役員の憂慮(3)

円山本部長は幼少の頃から秀明の誉れ高き事で評判でした。頭が良いはずなのに大人びたところがありませんでしたから誰からも好かれていました。
よくいるじゃあありませんか…勉強は出来るが大人を見下したヤツが(笑)…
まぁチヤホヤされて育った訳じゃあないでしょうが、温厚な両親や周りに恵まれた円山少年は挫折を全く知らずに育ったのでした。
叱られた事は及ばす注意すら受けなかったのでした。 そんな円山少年が最初に挫折したのは大学院でした。 旧帝大をトップクラスで卒業した円山君は続いて大学院に進みました。 今までの経験からして楽勝なはずが舐めてかかったのでしょう。二年続けて留年しました。最も本人に言わせると充電期間だと笑っていましたが…
そして今回…
つまり今もって悔やんでいる高辻役員の罵声でした。 厚かましいようで実は繊細な円山部長には兄とも慕っていた高辻役員からの罵声に深く心を傷つけられたのでした。
『辞めてやるよ！』当初円山部長は自棄っぱちになったそうです。