井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

北部日高(伏美岳→北戸蔦別岳)縦走・その2 11年7月

2011-07-20 15:03:26 | 日高山系の山
 昨夜は風の強い夜でした。
このテントサイトは風に強い地形だと思って安心して寝ていましたが、時折強い風がテントを揺らします。
それでも、テントの下から吹き上がる風ではないので気にしないで寝ていましたが、Su氏が心配になり外の様子を見てくれます。
張り綱の数本が抑えに使っていた石から外れていたようです。
それでテントのばたつきが大きくなっていたようです。

 外が白み出す午前3時を過ぎる頃から風の音がしなくなってきました。
昨夜は疲れもありよく寝られました。
それにしても暑い夜でした。


 7月12日(火)

 4時になったので起きます。
テントから外を見るとガスが掛かり辺り一面真っ白です。
朝食は、昨夜の残りご飯にお茶漬けの元を入れてサラサラと食べます。
おかずはサンマの蒲焼きです。

 6:10分、テントサイトを出発します。

 まずは目の前にある小高い斜面を登ります。
そして降った先が1,769mのコルです。
ここから1967m峰までの辛い登りが続きます。
途中で1回休みを入れ、さらに大きな雪渓の横を歩き、7:03分、1967m峰に着きました。
山頂はあいにくのガス。
それでも、この頂は日高第3番目の高峰です。
3人でがっしりと握手、そしてお互いに記念写真を写し合います。
    
     私にとって1昨年の日高幌尻、昨年のカムエク、そして1967m峰

3年続けて日高の高峰の山頂を順番に踏んでこられたのは幸せなことです。

 ここから北戸蔦別岳に向かって歩き出して直ぐ、何とガスが一瞬にして晴れ出しました。
風に乗って雲が流れます。
するとその向こうに、戸蔦別岳や日高幌尻岳などが姿を現してくれます。

3人して思わずワ~ッと歓声を上げました。
    

    
     雲が無くなると私達が歩いて行く北戸蔦別までの稜線が見えてきます。

 この景色に気をよくした私達は、俄然やる気が出てきます。
しかし、1967mからの降りは岩混じりの細い尾根で気を抜くことは出来ません。
慎重に降ります。
    
     後ろを振り返ると1967m峰が大きな姿で聳えています。

 前方に見える1856mの山頂に人影が見えます。
どうやらこの頂でテント泊をしているようです。
どちらへ進むかと思っていると、私達の方へ向かって降ってきます。

 途中で挨拶を交わします。
彼ら2人は、1昨日伏美岳から登ったといいます。
どうやら伏美岳の駐車場に中止していた軽自動車は彼らの物のようです。
日高幌尻岳までピストンしたようですが、1人は足を痛めたのでテントで待機していたようです。
そして、今日中に伏美岳まで降りたいと話しています。

 この話を聞いたときにちょっと無理ではないかと思いました。
なぜなら、伏美岳からピパイロ岳を越えるだけで昨日は8時間ほど掛かっています。
痛めた足でここから暗くなるまで9時間ほどしかありません。
もし、伏美岳まで戻るならこんな9時近くなって出発するなどあり得ません。

 彼らには、気を付けて頑張ってくださいとだけ言って別れます。

 8:45分、1,856mに到着です。

 ここからの眺めも最高です。
    
    北戸蔦別岳までの稜線が一望できます。

 ここまで来ればもう一度大きく降って、北戸蔦別岳の肩になる1901mを目指すだけです。
3人の足取りは快調です。
昨日とは打って変わって元気を取り戻したSu氏、いつものようにビデオを回しています。

1901m目指して登っていると北戸蔦別岳の山頂に人影が見えます。
それも、14~5人はいるでしょうか?
こんな時間に団体客が?と不思議に思って歩いていると彼らは戸蔦別岳の方に向かって降っていきます。
 どうやら、日高幌尻に登ったツアー客のようです。

 9:45分、北戸蔦別岳に到着です。

 これで、稜線歩きの線が繋がりました。
北戸蔦別岳の山頂標識裏にあるテントサイトを見てびっくりしました。
何と、小さなテントサイトがまるで土木工事をしたかのように石組みで戸蔦別川側が綺麗に土を盛り上げ、おまけに真っ平らに整地されています。
こんな立派なテントサイトに誰がしたのでしょうか?

 離れがたい北戸蔦別岳の山頂ですが、いつまでもいるわけにはいきません。
目の前に大きく聳える日高の盟峰、幌尻岳の姿を目に焼き付け下山します。

まずはヌカビラ岳へ向かって降りますが、途中の尾根に大きな雪渓が残っています。
今まで2回の登山でも目にしたことのない大きな雪渓でした。
これも、ゴルデンウィークに降った雪がいかに多かったかという証です。

10:35分、ヌカビラ岳を通過。

ここから急な斜面の降りです。
転ばないように慎重に降ります。

11:20分、疲れたので一休みします。
もう少し降るとトッタの泉だと思いながら、身体の方がそこまで降ることが出来ません。
水を十分に飲んで休みます。

 ほんの5分ほど降るとトッタの泉がありました。
    
     ほんとに小さな流れですが、冷たくて美味しい水です。

 ここからさらに続く急な斜面を降り、12:10分、沢の出合いに到着です。
ここからは沢に沿って降ります。
かなり疲れてきているので声を掛け合って慎重に降ります。
4~5回の渡渉はすべて岩を飛ぶなどして渡れますが、岩角が滑るところもあり思わず転びそうになってしまいました。
危ない、危ない!

 13:53分、やっと取水口ダムに到着です。
ここまで来れば後は単調な林道を歩くだけです。
最後の休憩を入れて、ここからは千栄えの駐車場へ向かって降るだけです。

しかい、いつも感じますが、この林道歩きは本当に疲れます。
何故なのでしょうか?
ここまで車が入れれば無駄な歩きだと思うから疲れるのでしょうか?

そんな林道歩きも仲間がいれば何とか歩けます。
今回の山行を振り返り、反省会を氏ながら歩いているとやっと赤い橋が見えてきて駐車場に到着です。

 14:50分、デポした車に到着です。
これで今回の山行も無事に終えることが出来ました。

 あとは、伏美小屋に残してきた車の回収です。

 #*#*#*#*#*#*#*#*#*#*#*#*#*#*#*#*

 伏美小屋に残した車を回収するときに登山口の駐車場を見に行きました。
それは、途中ですれ違った2人組が下山したかどうか確認したかったからです。
でも、彼らの軽自動車は私達がスタートしたとき目にした場所に留まったままです。
彼らは、どこまで歩いてきているのでしょうか。
もう午後6時を回りました。
日没まで1時間もありません。
彼らは今夜も途中でビバークするのでしょうか?
 
 


北部日高(伏美岳→北戸蔦別岳)縦走・その1 11年7月

2011-07-18 20:51:23 | 日高山系の山
  今年初めての日高挑戦を計画しました。
7月10日(日)の午後に札幌を出発して11日から登山開始、12日までの実質的には1泊2日の計画です。
 このコースを歩くには出発点となる伏美岳(1,792m)の登山口と下山口となる北戸蔦別岳(1,912m)の登山口に車を回送しておく必要があります。
私達は、札幌に近い新ひだか町の千栄からチロロ林道にある北戸蔦別岳の登山口に車をデポして出発地点となる伏美岳(1,792m)にある伏美小屋に1泊して歩くことにしました。

 今回のメンバーは、ニペソツ山に挑戦したメンバーの内O氏はこのコースを歩いたことがあるのでパス、その代わりにKo氏が新たに加わり、このコース初挑戦となる私にSu氏の3人で歩くことになりました。
Ko氏は芦別岳本谷を一緒に登った方です。


 7月10日、午後3時半に私とSu氏が札幌を出発します。
Ko氏は先に札幌を出発しており日高町の道の駅で合流する手はずとなっています。
午後6時に道の駅でKo氏と無事に合流、早速、コンビニで食料を買い込み北戸蔦別岳の登山口へ向かいます。

 チロロ林道にある北戸蔦別岳の登山口に到着。
この林道は、昨年まで林道ゲートに鍵が掛けられいたのですが、今年から解放されています。
駐車場に私の車を駐車して、Ko氏の車に乗り換えて伏美小屋を目指します。
9時頃、ようやく伏美小屋に到着です。
先着者がいればテントに泊まろうと考えていたのですが、幸いに誰もいないので小屋泊まりに切り替えます。

 日高町の道の駅にあるコンビニで買ってきた弁当を食べて、そうそうに寝ることにします。


 7月11日、 伏美小屋で快適な1夜を過ごしました。
目を覚まして外を見ると晴れています。
さあ、急いで出発の準備をします。

   
    伏美小屋は赤い屋根が特徴の可愛い小屋です。
    トイレは外の別棟にあり、炊事場は小屋の前の沢水を引いて作られてます。

 5:50分、いよいよ私達の縦走が始まります。
10分ほど歩くと大きな駐車場がありここが登山口です。
軽自動車が1台駐車しています。

 伏美岳までは快適な登山道です。
しかし、所々急な斜面がありドンドン上がる気温のため汗が噴き出してきます。
今回は、稜線での1泊用にSu氏が4リットル、私が3リットル、Ko氏が1リットルの水を担ぎ上げます。
その水の重さと高い気温のため給水用の水がドンドン消費されます。

 あまりの暑さに30分から40分ごとに休憩を入れます。
その度にノドを潤さなければ唇が乾いてくるのです。
水がドンドン消費されます。

 9:10分、ようやく伏見岳(1,792m)の山頂に到着です。
私にとって3度目の山頂です。
今までの山頂はいずれもガスで眺望がゼロでした。
しかし、今日の山頂は北部日高の山並みを見せてくれます。

   
     山頂から正面に戸蔦別岳、その奥に日高幌尻岳が見えています。

 しかし、何といっても存在感のあるのがエサオマントッタベツ岳です。
   
    左右に見える雪渓のある斜面がカールです。
    左が北東カール、右が北カールです。
    そして、両カールを従えている真ん中に山頂があります。

 この北東カールに昨年1泊しました。
しかし、残雪の量は昨年を遙かに超えています。
今年は、どこも、稜線の残雪量が多いと思います。
これは、5月の連休に降った雪の量が半端ではなかったということなのでしょう。

    
    左手奥にあるピークが日高幌尻岳です。
    右手のすっきりとした三角形のピークが戸蔦別岳です。

 戸蔦別岳の山頂左側の沢を40年ほど前に登ったことがあります。
この時は、この白く見える沢を詰め国境稜線を越えて7つ沼カールで2泊しました。
遠い昔のことですが、自分の登った足跡が確認できるのは素晴らしいことです。

 40分ほど伏見岳の山頂で休み、いよいよ水場のコルへ向かって降ります。
林の中をドンドン降りますが、林の中に熱気がこもり暑くてしょうがありません。
温度計を見ると20度もあります。

 噴き出す汗を拭きながら降りますが、なかなか水場のコルへ降りることが出来ません。
10:50分、しょうがないので昼食を取ることにします。
久しぶりの1泊装備が肩に堪えます。
しかし焦りは禁物です。
幸いに天気がいいので、ここはじっくり攻めるしかありません。

 昼食を取って少し元気が戻りました。
1時間ほど歩いてやっと水場のコルに着きました。
さあ、ここからはピパイロ岳までの急な登りとなります。

 Su氏の調子があまり良くありません。
どうやら脱水症状が現れているようです。
残雪がありますので足を冷やして体温を下げます。
そうして、荷物を少なくするためにSu氏が担ぎ上げている水を飲むことにします。

ピパイロ岳(1,916m)まで3度の休みを挟んで14:05分、山頂に到着です。
ここでゆっくり休憩を入れます。
今日のテントサイトは、ピパイロ岳の先に見える1911m峰辺りと考えています。
ここまで来れば先が見えてきました。

    
     ピパイロ岳の山頂下にテント1張分のサイトがあります。
     右に見えるピークが1911m峰です。
     この峰から北に向かうと芽室岳へ行けます。

 でも、私達はもう少し先を目指すことにします。
ピパイロ岳から1911m峰へは小さな起伏があるだけです。
少し眺めの休憩を入れたのでSu氏が少し回復してきました。

 14:30分、1911m峰目指して進みます。
 
 岩混じりの尾根を慎重に歩きます。
でも、踏み分け道がついているので迷うことはありません。

 14:50分、1911m峰に到着です。
しかし、1911m峰は岩だらけの山頂です。
どこにテントサイトがあるのだろうと思い少し降ることにしました。

   
    1911m峰から見たピパイロ岳です。

 1911m方を少し降った尾根上にテントサイトを見つけました。
しかし、このテントサイトは風の影響をまともに受けそうです。
その上、近くに雪渓もないので水を手に入れることが出来ません。

前方を見ると右手の斜面に細長い雪渓が見えています。
その上部にテントが張れそうな気がします。
ザックをこのテントサイトにおいて様子を見に行くことにします。

 3人で5分ほど降るとちょっとしたコル状の地形があり明らかにテントサイトとして使っている場所です。
風も幾らか防げそうです。
おまけによく見ると雪渓のある斜面に踏み分け道が付いています。
3人の意見がここにテントを張ることで一致します。
早速、ザックを取りに戻ります。

 15:25分、テントサイトに到着です。
   

早速テントを立てると、雪渓に向かって降ります。
踏み分け道をほんの2分ほど降ると雪渓が目の下に見えてきます。
ビニール袋に残雪を詰めてテントサイトに戻ります。
この雪を融かして水を作れば、もう水の心配はありません。

 今回、残雪を溶かして水を作るときにゴミを漉し取るためにコーヒフィルターを持ってきました。
ニペソツ山で雪を融かして作った水は細かな砂粒やゴミが多かったのです。
このゴミを漉し取るのにコーヒーフィルターを使おうと思ったわけです。

さあ、コッヘルに水を少し入れてから雪を沢山入れます。
お玉で雪を崩しながら水を作っていきます。
そして出来た水をフイルターで漉します。
最初はなかなかいい調子で漉し取れます。
でも直ぐに水の流れが悪くなります。

なぜかと思いフィルターをよく見ると黒い小さなツブツブが一杯見えます。
どうやら黄砂のような細かな砂粒で目詰まりしているようです。
これには参りました。
500ccも濃し撮る前に目詰まりしてしまいます。
少し多めに用意してきたフィルターが無くなってしまいます。

仕方がないので残りはタオルで濃し取り、大きなゴミだけ取り除くことにしてこの水は調理用にします。
こんな事で、必要な水の確保が出来たので腹一杯水を飲み事が出来るようになりました。


   

知床・硫黄山 11年7月

2011-07-06 14:22:07 | 知床山系・斜里岳・阿寒の山
 今年は、知床公園線の交通規制が6年振りに一部解除されることになりました。
 今までは、カムイワッカの先が交通規制により立ち入り出来なかったために羅臼岳から硫黄山へ縦走しても折り返しで羅臼岳側に戻ってこなければなりませんでした。

それが、今年の6月25日から8月25日までの2か月間、カムイワッカから硫黄山の登山口までの6百メートルが登山者に限り立入制限が解除されることになりました。
このため、ウトロから羅臼岳に登り硫黄山を経由してカムイワッカに下山するという縦走が可能になりました。

 この立入制限区間に関しては事前申請などいろいろな手続きがあります。

 詳しくは、http://www.okhotsk.pref.hokkaido.lg.jp/kk/akk/shiretoko_riyou.htm を参照してください。

 さて、知床硫黄山にはシレトコスミレという白い可憐な花が咲いています。
この花に特別な思いを寄せているIさんと一緒に硫黄山を登ることになりました。

 私は、40年ほど前にこの硫黄山の方まで登っていますが、この時は山頂は登っていません。
そんな訳で、山頂を踏んでいない私と山頂近くに咲くシレトコスミレを見たいIさんとの山行になりました。

 
 7月2日、札幌を朝8時に発って一路斜里町ウトロを目指します。
高速道路の休日千円が無くなったので高速料金を心配してましたが、休日50%割引の適用で1,800円とそれほどの負担ではなく、ホット一息。

それにしてもウトロまで400キロ、約7時間掛かりました。
今夜は、ウトロの道の駅駐車場でテント泊です。
駐車場には土曜日の夜とあってキャンピングカーや車中泊をする車が20台以上が駐車しています。
きっと、夏休みにはいると車中泊の車で埋まってしまうことでしょう。


 7月3日、朝、目を覚ますと快晴です。
天気予報では曇りだったのですが、天は私達に味方してくれたようです。

早速、昨夜向かいのコンビニで買い求めた弁当を食べて出発の準備をします。

そして、カムイワッカの登山口を目指して車を走らせます。
知床峠の分岐点を左に曲がり、知床五湖の分岐点を過ぎるといよいよ林道を走ります。
それにしても、この林道は良く整備されています。
日高の林道とはエライ違いです。
木漏れ日指す林の中の林道を快適に走ります。

5:40分、カムイワッカに到着です。
ここには、管理詰所が設けられています。
    
 この詰所に備えられているポストに「道路特例使用承認書」のコピーを入れて規制区域に入ります。
硫黄山の登山口はこの林道を左手に進んだ先にあります。

 林道を歩いていると、早速、鹿君のお出迎えに逢いました。
   
  この鹿くん、まったく我々の存在を意に介さないようです。
このように知床ではどこにでも鹿が現れます。
ハッキリ言って鹿は増え過ぎです。
早く適正数量に駆除をしないと森林破壊も進み大変なことになります。
それほど、鹿の食害が深刻な問題となってきているのです。 


 6:00分、硫黄山の登山口(標高250m)に到着しました。
ここから硫黄山(1,563m)の山頂までは、標高差1,300mほどあります。
知床は海岸近くから直ぐ山になっていますので標高自体はそれほどの山ではありませんが思った以上の標高差があります。

この登山口に立つのは、実に40年振りなのです。
   
 40年前に、この林道の少し先にあるウブシノッタという沢を登ったとき以来です。

登山口から登り出すと快適な登山道があります。
    
    珍しく笹のない陽の当たる明るい登山道です。

この登山道を気持ちよく快適に歩きます。
気温が上がっているせいか幾らも歩かないのに汗ばんできます。
ほどなく林を抜けると見晴らしが一気に開けます。
前方に硫黄山が見えてきます。
    
 この登山コースは、カムイワッカの沢と硫黄沢に挟まれた尾根を登り、硫黄沢からウブシノッタの源流部とぶつかる尾根を目指します。

右手に深い沢が見えてきますが、この沢がカムイワッカの沢です。
    
     沢の右岸から温泉水が出ています。

 この温泉水が沢水と混ざり下流の滝壺が天然温泉のお風呂となっています。
これが、有名なカムイワッカの湯の滝です。

 6:45分、硫黄採掘所跡に到着です。
ここは昔、硫黄の採掘を行った場所です。
    
    昔、組んだ石の壁が見えます。

   
    今でも、硫黄の採掘権を所有している人がいると聞いたことがあります。

 ここからは低いハイ松の中を歩きます。
登山道は所々整備されており6年間人が入っていない道とは思えないくらいです。

 7:35分、噴火口に到着です。
あちらこちらからシュー、シューと白い湯気が吹き出ています。
この湯気は亜硫酸ガスです。
硫黄の臭いがたちこめています。
   
  
   
     大きな噴火口が見えます。

   
    この辺りにはイソツツジが咲いています。
    阿寒の川湯にある硫黄山の辺り一面咲いているツツジと同じものです。

        
    ゴゼンタチバナです。

 8:25分、いよいよ小さな沢の中に入ります。
この沢を源頭部まで詰めます。
   
 
 沢に入って3百メートルほどで雪が出てきます。
沢を埋める残雪です。
足元が滑るので、今回は時間節約のために4本歯の簡易アイゼンとストックを使って登ることにしました。

 1,100m辺りで沢が二股になっています。
    
 左の沢を進みます。

 日当たりの良い岩の上にコザクラが咲いています。
    
    
北海道の山は雪解けの進み具合に会わせていろいろな花が一気に咲き出します。

 左股の雪の上に不思議な光景が広がります。
    
     雪の上に落ちた落ち葉などが吹きだまり不思議な模様となっています。

 10:00分、やっと沢の源頭部に到着です。
右手には硫黄山の山頂が見えます。
    
    
 左手には、ウブシノッタの源流部からの尾根とその先には知床岳が見えています。
    
 この砂礫岩の尾根に40年ほど前にウブシノッタの沢を登って来た記憶が蘇ります。
あのときは、GWの残雪期を利用してウブシノッタの深い沢を歩いて登ってきました。

そして、知床岳の思い出も蘇ります。
チャカパパイの沢を登り、知床岳に山頂に続くテッパンベツの沢を降って来たのです。
いずれも、遠い昔の記憶ですが、こうやってそれらの沢や山を目の前にするとあのときの光景が思い出されます。

懐かしさのあまり、ちょっと目頭が熱くなりました。

 さあ、この源頭部にシレトコスミレがあるはずです。

「あっ、あった!」Iさんの声がします。
どうやら念願のシレトコスミレを見つけたようです。
声のする方へ行って地面をよく見るとありました。
思ったより小さな花です。
    
     白い可憐な花を付けています。
      (シレトコスミレは知床の固有種ではありません。)
    
 良く数えると20株以上はあったようです。

 ここから山頂を目指します。
山頂へは羅臼岳側へ回り込むように登ります。

雪渓を利用して登り、そこから左手に回り込みます。
私達の先に4人ほどの登山者がいます。
その人達が降りてきます。

山頂部は、ガラガラの岩場となっており浮き石が沢山あります。
コースも不明瞭です。
初心者の方には厳しいコースとなっています。
登りは良いとしても降りには細心に注意が必要です。

私とIさんはこの岩場を注意して登ります。

10:45分、やっと山頂です。
    

山頂からは羅臼岳が見えています。
   
     雄大な光景です。

 目の前には知円別岳に続く荒々しい光景が広がります。
   

 そして、山頂にもお花畑がありました。

   
     ミネズオウです。

   
     ミヤマキンバイです。

   
      イワウメです。

   
      アオノツガザクラす。

 眼下に広がるオホーツク海には漁船や遊覧船の白い航跡が眩しく光ります。
離れがたい山頂ですが、何しろ今日中に札幌まで帰らなければなりません。
後ろ髪を引かれる思いで山頂から降ります。

そして、羅臼岳に続く稜線に目をやって、「必ず歩きに来るから!」と声を掛けます。

 雪渓のところまで降って昼食を取ります。
今日は日差しも強く、気温が20度もあります。
知床岳を見ながら昔を思い出し、至福の時間を過ごします。

離れがたい山頂下を11:35分、後にします。

ここからは、尾根に咲くシレトコスミレに別れを告げ、まっしぐらに登山口を目指します。
14:10分、登山口に到着です。

快晴という天気に恵まれた登山でした。
振り返ればオホーツク海のブルーの海が広がる。
開放感一杯の登山でした。

そして、40年前の若かった日に登った山を目に前に出来た充実の登山でした。

ア~、ア~ァ! あの日に帰りたい!

そんな気持ちにさせられた1日でした。


最後にログを落とした地図を貼り付けておきます。