四十にして惑わず…１５

「ううん…」咳払いをひとつして河田部長は笑いました。
…困ったなぁ…なんかお見通しみたいで(苦笑)
よほど性根を据えてかからないとこの女は落ちないぞ、
形勢はすでに金沢さんにありました。
中年の(失礼…)駆け引きみたいなものがありまして… お互いに顔で笑って肚の中で探っている(笑)感じでした。
河田部長が話そうとした出鼻をくじかれて目を白黒させていましたが、金沢さんはちゃんと読んでいましたね(笑)「部長のおっしゃりたいこと私が代わりに言いましょうか♪」金沢さんには余裕がありました。
普段会社じゃあ威張った感じでもいざとなったらこんなものね…(笑)
これは三十路のなす経験でしょうか(笑)
「俺の言いたいことがわかるのかい？」
参ったなぁ…
「ええ…大体わかりますよ♪」
「じゃあ代わりに言ってもらおうかな」
開き直るしかありませんが、本心もなにもそんな大それたことは考えていません(笑)
「言っていいんですか？」
「ああ…わかっているなら…」
「ほんとにいいんですか？」
何回も念を押されてか河田部長もイラつき始めました。
「ああ…大丈夫だからわかっていること言ったら！」
最後の方は少しきつくなりましたが、金沢さんは一向に気にしません(笑)
「じゃあ言いますね♪」…なんか痴話喧嘩みたいになってきたぞ…もし こんなところを会社の誰かに見られたら部長の面目丸潰れだワイ(苦笑)
苦笑いを隠して河田部長はポケットから手を出しました。
緊張からかグッショリと汗が出ています 。 金沢さんは夜風に任せて髪を撫でていたりと余裕綽々(しゃくしゃく)としていました(笑)」
「部長？」
「なんだい？今の河田部長にはとても金沢さんを見る勇気がありません。」
まっすぐ先を見ていました。
「部長!!こっちを見てくださいよ♪」
…全く困ったちゃんだわ… それに妙に力が入っているし…(笑)
こんな姿を端(そば)で見れば誰だって思っていることなんか直ぐにわかりますよ～(笑)
金沢さんは笑いを噛み殺しながら、河田部長の横顔を見ていました。
「な、なんだよ…」
言葉に詰まりながらも威厳を保とうとしていますが、すでに金沢さんの手の内にあります…
「部長は私をどうしたいのですか!!」
「はぁ…」
「私の家に泊まりたいのでしょう」
「えっ…ああ…」
まどろっこしい返事しかできなくてスミマセン(笑)
女は…特に三十路を過ぎたらネンネなんかいませんよ♪(笑)
金沢さんの言葉にはそんな響きがありました。