すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【リオ五輪予選・準々決勝】あの得体の知れない底力は何だ? ~日本3-0イラン

2016-01-23 08:01:46 | サッカー日本代表
延長戦で別人に変わるムラっ気な日本

 イランはフィジカルを前面に押し出し、ゴリゴリからだをぶつけてくる。そんな激しい相手に日本はビルドアップに苦しみ、ボールロストの山を築いた。攻めの形を作れない。

 イランは組織を感じさせるような完成度のチームではない。だが闘争心丸出しで激しくプレスをかけ、奪ったボールを個の力でカウンターに持ち込んでくる。その形から2~3度決定機を作ったが決められず、試合は完全なこう着状態へ。両者無得点のまま前後半を終えた。

 だが延長戦に入ると日本はとたんに覚醒する。まず前半5分に右サイドから室屋が折り返し、途中出場の豊川がヘッドで鮮やかに決めて先制。延長後半には左サイドの中島がドリブルから目の覚めるようなミドルシュートを2度も叩き込んで3-0とする。終わってみれば盆と正月がいっしょに来たようなハデな幕切れになった。

裏を狙うロングボールに終始した90分

 この日の日本は、2トップに久保裕也とオナイウ阿道を配した中盤ボックス形の4-4-2。ボランチを遠藤航と原川が務め、左に中島、右に矢島。CBは植田と岩波、右SBに室屋、左SBに亀川という布陣である。

 イランは最終ラインが極端に浅く、日本はそのウラを狙う意識が強すぎたのか、前のスペースへしきりにアバウトなロングボールを放り込む北朝鮮戦と同じ展開だった。落ち着きがなく、相手の激しいボディコンタクトに気圧されバタバタし、とにかくボールを前へ蹴り出すだけだった。

 一方、グラウンダーのパスをつなごうとしても、日本の選手はボールをワンタッチで処理できない。1度はじいて2度3度とボールを小突いているうち、イランにかっさらわれる。その繰り返しだった。

 またFWにクサビを打ってもサポートがなく、孤立してプレスを受けボールを失う。A代表も同じだが、日本はフィジカルでぐいぐい押してくる相手とやるとたいていこういう膠着状態に陥る。ここは大きな課題だろう。もっと速いサポートとそれを実現する豊富な運動量が必要だ。

このチームはあきらかに「持って」いる

 対するイランは組織だった動きがあるわけではないが、ルーズボールに対する出足が日本より圧倒的に速く、こぼれ球を拾って攻め形にする。彼らが決定力を欠いたため日本は助けられたが、イランのフィニッシュの精度が高ければまちがいなく90分間でやられていた。その意味では拾った1勝だ。

 だがこのチームはあきらかに「持って」いる。最初はデキが悪くても次第に得体の知れない底力が湧いてくる。潜在能力が高く伸び代がある。試合を重ねるごと、時間が経過するうちにまったくの別人になる。優勝するチームというのはそういうものだ。

 果たして決勝の舞台に立つまでに、彼らはいったいどんな高みにたどり着くのか? 楽しみでならない。

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