井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

再び群別岳へ 11年5月

2011-05-13 08:43:28 | 暑寒別・増毛・樺戸山系の山
2週間前の群別岳、先週のトヨニ岳と思うように登れない山が続いていました。
そこで、再度、群別岳に狙い定めて山頂を目指すことにしました。

 5月12日(木曜日)今日の天気予報は晴れです。
朝4時に札幌を発ちます。
順調に走り浜益の市街を過ぎ群別の集落から群別川に沿った林道へ車を入れます。
前回から2週間ほど経っていますので随分緑が濃くなった気がします。

前回駐車した辺りもまったく雪がありません。
林道に雪がないので林道ゲートまで車で入れるかと思いゆっくり走ります。
林道ゲートにつきました。
   
    (前回の写真と比較してみてください。雪の状態が分かると思います。)
 
ゲートの先も林道の路面が出ています。
どうやら除雪したようです。
ちょっと計算外でした。
というのは、今回はスキーで登るつもりだったからです。

 仕方がないのでスキーをザックに縛り付けシートラで行くことにします。
6時ちょうど林道ゲートを後にします。

 小鳥のさえずりを聞きながら林道を快調に歩きます。
最後の橋を渡り、林道分岐まで来ると除雪はここで終わっていました。
山菜取りの人の物なのか原チャリが2台止まっています。
ここまで約25分、ここからはスキーを履いて歩きます。
    
    
 ここから雪の上を歩きますがところどころ3カ所くらい林道上に雪のないところがありました。
そんなところはスキーを脱いで肩に担いで歩きます。

 林道の終了点先にある渡渉点はかろうじて雪が残っていました。
沢のあちこちが顔を出しています。
その渡渉点を渡り609mの台地へ上がる急な斜面に取り付きます。
この斜面の一部には雪が付いていないところがあるのでコースを選びながら雪を繋いで歩きます。

 台地に出てホッとしながら歩いていると後ろの方でガサガサと音がします。
熊かなと思ってビックリして後ろを見ると単独の男性がスノーシューを履いて登ってきます。
「おはようございます!」と挨拶をして「群別岳ですか?」と聞くと「そうです。」と短い返事が返ってきます。
そして足早にスタスタと歩いていきます。
その足の速いこと。
見る間に木立の陰へ姿が消えます。

7:55分、約2時間ほど歩き通しなので私はここで休憩を入れます。
天気は快晴、風もなく幌天狗から群別岳、奥徳富岳も2週間前とあまり変りない真っ白な姿を見せてくれています。
   
    ここから群別岳と幌天狗にコルに伸びる沢を目指します。

 この台地状の斜面をゆったり登っていくと雪庇のある尾根にぶつかります。
私は、この尾根を幌天狗に向かって少し登り、そこから沢の入り口目指して歩きます。
なぜそうするかといいますと、尾根を降りたところは数本の小沢が幌天狗側から入り込み、ちょっと複雑な地形をしているからです。
そんな面倒なところにはいるくらいなら全部ひっくるめて越えられる幌天狗よりの斜面を歩いた方が早いと思ったからです。

 コルに続く沢に入る手前に群別川の本流方面からこちらに向かってくる足跡があります。
近づいてよく見ると熊の足跡でした。
昨日か今朝方の足跡でしょうか?
雪面にクッキリとした足跡でしたので、あわて辺りを見渡しましたが熊の姿は見えないので沢の中へ入ります。

 前方に滝が見えてきます。
    
     水量もありなかなか立派な滝です。

 さきほど挨拶を交わした人はもう滝の下にいます。 
そして左岸を登り出しました。

 私は滝の手前から左岸の斜面を登ることにします。
かなりの傾斜があり雪も固いのでスキーアイゼンを付けて登ります。
    
     一番上に見えている岩を目指します。

 この尾根は群別岳の山頂から南に続く稜線です。
小さなコルを隔ててゴジラの背の様な岩尾根を持っています。
私はこの岩尾根の南側を目標にしてジグを切っていきます。

 9:15分、大斜面の途中で休憩します。
雪の表面が融けてきておりアイゼンの利きが今一つです。
それをごまかしながら登ってきたので少し疲れました。

 一歩登るごとに高度が稼げ幌天狗の向こうに浜益岳が顔を出してきます。
それを励みに登っていくとやっと稜線に出ます。
目の前に奥徳富岳の両手を広げたような稜線が目に飛び込んできます。
南陵の岩尾根も大分大きく見えてきます。

 岩尾根の下に着きました。
ここからのコースが難題です。
遙か下に見える群別川の本流まで大斜面が続いています。
雪の状態がザクザクと融けておりスキーアイゼンは利かないようです。
この斜面をトラバースしなければなりません。

 雪の腐り方からスキーでトラバースをするのは無理だと判断しました。
そこで再度シートラすることにしてスキーをザックに括り付けます。
そして2百mほどのトラバースに挑戦です。

目の上には岩尾根が続きます。
その岩から落ちた雪が原因で小さな雪崩れが起きています。
岩から雪が落ちてくるのに注意を払いながらキックステップで足場を作り緊張のトラバースをこなします。

途中では、雪面に亀裂などが入っており雪面を刺激しないように神経を使いました。
キックステップも数回蹴り込んでやっとステップが決まるような柔い雪ですので苦労しました。

やっとトラバースを終えコルに続く平らな斜面に出ます。
ノドがカラカラなので飲み物を飲んで一息入れます。
ここまで来ると本峰が目の前で呼んでいます。
    

 本峰とのコルにスキーをデポして最後の登りです。
15分ほどでやっと念願の山頂に到着です。

 11:15分、山頂です。
   

 ここからの眺めは最高です。
日本海の向こうには札幌近郊の山が見えます。
その右手には羊蹄山から積丹の山々も見えます。

 反対側には遠く大雪山から十勝岳の山並みも見えています。
この山並みを見ながらゆっくり休んで昼食を取ります。
山頂から南側の斜面は雪が融けて灌木が顔を出しています。
その斜面は風が当たらず太陽の光を受けて暖かいのです。

    
    南陵の岩から幌天狗までの尾根です。

    
    浜益岳です。奥に見えるのが雄冬山でしょうか。

    
    暑寒別岳です。

    
    隣の山、奥徳富岳です。

 山頂は暖かく正面に見えるのは積丹から羊蹄山。
こんなに山頂でノンビリしたのは久しぶりです。
やはり、春山は良いですね。
風は暖かく気持ちがノンビリしてきます。

 でも、いつまでも山頂にいるわけにはいかないので下山することにします。
1145分、下山開始です。

まずは山頂からコルにデポしたスキーを回収しなければなりません。
柔い雪に足を取られながら慎重に降ります。

 コルに着くとスキーを履いて先ほどトラバースしてきた南陵の南斜面を降ります。
早いこと、早いこと、あれだけキックステップを刻んで苦労した斜面がものの数十秒で南陵の尾根に到着です。
この尾根もアッという間に降ります。
    
     シュプールですが、見えるでしょうか?

 南陵から滝を目指して沢底へ滑り降ります。
何度か止まりながら降りますが、足が疲れて攣りそうになります。
その足を騙し騙し滑っていましたが、腐った雪に足を取られ転んでしまいました。
転んだ拍子に胸元から雪が入りましたが、今日はそれさえも気持ちがいいです。

 ここからの降りはツリそうになる太腿との格闘でした。
限界に近い太腿を騙し騙し降り駐車場に着いたのは14:05分、約8時間の登山でした。

 今日は天気に恵まれ最高の登山が出来ました。
今年最後のスキーを楽しめましたし、何といっても久しぶりに山頂も踏めました。
満足、満足な1日でした。
身体はボロボロですが、充実した気分で心は一杯です。


  最後に参考のためにGPSトラックデータを落とした地図を貼っておきます。
  
 みなさんもぜひ登ってみてください。    
  

群別岳・敗退 11年4月春

2011-05-01 08:48:02 | 暑寒別・増毛・樺戸山系の山
今年のゴールーデンウィークの天気は今一つです。
天気予報を毎日チェックしているとどうやら30日は天気がいいようです。
ただし風が強いようで、予報では高度1,800mあたりで0mを超えるようです。
この風の強さでは日高の稜線を歩くことは出来ません。
そこで、浜益にある群別岳(1,376m)に行くことにしました。

群別岳に夏道はありません。
ですから、残雪期に登るか沢を詰めるしかありません。
増毛は日本海に面しており豪雪地帯です。
この時期でもタップリの残雪があります。

朝6時に札幌を出発して登山口となる石狩市浜益群別に着いたのは7時半です。
林道には雪が残っていますので、ここの車を置きます。
先行者の車が4台駐車しています。

8時前に出発です。
この辺りは標高も低く風は穏やかで太陽がまぶしく輝いています。
少し表面の融けた林道を歩きます。

25分ほど歩いたところに林道ゲートがあります。
          このように林道は雪ですが、連年に較べて多いのでしょうか?
     私は、この山が初めてですので分かりません。

 ここからひたすら林道を歩きます。
延々と2時間ほど歩くと、やっと、林道とお別れです。
小さな沢を渡りいきなりの急斜面を登ります。
この斜面を登りきるとゆったりとした斜面が続いています。
その斜面を登りきったところでやっと群別岳とご対面です。

        のこぎりの歯のように黒々とした岩峰が群別岳です。
    なかなか良い姿をしています。
 
 群別岳から左手に続く真っ白い稜線の中央にあるのが幌天狗(1,222m)です。
   

 そして、群別岳から右手の稜線に続くのが奥徳富岳(1,346m)です。


群別岳に源を発する群別川を取り囲む山々です。
すべての山が真っ白に輝き神々しい景色を作り出しています。

ここから登山コースは群別岳から左手に幌天狗とのコルを目指して登ります。
まずはコルへと続く沢の入り口へ行かなければなりません。
ここからは、よく見ると小沢が入り組んだなかなか複雑な地形となっています。
沢の入り口を目指すには幌天狗川の斜面に近いところを歩けばいいと思い少し左手に続く尾根状の斜面を登ります。

この辺りで一緒に来ているO氏の足が止まってしまいます。
どうやら寝不足で体調が思わしくないようです。
ここから山頂までO氏の足だと3時間は掛かってしまいます。

ここで潔く撤退を決めて昼食を取ります。
時折吹く風に身体を冷やし幸せな時間を満喫します。


しかし、ここからの下りは辛かったですね。
朝より融けた雪に足を取られ思うように歩けません。
一歩一歩を踏みしめながら歩くので疲れます。
そして、林道の長いこと、長いこと!

駐車している車が見えたときは、ホッとしました。

今度来るときはスキーにしようと思いました。


 参考のためにログを貼っておきます。
    
  

暑寒別岳(1,491m)

2008-06-16 19:06:57 | 暑寒別・増毛・樺戸山系の山
6月14日(土)、暑寒別岳へ登りに行きました。

前日から登山口にある暑寒荘に泊ることを考えていましたが、
金曜日は雨が降り、土曜日の天気も良くないようです。
そんなことで金曜日に出かけるのを躊躇してしまいました。

土曜日の朝、目を覚ますとどんよりした空模様です。
雨は降っていないので出かけることにします。
朝食を取り、朝4時に札幌を発ちます。

途中、石狩町で海岸に出ると前方に暑寒別の山並みが見えるはずですが
低い雲に阻まれ、まったく見えません。

雄冬岬に近くなるにしたがって雲が切れて青空がのぞいてきます。
ちょっと期待が持てそうです。

6時10分、増毛コースの登山口につきました。
この辺りの空は明るく、風により雲がドンドン動いています。
青空が顔を出してきます。この天気は期待が持てそうです。

    
これが暑寒荘です。
中を見たのですが、1階には大きな薪ストーブがあり
水も引き込まれています。
綺麗に使われているようで、ゴミ一つありません。
暑寒荘の前は綺麗な芝生で、手入れよく刈り込みがなされています。
テントを張るには快適な環境ですね。

 暑寒荘の前にある入山届けポストを開けて記入します。
既に2組入山しているようです。

   
この貯水池の水が小屋の中にも引き込まれているようです。
池の下にある木橋を渡り、いよいよ登山の開始です。

6時20分、少しずつ天気が良くなってきて時折薄日が差してくる
林の中を歩いてきます。
尾根にとりつく急な斜面を登ります。
いきなりの急斜面でですが、ゆっくりを心がけて登っていきます。
登り終えたところが1合目です。
立派な四角柱の標識があります。

この辺りからはズーッと尾根筋にしたがって登りますが、
登山コースはとてもよく整備されています。
両側の木々が刈り払われ、下草もほとんどないので
足下が濡れるようなこともありません。
      

両側はびっしりと笹が生えているのですが、
その中で笹の子取りをしている人達がいます。
歩いていると、横の笹藪が急にガサガサと大きな音を立てるので、
熊かと思いビックリしてしまいます。

6時57分、つつじケ丘と書かれた立派な標識を目にしますが、
辺りを見渡してもツツジは影も形も見えません。

この登山道は蚊が多く、体の周りを始終飛び回っています。
そのため落ち着いて休むことも出来ません。
ちょっと立ち止まると、身体の回りに数十匹はいそうです。
私は蚊に刺されると赤く晴れて痒みが1週間ほど続きます。
ですから、蚊に刺されないように薬を十分に塗っているのですが、
それでも足りないようです。
汗をかいていますので、首筋や腕に塗った薬も流れてしまうのでしょう。
蚊の数はいっこうに減りません。
こんな状態ですので、歩くペースも速くなり、ドンドン距離を稼いでいきます。

7時30分、4合目に来ました。雲がなくなり上空は青空が広がります。
でも、沢筋から雲が上がっていきますので山頂方面は
雲が晴れたり隠れたり目まぐるしく変わります。
ここでちょっと飲み物を補充します。
相変わらず蚊に包囲されている状態ですのでスポーツドリンクを
2口ほど飲むとすぐに出発します。

   
この天気が数十分で雲の中です。
天気は目まぐるしく変わります。

8時5分、ようやくハイ松が姿を現してきます。
尾根が少しずつ狭くなってきます。
それにしたがって風を感じるようになり蚊の数が少し減ってきます。

8時10分、7合目に到達です。
雲が切れて山頂方面が時折姿を見せます。でもまたすぐに隠れてしまいます。
見えている時間が10分と続きません。

8時25分、休むのに適当な岩がありましたので、休憩します。
蚊の姿も見えないので落ち着いて休憩できます。
高度計は標高1,180mを指しています。
どっぷりと濡れてしまったシャツを脱ぎたいのですが、
蚊のことを考えるとそれも出来ません。
来る途中で買ってきたパンを食べながらスポーツドリンクで
喉をうるおします。

地図を出してコースを見ると、ここから、もう一つ目の前にある斜面を
登ると後は平坦な道になり、そこを歩けば山頂のようです。
あと一息です。
休憩後、すぐ先に扇風台がありました。
   
この時は山頂方面のガスが切れていたので写真を写しておきます。

目の前にあるこぶ山に取りかかりとロープ場があります。
足下がザラ場ですので注意して登ります。
もう少しで登り切るという場所に9合目の標識があります。

やっと登り切ると当たりは一面のガスです。
その低いハイ松の中に箸別コースとの分岐標識が立ってます。
    

ハイ松の陰に咲くキバナシャクナゲ、白い花ばなを見ながら
ゆっくり歩いていきます。
  

9時25分、山頂に着きました。
   

しかし、ガスが係まったく眺望がありません。
東から吹く冷たい風のため岩陰に身を隠し昼食を取ります。
バナナを食べて、熱いカフェラテを飲みます。
干しぶどうを食べたりパンを食べてお腹が一杯になってくると、
やっと落ち着いた気分になってきます。

山頂には神社の社があり、風で吹き飛ばないように岩で囲まれています。
中を見ると厳島神社の御札が祀られています。
こんな山の中に海の神様が祀られているのは不思議ですね。

  
でも、海に出れば暑寒別の山はどこからでも見えるので、
そういう意味で考えると不思議なことではないのかもしれません。
船頭さん達が出漁する時、漁を終えて帰ってきたとき、
真っ先に目にする暑寒別の頂にある厳島神社に向かって
祈りを捧げることは、自然なことなのでしょう。

山頂のガスはなかなか晴れそうもないので、下山することにします。

9時40分、下山します。

朝いた蚊とは違う、もう少し大きな蚊が登山道を飛び回っています。
この蚊が嫌ですので、暑寒荘のある登山口までほとんど休みなしで歩き通し、
11時50分、暑寒荘へ着きます。

今日は蚊に追いまくられた登山でしたが、山頂の眺望がなく残念でした。
でも、時折太陽が顔を出してくれたので、まあまあの登山が出来ました。

今度は秋にでも蚊がいなくなってから暑寒荘に泊まって
ゆっくりした登山をしたいものです。