すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【スピン報道】権力側に都合の悪い事案から世間の目を逸らすトラップにご注意

2025-02-04 17:46:23 | 政治経済
フジの女子アナ・上納案件は囮の「エサ」だ

 フジテレビの女子アナ・上納案件に絡み、「これでもか」とばかりに余波が続いている。

 元女子アナ・青木歌音さんなる新キャラが飛び出したかと思えば、今度は笑福亭鶴瓶さんにも報道被害が飛び火するーー。

 こうして次々に新ネタが発射され、大きな世間の話題になって行く。

 かと思えばつい先日、今度はホリエモンと組んだ対談で、あの長谷川豊・元フジTVアナがスキャンダラスな暴露発言をして大きな話題を呼んでいる。

「これを機に、また浮かび上がれるのでは?」

 過去に一度、社会的に「沈んだ」経験のある長谷川氏にとっては、最後の勝負をかけた行動なのかもしれない。

 そのYouTube動画(以下)でひさしぶりに同氏の喋りを聴いたが、実際、彼はとても語りのスキルが高く、まったく技能が錆び付いてない。

 今からでも番組のひとつも仕切らせれば、立派にコンテンツが成立しそうなレベルにあると感じた。

【緊急対談】「フジテレビに上納文化はあります」日枝久が作った“歪な構造”を元フジアナウンサー・長谷川豊が猛烈批判(堀江貴文 ホリエモン)
https://www.youtube.com/watch?v=V7xXAJ7upeQ

「結果的にスピン」になれば目的は達成される

 さて、こんなふうに世間の耳目を集めそうな(特に下卑たネタなど)旬の話題が繰り返されると、どうなるか? 社会の目はその一点に引きつけられる。で、ほかの出来事に対する注意がすっかりおろそかになる。

 こんなふうに権力側にとって都合の悪い事実から、ズル賢く世間の目を逸らす目的で行われるゴシップの撒き散らしは「スピン報道」などと呼ばれる。

 いや、別に「誰かが意図的に狙って目を逸らしているのかどうか?」は(実態的には)問題じゃない。

 結果的にいまの社会が抱える深刻な「本題」がボケさえすれば、「彼ら」の目標は達成される。例えばそんなスピン報道について評論家の荻上チキ氏は、以下のように分析している。

『僕は、「スピンか否か」という政治意図に着目するのではなく、「結果がスピン的になっていないか」という政治効果に着目するのが重要だと思っている。そして、結果的に政治ニュースの優先順位を下げるような報道のあり方を、「結果スピン」と読んでいる』(「桜を見る会」と芸能報道から考える、「結果スピン」の効能/2019年11月19日付・同氏の以下noteより)
https://note.com/ogiuechiki/n/nc37d8eb10b76

 うなずける意見である。

 つまり「悪いのは狙ってスピン報道するメディアだ」という陰謀論的な意味で言ってるわけじゃない。

 メディア自体にその意図があるかないかに関わらず「情報の受け手の側」(=私たち)は、それに踊らされて結果的に重大事から目を逸らされてはマズい、危ないぞ、ということだ。

 要は、メディアから情報を受け取る側の「私たち」が、どう理性的・客観的に自制するか? の問題である。

 繰り返しになるがフジの関係者だった(しかも非常に饒舌で能力のある)あの長谷川・元アナの参戦は特に直近、話題を呼んでおり、このぶんでは二の矢、三の矢で同氏への後追い報道なども今後ありそうだ。

 とすればこのフジ案件でもうこの先、数ヶ月間は社会の「目隠し状態」が続くのではないか?

 そんな気配も漂ってきた。

 非常に危険な状態だ。

「食料供給困難事態対策法」が4月1日に施行される

 そんなわけでこうしている間にも、たとえば農林水産省が管轄する「食料供給困難事態対策法」(今年4月1日施行)がスーッと通った。

 これはもともと昨年5月23日に第213回通常国会でひっそり成立し、6月21日に公布されたものだ。今年4月1日から施行される。

・ご参考「食料供給困難事態対策法について」(農水省)
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/horitsu.html

 内容は、異常気象や国際情勢の悪化で米や麦など主要な食糧が足りなくなったとき、その深刻度に応じ政府が生産者などに生産や出荷の調整を要請・指示できるという食糧安全保障を目指したものだ。

 実は以前からこの法律は「台湾有事」を想定していると囁かれており、カンタンにいえば罰金付きで農家に生産調整を半強制するある種、過激な法律になっている。また農家の営業の自由を侵害するのでは? という議論もある。

 そもそも食糧安全保障という意味でいえば、この問題は(もはや政府がまったくやる気のない)日本の食料自給率をどう上げていくか? という死命を制する重大事とも密接に関係している。

 つまりこの法律のように緊急事態になったら「そのとき(場当たり的に)対策する」なんて問題じゃなく、平時から安定的な食料の生産と供給ができる体制を整えておくべきお話なのだ。

 また立場によって、例えば生産者か? 消費者か? でも意見は分かれる。まさに国民的な議論が必要な大テーマだといえる。

国民に向けたパブコメの募集が始まった

 さて、これについて農水省はきょう4日、「食料供給困難事態対策の実施に関する基本的な方針案」(以下URL)を公示した。この案について3月5日まで、国民に対しパブリックコメントを募集する。

【食料供給困難事態対策の実施に関する基本的な方針案】
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000286633

 パブコメするには、以下のページへアクセスする。

「食料供給困難事態対策の実施に関する基本的な方針案」についての意見の募集について
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&Mode=0&id=550004063

 上記のページからコメントを投稿する際には、まず同ページにある3つのPDFをひと通り開いた上で中身を読む。

 すると次にその下段にある「意見募集要領(提出先を含む)の全部を確認しました」という一行の冒頭にある四角い空欄にチェックマークが付き、さらにその右下の「意見入力へ」のボタンを押すと投稿できる。

 最低限、3つのPDFのうち、いちばん上にある「意見募集要領」さえ開けばラジオボタンにチェックマークが付き、投稿可能だ。だが、できればなるべく3つとも読んでほしい。

 なお、このテーマは「アベマプライム」でも取り上げられ、ひろゆきさんら数人のメンバーによって討論されている。動画は以下から視聴可能だ。

『食料危機の新法「農業の自由奪われる」本当か? 3Kイメージも? 減少する農家』(アベマプライム)
https://abema.tv/video/episode/89-66_s99_p6208?pl=1&resumeTime=803&utm_campaign=times_yahoo_10160974_centertx_ap_free_episode_89-66_s99_p6208&utm_medium=web&utm_source=abematimes

 一方、例えば外務省の関連では、昨年12月25日、来日する中国人富裕層向けに10年間も有効になる観光用の数次ビザが新設されると同時に、団体観光ビザの滞在日数も延長された。

「両国間の経済・文化交流を促進する」といえば聞こえはいいが、中国関連では特に北海道の土地が中国資本にバンバン買い漁られるなど、いまや深刻な社会問題になっている。

 このほか現在いくつもの社会問題になるような重要案件が控えているのだが、長くなるので今回はこのへんにしておこう。また回を改めて深掘りするつもりだ。

 お楽しみに。

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