井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

恵庭岳へ山ガールをガイドする!

2014-08-26 21:30:45 | 札幌近郊の山
 8月24日、恵庭岳へ山ガールお二人を案内してきました。

 一緒に行ったのは、今まで何回か一緒に登ったことのあるIwさんとそのお友達のOtさんです。
Iwさんとは以前この恵庭岳の登山口まで来たのですが、雨が降り止まず登山を中止したということがあります。
今回も天気予報が安定せず雨のマークが消えずやきもきさせられましたが、前日の予報では曇りとのことです。

 しかし、当日の朝、札幌の天気は青空が顔を出しいい天気なのです。
ホッとして、朝7時に市内で合流。
そこから一路、恵庭岳の登山口を目指します。

 8時過ぎに登山口につきましたが、すでに駐車場は満杯近い状況です。
やっと見つけた隙間に車を止めて出発の準備をします。

 8:10分、いよいよ出発です。
上空は曇っているのですが視界はあります。
途中で見た恵庭岳は山頂だけが雲で隠れていました。

 Otさんは、昨年樽前山に登ったのが初めての登山のようです。
まずはゆっくりゆっくりと歩き出します。
それにしても気温が高いのか汗が噴き出てきます。

 この登山ルートは結構な急斜面があります。
息が切れないようにゆっくり登りますが、30分も歩くと汗が頬からしたたり落ちてきます。
林の中で風がないのも一因ですが、それにしても汗が出すぎです。

 アッという間に3合目に到着。
あまりの近さにもう少し頑張ります。
そして6合目の標識で休憩を取ります。

  
抜きつ抜かれつドンドン高度を上げていきます。

 登りと降りのコース分けが出来ている急で溝になっている所にきました。
ここは、崩落が激しいのでこのようにコース分けが出来ています。
落石の恐れがありますので間隔を空けて登ります。

 ここを登るとほどなく林の中を抜け見晴らしのいい場所へ出ます。
噴気口からあがる硫黄臭のにおいが鼻をくすぐります。
稜線は風が当たり気持ちがいいのですが、汗でずぶぬれの身体がすぐに冷えてきます。
長居をせず、写真を写すと歩き出します。

 山頂には相変わらず雲がかかっています。
ここからは傾斜も緩くなり快適に歩けます。
彼女たちの足取りもしっかりしています。

 仮の山頂まで来ましたが、今日は本当の山頂まで登ります。
ここからは自己責任の世界です。

 山頂手前の岩場を慎重に登ります。
ザイルが2カ所固定されていますが、左側の方が登りやすそうですのでこちらから登ります。
最後の岩の割れ目を抜けるとそこが山頂でした。
山頂の溶岩ドームは以前気と気よりも崩壊が進んでいます。
社の直ぐ下にも亀裂が入っています。
行かれる方はくれぐれも十分に注意してください。

   
   山頂はガスに包まれ視界がありません。
   記念に3人で写真を撮ります。

 11:05分、山頂へ無事に登ることが出来ました。

 山頂は狭い上崩落の危険があるので早々に退去します。
固定ザイルがある場所は、1人ずつ持ってきたザイルを使い確保しながら降ってもらいます。
ほんの5mほどですが、危険な箇所があるのです。
ここを降りて岩場をゆっくり慎重に降るとホッと一息です。

   
   この岩場にイワキキョウが咲いていました。

 11:40分、仮の山頂に戻りました。
大きな岩陰で昼食を取ります。
今日は寒いのでスープを用意しました。
風が当たり寒いのでツエルトも出して身体を冷えから守ります。

 ドンドン登ってくる人がいます。
賑やかになった山頂、でも、溶岩ドームの山頂は雲の中です。

 30分ほど休んで下山します。
時々細かな霧状の水滴が顔に当たります。
それも少し降ると気にならなくなります。

 見晴らしの良い場所に来ると日が差しており、目の下に見える支笏湖の湖面がブルーに光っています。
   
 
 しかし、山頂方面は厚い雲の中です。
   

 降り専用と書かれたコースの上に来ました。
登山道は深くえぐれ急斜面となっています。
ここは落石の恐れがあるので1人ずつ慎重に降ります。

   
   
   

 あとは危険なところはないのでドンドン降ります。

下に来ると雨がポツポツしてきますが、何とか雨に当たらず駐車場まで帰ってきました。

 14:35分、無事に下山することが出来ました。

 山頂からオコタンペ湖を見ることは出来なかったのですが、山ガールのお二人を溶岩ドームの山頂まで案内できました。

 ちょっとした岩登りも経験できました。
次はどこへ行きますか?
紅葉の山を楽しむのも良いですね。


 

沼の原からトムラウシ山へ登る! その3

2014-08-12 10:16:54 | 大雪山系の山
 昨夜はウトウトと寝ていると目の端が光ったような気がしました。
おやっ!と思ったらゴロゴロと雷が鳴ります。
天気予報では、明朝未明まで大気が不安定なので所によっては雷が発生すると報じていました。
そのとおり、雷雲が大雪の山並みを覆っているようです。

 しかし、今夜も小屋泊まりですので雷や雷雨が来ても心配することはありません。
何度か瞼越しに光る稲光を見ていましたが、そのうち寝てしまいました。


 8月1日(土曜日)

 周りがざわついてきたので目を覚まし、時計を見るとまだ3時半です。
そのまま寝袋の中でウトウトしていました。
4時になったので私も起きます。

 朝食を済ませて外へ出て上を見ると曇り空ですが空気は暖かいのです。
風は時折強く吹きますが、歩くには支障がない程度です。

 5:05分、用意が出来たので出発します。
今日は沼ノ原へ下山するだけですので気楽なものです。
ヒサゴ沼からいきなりの登りですが、下草が濡れているのでパンツの裾がグジャグジャに濡れてしまいます。

今日の天気なら稜線で風に吹かれるとすぐに乾くと思い気にしないようにします。
化雲岳の分岐を過ぎて風が強くなりましたが、気にするほどではありません。
視界も200mはありそうです。
   
   相変わらずのお花畑が癒してくれます。

   
   濡れた木道は滑るので気を付けながら歩きます。

   
    トリカブトの花が咲いていました。

 6:45分、五色岳に到着です。
   
   ここには若いカップルが休んでいました。

 このカップル、お互いにスマホに夢中で会話がありません。
山の中でもスマホに夢中とは、これが今の世の中ですね。

 ここからは、五色ヶ原に向かって長い降りが続きます。
しかし、その降り道も木道がほとんどですのでドンドン歩けます。 

   
   登ってきたときに見た景色ですが上から見るとまた違った景色に見えます。

   

   お花畑も見る角度が違うと新鮮です。
   

   
   エゾツガザクラの群落です。

 やがて水場に降る急な坂道の上に来ました。
この斜面は登山道を流れる水によって深くえぐれています。
泥の足場がツルツル滑ります。
両側にある笹や灌木の枝を利用しながら慎重に降ります。

 8:45分、降り終えると水場です。
ここで一休みします。

 ここまで来ると、あとは沼ノ原からの急な降りがあるだけです。
その沼ノ原を歩く辺りで雲が切れてきます。
太陽が顔を出すと急に暑くなってきます。

   
   トムラウシ山が見えてきましたが、山頂部には雲がかかっています。

 あとは単調に歩きます。

 10:40分、登山口に到着です。
やあ、今回の2泊3日のトムラウシ登山はこれで終わりです。
トムラウシ山の山頂は天気が悪く視界が無かったものの、50年振りに表大雪からトムラウシへのルートを歩くことが出来たので満足のいく山行でした。

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

  今回の小屋泊まりで2組のガイドツァーと一緒になりました。
 そこで気のついたことですが、忠別岳で一緒になったガイドは浄水器を持ってきていました。
 私は雪渓の融けた水や沢水を飲むのにいちいち消毒や浄水などはしていません。
 しかし、本州から来る人達はエキノコックスなどから身を守るために沢水を煮沸してから
 飲むようにするなど気を遣っている人が沢山います。

 そういったことを考えるとガイドツァーでは浄水した水をお客に提供するのは
 当たり前となっていくと思います。

 エキノコックスについては、根室に住んでいたときに講演を聴き勉強したことがあります。
 この時の経験もありますが、私はそれ以前から沢水を飲むことに抵抗を持っていません。
 エキノコックスは全道でも大半の市町村が感染地域に指定されています。

 エキノコックスは、寄生虫が肝臓において卵が幼虫になると慢性の肝臓病のような症状が
 出てきます。
 この時にエキノコックスかもしれないとの情報を医師に伝えれば超音波診断などで肝臓を
 見れば直ちに原因を掴むことが出来ます。

 もし、肝臓に幼虫がいた場合には、外科的な手術でその部分を切除すれば良いだけです。
 それで全治します。

 エキノコックスはキツネを媒体としていますので、観光客がキツネに手渡しでお菓子など
 やっている行為の方が感染する危険性が高いと思います。

 沢水にキツネの糞などが入り込み、その沢水を飲んで感染する確率はとても低いものです。

 そんなことから、私はエキノコックスを心配しないで沢水を飲んでいます。
 
  




沼ノ原からトムラウシ山へ登る! その2

2014-08-08 21:01:32 | 大雪山系の山
 昨夜は小屋泊まりですので風の音に悩まされることなく、ぐっすりと寝ることが出来ました。

 7月31日(木曜日)

 朝4時にガサゴソする音で目を覚ましましたが、外はまだ薄暗いので寝袋の中でうたた寝を貪っていました。
隣にいるツァーの人達は早くも出発準備をしています。
それではと起き出して朝食の準備をします。

 今回の食事は、とても簡単です。
マルチャン正麺を主にして、これに尾西のアルファー米を加えるだけです。
ご飯は前夜の残りを使いますのでとても簡単にできあがります。
チャチャカと朝食を済ませて、パッキングを済ませると丁度5時です。

 それではと、出発です。
外は曇り空、でも気温が高いんで下草は濡れていません。
雪渓を登り、登山道をゆっくりと登ります。
15分ほどで分岐に着きます。
化雲岳方面を見ますが、トムラウシ山はガスに隠れています。
   

 誰もいない山道を五色岳に向かって登ります。
朝一の歩きですのでペースを抑えめにして歩きます。
ハイ松のトンネルなどがありますが、登山道はハッキリしていますので何の心配もいりません。

 6:00分、五色岳に到着。
給水のため一息ついてすぐに出発します。
ここからは、緩い上り下りが続きます。
身体が動くなってきたので自然にピッチが上がります。

 木道を降っていくとお花畑があります。
   
   黄色い花が咲いていますが、高山植物というよりは、浜辺にある原生花園に咲く花のようです。
   花の名前を調べてみるとエゾゼンテイカという花のようでした。
   
   群落となって咲いていますが、この場所だけに咲いていました。

 途中の登山道ですが、ハイ松が切り払われ綺麗に整備された場所があります。
    
 しかし、この刈り払方は少し行き過ぎた感があります。
ハイ松の切り口が白く見えますが、それが痛々しく感じます。
こんなに広く刈り払わなくても、と思いました。(ハァ、残念!)

 6:45分、化雲岳とヒサゴ沼への分岐に到着です。
   
 ここで、男女2人の登山者に出会いました。
話を聞きますと鹿児島から来てるといいます。
そして、ヒサゴ沼から直接稜線へ出るには雪渓を登らなければならず、自信がないので遠回りにあるけれどこちらへ回ってきたといいます。
賢い選択だと思います。
自分たちの力量に会わせて登山することは大切なことです。
この先、ロックガーデンなど登山道が分かりづらい箇所があるので注意して登るように助言します。

   
   ヒサゴ沼へ向かって降りますが、そこにチングルマのお花畑がありました。

 雪渓も出てきます。
   
   遠くにヒサゴ沼が見えてきました。

 所々雪渓から溶けた水が登山道を洗っています。
足場の悪いところもあるので注意して降ります。
降り終えるとヒサゴ沼です。
ここからは木道を歩いて小屋へ向かいます。
   

 7:35分、ヒサゴ沼の避難小屋に到着です。
   
   中を覗くと誰もいません。
入り口側の床にザックが2個置いてあります。
私も小屋泊まりとしてザックを一番奥に置いて、水と食料、雨具などをサブザックに詰めます。

 準備が出来たんでトムラウシ山に向かって出発します。
   
   正面に見える2つの雪渓を越えます。
右手に見える雪渓は下の方をトラバースしながら歩きます。
これが意外と難敵でした。
傾斜はないものの、雪面が堅く滑ると湖面に落ちてしまいます。
ここは慎重に歩きます。

 最初の雪渓を越えると次の雪渓は長く途中が急斜面となっています。
これは、ステップを切った跡があったのでそれを使って慎重に登ります。
登り終えて振り返るとヒサゴ沼が目の下に見えています。
   
   この景色を見るのは50年振りです!
 昔と変わらない光景です。
雪渓の大きさもそれほど変わらないような気がします。
しかし、昔は両側の岩場からナキウサギの警戒音が沢山していたのですが、今はシーンとしています。
あれだけいたナキウサギはどこへ行ったのでしょうか?

 8:25分、稜線分岐に到着です。
   
   ここからは、稜線通しにトムラウシ山へ向かって歩きます。
少し登って振り返るとヒサゴ沼の反対側に小さな沼が見えています。
   
   この沼には大きな思い出があります。
50年前、高校2年の夏山合宿でこの沼の横で2泊したのです。
この時は、悪天のためトムラウシ山に登ることは出来ませんでした。
私が初めて大雪山を縦走した思い出が甦ってきました。

 天気は良くありません。
ガスの中で見通しが悪く、時折風が強く吹いてきます。
それでも気温が高いのでウィンドブレーカーを着ないで歩きます。

   
   曇っていても高山植物の花が目を楽しませてくれます。

   
   天沼です。
   晴れているともっと綺麗だと思います。

 ロックガーデンは登山道を見失いやすいので方向を十分に見定めて歩きます。
この辺りは本当に標識のペイントが薄くなり、ルートミスしやすい所です。

 ロックガーデンを越えて砂礫地を登っているとキキヨウの花が目に飛び込んできます。
   
   ちょっと紫色が薄いのでイワキキョウだと思います。

 そして、お色の濃いのがチシマキキョウです。
   
   私はこのチシマキキョウの濃い紫が好きです。
   
   こんなに混み合って咲く株は初めて目にします。

 ヒタ、ヒタ、ピチャ、ピチャと不思議な音が聞こえ来ます。
9:45分、北沼に到着です。
   
   不思議な音の正体は、北沼の水が岸に打ち寄せる音でした。

 ここから山頂へ向かって登りますが、風が強くなってきます。
ガスも濃くなってきましたので視界もあまりありません。
岩の上を歩くときは慎重にルートを見定めます。

 10:10分、トムラウシ山の山頂に到着です。
   
   風が強いので写真を1枚写すとすぐに風の陰に避難します。

 山頂には数人の人が休んでいました。
私は、大きな岩陰で風を避け、昼食を取ります。
ここで、何か食べておかなければ体力が持ちません。

 昼食を食べ終えるとすぐに下山します。
風にともなってポツポツと雨が落ちてきます。
雨具をすぐに出せるようにして降ります。

 少し降ると雨足が強くなってきたので雨具を着ます。
北沼へ下り、時折強く風に吹かれながら歩きます。
降るにしたがって雨が小降りになってきます。

 雨は、通り雨だったようです。
雨具を着ていると暑いので脱いでしまいます。
あとは来た道を引き返すだけです。

 ヒサゴ沼への降りは、雪渓を慎重に降ります。
今回はストックを持ってきていません。
簡易アイゼンは持ってきているものの、使うほどでもないかと思い、雪渓の急斜面は横の岩伝いに降ります。

 12:00分、避難小屋に到着です。
天気には恵まれなかったのですが、トムラウシ山に登れたのですから良しとしましょう。


 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

  ヒサゴ沼を目にしたのは50年振りとなります。
 50年前の高校2年生の時です。
 夏山合宿で愛山渓から天人峡へ抜ける大雪山の縦走が行われました。
 この時にトムラウシ山へ登るためヒサゴ沼の登山道を挟んだ反対側にある沼の
 横でテント泊をしました。

 この当時は、テントを張る場所も自由に決めて張っていました。
 しかし、天候が回復せず、トムラウシ山に登ることが出来ないまま天人峡へ
 下山しました。
 
 高根ヶ原のコマクサに感動し、重いザックに喘ぎながらトムラウシ山へ向かったのは
 とても良い思い出となっています。
 若かれし頃の貴重な思い出を造ってくれた山が大雪山でした。
  



 
  

沼ノ原からトムラウシ山へ登る! その1

2014-08-05 20:01:32 | 大雪山系の山
 7月30日から2泊3日で沼の原から五色ヶ原を抜けてトムラウシ山へ登ってきました。

 沼ノ原への登山口となるクチャンベツ沢へ通ずる層雲峡本流線の林道は、4年ほど前の8月に北海道を襲った豪雨により林道の一部が崩壊し、その改修工事のため通行が出来ませんでした。
その工事もようやく昨年秋に終了し、この春から入林が出来るようになったわけです。

 このルートからは、以前、五色ヶ原の手前まで歩いたことがあります。
この時は日帰りだったために帰りの時間を考えるとこの辺りで帰らざるを得ませんでした。
今回は2泊3日で日程を組みました。
宿泊場所は、1日目を虫別岳の避難小屋、2泊目をヒサゴ沼の避難小屋としました。
もちろん、小屋泊まりが無理な場合を考えてテント持参の山行です。


 7月30日(木曜日)

 朝4時30分、札幌を発ちます。
高速道路を飛ばして層雲峡へ向かいます。
層雲峡のコンビニで行動食を購入してクチャンベツの登山口へ向かいます。
上士幌へ向かう国道から高原温泉へ向かう道へ右折します。
そして、10分弱走ったところにゲートがあります。
   
   今ゲートはダイヤル錠で閉じられています。
   ダイヤルの番号は、上川森林管理署上川事業所(TEL 0165822001)に電話して教えてもらいます。

 林道を走ること15分くらいでクチャンベツの登山口に到着です。
   
   駐車場としてのスペース間十分にあります。

 すでに10台以上の車が止まっています。
まとわりついてくる蚊を払いながら登山準備をします。

 7:50分、さあ、まずは沼ノ原を目指します。
軽く登るといったん沢に向かって降ります。
そして、渡渉するのですが、この沢がクチャンベツの沢です。
流れの手前が水で削られています。
しかし、沢水の量は多くないので飛び石伝いに渡れば靴を濡らすことはありません。

 渡渉を終えると傾斜の緩い登山道ですのでゆっくり登ります。
林の中は空気が涼しく気持ちよく歩けます。
やがて、急な登りとなります。
雨が降ったときには雨水が登山道に流れ込んでくる荒れた道が続きます。
一気に汗が噴き出してきます。

 この急斜面を頑張って歩くと空が明るくなってきます。
どうやら、沼ノ原に近づいたようです。

 9:10分、登山道が一気に明るくなります。
沼ノ原の端に到着です。
   
   ここからは木道歩きが続きます。

 小さな沼が見えてきました。
ワタスゲの白い綿毛がポツポツと見えています。
   

 そして、大きい沼まで来ると正面にトムラウシ山の大きな姿が見えてきます。
   
   ここから見るトムラウシ山は本当に大きく見えます。

 私は、トムラウシ山が一番よく見えるポイントがこの沼ノ原だと思っています。
木道は大きく右に回り込むように造られています。
   

   
   しばらくは、この湿原の景色を楽しみながら木道を歩きます。

 大沼の先から新しい木道が付けられていました。
そういえば、以前来たときには、この先の木道は痛みがひどく朽ちていた部分が沢山ありました。
この古い部分をすべて作り替えたようです。
   

 ワタスゲ以外の花も見られます。
   
   ミヤマリンドウです。

 木道を歩き終えて少し降るとそこは水場といわれる休憩に最適な場所でした。
10:05分、水場に到着です。
   
    小さな流れですが、冷たくて美味しい水でした。

 沼ノ原の指定キャンプ地は大沼の所ですが、実は、指定キャンプ地は水が浮いているような場所です。
とてもテントを張れるような場所ではありません。
私は、この水場にテントを張ることを薦めます。
このテン場は、正式なものではありませんが、沢水もすぐ汲めます。
林の中ですので風の影響もありません。

 この水場で休憩を取ると、さあ、五色ヶ原へ向かっての急登へ挑戦です。
水場からは急な登山道を登ります。
雪融け水が流れて土の登山道は深く彫り込まれています。
泥ですので滑りますが、両側の笹が綺麗に刈り込まれていますのでそちらを歩くことも出来ます。

 今回歩いて感じたのですが、五色ヶ原まで笹が綺麗に刈り払われていました。
その結果でしょう、とても歩きやすくなっています。
 
 強くなってきた日差しの中、急登を登ります。
この坂を登ると五色ヶ原の末端部に到着です。
ちらほら高山植物の花も目に付いてきます。
   
   チングルマです。

   
   ミヤマリンドウです。

   
   エゾコザクラもまだ咲いています。

   
   こんな光景を見ながら歩きます。

 五色ヶ原も湿原ですので、登山道のほとんどに木道が設置されています。
木道は濡れると滑るので歩きやすいとはいえません。
ゴツゴツ足に響いてきます。
そんなことで意外と疲れます。

 しかし、周りに咲く花が心を癒してくれます。
   
   トムラウシ山の姿が大きくなってきます。

   
   ワタスゲの群落もあります。

   
    ミヤマキンポウゲの群落です。

 目の先に五色だけと思われるピークが見えてくると、右手に虫別岳、その奥に旭岳の姿を見ることが出来ます。
   
   尖った岩の横が五色岳です。
   
   左手が崖のような急斜面になっている山が虫別岳です。

 実は、この虫別岳を目にするのは50年振りになります。
高校2年の夏、大雪山の縦走が夏山の合宿でした。
この合宿で歩いて以来、この周辺を歩いていないのです。
そんなことで、新鮮な気持ちで辺りをキョロキョロ見ていました。

 12:30分、五色岳に到着です。
ここまで来ると虫別岳の避難小屋までもう一息です。
そんなことでゆっくり休みます。

 天気は上々、風が少しあるものの汗をかいた身体には気持ちよく過ごせます。

   
   この花はあまり見かけない花でした。名前を調べなくては・・・

 あまり休んでもいられないので避難小屋へ向かって降ります。
今回はトムラウシ山を登るつもりですのでヒサゴ沼へ向かう方がいいのですが、昨年この小屋を直したとの話があるのでそれを確かめるために泊まることにしました。

稜線の分岐から10分ほど降ると小屋が見えてきました。
   
   なかなか良いロケーションです。

 13:20分、虫別岳の避難小屋に到着です。
小屋の中には単独の男性が先着しています。
   

 水は、小屋から少し降った雪渓の下で汲みます。
その途中にテント場がありましたが、数張り張るのがやっとといった広さです。

 小屋にはツァーの団体も入り、賑やかになってきました。
   

 さて、小屋の中を見ると1階の床が張り替えられたようで黄色いしっかりしたパネルとなっていました。
2階もあるので20人は十分に泊まれるでしょう。
今日は快適な小屋泊まりです。


 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

  最終的にこの日の小屋利用者はツァーの団体が7人ほど、単独の利用者が私を含めて4人、
 ご夫婦が1組、といったところです。
 
  なかなかの利用者数かと思います。
 この小屋は白雲の避難小屋とヒサゴ沼の避難小屋の丁度中間点にあります。
 白雲の小屋からですと3時間ほどでここへ来ることができるでしょう。
 トムラウシ山を目指す人が多い縦走では、この小屋を飛ばしてヒサゴ沼の小屋へ向かうはずです。
 その方が効率的であり、十分に歩ける距離ですので、この小屋を利用する人は少ないと思っていました。

 しかし、ツァーなどでは、込むことが予想される白雲の小屋やヒサゴ沼の小屋より、
 この小屋の方が確実に泊まれる小屋として利用しているようです。
 また、天候が急変した場合などを考えると歩いて3時間ほどの距離に小屋があるのは心強いですね。

  
   夕方ですが、雪渓の向こう側に鹿が2頭ほど現れ草を飯でいます。
   この高度まで鹿が登ってきて草を食べると食害を心配せずにはいられません。
   草が無くなると笹が増えて植生が変わる原因となります。
   そういう意味でも、増えすぎた鹿は問題です。
   そろそろ、大雪でも鹿の駆除を考える時期に来ているのではないでしょうか。