉はドイツ系アメリカ人」
という意見がありますがミラー大尉は
ペンシルバニア州生まれなので
ドイツ系アメリカ人の可能性が高い
ということです。
ペンタゴンから「ライアン二等兵を救え」
という指令を出したジョージ・マーシャルも
ペンシルバニア州生まれなのでドイツ系かも
しれません。
将軍クラスにドイツ系が多いです・・・。
ここから本当に言いたいことなのですが、
つまり、
ミラー大尉は司令官タイプの人物
なのではないでしょうか?
ところで余談ですが映画でジョージ・マーシャルは
リンカーンの手紙を読みますがミラー大尉役の
トム・ハンクスはリンカーンの子孫だそうです。
そして現在スピルバーグはリンカーンの映画化
を企画しています。
■続・ミラー大尉と七人の侍
ミラー大尉の部下にも個性的なのがいます。
鬼軍曹ばかり演じているトム・サイズモア(笑)
のホーヴァート軍曹。
ニューヨーク・ブルックリン生まれの
ヤンキーで口は悪いけど本音で生きている
ライベン。
ユダヤ人のメリシュ。
イタリア人のカパーゾ。
人種とかはあまり意識していませんでした。
よ~く見るとそれっぽいかな?
ぐらいです。
かなり目を引くのが狙撃手のジャクソンと
通訳のアパムです。
■狙撃手のジャクソンとヨーク軍曹
ジャクソンの経歴は、
① テネシー州生まれ
② M1903スプリングフィールド銃を使う狙撃の名人
③ 開拓者のダニエル・ブーンに影響を受けた
(ジャクソンのフルネームは
ダニエル・ブーン・ジャクソン)
④ 信心深い
これで連想されるのは『ヨーク軍曹』です。
『ヨーク軍曹』は、
「『ヨーク軍曹』を知っているか?
ゲーリー・クーパーが鳥の鳴きまねをするやつさ」
と『ダイハード』の小説でも書かれるくらい有名な
映画です↓
映画『ヨーク軍曹』紹介記事
http://www2.netdoor.com/~takano/southern_film/york.html
>自慢の腕で七面鳥射撃に勝ち
と上のリンク先にありますが、
これが『ダイ・ハード』の原作にあるユーモア
の元ネタなのでしょう。
『ヨーク軍曹』は実在の人物でフォレスト・ガンプ
のような南部人です。
ヨーク軍曹は狙撃の腕はいいけれど性格は粗野
で人はいいけれど単純で…どこか憎めない典型的
な南部人です。
なのでジャクソンを見るとアメリカ人はヨーク軍曹や
フォレスト・ガンプのような南部人を連想するの
かもしれません。
■アパムと『アラビアのロレンス』と矛盾
そしてインテリで通訳のアパム伍長。
マサチューセッツ州生まれのアパムが
インテリというのは、なんとも。
アパムはスピルバーグの作品によく出てくる
インテリくん、ぽいと思いました。
どうもその通りのようでスピルバーグ自身アパムを
「彼(アパム)は戦場に行ったときの僕だ」
と言っていました。
私はプライベートライアンで描いたテーマの一つに
『矛盾』があると思いました。
その『矛盾』をもっとも表したのがアパムだと
思います。
アパムは1人のドイツ兵の命を助けます、
しかし、後にラメルの町でそのドイツ兵がミラー大尉を
撃つのを見て…アパムは自分が助けたハズのドイツ兵
を自らの手で撃ってしまいます。
なんという矛盾・・・。
そしてこの『矛盾』で思い出した映画が
『アラビアのロレンス』です。
ロレンスは命をかけて1人の男を助けます、
しかし運命は残酷なものでロレンスは…
命をかけてまで助けた男を、今度は自分の手で
撃ち殺すことになったのです・・・。
これこそ矛盾・・・。
あとで、
「スピルバーグは『プライベートライアン』を創る時に
『アラビアのロレンス』を参考にした」
と聞いた時、かな~り納得しました。
プライベートライアン?
これは『魔法陣グルグル』の衛藤ヒロユキ先生が
『ドラクエ4コマ劇場』に描いた
『ドラクエⅣ』のライアンのギャグです(笑)
戦士ライアンのプライベートだから
プライベートライアン(笑)
■参考文献?
『プライベートライアン』で参考にした資料ですが
まずはフリッツ・ナイランド。
フリッツ・ナイランドは第101空挺師団に所属
しておりライアン二等兵と同じです。
またフリッツ・ナイランドも兄が何人も戦死して
おり、これもライアン二等兵と同じです
最もフリッツ・ナイランドの方は誤報で兄も
何人かは生きていたそうです。
フリッツ・ナイランドがライアン二等兵の
モデルらしいですが、この後スピルバーグと
トム・ハンクスで製作したTVシリーズ
『バンド・オブ・ブラザーズ』でも、いくらか
フリッツ・ナイランドを参考にしている、らしい
ですね。
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