雨の夜と下弦の月

毎日を静かに、穏やかに生きていきたいと思う日々。
そのわりにはジタバタと暮らすワタクシの毎日を綴っております。

「杜子春」で号泣しそうになる。

2017-01-14 15:42:05 | books&magazine
小学校の教科書で読んで以来、実に40年ぶりぐらいに知人に勧められて芥川龍之介を読んでいる。
「芥川賞」の芥川ではあるが、おぼろげに筋を覚えていたのは「蜘蛛の糸」ぐらいで、「杜子春」すらどんな話だったか忘れていた。
王朝ものの「羅生門・鼻」辺りから読み始め、今日、アフタヌーンティー・ティールームでランチしながら「杜子春」を読んだ。
小学校の教科書に出ているくらいだから、話自体も短いし、子供向けに書かれているから難しい言葉も出てこない。

ワタクシは何の先入観もなく読み始めたのだけど、話の最後で思わず号泣しそうになってしまった。
カフェで周囲に人がいたおかげで何とか号泣せずに済んだのだけど、自分の家とかだったら間違いなく泣いていたと思う。
小学生の時に「杜子春」を読んで号泣した記憶は全くないので、年齢とともに話の読み方が違ってきたのだろう。
本当におぼろげな記憶では、何となく、もっと牧歌的な話だったようなイメージがあったのだ。

読書はワタクシの数少ない趣味の一つではあるが、実は、本を読んで号泣したのは2冊ぐらいしかない。
村上春樹の「ノルウェイの森」と高橋和己の「邪宗門」という、どちらも結構な長編作品で、読んでいて感情移入してくるためだと思われる。
ところが、「杜子春」は新潮文庫で20ページ、時間としては10分かからずに読めてしまう短さなのだ。
芥川恐るべし。伊達に短編小説を書く新人の登竜門と呼ばれる賞に名前が冠されているわけではない。小学校の教科書を侮るべからずである。