高辻役員の言葉に若宮本部長は顔色を失っていました。
内心「下手を打ったなぁ」と思いました。
避けていた役停を自ら話してこられたからです。
若宮本部長は直ぐに顔を背けました。
高辻役員の眼光が射るように怖かったからでしょう…
「た助けて…」
目で鬼塚専務に助け船をだします。
「お前…何言ったんだ…」
二人の中を傍観していた鬼塚専務も堪らず割って入られました。
「いやぁ~違うんですよ」高辻役員は笑って手を振ります。
「本当の事をしゃべっただけで、若宮本部長にはこれから頑張ってくれよ…と激励の意味で言っただけですよ…」
そう高辻役員は笑いながら若宮本部長に話しかけますが、目は決して笑ってはいません。
「おい、若宮、お前高辻さんにそう言って貰っただけでも有難いじゃあないか…」
「ははい…」
緊張気味に返事をする若宮本部長…
「お前、はい…じゃあないだろう、頑張りますだろ!」
鬼塚専務も高辻役員の顔を立てて若宮本部長を叱りつけました。
そして…
高辻役員の方を向いて「亀田部長も優秀な奴だよ…」
うん、と頷き…それは自分に言い聞かすようにでしたが、
その意を汲んで高辻役員も笑顔に戻りました。
「なぁ、お前もそう思うだろ…」
「はい、」
専務から振られて若宮本部長はオウム返しで即答しました。
…要するに亀田に気を使え、と言うことか… 若宮本部長は思いました。
「高辻役員、私もこれから亀田部長と一緒に頑張っていきます」
「うん、頼んだよ」
初めて若宮本部長に見せた柔らかな笑顔でした。
これは非公式ではありますが委譲の儀式でした。
あとは「俺はいいから…」と鬼塚専務は高辻役員にお酌しろと言いますが、
「これからも頼むよ…」高辻役員から声を掛けられた若宮本部長は「はい承知しました」神妙な顔で返事をしていました。
「あっ、はい…」目の前に差し出された高辻役員のゴツイ手…握手を求めていました。若宮本部長は両手で握ります。ゴツイ温かな掌(てのひら)を握りしめて何故か自然に頭を深々と下げていました。こんなのを貫禄負けと言うのでしょうね(笑)…あ~疲れるねぇ(苦笑)胆で自嘲しながらもやれやれですね…
そのあとも硬い顔つきは崩しませんでした。
内心「下手を打ったなぁ」と思いました。
避けていた役停を自ら話してこられたからです。
若宮本部長は直ぐに顔を背けました。
高辻役員の眼光が射るように怖かったからでしょう…
「た助けて…」
目で鬼塚専務に助け船をだします。
「お前…何言ったんだ…」
二人の中を傍観していた鬼塚専務も堪らず割って入られました。
「いやぁ~違うんですよ」高辻役員は笑って手を振ります。
「本当の事をしゃべっただけで、若宮本部長にはこれから頑張ってくれよ…と激励の意味で言っただけですよ…」
そう高辻役員は笑いながら若宮本部長に話しかけますが、目は決して笑ってはいません。
「おい、若宮、お前高辻さんにそう言って貰っただけでも有難いじゃあないか…」
「ははい…」
緊張気味に返事をする若宮本部長…
「お前、はい…じゃあないだろう、頑張りますだろ!」
鬼塚専務も高辻役員の顔を立てて若宮本部長を叱りつけました。
そして…
高辻役員の方を向いて「亀田部長も優秀な奴だよ…」
うん、と頷き…それは自分に言い聞かすようにでしたが、
その意を汲んで高辻役員も笑顔に戻りました。
「なぁ、お前もそう思うだろ…」
「はい、」
専務から振られて若宮本部長はオウム返しで即答しました。
…要するに亀田に気を使え、と言うことか… 若宮本部長は思いました。
「高辻役員、私もこれから亀田部長と一緒に頑張っていきます」
「うん、頼んだよ」
初めて若宮本部長に見せた柔らかな笑顔でした。
これは非公式ではありますが委譲の儀式でした。
あとは「俺はいいから…」と鬼塚専務は高辻役員にお酌しろと言いますが、
「これからも頼むよ…」高辻役員から声を掛けられた若宮本部長は「はい承知しました」神妙な顔で返事をしていました。
「あっ、はい…」目の前に差し出された高辻役員のゴツイ手…握手を求めていました。若宮本部長は両手で握ります。ゴツイ温かな掌(てのひら)を握りしめて何故か自然に頭を深々と下げていました。こんなのを貫禄負けと言うのでしょうね(笑)…あ~疲れるねぇ(苦笑)胆で自嘲しながらもやれやれですね…
そのあとも硬い顔つきは崩しませんでした。