いつも山に一緒に行っているO氏が日高幌尻へ行ってみたいといいます。
日高幌尻へ行く一般的なコースは、平取町から額平川を遡上して幌尻山荘へ1泊して
登るのが普通ですが、このコースの難点は、幌尻山荘に宿泊するのが容易ではないと
いうことです。
ご存じのとおり百名山ブームの中、日高幌尻岳は北海道にある百名山の中でも
渡渉ありの一番原始的な山にランクされます。
幌尻山荘は予約なしでは泊まることが出来ず、人気のある山ゆえ予約もすぐに
一杯になり、なかなか予約が出来ない現状にあります。
そこで、私達は、北トッタベツ岳経由で日高幌尻岳へ登ることにしました。
8月7日、早朝札幌を発ち、日高町にある日高北部森林管理所に立ち寄り
林道ゲートの鍵を借ります。
この事務所は、早朝に鍵を借りに来ても良いように玄関前にあるポストの中に
入林許可証と一緒に林道の地図、それに鍵を入れた封筒を用意してくれていますので、
役所が始まる前でも立ち寄って鍵をもらうことが出来るのです。
森林管理所で鍵を受け取り日高町から林道を走り登山口へ向かいます。
7:15分、途中で林道にあるゲートを開けて走り、登山口に着きます。
ここからさらに道路が延びているのですが、この先は電源開発用のダムがあり
北電が管理しています。
そのため、ここにはさらなるゲートがあり車で入ることは出来ません。
10台は駐まれる駐車場に車を止めて、まずは砂利道を歩きます。
二岐沢の左岸の道をダムを目指して歩きます。
8:00分、取水口のあるダムに着きます。
ここから先がようやく登山道となります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/b4/5fa8ed30bf15378ce377cbd41295bd7d.jpg)
なかなか立派なダムです。
しっかりした山道を歩いていくと30分ほどで二の沢出合いに着きましたので
休憩します。
ここから先は何回か渡渉をしなければならないのですが、靴が濡れる程度ですので
どんどん登っていきます。
遙か頭上にヌカビラ岳の稜線が見えています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/89/c80f3c906fa3d46b5a202d673d0c0cc7.jpg)
気の遠くなるほどの高さです。
でも、ここで弱気になっていたのでは日高幌尻岳には行けません。
まずは、一歩一歩確実に登るだけです。
9:40分、沢の中に小さな滝が見えてきます。
登山道が沢筋から離れ左岸の斜面にのびています。
どうやら尾根の取付点まできたようです。
ここから息もつけないような急登が続きます。
10:15分、急騰に喘ぎ喘ぎ、1時間ほど頑張ってトッタの泉に到着です。
湧き水が二筋の細い流れとなって湧いています。
この先には水場がありません。
明日、この地点に帰ってくるまでの水をここで汲んで担ぎ上げなければなりません。
一人3㍑の水を汲み、荷揚げすることにします。
そして、まだまだ続く急登に備え、腹一杯水を飲みます。
空を見ると晴れ間が顔を出しており天気は良いようですので、暑さに負けないように
ゆっくりこの急登を登って行きます。
背中に担いだ水の重さが背骨に堪えます。
12:15分、2度の休みを挟みようやくヌカビラ岳に到着です。
一気の周りの視界が開けます。
日高幌尻岳もその雄大な姿を見せてくれます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/bf/f1504ead3353e6e335fe159621b1341c.jpg)
茶色で四角い岩が積み上げたように重なっています。
その向こうにどっしりとした日高幌尻岳が姿を見せています。
さあ、ここからもう一頑張りです。
小灌木が生えている所を抜けると最後の登りです。
砂礫帯の先に北トッタベツ岳の標識が見えてきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/73/9207a1af714f2f94e55a37341c85bf5a.jpg)
13:00分、北トッタベツ岳の山頂に到着です。
今晩は、この山頂脇にあるほんの猫の額ほどのテントサイトが私達の宿となります。
テントサイトにテントを立てて中に入って一服します。
あとは夕食を作るだけですので焦る必要はありません。
ここまでの疲れを取るために、まずは軽く昼寝をします。
寝袋の中で背伸びをすると背中の筋肉がバリバリと悲鳴を上げます。
でも、その感覚が心地よく、何回か背伸びをして背中のストレッチをします。
目を覚ますと人の声が聞こえてきます。
何人かがこの北トッタベツの山頂へやってきますが、どうやら日高幌尻から
回ってきた人のようです。
その中に大阪から来た老人がいました。
沢靴のまま幌尻山荘から日高幌尻に登りトッタベツ岳を回ってきたようです。
毎年のようにここへ来ていると話してくれます。
今年は額平川の水量が多かったといってます。
今年の北海道は7月の天気が悪く雨が多かったのでそのせいかもしれません。
しばらくすると、大阪のご老人は、ヒョウヒョウと幌尻山荘へ向かって降っていきます。
8月8日、テントに朝日が射してきます。
どうやら今日は良い天気のようです。
早速、朝食の準備をします。
朝食は、定番となっている餅入りのラーメンです。
餅は、しゃぶしゃぶ餅として売られている薄い餅です。
この餅は鍋の中で一煮立ちするだけで軟らかくなる優れものです。
これを食べると腹持ちが全く違い、力が出てきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/de/80019edfef820a47dfa3bea81354fdaf.jpg)
朝焼けに浮かぶ日高の山並み(南方向)
外で出発の準備をしていると山頂から流れる雲の中に私達の姿が陰となって映っています。ブロッケン現象です。
私は、初めて見ました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/c3/d2e85ecd573fcd1f03c6ddbc9d8b5c89.jpg)
初めて見たブロッケン、2人の陰が黒くなって見えます。
5:05分、まずは目の前に聳えるトッタベツ岳の山頂を目指し降ります。
北トッタベツ岳からトッタベツ岳には一旦降り、小さなピークを越えて
トッタベツ岳へ登ります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/05/ad1c88dfc788feab934943b95ee9add8.jpg)
北トッタベツ岳から一番左にあるトッタベツ岳のピークを踏み
奥に見える日高幌尻岳へ行きます。
帯広側は札内川の上流となっておりトッタベツB,Cカール目の下に広がります。
その稜線にあるハイ松を切り開いた登山道を快調なペースで降り、そして、登ります。
6:08分、約1時間でトッタベツ岳に到着です。
この山頂からは目の下に七つ沼カールが見えます。
七つ沼カールで1泊することを夢見ている登山者は沢山います。
七つ沼カールは登山者にとってあこがれの地なのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/dc/bef1cdd676e417f583f23bfc718f1186.jpg)
トッタベツ岳の山頂です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/68/54a89a0ab66281b0e271f8ef7319f8f1.jpg)
岳人憧れの七つ沼カール、雪渓も融け沼の水も枯れかかっています。
私はこの七つ沼カールに2泊したことがあります。
もう、40年近く昔のことですが、おぼろげに覚えている七つ沼カールのたたずまいと
何ら変わることのない光景が広がっています。
ここから日高幌尻岳から に伸びている尾根に続く吊り尾根を目指して降ります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/7e/54ab6193489fe4460adde53d8e514bd6.jpg)
吊り尾根の先にある水平な尾根の右に日高幌尻岳の山頂があります。
トッタベツ岳の山頂から下っている途中で、2人の小学生を連れた親子に会いました。
背中一杯の大きなザックを背負った父親が、男の子2人をつれて昨夜は七つ沼カールに
泊まったと話してくれました。
子供達の顔は汗でキラキラと光っています。
真っ黒に日焼けした顔、白い歯、笑顔のすばらしい子供達でした。
この子達が家族一緒の山登りで得るものは大きいと思います。
心の中で「がんばれ!」と声を掛けて別れます。
所々ハイ松の枝が立ち歩きづらい狭い尾根を進みます。
その先は、また急な登りです。
一歩一歩喘ぐように登るとやっと平坦な尾根に着きます。
ここまで来ると日高幌尻岳の山頂ももうすぐです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/6e/29546d237ef3e4dbf24d0d372ea4213b.jpg)
20分ほどで、あこがれの日高幌尻岳の山頂に到着しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/81/331463dd03d9b8bf70c5e5747047ce55.jpg)
8:20分、数人の登山者がいる山頂です。
まずはO氏と記念写真を取り合って風の当たらない山陰で休みます。
山頂からは額平川の上流部が一望できます。
額平川からの登山コースとなっている北尾根もよく見えます。
その北尾根を登ってくる登山者も見えています。
念願の日高幌尻岳です。
天気が良いので眺望を十分に楽しみます。
南に広がる日高山脈の山並みを見ますが、悲しいかなどのピークがなんていう山なのか
よく分かりません。
私は、日高に関してはほんの初心者なのです。
十分に眺望を楽しみましたのでテントのある北トッタベツ岳へ帰ります。
陽が射してきて暑くなります。
水を飲みたいのですが、持っている水には限りがあります。
10:30分、トッタベツ岳
11:45分、やっとテントサイトである北トッタベツ岳へ帰ってきました。
軽く昼食を取って、水が無くなってしまったO氏に私の水を全部渡します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/79/72a1b38101ee736d7309e78b4469226e.jpg)
北トッタベツ岳山頂のテントサイトです。
12:00分、テントを撤収して登山口へ向かって降ります。
ここからが長かったです。
延々とした降り道ですが、急な降りで決して足下が良いとはいえません。
注意力を欠いて降ると転んだりして怪我をしてしまいます。
ノドが乾いて仕方がないのですが、私は1滴の水も持っていません。
トッタの泉まで行かなければ水を手に入れることは出来ません。
13:15分、やっとトッタの泉に到着です。
細い流れに口を付けるようにして水を飲みます。
あまり沢山の水を飲んだので急に冷えた胃が悲鳴を上げて痛くなります。
一息ついているとO氏も降りてきます。
コップに汲んだいた水を渡します。
O氏もゴクゴクと何杯も水を飲みます。
これでやっと水枯れた体が回復します。
疲れが溜まり緩慢な動きになってきた体に活を入れてさらに降ります。
尾根の取付点まで降り、O氏を待っていますがなかなか降りてきません。
それほど離れていたわけではないので不思議に思い待っていました。
10分ほど待っていましたがO氏が降りてこないので降りてきた道を登ろうとしたとき、
やっとO氏が姿を見せます。
どうしたのか聞くと、途中で足を取られ転んだという。
右足首が軽い捻挫をしたようでちょっと休んでいたと話してくれる。
少し休むと痛みが和らいだのでゆっくり降りてきたのだという。
痛みがまだあるか聞くとそれほどではないというので、まだまだ沢筋を歩かなければ
ならないので、O氏から離れないようにして足下を注意しながら降ります。
14:50分、二の沢出合いに戻る。
ここでもゆっくり休んで足を休めます。
ここからは道もしっかりしているのでホッとします。
でもからだが重く、疲労はピークに達しようとしているようです。
15:30分、取水口ダムで、また休み、登山口を目指します。
だんだん足取りが重くなってきます。
無口になりモクモクと体にむち打って歩きます。
こんな時、本当に何で山登りなどしているかと毒づきたくなってしまいます。
小1時間ほど掛かって、前方にゲートが見えてきました。
ここで恐ろしいものを見ました。
なんとゲートの内側にあるコンクリート製の橋の上にテントが立っています。
それだけではなく川から流木を持ってきて積み上げています。
どうやら橋の上で焚き火をしようとしているようです。
見ると釣り人らしい数人の人影も見えます。
テントの傍にいた人に「ここはテントを張る場所ではないし、まして焚き火をする
場所でもない。
橋は緊急車両が通ることもあるし、まして橋の上で焚き火をするなどはもってのほかだ。」と怒った声で言うと、「すぐに移動します。」という。
分別ある年寄りがこの有様だ。
常識もへったくれもありゃしない。
疲れているので無性に腹が立って思わず大きな声を出してしまったが、
本当に嘆かわしいことだ。
車にザックなどを積んでいると、橋の上からテントなどを柵の外へ移動しているので
ホッとした。
素直にいうことを聞いてくれたようだ。
最後に後味の悪いことを目撃してしまったが、いうまでもなく今回の日高幌尻岳登山は
満足のいく登山でした。
実は、この山行の2週間前に一人で日高幌尻岳へ行こうと思い出掛けたのです。
しかし、天気が悪く、北トッタベツの山頂で1泊して帰ってきました。
山頂は風が吹き荒れテントが飛ばされるのではないかと思いおちおち寝ていることが
出来ないほどでした。
日高幌尻へ行く一般的なコースは、平取町から額平川を遡上して幌尻山荘へ1泊して
登るのが普通ですが、このコースの難点は、幌尻山荘に宿泊するのが容易ではないと
いうことです。
ご存じのとおり百名山ブームの中、日高幌尻岳は北海道にある百名山の中でも
渡渉ありの一番原始的な山にランクされます。
幌尻山荘は予約なしでは泊まることが出来ず、人気のある山ゆえ予約もすぐに
一杯になり、なかなか予約が出来ない現状にあります。
そこで、私達は、北トッタベツ岳経由で日高幌尻岳へ登ることにしました。
8月7日、早朝札幌を発ち、日高町にある日高北部森林管理所に立ち寄り
林道ゲートの鍵を借ります。
この事務所は、早朝に鍵を借りに来ても良いように玄関前にあるポストの中に
入林許可証と一緒に林道の地図、それに鍵を入れた封筒を用意してくれていますので、
役所が始まる前でも立ち寄って鍵をもらうことが出来るのです。
森林管理所で鍵を受け取り日高町から林道を走り登山口へ向かいます。
7:15分、途中で林道にあるゲートを開けて走り、登山口に着きます。
ここからさらに道路が延びているのですが、この先は電源開発用のダムがあり
北電が管理しています。
そのため、ここにはさらなるゲートがあり車で入ることは出来ません。
10台は駐まれる駐車場に車を止めて、まずは砂利道を歩きます。
二岐沢の左岸の道をダムを目指して歩きます。
8:00分、取水口のあるダムに着きます。
ここから先がようやく登山道となります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/b4/5fa8ed30bf15378ce377cbd41295bd7d.jpg)
なかなか立派なダムです。
しっかりした山道を歩いていくと30分ほどで二の沢出合いに着きましたので
休憩します。
ここから先は何回か渡渉をしなければならないのですが、靴が濡れる程度ですので
どんどん登っていきます。
遙か頭上にヌカビラ岳の稜線が見えています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/89/c80f3c906fa3d46b5a202d673d0c0cc7.jpg)
気の遠くなるほどの高さです。
でも、ここで弱気になっていたのでは日高幌尻岳には行けません。
まずは、一歩一歩確実に登るだけです。
9:40分、沢の中に小さな滝が見えてきます。
登山道が沢筋から離れ左岸の斜面にのびています。
どうやら尾根の取付点まできたようです。
ここから息もつけないような急登が続きます。
10:15分、急騰に喘ぎ喘ぎ、1時間ほど頑張ってトッタの泉に到着です。
湧き水が二筋の細い流れとなって湧いています。
この先には水場がありません。
明日、この地点に帰ってくるまでの水をここで汲んで担ぎ上げなければなりません。
一人3㍑の水を汲み、荷揚げすることにします。
そして、まだまだ続く急登に備え、腹一杯水を飲みます。
空を見ると晴れ間が顔を出しており天気は良いようですので、暑さに負けないように
ゆっくりこの急登を登って行きます。
背中に担いだ水の重さが背骨に堪えます。
12:15分、2度の休みを挟みようやくヌカビラ岳に到着です。
一気の周りの視界が開けます。
日高幌尻岳もその雄大な姿を見せてくれます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/bf/f1504ead3353e6e335fe159621b1341c.jpg)
茶色で四角い岩が積み上げたように重なっています。
その向こうにどっしりとした日高幌尻岳が姿を見せています。
さあ、ここからもう一頑張りです。
小灌木が生えている所を抜けると最後の登りです。
砂礫帯の先に北トッタベツ岳の標識が見えてきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/73/9207a1af714f2f94e55a37341c85bf5a.jpg)
13:00分、北トッタベツ岳の山頂に到着です。
今晩は、この山頂脇にあるほんの猫の額ほどのテントサイトが私達の宿となります。
テントサイトにテントを立てて中に入って一服します。
あとは夕食を作るだけですので焦る必要はありません。
ここまでの疲れを取るために、まずは軽く昼寝をします。
寝袋の中で背伸びをすると背中の筋肉がバリバリと悲鳴を上げます。
でも、その感覚が心地よく、何回か背伸びをして背中のストレッチをします。
目を覚ますと人の声が聞こえてきます。
何人かがこの北トッタベツの山頂へやってきますが、どうやら日高幌尻から
回ってきた人のようです。
その中に大阪から来た老人がいました。
沢靴のまま幌尻山荘から日高幌尻に登りトッタベツ岳を回ってきたようです。
毎年のようにここへ来ていると話してくれます。
今年は額平川の水量が多かったといってます。
今年の北海道は7月の天気が悪く雨が多かったのでそのせいかもしれません。
しばらくすると、大阪のご老人は、ヒョウヒョウと幌尻山荘へ向かって降っていきます。
8月8日、テントに朝日が射してきます。
どうやら今日は良い天気のようです。
早速、朝食の準備をします。
朝食は、定番となっている餅入りのラーメンです。
餅は、しゃぶしゃぶ餅として売られている薄い餅です。
この餅は鍋の中で一煮立ちするだけで軟らかくなる優れものです。
これを食べると腹持ちが全く違い、力が出てきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/de/80019edfef820a47dfa3bea81354fdaf.jpg)
朝焼けに浮かぶ日高の山並み(南方向)
外で出発の準備をしていると山頂から流れる雲の中に私達の姿が陰となって映っています。ブロッケン現象です。
私は、初めて見ました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/c3/d2e85ecd573fcd1f03c6ddbc9d8b5c89.jpg)
初めて見たブロッケン、2人の陰が黒くなって見えます。
5:05分、まずは目の前に聳えるトッタベツ岳の山頂を目指し降ります。
北トッタベツ岳からトッタベツ岳には一旦降り、小さなピークを越えて
トッタベツ岳へ登ります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/05/ad1c88dfc788feab934943b95ee9add8.jpg)
北トッタベツ岳から一番左にあるトッタベツ岳のピークを踏み
奥に見える日高幌尻岳へ行きます。
帯広側は札内川の上流となっておりトッタベツB,Cカール目の下に広がります。
その稜線にあるハイ松を切り開いた登山道を快調なペースで降り、そして、登ります。
6:08分、約1時間でトッタベツ岳に到着です。
この山頂からは目の下に七つ沼カールが見えます。
七つ沼カールで1泊することを夢見ている登山者は沢山います。
七つ沼カールは登山者にとってあこがれの地なのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/dc/bef1cdd676e417f583f23bfc718f1186.jpg)
トッタベツ岳の山頂です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/68/54a89a0ab66281b0e271f8ef7319f8f1.jpg)
岳人憧れの七つ沼カール、雪渓も融け沼の水も枯れかかっています。
私はこの七つ沼カールに2泊したことがあります。
もう、40年近く昔のことですが、おぼろげに覚えている七つ沼カールのたたずまいと
何ら変わることのない光景が広がっています。
ここから日高幌尻岳から に伸びている尾根に続く吊り尾根を目指して降ります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/7e/54ab6193489fe4460adde53d8e514bd6.jpg)
吊り尾根の先にある水平な尾根の右に日高幌尻岳の山頂があります。
トッタベツ岳の山頂から下っている途中で、2人の小学生を連れた親子に会いました。
背中一杯の大きなザックを背負った父親が、男の子2人をつれて昨夜は七つ沼カールに
泊まったと話してくれました。
子供達の顔は汗でキラキラと光っています。
真っ黒に日焼けした顔、白い歯、笑顔のすばらしい子供達でした。
この子達が家族一緒の山登りで得るものは大きいと思います。
心の中で「がんばれ!」と声を掛けて別れます。
所々ハイ松の枝が立ち歩きづらい狭い尾根を進みます。
その先は、また急な登りです。
一歩一歩喘ぐように登るとやっと平坦な尾根に着きます。
ここまで来ると日高幌尻岳の山頂ももうすぐです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/6e/29546d237ef3e4dbf24d0d372ea4213b.jpg)
20分ほどで、あこがれの日高幌尻岳の山頂に到着しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/81/331463dd03d9b8bf70c5e5747047ce55.jpg)
8:20分、数人の登山者がいる山頂です。
まずはO氏と記念写真を取り合って風の当たらない山陰で休みます。
山頂からは額平川の上流部が一望できます。
額平川からの登山コースとなっている北尾根もよく見えます。
その北尾根を登ってくる登山者も見えています。
念願の日高幌尻岳です。
天気が良いので眺望を十分に楽しみます。
南に広がる日高山脈の山並みを見ますが、悲しいかなどのピークがなんていう山なのか
よく分かりません。
私は、日高に関してはほんの初心者なのです。
十分に眺望を楽しみましたのでテントのある北トッタベツ岳へ帰ります。
陽が射してきて暑くなります。
水を飲みたいのですが、持っている水には限りがあります。
10:30分、トッタベツ岳
11:45分、やっとテントサイトである北トッタベツ岳へ帰ってきました。
軽く昼食を取って、水が無くなってしまったO氏に私の水を全部渡します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/79/72a1b38101ee736d7309e78b4469226e.jpg)
北トッタベツ岳山頂のテントサイトです。
12:00分、テントを撤収して登山口へ向かって降ります。
ここからが長かったです。
延々とした降り道ですが、急な降りで決して足下が良いとはいえません。
注意力を欠いて降ると転んだりして怪我をしてしまいます。
ノドが乾いて仕方がないのですが、私は1滴の水も持っていません。
トッタの泉まで行かなければ水を手に入れることは出来ません。
13:15分、やっとトッタの泉に到着です。
細い流れに口を付けるようにして水を飲みます。
あまり沢山の水を飲んだので急に冷えた胃が悲鳴を上げて痛くなります。
一息ついているとO氏も降りてきます。
コップに汲んだいた水を渡します。
O氏もゴクゴクと何杯も水を飲みます。
これでやっと水枯れた体が回復します。
疲れが溜まり緩慢な動きになってきた体に活を入れてさらに降ります。
尾根の取付点まで降り、O氏を待っていますがなかなか降りてきません。
それほど離れていたわけではないので不思議に思い待っていました。
10分ほど待っていましたがO氏が降りてこないので降りてきた道を登ろうとしたとき、
やっとO氏が姿を見せます。
どうしたのか聞くと、途中で足を取られ転んだという。
右足首が軽い捻挫をしたようでちょっと休んでいたと話してくれる。
少し休むと痛みが和らいだのでゆっくり降りてきたのだという。
痛みがまだあるか聞くとそれほどではないというので、まだまだ沢筋を歩かなければ
ならないので、O氏から離れないようにして足下を注意しながら降ります。
14:50分、二の沢出合いに戻る。
ここでもゆっくり休んで足を休めます。
ここからは道もしっかりしているのでホッとします。
でもからだが重く、疲労はピークに達しようとしているようです。
15:30分、取水口ダムで、また休み、登山口を目指します。
だんだん足取りが重くなってきます。
無口になりモクモクと体にむち打って歩きます。
こんな時、本当に何で山登りなどしているかと毒づきたくなってしまいます。
小1時間ほど掛かって、前方にゲートが見えてきました。
ここで恐ろしいものを見ました。
なんとゲートの内側にあるコンクリート製の橋の上にテントが立っています。
それだけではなく川から流木を持ってきて積み上げています。
どうやら橋の上で焚き火をしようとしているようです。
見ると釣り人らしい数人の人影も見えます。
テントの傍にいた人に「ここはテントを張る場所ではないし、まして焚き火をする
場所でもない。
橋は緊急車両が通ることもあるし、まして橋の上で焚き火をするなどはもってのほかだ。」と怒った声で言うと、「すぐに移動します。」という。
分別ある年寄りがこの有様だ。
常識もへったくれもありゃしない。
疲れているので無性に腹が立って思わず大きな声を出してしまったが、
本当に嘆かわしいことだ。
車にザックなどを積んでいると、橋の上からテントなどを柵の外へ移動しているので
ホッとした。
素直にいうことを聞いてくれたようだ。
最後に後味の悪いことを目撃してしまったが、いうまでもなく今回の日高幌尻岳登山は
満足のいく登山でした。
実は、この山行の2週間前に一人で日高幌尻岳へ行こうと思い出掛けたのです。
しかし、天気が悪く、北トッタベツの山頂で1泊して帰ってきました。
山頂は風が吹き荒れテントが飛ばされるのではないかと思いおちおち寝ていることが
出来ないほどでした。