すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【W杯アジア2次予選】「少年サッカー団」を相手に控えめな日本人たち 〜日本3 - 0カンボジア

2015-09-03 22:50:08 | サッカー日本代表
本田の1点目がなかったら引き分けだった

 予想通り、カンボジアはまったく攻める気なしのベタ引きだった。GKの西川はヒマを持て余し、家に帰ってひと風呂浴びてくる余裕さえあっただろう。

 それでも欲のない控えめな日本人たちは相手ペナルティエリアの外側に並び、行儀よく1人づつ延々とシュート練習を繰り広げた。だが、これが入らない。

 予選グループ「最弱」のカンボジアに対し、日本のシュート数は34本対1本、ボール支配率は73.9%。だが、もし前半28分の邪気を振り払うかのような本田の1点目がなかったら、後半もズルズルあのまま行ったろう。シンガポール戦に続き冗談抜きで、また引き分けに終わっていただろう。3年後の闇を予言するような1戦だった。

シンガポール戦の引き分けは「まぐれ」じゃなかった


 試合前日の記者会見で、ハリルホジッチ監督は「あのシンガポール戦のドローがアクシデントだったと思わせたい」と意欲を語っていた。だがこの日の日本は、見事に「あれはフロックではなかった」ことをハッキリ証明して見せた。

 すべては前半42分の、香川の「あのシーン」に象徴されている。相手GKの目の前で、しかも、どフリー。あとはダイレクトでただシュートを打つだけだった。だが香川はなんとあの位置で「パス」を選択したように見えた。そしてチャンスをフイにした。彼をああさせたのはまぎれもなくメンタルの弱さだ。いまでも忘れられない、いつかのW杯での柳沢のあの「ゴール前でのパス」にそっくりだった。

 絶対的なシュートチャンスにパスしてしまうーー。ああいうシーンをこう何度も見せられると、「日本人はサッカーに向いてないのではないか?」と絶望的な気持ちになる。いったい我々はこの難局を、どう打開すればいいのだろうか?

だれかが「悪いもの」を持っている?

 このチームには魔物が住んでいる。香川かハリルが、何か悪いものを「持っている」としか思えないーーそんなオカルトじみた雰囲気さえ、いまの日本代表には漂っている。

 また同サイドの本田の顔色をうかがいながら右サイドを恐る恐る上がる酒井宏樹の姿を見ていると、根本的にメンバー間に信頼関係がないのではないか? このチームは壊れているのではないか? とさえ思える。技術的なもの以前に、チーム全体が何か目に見えないダークな皮膜にでも覆われているかのようだ。

 香川を切るか、監督を変えるかーー。「魔」を払う何かその手のショック療法でも施さない限り、このチームに立ち直るチャンスはないのではないか? そんな空気が充満している。

クロスの質の悪さが致命的だ

 こんな試合を見せられたあとに戦術やら技術的な話をする気にもなれないが、まず全体にクロスの質があまりにも悪すぎる。とてもプロとは思えない。その意味ではこのチームはもう間に合わない。日本は今後10年〜30年計画で、選手の育成段階から強く意識してクロスの質の向上を図るべきだ。クロスがこれでは、とても世界と戦えない。

 選手別で見ると、チームが苦しい中、「意地のシュート」を叩き込んでメンタルが強いところを見せつけた本田以外、見るべきものはまったくない。相手に攻めてもらえず開店休業だった守備陣以外、及第点の選手はいない。

 途中で出てきた宇佐美もミスしては苦笑いする、いつもの彼だった(なぜ彼は「笑える」のだろうか?)。唯一、同じく途中出場の原口元気が気を吐いていたことだけが、わずかな救いだ。

FKとCKで得点できないことにかけては世界一

 試合後の記者会見でハリルは、「3点しか取れなかったのは不満だ。FKも改良の余地がある。PKもなかった。FKとCKで得点できないことにかけては世界一だ」と皮肉な笑みを浮かべた。私もイギリス流のシニカルなジョークは大好きだが、1年が365日もあるうち「この日」に限ってはまったく笑う気になれない。

 相手がベタ引きしてくるアジア2次予選だからこうなのか? 敵が前がかりで攻めてくるW杯本大会では相手と噛み合い「やれる」のか? そんな保証はどこにもない。そもそもクロスとシュートの精度、またクロスに走りこむ選手のタイミングとポジショニング、そして「状況」に対する即興での対応力がこのレベルのチームが本大会でやれるとは思えない。

 次は8日のアフガニスタン戦。今日に引き続き当然勝つのだろうが、このチームは何か抜本的な対策を講じない限り、ロシアで結果を残せないだろう。

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カンボジア戦はGK、DFからの正確なロングフィードがカギだ

2015-09-03 17:38:25 | サッカー日本代表
引いた相手に低い位置から「長い槍」を突き刺す

 サッカー日本代表は今日、W杯アジア2次予選・第2戦のカンボジア戦を迎える。相手は最弱。勝って当たり前のこの試合のテーマは、前半何分までに十分な大量点を取り、控えの選手のテストに使えるか? と位置付けたい。

 ではどう戦うか? カンボジアは引いて守ってくるだろう。そんな相手を効率的にやっつけるには、前の4人が高いポジショニングをし、そこへGKやDFから正確なロングフィードを入れることだ。

 バックラインからグラウンダーのボールを丁寧につないでビルドアップするのでは、相手ゴールへたどり着くまでにリトリートした敵に引っ掛けられ、余計な体力を使ってしまう。そうではなく、ぶっちゃけ、こんな試合は早く片付けてしまいたい。それなら後方からのロングパスを効率的に使うに限る。

リトリートした相手ブロックをロングボールで飛び越す

「キック&ラッシュなんて、そんな昔のイングランドみたいなことをやるのか?」と訝る向きもあるだろう。だが相手がどんなやり方をしてこようが「自分たちのサッカーをやる」のではザックジャパンになってしまう。それでは勝てない。

 そうではなく、サッカーは常に「相手のやり方」にうまく柔軟に対応するのがカギである。リトリート戦術のように特定のゾーンに選手を固めてくるのなら、その塊を飛び越しゴール前へ向かうロングフィードを入れる一手だ。

 これにより相手選手の「偏り」を回避し、効率的に相手ゴール前へボールを送り込むことができる。たとえばGKがロングフィードするとき日本の両SHに高い位置を取らせ、めいっぱい左右に開かせる。これにそれぞれマーカーがついてくるようなら、敵の守備ブロックを左右に大きく広げることができる。すると真ん中が空く。そこが狙い目だ。

 また技術レベルの低いカンボジアのDFの選手が、向かってくるロングボールをワンタッチで正確にコントロールできるとは思えない。で、トラップミスしてボールを少しでも弾けば(あるいは2~3度ボールを小突いてコントロールしようとすれば)、高い位置取りをした日本のワントップとトップ下、両SHの4人がハイプレスをかけ、サッとボールを「回収」して相手ゴールの中へ片付ける。これで一丁あがりである。

なるべく海外組を休ませ、控え組を実戦に馴染ませる

 おそらくスタメンだろう海外組は、長い移動距離を経て日本に来ている。また彼らは所属チームでは、それぞれ新しい環境下で厳しいレギュラー争いをしている。とすれば早めに大量点を取り、少しでも彼らを休ませたい。

 と同時にこの試合でやりたいことは、実戦で控え組を使ってのテストである。

 具体的には、現代表ではまだ未知数な永井謙佑と原口元気、遠藤航、米倉恒貴の4人を試合に出し、少しでもチームに馴染ませたい。正確に言えば遠藤がある程度やれることはもうわかっているが、その他の3人が実戦でイキイキするところを見たい。

芽が出ない永井を途中起用しチームにフィットさせる

 たとえばハリルは、なかなか代表チームで芽が出ない永井を見切るつもりがない。とすれば永井を少しでも多く試合に出し、なんとかチームにフィットさせなければ選んだ意味がなくなってしまう。そこで大量得点を取ったら香川を交代させ、本田をトップ下へ移動させる。で、空いた右SHに永井を投入する。

 これなら「トップ下の本田」も試せて、一石二鳥だ。あるいはチームのバランスをなるべく崩したくないなら、ふつうに本田を下げてそこに永井を入れるのでもいい。

 または岡崎を下げ、永井をワントップで使ってみるのもおもしろい。(ハリルは絶対やらないだろうけど)

 このほかハリルジャパンでは中盤で使われるだろう原口のドリブルと、前へ飛び込んでのシュートも見てみたい。また右SBの(なかなか成長しない)酒井宏樹を早めに下げ、ハリルは意地を張らずに米倉をぜひ右SBで使ってみてほしい。

 外野からのささやかなお願いだ。

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