本田の1点目がなかったら引き分けだった
予想通り、カンボジアはまったく攻める気なしのベタ引きだった。GKの西川はヒマを持て余し、家に帰ってひと風呂浴びてくる余裕さえあっただろう。
それでも欲のない控えめな日本人たちは相手ペナルティエリアの外側に並び、行儀よく1人づつ延々とシュート練習を繰り広げた。だが、これが入らない。
予選グループ「最弱」のカンボジアに対し、日本のシュート数は34本対1本、ボール支配率は73.9%。だが、もし前半28分の邪気を振り払うかのような本田の1点目がなかったら、後半もズルズルあのまま行ったろう。シンガポール戦に続き冗談抜きで、また引き分けに終わっていただろう。3年後の闇を予言するような1戦だった。
シンガポール戦の引き分けは「まぐれ」じゃなかった
試合前日の記者会見で、ハリルホジッチ監督は「あのシンガポール戦のドローがアクシデントだったと思わせたい」と意欲を語っていた。だがこの日の日本は、見事に「あれはフロックではなかった」ことをハッキリ証明して見せた。
すべては前半42分の、香川の「あのシーン」に象徴されている。相手GKの目の前で、しかも、どフリー。あとはダイレクトでただシュートを打つだけだった。だが香川はなんとあの位置で「パス」を選択したように見えた。そしてチャンスをフイにした。彼をああさせたのはまぎれもなくメンタルの弱さだ。いまでも忘れられない、いつかのW杯での柳沢のあの「ゴール前でのパス」にそっくりだった。
絶対的なシュートチャンスにパスしてしまうーー。ああいうシーンをこう何度も見せられると、「日本人はサッカーに向いてないのではないか?」と絶望的な気持ちになる。いったい我々はこの難局を、どう打開すればいいのだろうか?
だれかが「悪いもの」を持っている?
このチームには魔物が住んでいる。香川かハリルが、何か悪いものを「持っている」としか思えないーーそんなオカルトじみた雰囲気さえ、いまの日本代表には漂っている。
また同サイドの本田の顔色をうかがいながら右サイドを恐る恐る上がる酒井宏樹の姿を見ていると、根本的にメンバー間に信頼関係がないのではないか? このチームは壊れているのではないか? とさえ思える。技術的なもの以前に、チーム全体が何か目に見えないダークな皮膜にでも覆われているかのようだ。
香川を切るか、監督を変えるかーー。「魔」を払う何かその手のショック療法でも施さない限り、このチームに立ち直るチャンスはないのではないか? そんな空気が充満している。
クロスの質の悪さが致命的だ
こんな試合を見せられたあとに戦術やら技術的な話をする気にもなれないが、まず全体にクロスの質があまりにも悪すぎる。とてもプロとは思えない。その意味ではこのチームはもう間に合わない。日本は今後10年〜30年計画で、選手の育成段階から強く意識してクロスの質の向上を図るべきだ。クロスがこれでは、とても世界と戦えない。
選手別で見ると、チームが苦しい中、「意地のシュート」を叩き込んでメンタルが強いところを見せつけた本田以外、見るべきものはまったくない。相手に攻めてもらえず開店休業だった守備陣以外、及第点の選手はいない。
途中で出てきた宇佐美もミスしては苦笑いする、いつもの彼だった(なぜ彼は「笑える」のだろうか?)。唯一、同じく途中出場の原口元気が気を吐いていたことだけが、わずかな救いだ。
FKとCKで得点できないことにかけては世界一
試合後の記者会見でハリルは、「3点しか取れなかったのは不満だ。FKも改良の余地がある。PKもなかった。FKとCKで得点できないことにかけては世界一だ」と皮肉な笑みを浮かべた。私もイギリス流のシニカルなジョークは大好きだが、1年が365日もあるうち「この日」に限ってはまったく笑う気になれない。
相手がベタ引きしてくるアジア2次予選だからこうなのか? 敵が前がかりで攻めてくるW杯本大会では相手と噛み合い「やれる」のか? そんな保証はどこにもない。そもそもクロスとシュートの精度、またクロスに走りこむ選手のタイミングとポジショニング、そして「状況」に対する即興での対応力がこのレベルのチームが本大会でやれるとは思えない。
次は8日のアフガニスタン戦。今日に引き続き当然勝つのだろうが、このチームは何か抜本的な対策を講じない限り、ロシアで結果を残せないだろう。
予想通り、カンボジアはまったく攻める気なしのベタ引きだった。GKの西川はヒマを持て余し、家に帰ってひと風呂浴びてくる余裕さえあっただろう。
それでも欲のない控えめな日本人たちは相手ペナルティエリアの外側に並び、行儀よく1人づつ延々とシュート練習を繰り広げた。だが、これが入らない。
予選グループ「最弱」のカンボジアに対し、日本のシュート数は34本対1本、ボール支配率は73.9%。だが、もし前半28分の邪気を振り払うかのような本田の1点目がなかったら、後半もズルズルあのまま行ったろう。シンガポール戦に続き冗談抜きで、また引き分けに終わっていただろう。3年後の闇を予言するような1戦だった。
シンガポール戦の引き分けは「まぐれ」じゃなかった
試合前日の記者会見で、ハリルホジッチ監督は「あのシンガポール戦のドローがアクシデントだったと思わせたい」と意欲を語っていた。だがこの日の日本は、見事に「あれはフロックではなかった」ことをハッキリ証明して見せた。
すべては前半42分の、香川の「あのシーン」に象徴されている。相手GKの目の前で、しかも、どフリー。あとはダイレクトでただシュートを打つだけだった。だが香川はなんとあの位置で「パス」を選択したように見えた。そしてチャンスをフイにした。彼をああさせたのはまぎれもなくメンタルの弱さだ。いまでも忘れられない、いつかのW杯での柳沢のあの「ゴール前でのパス」にそっくりだった。
絶対的なシュートチャンスにパスしてしまうーー。ああいうシーンをこう何度も見せられると、「日本人はサッカーに向いてないのではないか?」と絶望的な気持ちになる。いったい我々はこの難局を、どう打開すればいいのだろうか?
だれかが「悪いもの」を持っている?
このチームには魔物が住んでいる。香川かハリルが、何か悪いものを「持っている」としか思えないーーそんなオカルトじみた雰囲気さえ、いまの日本代表には漂っている。
また同サイドの本田の顔色をうかがいながら右サイドを恐る恐る上がる酒井宏樹の姿を見ていると、根本的にメンバー間に信頼関係がないのではないか? このチームは壊れているのではないか? とさえ思える。技術的なもの以前に、チーム全体が何か目に見えないダークな皮膜にでも覆われているかのようだ。
香川を切るか、監督を変えるかーー。「魔」を払う何かその手のショック療法でも施さない限り、このチームに立ち直るチャンスはないのではないか? そんな空気が充満している。
クロスの質の悪さが致命的だ
こんな試合を見せられたあとに戦術やら技術的な話をする気にもなれないが、まず全体にクロスの質があまりにも悪すぎる。とてもプロとは思えない。その意味ではこのチームはもう間に合わない。日本は今後10年〜30年計画で、選手の育成段階から強く意識してクロスの質の向上を図るべきだ。クロスがこれでは、とても世界と戦えない。
選手別で見ると、チームが苦しい中、「意地のシュート」を叩き込んでメンタルが強いところを見せつけた本田以外、見るべきものはまったくない。相手に攻めてもらえず開店休業だった守備陣以外、及第点の選手はいない。
途中で出てきた宇佐美もミスしては苦笑いする、いつもの彼だった(なぜ彼は「笑える」のだろうか?)。唯一、同じく途中出場の原口元気が気を吐いていたことだけが、わずかな救いだ。
FKとCKで得点できないことにかけては世界一
試合後の記者会見でハリルは、「3点しか取れなかったのは不満だ。FKも改良の余地がある。PKもなかった。FKとCKで得点できないことにかけては世界一だ」と皮肉な笑みを浮かべた。私もイギリス流のシニカルなジョークは大好きだが、1年が365日もあるうち「この日」に限ってはまったく笑う気になれない。
相手がベタ引きしてくるアジア2次予選だからこうなのか? 敵が前がかりで攻めてくるW杯本大会では相手と噛み合い「やれる」のか? そんな保証はどこにもない。そもそもクロスとシュートの精度、またクロスに走りこむ選手のタイミングとポジショニング、そして「状況」に対する即興での対応力がこのレベルのチームが本大会でやれるとは思えない。
次は8日のアフガニスタン戦。今日に引き続き当然勝つのだろうが、このチームは何か抜本的な対策を講じない限り、ロシアで結果を残せないだろう。