井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

日高幌尻岳 ・ 09’8月

2010-04-25 09:15:34 | 日高山系の山
 いつも山に一緒に行っているO氏が日高幌尻へ行ってみたいといいます。

日高幌尻へ行く一般的なコースは、平取町から額平川を遡上して幌尻山荘へ1泊して
登るのが普通ですが、このコースの難点は、幌尻山荘に宿泊するのが容易ではないと
いうことです。

 ご存じのとおり百名山ブームの中、日高幌尻岳は北海道にある百名山の中でも
渡渉ありの一番原始的な山にランクされます。

 幌尻山荘は予約なしでは泊まることが出来ず、人気のある山ゆえ予約もすぐに
一杯になり、なかなか予約が出来ない現状にあります。

 そこで、私達は、北トッタベツ岳経由で日高幌尻岳へ登ることにしました。


 8月7日、早朝札幌を発ち、日高町にある日高北部森林管理所に立ち寄り
林道ゲートの鍵を借ります。
この事務所は、早朝に鍵を借りに来ても良いように玄関前にあるポストの中に
入林許可証と一緒に林道の地図、それに鍵を入れた封筒を用意してくれていますので、
役所が始まる前でも立ち寄って鍵をもらうことが出来るのです。

 森林管理所で鍵を受け取り日高町から林道を走り登山口へ向かいます。

 7:15分、途中で林道にあるゲートを開けて走り、登山口に着きます。

 ここからさらに道路が延びているのですが、この先は電源開発用のダムがあり
北電が管理しています。
そのため、ここにはさらなるゲートがあり車で入ることは出来ません。

 10台は駐まれる駐車場に車を止めて、まずは砂利道を歩きます。
二岐沢の左岸の道をダムを目指して歩きます。

 8:00分、取水口のあるダムに着きます。
ここから先がようやく登山道となります。
     
     なかなか立派なダムです。

 しっかりした山道を歩いていくと30分ほどで二の沢出合いに着きましたので
休憩します。
ここから先は何回か渡渉をしなければならないのですが、靴が濡れる程度ですので
どんどん登っていきます。
 遙か頭上にヌカビラ岳の稜線が見えています。
     

 気の遠くなるほどの高さです。
でも、ここで弱気になっていたのでは日高幌尻岳には行けません。
まずは、一歩一歩確実に登るだけです。

 9:40分、沢の中に小さな滝が見えてきます。
登山道が沢筋から離れ左岸の斜面にのびています。
どうやら尾根の取付点まできたようです。

 ここから息もつけないような急登が続きます。

 10:15分、急騰に喘ぎ喘ぎ、1時間ほど頑張ってトッタの泉に到着です。
湧き水が二筋の細い流れとなって湧いています。
この先には水場がありません。
明日、この地点に帰ってくるまでの水をここで汲んで担ぎ上げなければなりません。
一人3㍑の水を汲み、荷揚げすることにします。
そして、まだまだ続く急登に備え、腹一杯水を飲みます。

 空を見ると晴れ間が顔を出しており天気は良いようですので、暑さに負けないように
ゆっくりこの急登を登って行きます。
背中に担いだ水の重さが背骨に堪えます。

 12:15分、2度の休みを挟みようやくヌカビラ岳に到着です。
一気の周りの視界が開けます。
日高幌尻岳もその雄大な姿を見せてくれます。
     
     茶色で四角い岩が積み上げたように重なっています。
     その向こうにどっしりとした日高幌尻岳が姿を見せています。

 さあ、ここからもう一頑張りです。

 小灌木が生えている所を抜けると最後の登りです。
砂礫帯の先に北トッタベツ岳の標識が見えてきます。
     
         

 13:00分、北トッタベツ岳の山頂に到着です。
今晩は、この山頂脇にあるほんの猫の額ほどのテントサイトが私達の宿となります。
テントサイトにテントを立てて中に入って一服します。
あとは夕食を作るだけですので焦る必要はありません。
ここまでの疲れを取るために、まずは軽く昼寝をします。

 寝袋の中で背伸びをすると背中の筋肉がバリバリと悲鳴を上げます。
でも、その感覚が心地よく、何回か背伸びをして背中のストレッチをします。

 目を覚ますと人の声が聞こえてきます。
何人かがこの北トッタベツの山頂へやってきますが、どうやら日高幌尻から
回ってきた人のようです。
 その中に大阪から来た老人がいました。
沢靴のまま幌尻山荘から日高幌尻に登りトッタベツ岳を回ってきたようです。
毎年のようにここへ来ていると話してくれます。
今年は額平川の水量が多かったといってます。
今年の北海道は7月の天気が悪く雨が多かったのでそのせいかもしれません。
しばらくすると、大阪のご老人は、ヒョウヒョウと幌尻山荘へ向かって降っていきます。


 8月8日、テントに朝日が射してきます。
どうやら今日は良い天気のようです。
早速、朝食の準備をします。

 朝食は、定番となっている餅入りのラーメンです。
餅は、しゃぶしゃぶ餅として売られている薄い餅です。
この餅は鍋の中で一煮立ちするだけで軟らかくなる優れものです。
これを食べると腹持ちが全く違い、力が出てきます。
    
    朝焼けに浮かぶ日高の山並み(南方向)

 外で出発の準備をしていると山頂から流れる雲の中に私達の姿が陰となって映っています。ブロッケン現象です。
私は、初めて見ました。
     
     初めて見たブロッケン、2人の陰が黒くなって見えます。

 5:05分、まずは目の前に聳えるトッタベツ岳の山頂を目指し降ります。
北トッタベツ岳からトッタベツ岳には一旦降り、小さなピークを越えて
トッタベツ岳へ登ります。
    
    北トッタベツ岳から一番左にあるトッタベツ岳のピークを踏み
    奥に見える日高幌尻岳へ行きます。

 帯広側は札内川の上流となっておりトッタベツB,Cカール目の下に広がります。
その稜線にあるハイ松を切り開いた登山道を快調なペースで降り、そして、登ります。

 6:08分、約1時間でトッタベツ岳に到着です。
この山頂からは目の下に七つ沼カールが見えます。
七つ沼カールで1泊することを夢見ている登山者は沢山います。
七つ沼カールは登山者にとってあこがれの地なのです。
    
     トッタベツ岳の山頂です。

     
      岳人憧れの七つ沼カール、雪渓も融け沼の水も枯れかかっています。
    
 私はこの七つ沼カールに2泊したことがあります。
もう、40年近く昔のことですが、おぼろげに覚えている七つ沼カールのたたずまいと
何ら変わることのない光景が広がっています。

 ここから日高幌尻岳から に伸びている尾根に続く吊り尾根を目指して降ります。
     
     吊り尾根の先にある水平な尾根の右に日高幌尻岳の山頂があります。

 トッタベツ岳の山頂から下っている途中で、2人の小学生を連れた親子に会いました。
背中一杯の大きなザックを背負った父親が、男の子2人をつれて昨夜は七つ沼カールに
泊まったと話してくれました。
子供達の顔は汗でキラキラと光っています。
真っ黒に日焼けした顔、白い歯、笑顔のすばらしい子供達でした。
この子達が家族一緒の山登りで得るものは大きいと思います。
心の中で「がんばれ!」と声を掛けて別れます。

 所々ハイ松の枝が立ち歩きづらい狭い尾根を進みます。
その先は、また急な登りです。
一歩一歩喘ぐように登るとやっと平坦な尾根に着きます。
ここまで来ると日高幌尻岳の山頂ももうすぐです。
    

 20分ほどで、あこがれの日高幌尻岳の山頂に到着しました。
     

 8:20分、数人の登山者がいる山頂です。
まずはO氏と記念写真を取り合って風の当たらない山陰で休みます。
山頂からは額平川の上流部が一望できます。
額平川からの登山コースとなっている北尾根もよく見えます。
その北尾根を登ってくる登山者も見えています。

 念願の日高幌尻岳です。
天気が良いので眺望を十分に楽しみます。
南に広がる日高山脈の山並みを見ますが、悲しいかなどのピークがなんていう山なのか
よく分かりません。
私は、日高に関してはほんの初心者なのです。

 十分に眺望を楽しみましたのでテントのある北トッタベツ岳へ帰ります。
陽が射してきて暑くなります。
水を飲みたいのですが、持っている水には限りがあります。

 10:30分、トッタベツ岳
 11:45分、やっとテントサイトである北トッタベツ岳へ帰ってきました。
軽く昼食を取って、水が無くなってしまったO氏に私の水を全部渡します。
    
     北トッタベツ岳山頂のテントサイトです。

 12:00分、テントを撤収して登山口へ向かって降ります。
ここからが長かったです。
延々とした降り道ですが、急な降りで決して足下が良いとはいえません。
注意力を欠いて降ると転んだりして怪我をしてしまいます。
ノドが乾いて仕方がないのですが、私は1滴の水も持っていません。
トッタの泉まで行かなければ水を手に入れることは出来ません。

 13:15分、やっとトッタの泉に到着です。
細い流れに口を付けるようにして水を飲みます。
あまり沢山の水を飲んだので急に冷えた胃が悲鳴を上げて痛くなります。
一息ついているとO氏も降りてきます。
コップに汲んだいた水を渡します。
O氏もゴクゴクと何杯も水を飲みます。
これでやっと水枯れた体が回復します。

 疲れが溜まり緩慢な動きになってきた体に活を入れてさらに降ります。

 尾根の取付点まで降り、O氏を待っていますがなかなか降りてきません。
それほど離れていたわけではないので不思議に思い待っていました。
10分ほど待っていましたがO氏が降りてこないので降りてきた道を登ろうとしたとき、
やっとO氏が姿を見せます。

 どうしたのか聞くと、途中で足を取られ転んだという。
右足首が軽い捻挫をしたようでちょっと休んでいたと話してくれる。
少し休むと痛みが和らいだのでゆっくり降りてきたのだという。

痛みがまだあるか聞くとそれほどではないというので、まだまだ沢筋を歩かなければ
ならないので、O氏から離れないようにして足下を注意しながら降ります。

 14:50分、二の沢出合いに戻る。
ここでもゆっくり休んで足を休めます。
ここからは道もしっかりしているのでホッとします。
でもからだが重く、疲労はピークに達しようとしているようです。

 15:30分、取水口ダムで、また休み、登山口を目指します。
だんだん足取りが重くなってきます。
無口になりモクモクと体にむち打って歩きます。
こんな時、本当に何で山登りなどしているかと毒づきたくなってしまいます。

 小1時間ほど掛かって、前方にゲートが見えてきました。

 ここで恐ろしいものを見ました。
なんとゲートの内側にあるコンクリート製の橋の上にテントが立っています。
それだけではなく川から流木を持ってきて積み上げています。
どうやら橋の上で焚き火をしようとしているようです。
見ると釣り人らしい数人の人影も見えます。

 テントの傍にいた人に「ここはテントを張る場所ではないし、まして焚き火をする
場所でもない。
橋は緊急車両が通ることもあるし、まして橋の上で焚き火をするなどはもってのほかだ。」と怒った声で言うと、「すぐに移動します。」という。

 分別ある年寄りがこの有様だ。
常識もへったくれもありゃしない。
疲れているので無性に腹が立って思わず大きな声を出してしまったが、
本当に嘆かわしいことだ。

 車にザックなどを積んでいると、橋の上からテントなどを柵の外へ移動しているので
ホッとした。
素直にいうことを聞いてくれたようだ。

 最後に後味の悪いことを目撃してしまったが、いうまでもなく今回の日高幌尻岳登山は
満足のいく登山でした。


 実は、この山行の2週間前に一人で日高幌尻岳へ行こうと思い出掛けたのです。
しかし、天気が悪く、北トッタベツの山頂で1泊して帰ってきました。
山頂は風が吹き荒れテントが飛ばされるのではないかと思いおちおち寝ていることが
出来ないほどでした。

天塩岳 ・ 10’4月

2010-04-16 19:43:59 | ニペソツ山・中央山系の山
 天塩岳には夏道を二回ほど登っていますが、冬に来たことはありません。
そこで、粉雪を求めて道北の山、天塩岳へ行ってみることにしました。

 今週初めは春の低気圧により道内は大荒れの天気でした。
やっと木曜日の未明には低気圧が道内から離れ、天気が回復しつつあります。

 4月16日(金曜日)いつも一緒に行くS氏と二人で天塩岳へ行ってみることにしました。
この山に冬に登るのは二人とも初めてです。
冬のコースをどう取ればいいのか経験者からのアドバイスを受けてのスキー登山となりました。

 札幌を早朝に出発して日帰りの予定です。
天気予報をチェックしている段階では、天候は晴れ時々曇りでまあまあなのですが
風の予測があまりよくありません。
千メートル付近からは10mを超える風の予測なのです。

 さて、金曜日の朝は3時過ぎに札幌を発ちます。
高速道路をひた走り、上川町にある浮島で降ります。
ここから一般道を滝上町へ向かって走るとほどなく浮島トンネルがあります。
このトンネルを抜けると間もなく登山口となります。

 登山口となる林道の入り口は雪の山です。
道路に車を止めるために路側帯の除雪をします。
車1台分を除雪してそこへ駐車します。

 7:00分、それまで曇っていた空がパーッと晴れてきます。
時折吹く風の中、準備が整ったので出発します。
まずは、林道を2キロほど歩かなければなりません。

 林道は足首が埋まるくらいの粉雪が積もっています。
初めての道ですので回りに注意を払いながら歩きます。
7~8分歩くと登山口の標識が見えてきます。
この標識を見ながら左折します。

 右手に沢を見ながら歩いていくと沢にぶつかります。
林道は対岸に続いているのですが、スノーブリッジの一部が川の流れに押し流されたのか
欠落しています。
     
     上流に渡れるところはないか調べたのですが見つかりません。

 よく見ると川底はコンクリートで作られ橋があるのではなくて川の中を直接車が通るように作られているようです。
川下側をよく見ると深さは3センチほどのようです。
そこでスキーを担いで川を渡ることにします。
おそるおそる川の中にはいるとスキー靴の中に水は入ってきません。
爪先立ちになりながら川を渡ることが出来ました。
ホット一息ついてまたスキーを履きます。
こんな時期にスキー靴で渡渉するとは思いませんでした。 

 林道を詰めていくと一ノ沢と二ノ沢の出合いに着きます。
ここには入林届用のポストがありました。
ここまで1時間15分ほどかかっています。

 さあ、ここから沢を渡り前方の尾根に取り付きます。
標高差5百メートルほどの急な尾根です。
沢に降りるとすぐにスノーブリッジを見つけることが出来ました。
急な斜面を登り出しますが、私達はこのコースは初めてですので慎重にコースを選び登ります。
林の中の雪はフカフカの粉雪です。
帰りの滑走を楽しみに辛いバイトが続きます。

 10:00分、やっとこの斜面を登り終え1200メートルの平らな尾根に上がることが出来ました。
目の前には左側に続く尾根に大きな雪庇が出来ています。
     
     やっと天塩岳の山頂が姿を見せてくれました。

 強い風が左手西側から吹いてきます。
遮るもののない平坦な尾根状ですので、ジャケットを着て歩きます。
山頂部にかかっている雲が猛烈な勢いで流れています。
でも、青空がドンドン広がっているので、広い尾根を快調に歩きます。

 山頂から南北に繋がる稜線に突き当たる尾根を見ると右側に大きな雪庇が出来ています。
     
     標高1250mほどに進むとそろそろ森林限界が近くなってきます。

 平坦な尾根が終わり、ここから山頂に続く稜線を目指して登ります。
ここからが問題でした。
右手には雪庇があるので岳樺が生えている辺りを歩くのですが表面が固くクラストしています。
ここからスキーアイゼンを付けます。

 しかし、標高が上がるにしたがってクラストというよりは氷化した斜面となってきます。
おまけに風が強くなってきて、バランスを取るのが大変です。
スキーアイゼンの歯を一歩一歩雪面に食い込ませ登っていきます。

 やっとの思いでこの尾根を登りきり1400mの台地に出ます。
11:20分、ここまで来ると山頂は目の前です。
     
     ここまで来ると山頂まで1時間ほどでしょうか。

 ここで、進むか退却するか二人で話し合いました。
その結果、この風の強さは山頂へ向かえばさらに強くなってくると思われるので潔く退却することにします。

 氷化した斜面をスキーで下るのは危険です。
ここからはアイゼンを着けて下ることにします。
スキーをザックに縛り付けストックでバランスを取りながらアイゼンの歯を斜面に食い込ませて慎重に降ります。

 風が強く吹くと身体が押されバランスを崩しそうになります。
それを両手に持ったストックと体の向きを風に対して微妙に変えながら慎重に降ります。
平坦な尾根にたどり着くと心なしか風が弱まったような気がしてホッとしました。

 ここからスキーでも良いのですが、登る斜面もありますのでもうすこし先までアイゼンで歩きます。
1236mのポコまで来たのでここで休憩します。
後ろを振り返ると青空の中に天塩岳の山頂が見えています。
この姿を見ると直ぐにでも行けそうなのですが、風は相変わらず強いようです。
      
      う~ん!残念!

 軽く昼食を取って、気持ちを入れ替えます。
何といっても、ここから出合いまでは粉雪の斜面が待っているのです。
1218mポコの北側を回り込むとここから標高差500mの斜面が続きます。

 見た目は急な斜面ですがタップリある粉雪ですので快適な回転が楽しめます。
スキーのエッジを利かせながら2回3回とターンをする度に粉雪が舞い上がります。
自分のスキーがとても上手くなったような気がします。
これは、雪質がいいからなので決して自分の腕が上がったわけではありません。

 何回か休みながら滑り降りると、あっけないほどの時間で出合いまで降りてしまいます。今日、最大の楽しみがこれで終わってしまいました。

 でも、良い一日を過ごすことが出来ました。

 残り少なくなったスキージーズンです。
さあ、この次はどこへ行きましょう?    

オプタテシケ山 ・ 10’4月

2010-04-10 17:17:27 | 十勝岳山系の山
 4月7日、先月登ったトムラウシ山から雄大な姿を見せていたオプタテシケ山へ行ってきました。
今回も山スキーです。

オプタテシケ山は十勝岳連峰の一番東端にあり2千メートルを超える雄大な山です。
普通は美瑛町側から登るのですが、それでは日帰りが出来ないので新得側から
登ることにしました。

 この場合ネックとなるのが行程の長さです。
林道がどこまで除雪されているかで全体の行程が変わってきます。

 この正月休みに北大山岳部の人達が新得側からオプタテシケ山に登ったという
記録があり、この中で東大雪荘へ行く道路から5~6キロ先にある殿狩橋まで
除雪されていたということです。
この記録どおりに今も除雪されているかどうか森林管理署(旧営林署)に
問い合わせましたがはっきりしません。

 そこで清水町に住んでいる友達に現地を確認してもらうことにしました。
その結果、殿狩橋の少し先まで除雪されていることが確認できました。

この情報を基にオプタテシケ山登山計画を建て、4月6日に実行することとなりました。
メンバーは、前回トムラウシ山へ行った3人に加え数年前にこのコースから
オプタテシケに登ったS氏を加えた4人です。

 10日ほど前から天気予報を確認しているのですが、今回もはっきりしない天気予報です。
直近になっても決行予定日の6日は雨の予報です。
そこでいくらか天気が回復しそうな7日を決行日として6日の昼に札幌を発ち
東大雪荘に1泊、翌日早朝からオプタテシケ山を目指すことにしました。

 6日の午後から雨、夜には雪という予報を背にして東大雪荘に向かいます。
夕方東大雪荘に着く頃には雪がパラパラと降ってきます。
翌日の天気はあまり期待できない空模様の中、3時30分起床ということで
9時には就寝します。

 朝、目を覚まして空を見ると細かな雪がパラパラと降っています。
周りの木々の枝にはびっしりと降った雪が張り付いています。
地面には15センチほど積もった雪があります。
この様子ではどこまで行けるか分かりませんが、とりあえず登山準備をして決行します。

4時30分頃、東大雪荘を後にして殿狩橋へ向かいます。
道路のあちらこちらに雪の重さで折れた枝が落ちて散乱しています。
落ちた枝の中にはかなり太い枝もあります。
すべて湿った雪が木の枝に張り付きその重さに耐えられず折れたのです。
さらに、昨夜の気温は高かったようで地面にある水たまりは凍っていません。

曙橋から右折して殿狩橋を目指します。
5時前に殿狩橋から700~800m先にある除雪終点となる砂防ダムに
車をデポしてここからはスキーで山頂を目指します。

5時10分、まずは林道を歩き三股橋を目指します。
      
      シーンとした林道を歩きます。     
     
 空からはポツポツと降ってくる雪、周りの木々は樹氷で覆われています。
シーンと静まりかえった空気の中、時折聞こえてくる沢水の流れる音を耳にしながら
林道を歩きます。

1時間30分ほどで三股橋へ到着。橋を渡り、さらに林道を詰めていきます。

林道の先には開発局の雨量観測所があります。
この先はエゾマツと広葉樹の混合林です。
磁石を見ながら北東を目指します。

オプタテシケ山の南面は、山頂から深い谷が南南東に延びています。
この沢沿い西側の尾根を登る予定です。

 混合林の林の中を歩いていると所々にピンクのリボンがあります。
このリボンを目印に快調に登っていきます。
上空の空模様は相変わらずどんよりと曇っています。
視界はあるのですが、小雪が降ったり止んだりしています。
しかし、風がないのが何よりです。
ほとんど無風といっていいくらいなのです。
気温も高く、寒暖計の目盛りは1度を指しています。
休みながら標高を獲得していきます。

 混合林を30分ほど抜けるとはっきりした沢形が見えてきます。
沢の上部は雲の中に隠れています。
ここから、左岸に広がる混合林を登りちょとした尾根上の斜面を目指すことにします。

 混合林を抜けると、ちょうど雲の下辺部に来たのか視界がドンドン無くなってきます。
多少風も吹いてきます。
視界が50mを切るようになってきたので用意してきたデポ旗を立てながら登ります。
傾斜も一気に増してきます。
クラストした雪の上に10~15センチの新雪が積もっています。
気になっていた雪崩の心配ですが、クラストした雪と昨夜降った新雪の接合面は
馴染んでいるようなので雪崩の心配はないと判断しました。

 1300mを超えると雪の状態が少し変わってきます。
クラストしている雪面がガチガチに堅くなった斜面に変わってきます。
視界も相変わらずありません。
時折20mもないようになってきます。

 標高1600mを少し超えた辺りで11時を回ってしまいます。
山頂までの水平距離は700メートルほどですが、標高差で400mは残っています。
行動終了時間を12時に設定していましたので、残りの時間で山頂まで行くのは無理です。
メンバーの体調、斜面の状態、視界の無さなどを考え、ここから下山することとしました。

 スキーからシールを外し下山準備をしていると、一気に視界が開けてきます。
いままで見えなかった斜面が見えるようになりました。
      
      これが晴れてきて見えたオプタテシケ山の上部です。

      
      麓の斜面に陽が差しています。左下に向かって滑ります。

 これから滑り降りる斜面が見えましたが、それは標高差600mはあろうかという
大斜面です。
その斜面に向かい、一気に滑り降ります。
心配されていた視界も開けてきたので何の心配もありません。

 木々はまばらですので開放された大斜面が眼下に広がっています。
その斜面をスキーで滑るのは何物にも代え難い開放感が味わえます。
私はターンをする度に小さな声を発しながら滑り降ります。
足ががたついて転んでしまいます。
でも、新雪がやさしくクッションになってくれるので痛くありません。
何度かに区切ってこの大斜面を堪能しました。
    
    滑ってきた斜面を振り返ります。丁度陽が差している辺りから滑りました。

 でも、まだまだ楽しみは残っています。
このあとには混合林の中を滑る楽しさが待っています。
大きなエゾマツの横をすり抜けたりしながらドンドン高度を落とします。
沢形の地形がはっきりする場所まで降りるとこの大滑走も終わりに近づきます。
    
     深い谷から山頂部にかけて雲が湧きだしています。
     空には青空が広がっていますが、山頂部から雲がなくなることはありません。

    
     滑り降りた斜面に陽が差して、また来なさい!と私達を誘っています。
   
 雨量観測所までの混合林を滑り終えると今日の山スキーは終了です。
あとは林道を滑り、車のデポ地点まで降りるだけです。


☆☆★★☆☆★★☆☆★★☆☆★★☆☆★★☆☆★★☆☆★★☆☆★★

 本州では櫻が開花し、お花見をしている光景がテレビで報じられています。
でも、北海道はまだまだ冬が残り、春の足音がやっと聞こえてきたかという
季節なのです。

 そんな中での山スキーです。
天候の変化に一喜一憂して登り、そして滑ります。

今回も天候の変化に翻弄されましたが、4人とも怪我もなく楽しく山スキーが出来たのが一番です。

オプタテシケ山の山頂には、いつか立てる日が来ると思います。
それまでのお預けです。     


 あとは車のデポ地点に向かった林道を滑り降ります。