井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

芦別岳 10年5月

2011-05-30 05:44:26 | 芦別・夕張山系の山
ここで、昨年登った芦別岳の状況もアップしておきます。

 昨年は5月30日に本谷を登りました。
この日は日曜日ということもあって本谷を登った人が14人~15人ほどおり、なかなか盛況でした。

 私はいつものOchi氏と二人で登りました。
29日に太陽の里キャンプ場で1拍、30日の早朝5:30分に出発、天気は上々の中ユーフレ川を遡上しました。

 三段の滝下にある最初の渡渉点は今回同様に雪解け水で水嵩が増しており、Ochi氏は沢を飛び越えることが出来ず、仕方なく倒木にまたがり何とかクリア、しかし、この倒木の橋は何とかならないものかといつも思います。

 ユーフレ小屋が見えてきました。
  
 私は、この本谷を登るのは初めてです。
ユーフレ小屋を目にするのも初めてでしたので興味深く見ていました。
この小屋は何といっても古い小屋なのです。
河原の石をコンクリートで固めて作った小さな小屋です。
雑木林の中にある佇まいはとてもしっくり来るものでした。

 さて、さて、雪の状態はというと、昨年はこの通りユーフレ小屋の回りにまだまだ残っていました。
ここで休憩の後、いよいよ本谷の遡上が始まります。

ユーフレ小屋から2百メートルほど左岸を遡上すると本谷は雪で埋まっています。
雪で埋まった谷を快調に歩くとほどなくゴルジュに到着です。
   
    今年と較べると完全にゴルジュは雪で埋まっています。
    通過するときにシュルンドから谷底を覗くと雪の暑さはまだまだ厚く4~5mは有りそうでした。

 ここで、アイゼンを付けて歩きます。
    
  沢にはデブリが厚く堆積しているところがありそれを越えて歩きます。
 前方に先行者がいるのでその後を追うようにして歩きます。

 単独の男性に追いついたので少し話をします。
この男性の出で立ちがとてもクラシカルなものでした。
年齢は65歳ほどでしょうか。
尻皮を腰から下げ、シャフトがウッドのピッケルを持っています。
ここ3年ほどこの時期の本谷を登りに来ているなどと話してくれます。
足取りは重いのですが、なかなかの年期を感じさせる人でした。

 前方に真っ直ぐ伸びるルンゼが見えてきました。
   
 よく見ると、このルンゼを登っているグループがいます。
4人~5人ののグループの後に単独の人もいます。

 このルンゼが本谷?
ちょっと意外に感じました。
谷というより単なる浅い谷です。
どう見ても山頂へ続く本谷とは思えません。

 私達は、この真っ直ぐ伸びるルンゼには入らず少し右へ曲がる谷へ進みます。
すると左手に真っ直ぐ伸びる大きな谷となって上へ続いています。
先ほどのグループが本谷を目指しているとしたらコースミスをしているようです。

 三ツ股と思われる地点に来ました。
ここで遅れがちなOchi氏待って休んでいると先ほどのグループが追いついてきます。
やはりコースミスをしてたようです。

 ここで谷の様子をよく見ます。
前方に真っ直ぐ伸びている谷は直ぐ先で岩稜に突き当たっています。
その先が良く分かりません。
左の谷は細く上に向かって伸びています。
右の谷は大きく口を開け少し曲がりながら上に伸びているようです。

 私はこの本谷を登るのが初めてでしたので、みなさんの動向を観察していました。
すると、みなさん右の谷へ登っていきます。
インターネットで調べた記録では三ツ股は真っ直ぐ登ると有りましたので、ちょっと気にしながら追いついたOchi氏と休んでいました。

 まだ三ツ股には達していないかと思い、休憩後にみなさんの後を登ります。
   
    このように沢山の人が登っています。
    一番右側にいる人が尻皮、ウッドのピッケルを持っているおじいさんです。
 
 さてさて、左側の谷を詰め小さな尾根に出ると目の前に何と本峰が正面に見えているではありませんか。
    
 どうやら、今、登っている谷はやはり右股のようです。
一番先を登っていた4~5人のグループが尾根の上で右往左往しています。

 ここで右往左往しても仕方がありません。
私は少し右手に伸びている残雪を登ります。
このまま稜線まで上れば旧道にたどり着くからです。

 ドンドン傾斜が増してきます。
残雪も細くなり先には黒々としたハイ松が見えてきます。
藪漕ぎは出来るだけ避けたいので残雪を繋いで何とか登ります。
 
 後ろを見るとみなさん私のトレースを使って登ってきます。
とうとう雪がなくなってしまったので岩陰でハイ松が薄いところを利用して藪漕ぎに突入です。
20mほど藪漕ぎをすると旧道に出ました。

 旧道でOchi氏を待っているとゾクゾク登ってきます。
一番最後に喘ぎ喘ぎOchi氏が到着です。
ここでアイゼンを外し休憩します。

 Ochi氏の話では、あの尻皮の男性がこの右股は本谷ではないのだが・・・と言って登っていたといいます。
何ということでしょう。
私は、この男性が3年続けて本谷へ来ているといっていたのでこのコースを一番熟知していると思い、この男性がみんなの後を登っているので三ツ股はまだ上にあるかと思っていました。

 でも、それは私の思い違いだったようです。
この男性も先を登る人達にツラレて登る「付いていくだけの人」だったようです。
そういう私も、この時点では「付いていくだけの人」でしたので偉そうなことは言えません。

 でも、本峰と本谷上部の姿を見ることが出来たのですからOKとします。
それにしても、本谷上部にシュプールが刻まれています。
この谷をスキーで滑った人がいるようです。
なかなか勇気のある人ですね。

 結局、山頂に着いたのは12:55分、約7時間30分ほどかかって本谷を登ったことになります。  
  
   
    見づらいかもしれませんが右股を登ったルートを赤い線で示してみました。
    こうやってみるとなかなかのところを登ったものです。

 この日は天気の恵まれコースミスはあったものの充実した登山でした。
本谷は雪崩のデブリがあちらこちらにあり、なかなか凄い谷だと思いました。


芦別岳 11年5月

2011-05-27 21:43:15 | 芦別・夕張山系の山
 5月も下旬になって芦別岳(1,726m)のユーフレ川本谷を登る計画を立てました。

 この時期の本谷は、残雪と枝沢からの雪崩などが沢を埋めているために最短距離で山頂へ行くことが出来ます。
ただし、ネックがありまして中流部に深いゴルジュがあります。
このゴルジュの雪が融け沢が顔を出していると高巻きに1時間以上を要するだけでなく高巻く個所が岩場ですので相応の危険もあります。

 そんなわけで、この本谷を登るには枝沢からの雪崩が落ち着き尚かつゴルジュがタップリの雪で埋まっている5月のゴールデンウィーク明け辺りから中旬がベストとされています。

 そういった意味では今回の25日という日程は少し遅いのですが、昨年は5月30日に同じコースを歩いており、ゴルジュの雪がまだまだタップリあったのに味をしめての計画となってます。

 昨年もこの本谷を登ったのですが、三つ股からコースを外れ右股を登ってしまったため本谷を最後まで詰めるためといつも一緒に行くO氏がこの本谷を登ったことがないというので計画しました。
 (昨年の本谷山行は、あらためてブログにアップしたいと思います。)
S氏は自宅の屋根と壁の塗装作業があり同行できません。
替わってO氏が所属している山の会の会員であるK氏が一緒に行くことになりました。


 5月24日、
 
 仕事が終わってから市内某所に集合し一路芦別岳の登山口となる富良野市山部にある「太陽の里キャンプ場」を目指します。 
札幌から2時間半ほどでキャンプ場に着きました。
あいにく降りだした雨の中でテントを立てて寝てしまいます。
この雨は天気予報では夜半で止むということです。

明日の天気は回復し曇りのち晴れです。
安心して雨音を聞きながら寝てしまいます。


 5月25日、

 4時に目を覚まし早速朝食(いつもの餅入りラーメン)を食べて登山準備をします。
テントを畳むと5時45分出発です。

空模様は曇りですがところどころ明るいところもある空です。
天気予報通り回復傾向にあるようです。

 登山道はユーフレ川の左岸に沿って登ります。
何カ所かの高巻きがあり結構な時間が掛かります。

 最初の難関に到着です。
三段の滝下を渡渉しなければなりません。
    
    写真のように倒木が1本丸木橋のようにありますが、この木は沢水などで
   濡れており滑りそうです。
    結局、丸木橋の上部をエイ、ヤット気合いで飛んで渡ります。
   この時期は、いつもこの渡渉で緊張させられます。

 この渡渉を終えるともう少しでユーフレ小屋です。

7時30分、ユーフレ小屋に到着です。
   
    最近は、このユーフレ小屋を使う人が少ないようです。
   随分古い小屋ですので老朽化していることに加え窓が小さいので薄暗く
   暗い印象の小屋のせいでしょうか。

 ここで休憩を取ったのですが、小屋の回りを見ると昨年夜大分雪が少ないようです。
昨年は、この小屋の前にも雪がありました。
ちょっと嫌な感じがします。

 小屋を立ち、いよいよ本谷の遡上が始まります。
案の定、沢が開きゴーゴーと水音がしており沢を埋める雪の姿が見えてきません。
ドンドンゴルジュに近づいていきます。

 ゴルジュの手前で雪が姿を見せてきましたが、その前に渡渉をしなければなりません。
予想外のことですが、左岸から右岸への渡渉が必要です。
   
   この渡渉も際どいところで1メートルほどの岩を飛んで何とか渡ることが出来ました。

 さらに進みますが所々沢が口を開けて行く手を阻みます。
   
   左岸の岩をへツリ何とか先へ進みます。

 やっとゴルジュが見えてきました。
   
    何ということでしょう。
    ゴルジュの手前の雪が融けてぱっくりと口を開けています。

 でも、よく見ると左岸を何とかへツリその先にある雪の上に出られそうです。
慎重に歩を進め何とかクリアします。
   
    ゴルジュを抜けたところです。
 
 でも、さらにその先に沢が口を開けているのです。
   
    ここも左岸の岩を慎重にヘツリます。 
   
    ここから先はどうやら雪の上を歩けそうです。

 8:20分、緊張続きでゴルジュを何とか越えて、ホット一息です。
ここでアイゼンを付けることにします。
   

   ここ川は沢を埋めた雪の上を快調に登ります。
   
   でも油断は禁物です。
左右の岩壁の上から落石があるかもしれません。
上と左右に気を配り耳を澄まし五感を働かせながら登ります。
   
    こんな岩崩れが沢を埋めたり
   
    雪崩れた雪が沢を埋めています。

   時々上空の雲が切れると山頂部に続く稜線が顔を見せてくれます。
   

 9:25分、三ツ股の直ぐ下まで登ってきました。
ここで休憩してじっくりと沢筋を確認します。
昨年はここでコースを間違えて右股へ入ってしまいました。
   

   右股から雪庇が崩れたのか背丈以上ある大きなブロックがドーンと沢の上にあります。
   
   こんな大きなブロックが崩れたのに遭遇してしまったら逃げようがありませんね。

 今回はこの三ツ股から慎重にコースを選び本沢を詰めます。
しかし、この三ツ股からは一層斜度がきつくなり辛抱の登りが続きます。
   

 山頂下でやっと雪とお別れです。
ここからは夏道が顔を出しています。
アイゼンを脱いで一息つきます。

 私は、いつもミルクティーをテルモスに詰めて持っていくのですが、この一杯のミルクティーが力をくれます。

 11:50分、山頂に到着です。
ここまで約6時間、みんな頑張りました。

   
    左が今回初めて一緒に登ったK氏、右は本谷を初めて登ったO氏です。

 今回の本谷はゴルジュが開いているという最悪の条件でしたが、3人が力を合わせて何とか山頂まで登ってくることが出来ました。

 山頂は雲に覆われていましたが、時折雲が薄くなり辺りの景色を見せてくれます。
    
    下山路となる雲峰山の姿です。

 当初の計画では、本谷を遡上し本谷を下降するつもりでしたが、ゴルジュが開いていることもあり手軽で確実な新道を下ることにしました。

 山頂下でゆっくり休んだにもかかわらず、離れがたい山頂で再度休憩を取り軽く昼食を食べます。

 雲の切れ間から姿を見せる旧道の尾根などを見ながら至福の時間を楽しみます。

12:15分、 山頂を後にします。

 途中の雲峰山で本谷から旧道の尾根が姿を見せたのでコースの確認をします。
 (昨年登った右股をあらためて確認しましたが、なかなか凄いところを登っていました。)
   

 夫婦岩に刻まれているXルンゼの姿もハッキリと確認できます。
  

 後は半面山(13:15分)から鶯谷(14:00)へと退屈な下降が続きます。
鶯谷の辺りは昨年より雪が残っているように感じました。

そしてようやく新道の登山口です。
そこには登山口に不釣り合いな金網のゲートが作られていました。

 15:30分、ゲートから出てやっと本日の登山の終了です。
しかし、このゲートは何のために作られたものなのでしょうか?


 今回歩いたルートのログを地形図に落としました。 
   
  


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  芦別岳は北海道には珍しい岩稜を持っている山です。
 旧道から見た山頂は槍が岳のように尖った岩峰です。
 しかし、旧道は距離が長く登り返しも多いのでタフなコースです。
 そのため、新道から登る人が圧倒的に多いのです。

  私は、旧道からしか登ったことがありません。
 圧倒的な迫力で迫る夫婦岩の岩肌は畏怖感を抱かせるものです。
 ぜひ一度は歩いていただきたいコースです。

再度、オプタテシケ山へ! 10年5月

2011-05-19 05:53:21 | 十勝岳山系の山
(この記録は昨年のものです。昨年の残雪期にオプタテシケ山、芦別岳本谷、ニペソツ山へ登っていたのですが、ブログにアップしていませんでした。)

 5月23日、前月に途中で敗退したオプタテシケ山(2,013m)にIさんと二人で再挑戦しました。

 前日に殿狩橋から数キロ入ったところで1泊。
前の月には林道が除雪されておらず入れなかった林道も雪が融けています。
     
     テントサイトはこのようにすっかり雪が融けています。

 朝6時15分、雪があるところまでシートラで林道を歩きます。
空はどんよりとした曇り空です。
5分ほど歩くとテントが一張りあります。
私達と同じオプタテシケ山を目指しているのでしょうか。

 20分ほどで三股橋へ到着です。
この辺りからようやく林道が雪で覆われているのでスキーで歩きます。
     

 7:00、林道の最終地点、雨量観測機器のある場所に来ると3人ほどの人が休んでいます。
この人達はコスマヌプリへ行くといっています。
お互いに地図を見てコースを話し合います。
    

 ここからは前回歩いたようにオプタテシケの山頂から続く大きな谷に向かって林の中を歩きます。
森林限界を越えると一気に傾斜ガ増してきます。 
ジグを切って我慢の登りが続きます。
    

 前方に左手からハイ松が見えてきます。
このハイ松はこの先の上部に向かって続いています。
そこで、下の方でこのハイ松を越えて1本西よりの谷を登ることにします。
    
 この谷に残っている雪が山頂まで続いていることを前日確認してあります。

 登るにしたがって雲が薄くなってきます。
Iさんに「うまくいくと一面の雲海が楽しめるかもしれない。」といって頑張るようにいいます。

 ドンドン傾斜がきつくなってきます。
ジグを切ってスキーで登るのも難しくなってきます。
1,900m地点でスキーをデポします。
これから上は雪が細い回廊のようになっており、スキーで登るのが難しいためです。
    
 登るにしたがって雲が切れて青空が広がります。
    

 11:15分、山頂に到着です。
十勝側は一面の雲海です。
その雲海が十勝岳から大雪山に続く山並みがまるで堤防のようになって上川側に流れるのを堰き止めています。
 
 その雲の上にトムラウシ山が顔を出しています。
    
 
 十勝岳も雲に浮かんでいます。
    

 でも山頂は快晴です。
    
 
 トムラウシ山へ続く縦走路はまだまだ雪で真っ白です。
    

 オプタテシケ山は上川側に大きな谷を持っています。
    

    
 雲海を楽しみ、ポカポカと暖かい山頂でゆっくりと休んだ後は楽しみなスキーによる大滑走が待っています。

 12:20分、山頂から一気にデポ地点へ降ります。

 スキーを履きますが、また雲の中で見通しが悪くなっているので慎重に滑ります。
少し標高を落とすと一気に視界が開けてきます。
気持ちよくスキーを滑らせドンドン降ります。

 ここでコースをミスしてしまいました。
林道最終地点に向かって降っていたのですが、小さな沢が前方に出てきます。
これを右に越えていったのが間違いでした。

 地図を何度か確認し、Iさんの持っているGPSを確認して、やっと林道最終地点に戻ります。
この時期の雪面は固くトレースが残らないのでよほど注意して降らなければトレースを見つけることが出来ません。
ちょっと調子に乗ってスキーを滑らせすぎました。

 14:30分、三股橋に到着。
ここからスキーをシートラしてテントサイトへ向かいます。

 14:50分、テントサイトに到着です。
テントを畳んで撤収です。

 前回は途中敗退でしたが、今回は山頂へ行くことが出来ました。
一面の雲海をも堪能できた満足一杯な山行でした。        

再び群別岳へ 11年5月

2011-05-13 08:43:28 | 暑寒別・増毛・樺戸山系の山
2週間前の群別岳、先週のトヨニ岳と思うように登れない山が続いていました。
そこで、再度、群別岳に狙い定めて山頂を目指すことにしました。

 5月12日(木曜日)今日の天気予報は晴れです。
朝4時に札幌を発ちます。
順調に走り浜益の市街を過ぎ群別の集落から群別川に沿った林道へ車を入れます。
前回から2週間ほど経っていますので随分緑が濃くなった気がします。

前回駐車した辺りもまったく雪がありません。
林道に雪がないので林道ゲートまで車で入れるかと思いゆっくり走ります。
林道ゲートにつきました。
   
    (前回の写真と比較してみてください。雪の状態が分かると思います。)
 
ゲートの先も林道の路面が出ています。
どうやら除雪したようです。
ちょっと計算外でした。
というのは、今回はスキーで登るつもりだったからです。

 仕方がないのでスキーをザックに縛り付けシートラで行くことにします。
6時ちょうど林道ゲートを後にします。

 小鳥のさえずりを聞きながら林道を快調に歩きます。
最後の橋を渡り、林道分岐まで来ると除雪はここで終わっていました。
山菜取りの人の物なのか原チャリが2台止まっています。
ここまで約25分、ここからはスキーを履いて歩きます。
    
    
 ここから雪の上を歩きますがところどころ3カ所くらい林道上に雪のないところがありました。
そんなところはスキーを脱いで肩に担いで歩きます。

 林道の終了点先にある渡渉点はかろうじて雪が残っていました。
沢のあちこちが顔を出しています。
その渡渉点を渡り609mの台地へ上がる急な斜面に取り付きます。
この斜面の一部には雪が付いていないところがあるのでコースを選びながら雪を繋いで歩きます。

 台地に出てホッとしながら歩いていると後ろの方でガサガサと音がします。
熊かなと思ってビックリして後ろを見ると単独の男性がスノーシューを履いて登ってきます。
「おはようございます!」と挨拶をして「群別岳ですか?」と聞くと「そうです。」と短い返事が返ってきます。
そして足早にスタスタと歩いていきます。
その足の速いこと。
見る間に木立の陰へ姿が消えます。

7:55分、約2時間ほど歩き通しなので私はここで休憩を入れます。
天気は快晴、風もなく幌天狗から群別岳、奥徳富岳も2週間前とあまり変りない真っ白な姿を見せてくれています。
   
    ここから群別岳と幌天狗にコルに伸びる沢を目指します。

 この台地状の斜面をゆったり登っていくと雪庇のある尾根にぶつかります。
私は、この尾根を幌天狗に向かって少し登り、そこから沢の入り口目指して歩きます。
なぜそうするかといいますと、尾根を降りたところは数本の小沢が幌天狗側から入り込み、ちょっと複雑な地形をしているからです。
そんな面倒なところにはいるくらいなら全部ひっくるめて越えられる幌天狗よりの斜面を歩いた方が早いと思ったからです。

 コルに続く沢に入る手前に群別川の本流方面からこちらに向かってくる足跡があります。
近づいてよく見ると熊の足跡でした。
昨日か今朝方の足跡でしょうか?
雪面にクッキリとした足跡でしたので、あわて辺りを見渡しましたが熊の姿は見えないので沢の中へ入ります。

 前方に滝が見えてきます。
    
     水量もありなかなか立派な滝です。

 さきほど挨拶を交わした人はもう滝の下にいます。 
そして左岸を登り出しました。

 私は滝の手前から左岸の斜面を登ることにします。
かなりの傾斜があり雪も固いのでスキーアイゼンを付けて登ります。
    
     一番上に見えている岩を目指します。

 この尾根は群別岳の山頂から南に続く稜線です。
小さなコルを隔ててゴジラの背の様な岩尾根を持っています。
私はこの岩尾根の南側を目標にしてジグを切っていきます。

 9:15分、大斜面の途中で休憩します。
雪の表面が融けてきておりアイゼンの利きが今一つです。
それをごまかしながら登ってきたので少し疲れました。

 一歩登るごとに高度が稼げ幌天狗の向こうに浜益岳が顔を出してきます。
それを励みに登っていくとやっと稜線に出ます。
目の前に奥徳富岳の両手を広げたような稜線が目に飛び込んできます。
南陵の岩尾根も大分大きく見えてきます。

 岩尾根の下に着きました。
ここからのコースが難題です。
遙か下に見える群別川の本流まで大斜面が続いています。
雪の状態がザクザクと融けておりスキーアイゼンは利かないようです。
この斜面をトラバースしなければなりません。

 雪の腐り方からスキーでトラバースをするのは無理だと判断しました。
そこで再度シートラすることにしてスキーをザックに括り付けます。
そして2百mほどのトラバースに挑戦です。

目の上には岩尾根が続きます。
その岩から落ちた雪が原因で小さな雪崩れが起きています。
岩から雪が落ちてくるのに注意を払いながらキックステップで足場を作り緊張のトラバースをこなします。

途中では、雪面に亀裂などが入っており雪面を刺激しないように神経を使いました。
キックステップも数回蹴り込んでやっとステップが決まるような柔い雪ですので苦労しました。

やっとトラバースを終えコルに続く平らな斜面に出ます。
ノドがカラカラなので飲み物を飲んで一息入れます。
ここまで来ると本峰が目の前で呼んでいます。
    

 本峰とのコルにスキーをデポして最後の登りです。
15分ほどでやっと念願の山頂に到着です。

 11:15分、山頂です。
   

 ここからの眺めは最高です。
日本海の向こうには札幌近郊の山が見えます。
その右手には羊蹄山から積丹の山々も見えます。

 反対側には遠く大雪山から十勝岳の山並みも見えています。
この山並みを見ながらゆっくり休んで昼食を取ります。
山頂から南側の斜面は雪が融けて灌木が顔を出しています。
その斜面は風が当たらず太陽の光を受けて暖かいのです。

    
    南陵の岩から幌天狗までの尾根です。

    
    浜益岳です。奥に見えるのが雄冬山でしょうか。

    
    暑寒別岳です。

    
    隣の山、奥徳富岳です。

 山頂は暖かく正面に見えるのは積丹から羊蹄山。
こんなに山頂でノンビリしたのは久しぶりです。
やはり、春山は良いですね。
風は暖かく気持ちがノンビリしてきます。

 でも、いつまでも山頂にいるわけにはいかないので下山することにします。
1145分、下山開始です。

まずは山頂からコルにデポしたスキーを回収しなければなりません。
柔い雪に足を取られながら慎重に降ります。

 コルに着くとスキーを履いて先ほどトラバースしてきた南陵の南斜面を降ります。
早いこと、早いこと、あれだけキックステップを刻んで苦労した斜面がものの数十秒で南陵の尾根に到着です。
この尾根もアッという間に降ります。
    
     シュプールですが、見えるでしょうか?

 南陵から滝を目指して沢底へ滑り降ります。
何度か止まりながら降りますが、足が疲れて攣りそうになります。
その足を騙し騙し滑っていましたが、腐った雪に足を取られ転んでしまいました。
転んだ拍子に胸元から雪が入りましたが、今日はそれさえも気持ちがいいです。

 ここからの降りはツリそうになる太腿との格闘でした。
限界に近い太腿を騙し騙し降り駐車場に着いたのは14:05分、約8時間の登山でした。

 今日は天気に恵まれ最高の登山が出来ました。
今年最後のスキーを楽しめましたし、何といっても久しぶりに山頂も踏めました。
満足、満足な1日でした。
身体はボロボロですが、充実した気分で心は一杯です。


  最後に参考のためにGPSトラックデータを落とした地図を貼っておきます。
  
 みなさんもぜひ登ってみてください。    
  

山の本

2011-05-07 09:45:06 | その他
 4月下旬の朝、新聞の朝刊を見ていると薄野にある「石川書店」さんが閉店するとの記事が出ていた。
「石川書店」というのは、いわゆる古本屋さんなのですが、山岳関係図書の古書も沢山ある書店です。
私は、高校を卒業してから札幌に出る度にこの本屋さんにある山関係の本を見るのが好きでした。

記事によれば、経営者の石川昌治(64歳)さんの健康上の理由などから閉店を決断したとあります。


 私は40年近くのブランクを経て登山を再開していますが、昔持っていた本で気になっている本がありました。
それは、深田久弥さんの著書「日本百名山」です。
こう書くとおまえも百名山に登るつもりか?と思われるかもしれませんが、私は百名山ピークハントにはまったく興味はございません。

 この「日本百名山」の本は、昔、買って持っていましたが、誰かに貸したまま戻ってきていない本なのです。
そこで、石川書店にあれば買いたいと思ったしだいです。

4月のゴールデンウィーク前に行って来ました。
うず高く積まれた本棚の前の狭いスペースにお客さんが溢れています。
目的の日本百名山を見つけました。
昭和41年3月10日7刷の本です。
ほぼ、私が買っていた本と同じ刷に間違いありません。
ちなみに、初版は昭和39年7月20日発行です。

この本を買った当時、登山ブームの真っ盛りでしたが、この日本百名山を読んでピークハントをしようという人は少なかったと思います。
というより、まったく一般的な読者の話題になるほどの本ではなかったかと思います。
逆に、なぜあの山が百名山から漏れるのだ?という疑問の方が多かったような気がします。

北海道でいえば、阿寒岳には異論が多かったと思います。
ご承知のように阿寒岳なる山は存在しません。
雄阿寒岳、雌阿寒岳の二つの山をひっくるめて阿寒岳としたのはいかにも酷すぎます。
著者の深田久弥は雄阿寒岳には登りましたが雌阿寒岳には火山活動が活発な時期であったため中腹までしか登っていません。

阿寒の山が百名山にランクされる不思議と、芦別岳やニペソツ山が入っていないことの不満が多かったような気がします。
そんなことで、山に登る人でもこの本を買っていない人は沢山いたと思います。

私は、本州の山のことは何も知らないのでこの本を買い求めました。
そして北アルプスなどの山々の項目に目を通していました。
最近の百名山ブームなどは著書が考えもしなかったことでしょう。

こんな経緯があって、「日本百名山」を古書店で探そうとしていた矢先に石川書店の閉店ニュースを目にしたわけです。

    
    左の本が「日本百名山」、右の本は槇有恒著「わたしの山旅」です。

 一緒に求めた「わたしの山旅」はいい本だと思います。
日本山岳史上、創生期の事情からマナスル登山まで著者の経験した事柄が淡々と書かれており好感の持てる本です。
ぜひ、山に登っている若い人にも読んでもらいたい本ですね。

天候の悪いゴールデンウィークにこれらの本を読みながら山に対する「想い」を深めています。

 
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  石川書店

  住所:札幌市中央区南4条西4丁目

  電話:011-251-2357

  いつ閉店するか決まっていないようですので、
  行ってみたい方は、事前にお問い合わせした方がいいかと思います。

なお、セール価格として全商品50%offのようでした。
  気になっている本が絶版となっている場合は、
  ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか?
 

トヨニ岳(南日高)・敗退、11年5月

2011-05-05 07:21:57 | 日高山系の山
ゴールデンウィーク後半は南日高にあるトヨニ岳(1,493m)へ行きました。

 5月3日の午後札幌を発ち、天馬街道にある道路情報センターを目指します。
この情報センターには広い駐車場とトイレがあります。
ここで前泊してトヨニ岳を目指すというのが今回の計画です。

 道路情報センターに着くと駐車場に数台の車が止まっています。
トイレの中へはいると入り口の中に寝袋を開いて泊まる準備をしている人が数人います。
ここは暖房が入っており暖かいのです。

 私は駐車場脇の芝生にテントを立てるつもりでしたが外は冷たい風が吹き寒いので車中泊に切り替えました。

 5月4日、朝、目を覚ますと曇り空です。
でも上空は明るいので登山準備をしてトヨニ岳の登山口となる野塚トンネルの十勝川入り口へ向かいます。
先客の車が3台止まっています。
雪の状態を見ると2週間前よりは大分少なくなっていますが、尾根を登ることは出来そうです。

    
    駐車している車のフロントガラスにうっすらと霜が付いています。

 5時40分、準備が整ったので出発します。
まずは渡渉をしなければなりません。
沢が開いているので慎重に渡渉点を探します。
幸いに駐車場の直ぐ裏にいい場所がありました。
    
    この渡渉がうまくいくか心配していたので、まずはホット一息です。

 しかし、ここから稜線に出るまでは急登が続きます。
雪の状態は、表面が少し固いのですがその中はサクサクの状態です。
深く蹴り込むとこの固い表面の雪を突き破り膝まで埋まってしまいます。
足を取られながら辛抱の登りが続きます。
登るにしたがって空が明るく感じるのが唯一の楽しみです。

 稜線に近づくにしたがって小雪がチラチラしてきます。
でも、風が全くないのがすくいです。

 7時35分、約2時間かかってやっと稜線です。
視界は2百~3百メートルといったところでしょうか。

     
     野塚岳方面はこんな具合です。
この稜線を2週間前に歩いてきました。
今日はここから反対方向に向かって歩きます。

 かなり少なくなった雪を繋ぎながら稜線を歩きます。
時々風が吹いてきますが、それほど強くないので先へ進みます。
コブを越えたところで前方に緑色のテントが見えてきます。
     
     「こんにちは!」と声を掛けると「だれですか?」と返ってきます。
 テントから顔を出した人は私と同年代の男性でした。
2人で昨日ここまで登ってきたと話してくれます。
「昨日は登る時に足を取られて参りました」などと話してくれます。

「今日はどうするのですか?」と聞きますとこの天気なので下山しようかと思っていますが、お酒がまだ残っているのでもう少し様子を見ます。」といいます。

私は、「もう少し先まで行ってみます。」といって別れます。
ここからも小さなコブを幾つか越えて歩きますが、なにせ、視界がドンドン利かなくなってきます。
    
    雪庇の上を歩きますが、それでも時々足を取られて膝まで沈んでしまいます。

 また、狭い岩稜となっているところもあり、そんなところはハイ松の上を慎重に歩きます。
少しずつ風が強くなり雪も強く降ってきます。
吹雪模様になってきたので引き返すことにします。
     
     この先の稜線です。

 8時20分、ここから引き返したのですが、次第に風雪が強くなり左の頬が冷たくなってきます。
左の眉毛に吹き付ける雪が凍り付きつららができます。

先ほどのテントの横を通るときに「吹雪になってきたので、先に降ります。」と声を掛けます。
稜線は先ほど歩いた足跡が雪で隠れています。
視界も利かなくなってきているので慎重に足元を確認しながら歩きます。

 9時15分、尾根を上ってきた地点人にたどり着きます。
ここからは駐車場に向かって降るだけです。
稜線から少し下ると風が一気に収まります。
ここで一息ついて、飲み物とチョコレートを食べます。

 ここからは一気に降ります。
といっても油断すると表面の固い雪を踏み抜き膝まで埋まってしまうので転ばないようにバランスを取って降ります。
40分ほどで沢に着きます。

 10時ちょうど、駐車場に戻ってきました。

やれやれ、こんなに吹雪くとは思っていませんでした。
駐車場の車に2~3センチの雪が積もっています。
    

 道路の路面も白くなっています。

 私の車は夏タイヤに交換してありますので、雪の路面だとスリップしてしまいます。
道路を行く見るとまだシャーベット状の雪ですので、気を付けて走れば大丈夫でしょう。

 しかし、トンネルを抜けて日高側に出ると道路に雪は積もっていません。
ホッとして一路札幌を目指して帰路につきます。


  今回のログ
  

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
 
  ゴールデンウィークに雪が降る!
 北海道では珍しいことではありません。
 最近は暖冬といえ、後ルーデンウィーク明けまで油断は出来ません。
 石北峠や日勝峠など峠越えをする場合には冬タイヤを替えません。
 早朝や深夜などに走行する場合、路面の水が凍っている場合もあります。

 今年のゴールデンウィークは天候が悪いせいもあり成果のある登山が出来ませんでした。
 残雪期のシーズンも終わってしまいます。
 でも、今月中に芦別岳の本谷を登る予定です。
 晴天になればいいな~ぁ!

群別岳・敗退 11年4月春

2011-05-01 08:48:02 | 暑寒別・増毛・樺戸山系の山
今年のゴールーデンウィークの天気は今一つです。
天気予報を毎日チェックしているとどうやら30日は天気がいいようです。
ただし風が強いようで、予報では高度1,800mあたりで0mを超えるようです。
この風の強さでは日高の稜線を歩くことは出来ません。
そこで、浜益にある群別岳(1,376m)に行くことにしました。

群別岳に夏道はありません。
ですから、残雪期に登るか沢を詰めるしかありません。
増毛は日本海に面しており豪雪地帯です。
この時期でもタップリの残雪があります。

朝6時に札幌を出発して登山口となる石狩市浜益群別に着いたのは7時半です。
林道には雪が残っていますので、ここの車を置きます。
先行者の車が4台駐車しています。

8時前に出発です。
この辺りは標高も低く風は穏やかで太陽がまぶしく輝いています。
少し表面の融けた林道を歩きます。

25分ほど歩いたところに林道ゲートがあります。
          このように林道は雪ですが、連年に較べて多いのでしょうか?
     私は、この山が初めてですので分かりません。

 ここからひたすら林道を歩きます。
延々と2時間ほど歩くと、やっと、林道とお別れです。
小さな沢を渡りいきなりの急斜面を登ります。
この斜面を登りきるとゆったりとした斜面が続いています。
その斜面を登りきったところでやっと群別岳とご対面です。

        のこぎりの歯のように黒々とした岩峰が群別岳です。
    なかなか良い姿をしています。
 
 群別岳から左手に続く真っ白い稜線の中央にあるのが幌天狗(1,222m)です。
   

 そして、群別岳から右手の稜線に続くのが奥徳富岳(1,346m)です。


群別岳に源を発する群別川を取り囲む山々です。
すべての山が真っ白に輝き神々しい景色を作り出しています。

ここから登山コースは群別岳から左手に幌天狗とのコルを目指して登ります。
まずはコルへと続く沢の入り口へ行かなければなりません。
ここからは、よく見ると小沢が入り組んだなかなか複雑な地形となっています。
沢の入り口を目指すには幌天狗川の斜面に近いところを歩けばいいと思い少し左手に続く尾根状の斜面を登ります。

この辺りで一緒に来ているO氏の足が止まってしまいます。
どうやら寝不足で体調が思わしくないようです。
ここから山頂までO氏の足だと3時間は掛かってしまいます。

ここで潔く撤退を決めて昼食を取ります。
時折吹く風に身体を冷やし幸せな時間を満喫します。


しかし、ここからの下りは辛かったですね。
朝より融けた雪に足を取られ思うように歩けません。
一歩一歩を踏みしめながら歩くので疲れます。
そして、林道の長いこと、長いこと!

駐車している車が見えたときは、ホッとしました。

今度来るときはスキーにしようと思いました。


 参考のためにログを貼っておきます。