すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【フジの女子アナ上納システム】お前ら、自分たちが「何やってるか」分かってんのか?

2025-01-10 10:32:16 | メディア論
繰り返される「セカンドレイプ」

 今回はフジテレビによる中居正広に対する女子アナ「上納システム」について書こう。

 ただし、これ一回だけだ。

 あの件を書くのは今回が初めてになる。思うところがあり、今まで意識して書かないようにしていた。

 だけどもう、こんなの黙ってられない。

 だから今回は一度だけ書く。

 フジテレビの上層部は「コトの経緯」をぜんぶ知ってて、明らかに責任回避しスルーしてるわけだ。

 だから本件の被害者女性に対し、わざわざ「このことは○○に言ってないからね」なんて上司から言わせてるわけでしょう?

 そんな彼女が本当に気の毒だ。ただしフジに関しては、記事の後半でまた再度、書くことにする。

 まず彼女自身の話が先だ。

精神疾患は(トリガーさえあれば)何度でも再発する

 そもそもご本人は「PTSD」(心的外傷後ストレス障害)を患っている。

 その彼女はもう治ったかのようにおっしゃっているが、コトはそう簡単じゃない。本人自身、事態をよく理解されてない感じだ。

 私は精神医学にも首を突っ込んでいるので及ばずながら言うが……一般に精神疾患は「完治」しにくく、トリガー(きっかけ)さえあれば何度でも再発する。

 時限爆弾みたいなものだ。

 にもかかわらずその被害者女性の実名を(何かの事件の「犯人」でもなんでもないのに)記事やYouTube動画であげつらいバンバン出す、ってあり得なくないか? 

 それって「犯罪行為」に近いとは思わないのか?

 というより今回のケースは、テレビ界の業界構造と非人間的な「女子アナ・上納システム」の問題を暴き、世間に知らせるのが本筋だろう。

 だから中居事案のコトの経緯や誰に責任があるか? また肝心なテレビ業界の構造問題については、積極的に明らかにすべきだ。

 だが各社の報道姿勢を見ると、どうもそっちの方向へ行ってない。ややもすると三面記事的で、被害者は誰か? どんな「下卑たやられ方をしたのか?」的な、あざとい報じ方が圧倒的に目立つ。

 そのほうが売れるからだろう。

 でもちょっと考えて欲しい。

 コトの経緯が念入りに描かれた記事やYouTube動画をご本人が何度も観せられれば、彼女の脳にいったいどんな変化が起きるのか? この点に一定の配慮があって然るべきではないか?

 あの被害女性がこんなメディアの狂騒的な騒ぎの中、万一、度を失い、今回のコトの経緯が報道により改めてアリアリと彼女の脳に刷り込まれたらどうなるか?

 繰り返しになるが、PTSDは再発するのだ。

 いや専門知識がなくても、例えばこの騒ぎに巻き込まれた彼女にもしや「何か」が起こるんじゃないか? 精神がどうにかなってしまうのでは?

 みんな、そんなふうには感じないんだろうか?

「もしかしたら彼女はまたフラッシュバックを起こすのでは?」

 そういう「想像力」は働かないのか?

 PTSDに限らず、精神疾患は当たり前のように何度でも再発する。

 それを客観的に論証するため、Googleで検索したのでみなさんにお見せしよう。検索結果は以下の通りだ。もう結果はハッキリしている。

検索キーワード「PTSDは再発する」で検索した

PTSDは再発する

 上記のリンク先にある「検索画面」の上のほうを見てほしい。

「PTSDは、次のような要因で再発する可能性がある」と明記してある。

 その下に、以下のような記述もある。わかりやすいよう、少し噛み砕いて以下に書く。

 PTSDが再発するのは、「最初の心的外傷的な出来事を思い出させる物事を見聞きしたときだ」

 これなんかは「報道被害」がモロに現れたケースといえるだろう。しかも検索ページのいちばん上に出ているのだ。

 本当に彼女が心配でならない。

 またどんな治療を受けているのか? も気になる。

 おそらく向精神薬を使った薬事療法中心だろうが、それ一辺倒にならず、例えば「認知行動療法」などの心理療法も有効だ。

 果たして彼女は、こうしたことも含めて正確に自覚しているだろうか?

 心配になる。

メディアが「雪崩現象」を起こす心理は理解できるが……

 そもそも今回の事案では、被害者ご本人は「裁判沙汰にすると自分の名前が出てしまうから」もあり、それを控えたというのが当然あるわけだろう?

 にもかかわらず、こんなにバンバン報道で自分の実名が出るのでは、「自分はいったい何のために出るところに出なかったんだ?」と思うはずだ。

 みんな、それを分かってやっているのか? 

 いやもちろん私もそこそこ業界にいる身だから、こうした社会現象の背景にあるメディア業界の心理の動きはよくわかる。

 初めはなかなかウラが取れず、実名が判明しなかった。だがある社が間違いない裏取りをし、それを報じる。

 するとメディア業界では我も我もと先を争い、今回のような「雪崩現象」が起こる。

「あそこがもう実名で書いたんだ。これで実名を出さなきゃ、ウチのネタが腐ってしまうぞ」

 そんな話だろう?

 いや、そういう差し迫った取材現場の空気は理解できる。実際に私だって何度も体験している。

 例えば自分ではウラは取れてない媒体までもが、「みんなどこもあの実名をいっせいに報じてるんだ。これはもうまちがいないだろう」という話になる。

 で、自分たちはウラを取り切れてないが書いてしまう。

 その結果、各社、先を争い畳み掛けるような実名攻勢になるーー。

 そんな社会的な心理は実によくわかるが、さすがに今回のケースでそれをやるのはまずいだろう。

 なんせ彼女はPTSDだから。

 もちろん週刊文春みたいな「ファースト・ペンギン」がいなければ、そもそも事件自体が明るみに出ず闇に葬られた可能性もある。それはまずい。

 だからもちろん報道は必要だ。しかし問題はその報道の内容と手法、切り口だろう。

 例えば企業ぐるみ、業界ぐるみのうす汚い構造問題を暴き、鋭い問題提起をするのが今回のケースではキモになるはずだ。

 にもかかわらず、そんなテーマから外れた報じ方が多いのが気になってしまう。

自分の被害を切々と訴える深田萌絵さんの動画に心打たれた

 話は変わるが実は先日、たまたまいつも観ている深田萌絵さんの以下の「YouTubeチャンネル」で、同傾向のネタを観た。

「深田萌絵TV」【暴露】SMAP中居氏事件と芸能界、大企業、性接待どころの騒ぎじゃない件
https://www.youtube.com/watch?v=s9A77fNxtUs

 それは深田さんご自身の(だが寸前で何度も難を逃れた)実際の「体験談」を語る動画だった。

 ただし深田さんはあの被害女性のケースにはほとんど触れなかった(この点に私は「深い意味」を読み取った)。

 じゃあ、いったいこのタイミングで深田さんがご自身の体験動画を配信する意図はどこにあるのか?

 おそらくこれまで、彼女は実体験を黙して語らなかったのだろう。しかもあえていま、ご自身のあんなイヤな実際の体験を明かすことで、何らか不利益が発生するかもしれない。なのに動画でいま公開したのだ。

 やはり「思うところ」が強くあったのだろう。

問題は「本人の同意があるかどうか?」だ

 そんな深田さんが今回の動画で何度も繰り返し強調していたのは、「そこに本人の同意があるかどうか? が重要なんだ」という点だ。

 例えば逆に自分のカラダを武器に業界でのし上がって行こう、という女性もいる。ならば分かれ目になるのが「本人の同意の有無」だ。

 では今回のフジテレビのケースでは、同意はあったのか? それはあのケースの周辺事情を見れば明らかだろう。

 ポイントはそこにある。

 あくまであからさまにではなく、そんな勘所を指摘していく深田さんの知性が素晴らしかった。訴えたいことがひしひしと伝わってくる実感のこもった動画だ。

(みなさん、ぜひ上のほうに挙げた深田さんのこの動画を観てください。そうすればきっと考えが変わると思います)

 深田さんはあのご自身の動画の中でアリアリと当時の体験を思い出しながら、本当につらそうに涙を滲ませ声を詰まらていた。それでも決然として自分の実体験を語った。

 明らかに(義を見て)彼女は意図的なこのタイミングで、どうしてもあのコンテンツを出さなければならなかったのだ。いまも思い出すと、つられて自分も泣きそうになる。

 で、彼女が実際に複数の業界で「何度も経験した」という、自分の(思い出したくもない)度肝をぬくような体験談を語るのを見て「ああ、女性がこの日本社会でやって行くのは本当に大変なんだな」とつくづく実感した。

 いや、もちろん私は「頭ではわかっていた」つもりだった。実際にいままで何度もこのテの話は聞いてもいた。

 だが実はやっぱり私は、「カラダで」わかってなかったのだ。無意識のうちに何となく「人ごと」になっていたのだろう。

 しかしあの深田さんの実感がこもった本気の涙を見て、「本当に女性は大変なんだ。これは男にはわからない世界だな」と実感した。

 そんな私はといえば、今回の面白半分のメディア・スクラムを見てうんざりし、すっかり沈黙してしまっていた。

 だが深田さんのあの真摯な姿を見て、「ああ、自分も何かやらなきゃ」と感じた。で、やっと遅まきながら、このつまらない記事を書く気になったわけだ。

フジテレビは「免許停止」になるか?

 さて一方、本件の被害者女性の話に戻ろう。

 実際、あれはもう何らか外部の第三者的な調査機関が入り(というか管轄はハッキリ総務省だが)、公共の電波を使っているフジテレビに対し、「お前ら、ちゃんとやることをやらないなら、もう放送免許を取り上げるぞ」とでもやらないとダメだろう。

 いや、もし公式にそれができないなら、内々で「こっそり総務省がフジテレビに連絡を取り耳元でそっと囁く」とか。

 だって彼らは明らかに「会社ぐるみ」なのだ。

 そもそも一部報道によれば、今回、被害者女性はまず最初にフジテレビの女子アナ出身の管理職に相談している。

 だがその管理職は「病院へ行くのではなく、まず会社へ行きましょう。会社には産業医がいるから対応できるよ」と言ったとされる。

 で、被害者はその通りにした。つまりフジ付きの産業医が行なった(問題の行為直後に時間を置かず採取された)肝心の検査データは、いまもフジテレビの手中にあるわけだ。

 とすれば万一、被害者女性が何らか法的手段に訴え出ようとしても、フジがデータの提出を拒むこともできてしまう。

 つまりそもそも件の管理職女性が「病院でなく、まず会社へ行け」と指示したこと自体、フジによる隠蔽工作を意味しているのだ。

 すなわち同社はこの時点から会社ぐるみでやっている。

 ならば当然、公的機関から、何らか社会的制裁があって然るべきだろう。

 総務省がもしそれをできないなら、もうテレビ業界は終わりじゃないか? これではもはや、自浄作用なんて効かないだろう。 

 万一、証拠不十分で今回はフジを免許停止にできないとしても、一回は総務省が割って入るなりして「厳重通告」だか何だか、少なくともイエローカードぐらいは出すべきだろう。

 それとも彼らはお役所仕事だから、そんな「柔軟な対応」はできないのだろうか?

 だが(すでに「そう証言してる人」も業界にいるが)フジテレビどころか、ほかのテレビ局もみんな同じことをやってるわけだ。

 とすれば今回、フジテレビの件で公的機関がいったんコトを荒立ててしまえば、もうテレビ業界はどの局も消滅することになってしまう。

「そして誰もいなくなった」状態になるわけだよね?

 で、それじゃあ困るから「もうみんな、ここはひとつ大人しく黙っていようね」「みんなで仲良く、今日も『横並び』でよろしくやりましょうや」って話なのだ。

 オールドメディアは、いつもこのノリだから実にわかりやすい。

 そんな「横並び体質」はとっくに判明している。今も昔も変わりない。もはや一種の風物詩ですらあるといえる。

テレビはSNSに食われて視聴率が低下、広告が激減し「滅びゆく恐竜」化した

 そもそもテレビ業界は近年、視聴率だってダダ下がりだ。過去にこのブログでも何度か記事にしたが、これはもうはっきりデータで出ている。例えば以下の記事もそれを示している。

【YouTuber・400%増】テレビで視聴されるユーチューバーは「400%以上」も増えた
https://blog.goo.ne.jp/matsuoka_miki/e/61b8cbbc6090d7309a49bc9263ed2688

 こんなふうにテレビはネット(=SNS)にすっかり食われ、今やもう国民は「テレビいらない状態」だ。

 新聞はもちろん、テレビだってもう「滅びゆく恐竜」なのだ。

 もはやみんなテレビなど観ないし、ネットさえあれば用が足りるどころかお釣りがくる時代だ。

 しかもテレビはもともと太平洋戦争の戦勝国であるアメリカが、戦争に負けた日本に戦略的に押し付けた「洗脳用」の道具だった。

 敗戦当時、まだ日本人は軍国主義にすっかり洗脳されていた。そこでアメリカはまず、各家庭に流通させたテレビから流れる大量のCMを日本人の脳に直接、刷り込んだ。

 で、「大量消費」という、まだ日本人が未知の新しい概念のトリコにさせて再度、洗脳しようーー。

 テレビはそんな目的で、アメリカが敗戦国・日本に導入させたツールのひとつにすぎない。そんなものはもういらないよ、というお話だ。

 ご参考『日本テレビとCIA 発掘された「正力ファイル」』(新潮社/2006年)

 だが少なくともフジテレビは、今回の対処の仕方はよく考えたほうがいい。

 さて、もうみんなでテレビなんかボイコットしようぜ。

 バイバイ、永遠にさようならテレビさん。

 ではごきげんよう。

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