縦への速さを失った日本
日本はパラグアイにボールを持たされ、まるで鋳型にハメられたかのように「最終ラインからどうビルドアップするか?」の戦いに押し込められた。
グラウンダーのショートパスで後ろから組み立てようとするが、相手のプレスを怖がり低い位置でバックパスしてはかっさらわれてカウンターを受けた。日本は終始、まるでポゼッション・スタイルのチームであるかのような戦いを強いられ、「他人の相撲」を取って負けた。
日本の最終ラインがボールを持つと、パラグアイはスッと引いてブロックを作る。こうしてディフェンディングサードで日本にボールを持たせ、日本のボランチにパスが出たところにプレスをかける。このやり方が徹底していた。前へボールを引き出せない日本が苦し紛れでバックパスすると、そこを相手に狙われる。この繰り返しだった。
後半にFWオナイウが入るとクサビのボールを前に当てる形が実現したが、時すでに遅し。相手に渡った流れを引き戻すのは不可能だった。前でボールを奪って速く攻める手倉森スタイルはすっかり影を潜めた。
相手の注文通りにハマった
日本はアジア最終予選で見せた、バックラインからのアバウトなロングボールを封印した。この放り込みでいわば狙って相手にいったんボールを渡し、前からのプレスで奪い返してショートカウンターに行くのが日本のスタイルだった。ポゼッションを放棄し堅守速攻に徹するーー。手倉森監督が「割り切り」と表現した戦い方がそれだった。
だが今回、おそらく選手の判断で「次へのステップ」を目指そうとしたのだろう。そしてロングボールをお蔵に入れた。
放り込みをやめたのは「意気やよし」だ。だがそうなると最終ラインからていねいにビルドアップする必要に迫られる。で、味方の足元に出す組み立てのショートパスを敵に狙われた。かくて堅守速攻がお家芸のパラグアイと(悪い意味で)ガッチリ試合がかみ合ってしまった。
低いゾーンで敵にハメられ、プレスを受けて自陣に火がつく。日本はディフェンディングサードでボールを持たされ、慣れない試合運びに四苦八苦した。相手にすればゲームプラン通り。してやったりの試合だろう。
ロングボールも織り交ぜスペースを作れ
日本にすれば、そんな相手の狙いを外す必要があった。例えばフィールドの後ろ半分で膠着した局面を打開するには、2~3回に1回は意図的にロングボールを前へ入れることも必要だった。これで相手のバックラインを下げさせ、その手前にスペースを作るのだ。
これで敵のバイタルエリアが空けば、今度はグラウンダーのパスも通りやすくなる。ロングボールを完全封印し同じパターンのビルドアップを機械のように繰り返すのでなく、相手が押したら引く、引いたら押す。そんな細かな駆け引きがほしかった。
とはいえCBの植田は時おり早いタイミングでグラウンダーの長い縦パスにチャレンジしていたし、MF原川のチーム操縦術やFW浅野のスピード、決定力も垣間見えた。攻撃面では物足りなかった左SBの亀川も守備では球際で執拗な粘りを見せた。一方、途中出場したFWオナイウは、クサビを受けてはボールロストしていたアジア最終予選の時とはまるで別人のようにボールの収まりがよかった。堅いポストプレーで前線にポイントを作っていた。
個々に見れば収穫もあった。あとは全体戦術の選び方と駆け引きだ。おそらくこのチームにはまっすぐな人間が揃っているのだろう。まっすぐなやり方が多すぎる。もっと局面に応じ敵の裏をかくズル賢い戦い方を身につけてほしい。
日本はパラグアイにボールを持たされ、まるで鋳型にハメられたかのように「最終ラインからどうビルドアップするか?」の戦いに押し込められた。
グラウンダーのショートパスで後ろから組み立てようとするが、相手のプレスを怖がり低い位置でバックパスしてはかっさらわれてカウンターを受けた。日本は終始、まるでポゼッション・スタイルのチームであるかのような戦いを強いられ、「他人の相撲」を取って負けた。
日本の最終ラインがボールを持つと、パラグアイはスッと引いてブロックを作る。こうしてディフェンディングサードで日本にボールを持たせ、日本のボランチにパスが出たところにプレスをかける。このやり方が徹底していた。前へボールを引き出せない日本が苦し紛れでバックパスすると、そこを相手に狙われる。この繰り返しだった。
後半にFWオナイウが入るとクサビのボールを前に当てる形が実現したが、時すでに遅し。相手に渡った流れを引き戻すのは不可能だった。前でボールを奪って速く攻める手倉森スタイルはすっかり影を潜めた。
相手の注文通りにハマった
日本はアジア最終予選で見せた、バックラインからのアバウトなロングボールを封印した。この放り込みでいわば狙って相手にいったんボールを渡し、前からのプレスで奪い返してショートカウンターに行くのが日本のスタイルだった。ポゼッションを放棄し堅守速攻に徹するーー。手倉森監督が「割り切り」と表現した戦い方がそれだった。
だが今回、おそらく選手の判断で「次へのステップ」を目指そうとしたのだろう。そしてロングボールをお蔵に入れた。
放り込みをやめたのは「意気やよし」だ。だがそうなると最終ラインからていねいにビルドアップする必要に迫られる。で、味方の足元に出す組み立てのショートパスを敵に狙われた。かくて堅守速攻がお家芸のパラグアイと(悪い意味で)ガッチリ試合がかみ合ってしまった。
低いゾーンで敵にハメられ、プレスを受けて自陣に火がつく。日本はディフェンディングサードでボールを持たされ、慣れない試合運びに四苦八苦した。相手にすればゲームプラン通り。してやったりの試合だろう。
ロングボールも織り交ぜスペースを作れ
日本にすれば、そんな相手の狙いを外す必要があった。例えばフィールドの後ろ半分で膠着した局面を打開するには、2~3回に1回は意図的にロングボールを前へ入れることも必要だった。これで相手のバックラインを下げさせ、その手前にスペースを作るのだ。
これで敵のバイタルエリアが空けば、今度はグラウンダーのパスも通りやすくなる。ロングボールを完全封印し同じパターンのビルドアップを機械のように繰り返すのでなく、相手が押したら引く、引いたら押す。そんな細かな駆け引きがほしかった。
とはいえCBの植田は時おり早いタイミングでグラウンダーの長い縦パスにチャレンジしていたし、MF原川のチーム操縦術やFW浅野のスピード、決定力も垣間見えた。攻撃面では物足りなかった左SBの亀川も守備では球際で執拗な粘りを見せた。一方、途中出場したFWオナイウは、クサビを受けてはボールロストしていたアジア最終予選の時とはまるで別人のようにボールの収まりがよかった。堅いポストプレーで前線にポイントを作っていた。
個々に見れば収穫もあった。あとは全体戦術の選び方と駆け引きだ。おそらくこのチームにはまっすぐな人間が揃っているのだろう。まっすぐなやり方が多すぎる。もっと局面に応じ敵の裏をかくズル賢い戦い方を身につけてほしい。