すちゃらかな日常 松岡美樹

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【新型コロナ】医学界は利権のために間違いだらけのコロナ対策をやってきた

2021-09-17 06:43:46 | 新型コロナ
コロナは空気感染する

 新型コロナは、5μm(マイクロメートル)以下の微細な粒子である「エアロゾル」が空気中に滞留し、数十メートルの範囲で長時間浮遊することで感染する。特に、さらに小さい2~3μm以下の微小粒子なものは空気中で数時間も漂う。

 これがコロナ感染・最大の主要ルートだ。

 そのため「マイクロ飛沫感染」などとも呼ばれるが、実態的には「空気感染」である(厚生省は「イコールじゃない」とあくまで否定しているが。これについては後述する)。

 ゆえに換気の悪い、広い空間に15分間いただけで感染する可能性がある。

 ところが日本のコロナ対策を取り仕切っている「国立感染症研究所」(感染研)や厚労省の「医系技官」(医師免許を持つ官僚)といった感染症ムラは、「接触感染」と、ツバ・くしゃみなどによる「飛沫感染」の2つが原因だ、これらを洗い出せ、とばかりやってきた。

 そして人と人との接触や飛沫感染の疑いがある人物を「濃厚接触者」と認定し、もっぱら感染ルートやクラスター(患者集団)ばかりを追うコロナ対策が行われてきた。

 だが実際にはコロナの多くは空気を媒介に感染するのだから、濃厚接触者も感染経路もクソもない。とにかく感染者と同じ空間、および空気を共有した人間全員をごっそり隔離しなければ意味がないのだ。

 にもかかわらずそんな指導のもと世間では、人と人の間に「アクリル板を立てればツバが飛ばず大丈夫だ」などとやっている。

 つまり感染症ムラは、魚のいない(または少ない)ところに網をかけていたわけだ。おかげで感染がこれだけ蔓延したのである。

もともとWHOや米国CDCは「接触」と「飛沫」の2つが経路だと主張してきた

 さてここから2段落だけは、「2024年8月27日」に後から追記した後日談だ。

 上記の記述からのちの「2022年3月」段階になり、国立感染症研究所は以下の通り、感染経路の筆頭として「エアロゾル感染」をやっと取り上げるようになった。

【ご参考】

国立感染症研究所」ホームページ

 またその後、厚労省も遅ればせながら「マイクロ飛沫感染」を言い出した。

 だが(詳しくは後述するが)、彼らはそもそも「マイクロ飛沫感染と空気感染は違う概念だ」などと言い張っている。

 しかしそんな学術的で細かい定義なんて、一般庶民にとってはどうだっていい。

「とにかく空気を介してカンタンに感染るのだ」という点こそが重要だし、その客観的事実を正確に国民へ周知することこそ大切なんじゃないか? と思える。

感染症ムラの会合では「エアロゾル感染」が無視された

 例えば国立病院機構・仙台医療センターの西村秀一氏はこの点について、『空気感染、「3密」と言ってるのだから認めて当然でしょ』(日経メディカル・2020年8月7日インタビュー)と語っている。

 なのに過去を振り返れば、厚労省に対し新型コロナ対策について専門家の集団が必要な提言をする「アドバイザリーボード」では、2020年7月30日に行われた第4回議事の段階でも、依然として「エアロゾル感染」について以下の通り否定的な見解が述べられている。

◾️「厚生労働省ホームページ」第4回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和2年7月30日)

 ちょっと長くなるが面白いので、「エアロゾル感染」について個別の発言をそのまま引用してみよう(読みやすくするため、意味を変えずに少しだけ整形した)。

 ひとつ事前に注記すると、おそらくこの資料は会議を聞いた「医系技官」(医師免許を持つ官僚)が聞き書きしたものだろう。

 だから微妙に元の発言のニュアンスを変えて意味を意図的に(どうとでも取れるよう)曖昧にしたり、自分たちに都合のいい方向へ解釈できるよう操作している可能性はある。その点は含みおいて読んでほしい。

 さて、例えばまず西浦博氏(北海道大学大学院 医学研究員教授・当時)は、こう口火を切っている。

「いわゆる『エアロゾル感染』が起こる可能性が非常に低いかどうかは、直接、観察できてない部分は推測するしかない。エアロゾル感染が市中で起こってないと言い切れるだけのエビデンスがないのではないか。

『非常に低い』と言い切ってしまうと、観察できない部分に関するケアが後から問われかねない。ならば、エアロゾル感染が市中で起こる可能性は今後検討を要するということだと思う」

 なんだか判然としない論調だ。「ないとは言い切れないが、これをもし、ないと言い切ってしまうと後から責任を問われる。だから今後検討する、と逃げておこう」みたいな印象を受ける。

 ただし基本的には「エアロゾル感染が存在する可能性は低い」に傾いている感じだ。もっともそれを言い切るにあたっては「後から問われる」から「今後検討を要する」としておこうよ、みたいな、なんだか責任回避的な表現をしている。

 また押谷仁氏(東北大学大学院 医学系研究科微生物学分野教授・当時)はこう語る。

「我々が3密と言い出したということは、やはりエアロゾル感染があり得るということが非常に大きな理由であるが、空気感染、いわゆるエアボーン・トランスミッションが起きているのだったら、電車の中とかそういうところでもかなり起こるはずだし、そういうものとは違う概念なので、そのあたりはきちんと切り分けて説明をする必要があると思う」

 こちらはエアロゾル感染の存在には肯定的だが、「これは空気感染とは違う概念だから区別すべきだ」というご意見だ。

 この記事のちょっと上の方で私が「学術的にどうかは別の話だ。そんな専門的な定義なんて庶民には関係ない。肝要なのは、実効的な対策だ」と書いたのと対照的だ。

 そして最後に尾身茂氏(独立行政法人 地域医療機能推進機構理事長・当時)は、こうダメを押す。

「手洗い何とかということはもう当たり前なので、それよりエアロゾルというのは最近のキーワードであるが、これを聞いたら空気感染するのではないかと誤解される。そこの違いと、あとエアロゾルは3密で起きやすいという2つのことはぜひ絵を追加してもらえれば、もっと分かりやすくなると思う」

 まあこのコメントの最後(絵を使ってわかりやすく)は正論だが、前段の部分は相変わらず「空気感染とはちがう」ことにこだわっている。

 もっとも世界保健機関(WHO)や米国疾病対策センター(USCDC)自体が当初、「新型コロナの感染経路は飛沫感染と接触感染の2つだ」と主張してきたのだから、日本の専門家や厚労省が「親方の彼ら」にならうのは無理もないが。

 ただし実はこの会合に先立つ同じ2020年の同じ7月、しかもたった23日だけ早い7月7日に、そのWHOでさえ「空気感染」を定例会見で公式に認めているのに、だ。

(邪推になるが、そもそもこの第4回アドバイザリーボードが開かれたこと自体、「空気感染」を公式に認めたWHOの定例会見を意識して急遽、その直後に開かれたのではないか? とも思われるのだが)。

 ちなみに2024年1月22日に、東北大学大学院・理学研究科や総合研究大学院大学、東京大学大学院・法学政治学研究科の研究者らが出した「日本の現実を踏まえた新型コロナウイルス感染症対策を求める声明」では、「新型コロナウイルスは空気感染する」とハッキリ明示されている。

 またこの声明では、WHOや米国疾病管理・予防センター(CDC),ほかにも科学誌の「Nature」、「Science」、「Lancet」誌などでも同様に「空気感染する」と報告されているとしている。

 これがどう考えても正しい。

 このほか特に「不織布マスクの編み目はウイルスが含まれるエアロゾル粒子より大きいことを理由に、空気感染にマスクは効果が無いとの主張が見られるが、これは誤りである」と指摘されているのは大変参考になる。

遅れている日本の感染症対策

 では、いったい日本ではなぜこんなトンチンカンなコロナ対策が行われてきたのか?

 ひとつには、日本は欧米に比べてコロナ研究が立ち遅れていたことがある。

 また「コロナは空気感染する」などといえば社会的パニックを起こしかねない、という忖度もあったのかもしれない。

 そのため研究者もそれを伝えるマスコミも、うすうす気づいてはいたが「空気感染する」とはハッキリ言わなかったのだとも思える(肯定的に解釈すれば)。

 そして第三の理由として非常に大きいのは、感染症ムラの「利権の構造」である。

「積極的疫学調査」はカネのなる木だ

 感染症ムラでは、濃厚接触者をさがし特定する「積極的疫学調査」なるものがこれまで大々的に行われてきた。当時、この調査によって感染ルートが解明できると考えられていた。

 だが実はこの「積極的疫学調査」は、やればやるほど予算がつく。つまり感染症ムラにとっては、カネのなる木なのだ。

 ところが国立感染症研究所が出している公的文書によれば、濃厚接触者なるものの定義はもう笑ってしまうほどコロナの実態とかけ離れている。以下、文書の一部を抜粋しよう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【濃厚接触者とは?】(2021年現在)

 濃厚接触者とは患者が感染可能な期間に、当該患者が入院、宿泊療養又は自宅療養を開始するまでに接触した者のうち、次の範囲に該当する者である。

1)患者と同居または長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があった者
2)適切な感染防護なしに患者を診察、看護もしくは介護していた者
3)患者の気道分泌液、もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い者
4)手で触れることの出来る距離(約1メートル)で、必要な感染予防策なしで患者と15分以上の接触があった者
5)航空機内の場合は、国際線で患者の前後2列以内の列に搭乗していた者。また国内線では患者の周囲2メートル内に搭乗していた者

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

濃厚接触者の定義は「接触」と「飛沫」だけ

 一読してわかるが、これらはすべてコロナとは「接触感染か飛沫感染で広がる」という古典的な前提に立っている。

 バカバカしいので以下、割愛するが、なかでも「飛行機で患者の前後2列以内に乗っていた者は濃厚接触者だ」などというのは超お笑いだ。

 そんなもの、コロナは空気感染するのだから「同じ飛行機に乗っていた人間は全員」隔離しなければなんの意味もない。

 また空気感染を前提に考えれば、濃厚接触者と同様にクラスターという概念も時代遅れだ。

 日本ではこれまで、こんなザルそのものの概念に基づいてコロナ対策が行われてきたのだからどうしようもない。

 しかも感染症ムラはこうした「積極的疫学調査」を行えば行うほど予算がつくのだから、コロナの実態といかにかけ離れていようがおかまいなしなのだ。

感染症ムラは膿を出すべきだ

 テレビ等のメディアでは、いまだに「濃厚接触者」という古い概念の言葉が使われている。

 だが感染症ムラだけでなくメディアも含め、コロナ対策は最新の知見に基づいて行われるべきだ。

 もちろんそこには利権による誘惑などあってはならない。

 前回の記事でも書いたが、コロナ対策の基本は徹底した「検査」と「隔離」だ。医系技官の利権の温床であるPCR検査が適正に、かつ大々的に行われる必要がある。

 またそこでは空気感染を前提とした知見をもとに、最新の対策が行われるべきだ。

 利権にまみれた感染症ムラは、とっとと膿を出すべきである。

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