寝転がって気ままに想う事

 世の中ってこんなもんです・・
面白可笑しくお喋りをしましょうか ^^

さあ大変、移異動だ!(7)

2012年01月24日 10時14分19秒 | 日記
なぜ若宮本部長がここにいるのか高辻役員には理解できませんでした。
偶然にしては出来すぎでした…
「いゃあ…役員…私も急遽関西に行くことになりましたので…」
頭をカキカキ若宮本部長は言い訳がましく説明をしますが、高辻役員には納得できませんでした。
事業戦略本部の本部長… これが若宮本部長の肩書きです。
戦略とは威勢のよい名称ですが、実は閑職でした。
これには訳がありまして、鬼塚専務のごり押しの昇格でしたが、さすがに伴わない実力で居場所がなくて仕方なく廃止になりかけていた現職に据えたのです。
贔屓の引き倒しですが、これが鬼塚専務の推薦でなければ当に僻地に流されていたでしょう…
この会社の特長かどうか私にはわかりませんが、一旦上がった職責を余程(犯罪者)でないかぎり落ちることがありません。 ただ左遷はありますが、職制は下がりません…
そこを狙った昇格は割りとありますが、その分地方に結構上級職制がたむろしていますよ…
カウンター式のバーでは若宮本部長がかいがいしく専務や高辻役員をお世話していました。
鬼塚専務は上機嫌でいらっしゃいましたが高辻役員は違いました。
こいつの狙いはなんだろう…
焼酎のお湯割りを嘗めながら考えます。
雑談の中に何かしら下心が見えるまで様子をみるかな…
思慮深い高辻役員は本当の意味で戦略家でした。
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さあ大変、異動だ!(6)

2012年01月23日 07時49分57秒 | 日記
背景はご承知いただいたでしょうか。

鬼塚専務の悩みは意のままにならない円山事業部長でした。
それを冷ややかに見詰める高辻役員…
二人は東京駅の地下街にあるカウンターのバーにいらっしゃいます。
「おねえさん、焼酎ある?」
高辻役員はギョとしました。
場末の居酒屋と違ってここは東京駅です。
サラリーマンが大勢いて品良く飲んでいますから、専務のダミ声は余計に目立ちます。 回りのサラリーマンはどうみているんだろうか… 初老のサラリーマン風のおっさんがやけに威張り散らしている姿を…

高辻役員はそれを止めもせずタバコを燻らせていました。
「そうだよ…お湯割りだぞ」
まるでお馴染みの居酒屋でいるように振る舞う姿は絶好調ですが、さっきの弱気はどこへいったのでしょう(笑) 「おねえさん!お湯割りにはレモンかカボスを入れてよ!

「!?」明るい声が後ろからしました。
にこやかな顔の若宮本部長です。
「何?ない?レモンはあるでしょう…」
「かぁ~!なかったらミカンでもいいからさ!!」いつの間に現れた若宮本部長が勝手に注文をしています。
「おう!」
手を上げて鬼塚専務。 ニコニコ顔です。
「はは~ん」
専務が呼んだな…
高辻役員には専務の魂胆がわかりません。 「お疲れさまです!」如才なく高辻役員に挨拶をする若宮本文長♪
うちの亀田よりいくつ下なんだ…
そもそも役員さんにはそれぞれの派がありました。
競うわけですが、それぞれの配分が役員には有りましたから、 共生している部分もあるのですね。
しかし何れ役員になるならどこか上の狭い部門で競り落としになります。
ここにいる若本文長もいずれ亀田部長と対決するでしょうが、
今は今…鬼塚専務の秘蔵っ子でこちらの顔を立てている間は高辻役員も静観するよりないでしょう。
「高辻役員遅くまでお疲れ様です」
如才なく若宮本文長がビールを注ぎに来ました。
「若宮君はいくつになったかなぁ…」
出来るだけ穏和な笑みを浮かべて高辻役員は訊きました。
「私ですか…」
はにかんだ風に照れる仕草が何ともカッコイイ…
「こいつはモテるなぁ」高辻役員はつい亀田部長と比べていました。
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さあ大変、異動だ! (5)

2012年01月20日 09時19分10秒 | 日記
最先端の技術を擁するエレクトロニクス事業部を束ねる高辻役員。 実は未だにメールが出来ません(笑) いえ他の役員さんでもまったくの方は大勢いらっしゃるのが現状でした。
だから酔っぱらうまでに連絡しなくっちゃあ…酔えば上手くできないのと、愛人の相手は人妻…簡単には出歩けません。

「俺は疲れたよ…」
「え!」
いやいや…手を振って今のは聞かなかったことにしてよ…
鬼塚専務は力なく笑いました。
「…?」
なんだいこの弱気な態度は…
高辻役員は初めて見る鬼塚専務の弱気な態度は不思議なものを見たようでした。
「専務…どうされたのですか?」
「あ…うん…俺も高辻さんだけ引っ込むのは寂しいよ…」
高辻役員はこの四月から役員を退任することになっていました。
役員停年ですね…
「専務、何をおっしゃっているんですか…」世代交代が迫っていました。
会社は役員は63歳
専務は66歳が停年になります。
一つ年上の鬼塚専務は高辻役員が退任した後も二年専務でいられます。
それをおっしゃっているんでしょうが、
荒くれ専務には意外な一面もありました。

今更ながら… 高辻役員は現実派でした。
俺だって…俺だってあんたがいなけりゃあ専務だったよ。
俺の力があったからあんたはノホホンとしていられたじゃあないか!
専務に従順な姿勢を崩さずに高辻役員はやるせない気分でいっぱいでした。
俺はだいたい円山じゃあダメだ、と言っていたじゃあないか!
そう口に出かかったことが何度あったでしょうか…
それをあんたが押し通したのだから…
「高辻さん、俺は優秀な奴は何をしても優秀だと思っていたよ…」空になったグラスをクルクル回して鬼塚専務がブツブツ始めます。ビールを注げ、と言うことか… 高辻さん役員がビールを手にすると、 いやいや…手を振りながら「もういいよ…」
「どうしたのです!?」これまで永いつきあいでお酒を注がれて断るのを初めて見ましたから…
「なんだか最近の奴はわからないな…」
なるほど…鬼塚専務の目を掛けてきた(つもり)の円山事業部長は人事でことごとく衝突していました。
「そうですね~」これには高辻さん役員も賛同せざるを得ません。
実際人事権は事業部長にあるはずですが、いわゆる「天の声」がありました。
事業部長は自分の色の人事を構成しますが、上司…この場合は高辻役員や鬼塚専務の意向を取り入れるのが慣習でしたから…
これをことごとく拒否されて鬼塚専務の顔は丸潰れになりました。 高辻役員が取り成しても頑として譲らないのでお手上げ状態なのが今の事業部の実態でした。
こんな時期に今さら円山事業部長を更迭するわけにもいかず、お二人はほとほと困り果てていたのです。
ただもう二ヶ月で退任する高辻役員と二年ある鬼塚専務とでは温度差があるのも確かですが…
この円山事業部長の昇格自体本社の社長が首をかしげていたのをなだめすかして通したのは鬼塚専務です。謂わば自分の蒔いた種でした。
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さあ大変、異動だ!(4)

2012年01月19日 08時15分37秒 | 日記
出世はしたいが、ペコちゃんはしたくない…
これは誰もが感じていることでしょうね♪
ある程度の礼儀や節度のある対応は必要です。しかしいくら優秀な人材でも上司を侮る態度では抹殺されてしまうからです。(抹殺…殺される訳じゃあありません(笑)あくまでも左遷ですから…)
節度…難しいですね♪
こんな汚い店で飲めるものか!! そんな態度と、もっといい店に連れて下さいよ~と甘える態度… 性格的に出来る人は確かに有利でしょうが…
亀田部長はどうしても我慢できませんでした。「 東京と言えば銀座でしょう」
関西の人だったせいか東京は憧れの町でした…
きれいな(これは感性によりますが…♪)東京の女の子をハント
するぞ~♪ 何せ俺は一流企業の部長だぜ…
張り切って来た東京で専務の洗礼を受けたのでした。
これで次の日は仕事にならなくて銀座どころか都内のホテルで寝込んでいたのでした(笑)

「高辻さん、」
「はい、」振り替えると鬼塚専務です。ああ又あの話か…うんざりしていた高辻役員は腹の中で舌打ちしました。
う~ん 腕組みしながら鬼塚専務は高辻役員 に追いつくと
「時間大丈夫?」
「ええ…まだ…」
チラッと腕時計を見て高辻役員はうなずきました。
新幹線の時間までは一時間ありました。
「お茶しましょうか…」帰るつもりでいて本社の玄関先で呼び止められたのですが、
「ええ、時間が余るからブラブラしようと思っていたんですよ…」
鬼塚専務に合わせて歩きながら今夜は早く帰って みゆきと逢うつもりだったけどこりゃあダメだなぁ…ため息を吐きました。
〓みゆき…高辻役員の愛人です。詳しくは11年8月頃の君は優秀か…をご覧下さい。

「ああここなら駅も近いし」
東京駅の地下街に出ていました。
改札口から近い場所にカウンター式の簡単なバーがありました。
ここは専務と何度か飲んだバーでした。
高辻役員は先に入ると手近な椅子を探しあて鬼塚専務に椅子を勧めました。
「あ、どうも」
自然に出る上役への対応です。
こんなこと円山はしないだろうなぁ…
最近の話題と言えばまず新役員になった円山事業部長の件でした。 愚痴る鬼塚専務をなだめるのが高辻役員の役目です。
新人類で片付く話しも、こと役員となれば又別でしょう。
ここは…つまり東京駅の地下街のカウンターバーですが、本社の役員室で話せばいいのが、鬼塚専務とはもっぱらここが専務室でした(笑)
今までも重要な事柄をここで決めたことは数えきれないほどありました。

「でさぁ…」
ビールがテーブルに運ばれてきました。
何がお茶だよ(苦笑)
高辻役員は思いながらビールを持つと向かいの鬼塚専務に注ぎます。
「ありがと…」
話を止めてグラスを飲み干す姿を見て(この人よほど酒好きだな…) しみじみ思わずにはいられません。
確かに専務がお茶と言えばそれはお酒になりました。
専務のはお茶じゃあなくておちゃけ(おさけ)でしょう♪酔っては若宮本部長に冷やかされているのを高辻役員は思い出していました。
… これだけの冗談を円山や亀田が言えたらなぁ… とも思いました。
「それでさぁ…」
「はい、」ガラガラ声に気がついて高辻役員は我に返りました。
「どうしたらいいでしょう…」
鬼塚専務は高辻役員にだけは敬語を使います。
二人は二人三脚で十年あまり役員でやってきました…
いわば高辻役員は鬼塚専務の知恵袋でした(笑)
「そうですね…」
言葉を繋ぎますが、
何をどうしたいのか 聞きたいのはこちらだよ…
かんがえる振りをしながら鬼塚専務を見ました。
専務が「どうしたいのか」と訊いて来るときはまず結論を持っている場合でした。
ただその答えを確認したかった…みたいに
相手の意見を参考にするのです。
同じ答えなら納得するし、違えばこれは厄介で納得するまで食い下がってきます。
だから意見が合えば
新幹線も楽勝に間に合います(笑)つまりみゆきとの逢瀬も可能です(笑) 違っていた場合…下手をすれば新幹線の予約は取り消し、もう一晩東京泊まりになるのです。
…あ~困った、みゆきはどうしょうか…
高辻役員は考える振りをしながら帰りたいなぁ…とぼんやり考えていました。
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さあ大変、異動だ!(3)

2012年01月18日 08時42分12秒 | 日記
新幹線の酒盛りは終点東京まで続きます(笑) それで終わりかと思うのは浅はかな考えです。
到着の午後9時頃ですが、二次会?が待っていました。
ヘロヘロになった幹部連中…(笑)
否応なしに二次会に行くのです。
ところでこの鬼塚専務はお金にきれいな方です。
きれいと言いますか、細かいのかも知れません。
大体東証一部上場企業の専務です。
このクラスならば新橋、神楽坂…東京駅から近いのなら銀座に飲みに行くのが相場でしょうか…
それを名前は伏せますがKK屋(わかる人はわかります)なんて普通のリーマンがたむろする場所が大好きですね♪
勘定なんか二時間粘ってやっと三千円 です(笑)
テーブルなんか白っぽい上着なんか薄汚れしてしまうようなお店ですが(笑)… 何故か鬼塚専務はこのお店が大のお気に入りでした。 それもチェーン店ですから八重洲にあったり秋原葉にあったりと、つまりこの会社の周辺に出ていました。
偶然でしょうが、何度も言いますように会社は東証一部上場企業であります。 それもかなりの大手企業です(笑)四十代で男盛りの部長や課長は肩で風を切るようにしてきれいどころのお店に行きたくてウズウズしています。それはわかりますが、鬼塚専務は素知らぬ顔でいらっしゃいます(笑)会社の名誉に補足しますと交際費はたっぷりと持っていらっしゃるのですが…(笑)それで たぶん私の推測ですが、銀座や新橋、神楽坂辺りで遊び過ぎてその反動で場末の居酒屋に戻ってしまったのだと思いますね…(笑) 銀座も何十年通えばどうでもよくなるのでしょうね。(あ~そんな身分になってみたいものです)
亀田部長がぼやいていました…
「この前エライ目に逢いましたよ…」
「何ですか…」
私が尋ねると
「4時に新幹線に乗って東京に着いたら小汚ない店に連れていかれておまけに2時ですよ!帰ったの!!」
「帰ったってホテルに?」
亀田部長は関西の所属です。
たぶん鬼塚専務と一緒に新幹線に乗ったのでしょうね(笑)
「ええ…」
うなずきながら亀田部長は思い出すのもこりごり…の様子でした。 「じゃあ東京駅に着いてから例の…」
「そうそう…高村さん、よく知っていますね♪」
「ええ有名ですよ…(微笑)」
私がニヤニヤしながら返事しますと、ため息をつきながら
「まさかあんな店に行くなんて…」
又々ため息です(笑)
「そんなにヒドイ店なんですか?」
「ヒドイ…なんて汚いんですよ!!」
なるほど亀田部長は社内切ってのお洒落な人でしたから、服が汚れる飲み屋なんて許せなかったのでしょうね♪
でも鬼塚専務はお構いなしでした。
そのお店に延々午前1時までいらっしゃいました。
「4時から飲みづくめで1時まで…」
「ほ~」私は感心するよりありません(笑)
「1時までですよ!!」
まてまて、そう興奮しないで…(苦笑)
「それで…」
「何時間だと思います?」
何時間…? 「う~ん4時からだと…」
私は指折りながら考えました。
「九時間ですよ!!九時間!!」
はいはい…わかりましたよ(笑)…
要するに九時間飲んだわけですなぁ…
「一体会社で仕事するより長いのですよ!」
「ほぇ~」
私もさすがに驚きましたね(笑)
亀田部長が憤慨しながら言うのも無理はありません(笑)
まぁまぁ… 憤(いきどう)る亀田部長をなだめて思いました。
お洒落れな亀田部長はさぞや居心地の悪い顔で居たことを…又それを肴に飲んでいた鬼塚専務を…
これじゃあ亀田部長の昇進の目はないな!
ヒドイようでも、しょせんはサラリーマンです。上司に好かれない奴はダメなのです。
そのてん若宮本部長などは同じお洒落れな人ですが対応はずいぶん違っていたでしょうね♪
「専務!今日は銀座だと思ってこんなにいい服来ているんですよ」「ばか野郎…お前なんかこんな店で十分だよ♪」あくまでも笑いながらですよ…
こんな風にフトコロに飛び込むのが秘訣でしょうね♪
亀田部長は堅物すぎたのです…
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