井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

剱岳から立山、大日三山を回る・その3

2012-12-31 07:47:55 | 北アルプスの山
 9月10日

 身支度を整えて食堂へ行くと窓の外は真っ白です。
玄関を出入りしている人達が口々に「寒い!寒い!」といってます。
確かに玄関から吹き込んでくる風は冷たい風です。

 朝食を済ませて出発の準備をします。
今日は立山を越えて室堂までですので時間はタップリあります。
受付にいる小屋番の男性にお礼を言って玄関をでようとすると「これ、記念に!」といってキーホルダーをくれます。
今回、Akさんのザックを受け取ったことで随分便宜を図ってもらいました。

 さて、玄関を一歩でると冷たい風がワーッと身体に当たります。
小屋の温もりを身体から一吹きで奪うような風です。
私の出で立ちは、ウインドブレーカー代わりに着ている雨具のジャケットの他はいつもの服装です。
下はズボンだけです。
でも、この服装で我慢できないことはありません。
なんせ、真冬でもズボン下は素肌という生活を何十年もしているのです。
真冬の北海道に較べれば寒いといっても我慢できないはずはありません。

 6:30分、剱御前小屋から砂礫地の急な登りをゆっくり登ります。
少しずつ身体が暖かくなってきます。
視界は20~30mほどでしょうか。
天気が良ければ左手には目の下の剱沢から剱岳が見えるはずなのです。

 モクモクと歩きます。
登山道の横にあるハイ松を見ると白いものが枝先についています。
よく見るとエビのシッポでした。
   
 これにはビックリしました。
寒いと思っていましたが、まさか9月の中旬で本州の山でエビのシッポを見るとは思いもしませんでした。
本州といえども三千メートルの山は侮れないですね。

 傾斜が緩くなってきたと思ったら前方に何か黒い影が見えてきました。
   
   どうやら別山山頂のようです。

 6:55分、別山山頂に到着です。
   
    社はしっかりとした石積にガードされています。
この社の奥に剱岳が見えるはずなのですが・・・
寒いので手を合わせるだけにして先へ向かいます。

 いくつかのアップダウンを繰り返しますが、それほど大きなものはありません。

 7:35分、真砂岳への分岐で一休みします。
風が強いのでハイ松の陰に隠れます。
ここで、真砂岳へ行くか考えましたが、この天気ですので山頂に着いても何も見えないはずです。
何も見えない山頂は興味がないのでパスすることにしました。

 8:05分、富士の折立に到着です。
   
    後ろのボーッとした黒い岩山が富士の折立山頂です。

 ここも休まずに先へ向かいます。
10分ほどで大汝山休憩所に着きました。
   
    ここで一休みします。
 この大汝山休憩所には管理人の方が1人いました。
今日は天気が悪いので休憩料はいらないといいます。
この休憩所は非難小屋も兼ねているので悪天時には登山者の非難小屋として使うためだと教えてくれます。
 
 管理人話では、昨夜の寒波で外にある水のタンクからの配管のとこかが凍ってしまったようで水が使えないといいます。
ストーブの上のヤカンに私の持ってきた水を入れて湧かします。
そのお湯でコーヒーを入れてくれたので、ストーブに当たりながらいろいろな話をしました。

 興味を引いたのは、この周辺には遙拝所が数多くあるようだとのことです。
大学の先生がそれらの研究に来ているようです。
また、ここから見える剱岳は素晴らしくいろいろな天候の中で写した写真なども見せてくれます。
話に花が咲いて、何と3時間近くもこの小屋で時間を潰してしまいました。

 11:00分、小屋の直ぐ脇にある大汝山に登り、雄山へ向かいます。
   

 20分ほどで雄山に到着です。
時折雲が薄くなって上空が明るくなってきました。
   
    社殿の前からうっすらと山頂が見えます。
   
    社殿の全景です。

 山頂へ向かうと関所のような柵で囲まれています。
   
   この柵の奥にはいるにはお金がいるようです。
看板には、この先の土地は立山神社の所有地とあります。
何と入山料を取るというのです。
ちょっと商業的な胡散臭さを感じてしまいました。
山頂からの景色がそれほどいいわけでもないので柵の外から写真を写してお別れです。
   
 
 雄山から一の越へ向かって降ります。
途中で雲は切れてきます。
   
    室堂が見えてきました。
   

 一の越までの登山道は大小の岩がゴロゴロしており足元に浮き石も多いです。
注意しながら降っているとこの寒さの中手袋もしないで登ってくるお年寄りがいます。
手が冷たそうなので私の手袋を譲って上げます。

 12:00分、一の越山荘に到着です。
   
    なかなか立派な小屋でした。

 ここから室堂までは綺麗に整備された石畳の道を降ります。
   
   この石畳の道は綺麗なのですが登山靴で歩くのはゴツゴツしてとても歩きにくいです。
かかとが痛くなってきます。

   
    途中にあった祓堂です。

 13:00分、室堂に到着です。
早速、室堂ターミナルの中にある売店でAKさんのザックを荷造りして宅配便で送ります。
段ボールやガムテープは剱御前小屋で貰ってきましたので作業は簡単です。
Akさんにザックを送ったとの連絡も入れておきます。

 ターミナルの中は人で一杯です。
今日は天気が悪いので散策する人も少ないようです。
   
    ターミナルをでるとパーッと雲が晴れて立山が見えてきました。

 ここから今日の宿となる雷鳥沢ヒュッテへ向かいます。

   
    みくりが池です。

 そして地獄谷を通ります。
   
    亜硫酸ガスが吹き出ています。
    このガスを吸い込むと咳き込んでしまいます。
   
    ガス警報装置がありました。

地獄谷を少し登ると雷鳥沢ロッジが見えました。
   

 13:30分、今日の宿へ着きました。

 このロッジには温泉があります。
早速、3日間の汗を流しに温泉へ向かいます。

 昨夜泊まった剱御前小屋は、水源が無く雨水しか使えないため水は貴重品でした。
しかし、剱御前小屋から真っ直ぐ降るならわずか2時間ほどの距離にあるこの室堂は
水は豊富なばかりか温泉まであるのです。

 今日は汗を流し綺麗な身体になったのでグッスリ寝ることができます。
   
 

   

2012年12月・今年初めての山スキー・黒岳

2012-12-28 21:04:21 | 大雪山系の山
12月24日(月)

 今日は大雪山・黒岳へ今シーズン初めてとなる山スキーに行ってきました。
折りからの寒波で北海道はすっかり冷え込んでいます。
札幌を6時前に出発して層雲峡へ着いたのは9時を回ったところでした。

 途中にある気温表示を見ると-18度を指しています。
そんな中、層雲峡温泉からまずはロープウェイで5合目まで行きます。
そこから少し歩くのですが、リフトに乗り継いで7合目を目指します。

   
    ロープウェイから見た景色です。真っ青な空に白く輝く大雪の山並みです。
    木々は樹氷に覆われています。

   
    リフト乗り場です。
    正面に黒岳の山頂がクッキリと見えています。

   
    リフトから見た黒岳山頂です。

 今日は快晴無風と今までにない最高の天気です。
しかし、寒いです。
歩く度にギュウ、ギュウ、雪が軋む靴音がします。

 7合目でスキーにシールを貼って登山準備をします。
寒さのためシールの粘着力が弱くなっています。

 9:40分、山頂に向かってジグを切って登ります。
雪質は固く締まっています。
極上の粉雪という雪ではありません。

 石狩川を挟んだ正面にニセイカウシュッペ山が見えています。
   
 もう少し右手の奥には、秋に登った武利岳と武華岳も見えています。

 ジグを切って登っているとクラストした斜面があります。
この斜面を登っているとシールが剥がれているのに気がつきました。
シールをビニールテープで3個所ほどスキーと一緒に巻き付けて応急措置を取ります。
 
   
    まねき岩が見えてくると山頂はもうすぐです。

 11:20分、山頂に到着です。
山頂は風もなく静かに私達を迎えてくれます。
目の前には今までもお目に掛かったことのない大眺望が目に飛び込んできます。
こんなに見えたのは初めてです。
   
    一番奥は白雲岳です。
   
    手前が凌雲岳、奥が北鎮岳です。

 せっかくですので3人で記念写真を写します。
   
    左から私、Sz氏、Sg氏です。

 さあ、シールを外してヘルメットを被り滑降の準備をします。

 ここから7合目までの滑降シーンはユーチューブをご覧ください。

  http://www.youtube.com/watch?v=hoLDvg8dj-c&feature=player_detailpage


剱岳から立山、大日三山を回る・その2

2012-12-27 20:16:10 | 北アルプスの山
 9月9日
 
朝食を取らずに出発した2人組がいないので朝食を食べるお客は私を含めて3人だけです。
小屋の人に「2千8百メートルから上は気を付けて!」といわれて小屋をあとにします。

 5:50分、6時出発の予定でしたが少し早めに出発することができました。
天気は上々です。
いきなりジグを切る急登ですがゆっくり登っていきます。
一息ついたところで後ろを振り返ると早月小屋がもう目の下です。
   
 
 上に目を転じると剱岳の本峰が覆い被さるように見えます。
   

 途中で斜面に陽が差してきます。
そこに、先に出発した2人組がガスでお湯を沸かし朝食の準備をしています。
「お先に!」といって先へ進みます。

 左側の尾根がいよいよ間近に見えてきます。
   
 急峻な岩場が続く尾根です。
岩登りをしたことがない私にとっては登りたくても足を入れることのできない尾根です。

 途中で1回休憩を入れます。
登山道が岩イワしてくると所々に鎖場などが現れます。
まあ、慎重に登れば何ということはありません。

 この登山道を歩いている人は私を含め3人だけです。
回りに人影もないので自分のペースで歩けるのが嬉しいです。

 小さな岩陰を回り込むと2千8百の標石がありました。
   
 7:35分、ここで一息つきます。

 ここでザックからヘルメットを出して被ります。
上を見ると山頂部が手の届きそうなくらい近くに見えます。
   
 
 気合いを入れて山頂へ向かいます。
岩場を一つ一つ慎重に登ります。
ホールドやスタンスの岩もしっかりしているので怖がる必要はありません。
浮き石に足を乗せないようにして登っていくと山頂に続く痩せた岩尾根にでます。
そこから5分ほどで山頂でした。

 8:20分、剱岳の山頂に到着です。
   
 思ったより時間も掛からずに登れました。
山頂には7~8人が休んでいます。

 目の前には立山が見えています。
   
 なかなか雄大な姿です。

 そして雲海を挟んだ向こうには鹿島槍ヶ岳や白馬岳が見えています。
   
   
 私は、この周辺の山はほとんど初めて目にします。
隣にいた人に山座同定をお願いすると快く教えてくれました。

   
   岩いわした尾根が目の下に続きます。
そして目に下の谷にはテントが一張り見えます。
   
 岩の殿堂剱岳といわれる山です。
ここにテントを張って岩登りをしているのでしょう。
私には羨ましい世界を堪能している人達です。

 山頂にはおよそ1時間ほどいたでしょうか?
天気が良いので周りの山を見ていても飽きないのです。
しかし、そろそろ下山しなければ行けません。

 9:40分、下山します。
下山途中でAkさんがどこで間違って早月尾根へ降りてきたのか見ていると、なるほど小さな標識があるだけです。
これでは、別山ルートと早月ルートの分岐は注意していないと見逃してしまいます。

 所々に書いてあるペンキも薄くなっているところがあります。
私もかにのヨコバイのところでタテバエへ間違ってはいるところでした。
登ってきたガイドさんに言われて気がつきました。
横を見ると小さな鋼板にカニのヨコバイと書かれていました。
   
 カニのヨコバイを下から見たところです。
この左右の岩溝に足を入れて鎖を掴みながらトラバースします。
そこから梯子場や鎖場が続きます。
   
 
 目を左に転じると早月尾根の最上部が見えています。
   

 ここから少し降るとカニのタテバイがよく見える場所に来ました。
   
   まあ、豆粒みたいに見える人達が岩に張り付いて登っています。
 このルートが一般ルートというのは、かなり難易度が高いと思います。

 カニのタテバイを見ていると10名ほどのツァー客が登ってきます。
私の入る場所は横幅1m50はあるちょっと広くなった場所なのですが、
この場所を山肌にへばり付く様に登っている人がいます。
思わず、この人達が、あのカニのタテバイを登れるのか?と首を傾げてしまいました。

 人のことはさておいて、快調に岩場を降ります。
やがて、10:05分、前剱に到着です。
   
 ここまで降って来ると剣の山頂も遠くなります。

 10:35分、前剱下のコルで休憩を取ります。
目の下には剣山荘や剱澤小屋が見えています。
    

 この辺りからの登山道は岩くずがガラガラとしており浮き石に足を取られそうになります。
最後の最後まで気を引き締めて降ります。

 11:20分、剣山荘に到着です。
ここでホット一息、建物の横に腰掛けて軽く食事を取ります。
目の前に聳える剱岳の姿を楽しみながらの食事はとても美味しく感じました。
一仕事終えたという満足感で一杯です。

 さあ、ここから剱御前の小屋を目指して登ります。
この途中から見た剱岳もなかなかいい姿をしています。
    

 ゆったりした傾斜の登山道を登ります。
時折降ってくる人と声を交わすのも楽しいですね。

 11:50分、剱御前小屋に到着です。
目の前、一気に室堂方面の景色が飛び込んできます。
   
 煙を噴いているのは地獄谷のようです。
   

 剱御前小屋で受付をする時にAkさんの荷物を受け取ります。
その時に随分感謝されて缶ビールを1缶もらってしまいました。

 今日は順調に剱岳を越えられました。
あとはこの小屋でゆっくり過ごします。
2回の休憩室は、目の前に剱岳が見えます。
時折、谷から湧き上がる雲に隠れますが、その刻々と姿を変える様子を見ているのも楽しいものです。
 3時頃になると寒くなってきました。
休憩室のストーブに火を入れてくれたので暖かく、ウトウトと昼寝をしてしまいました。
幸せな時間でした。

 夕方、外へ出てみるとものすごく寒いのですが、目の下に富山の街の灯りが見えています。
      
 明日の天気はどうなるのでしょうか?