井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

十勝岳・美瑛岳 11年7月

2011-08-23 08:22:50 | 十勝岳山系の山
 7月16日(土)

 宿の食堂で朝6時に待ち合わせていました。
みいちゃんとInさんも時間通りに食堂へ来ます。
窓から外を見ますがどんよりとした鉛色の空です。
この様子では、天気は期待できないかも?

 まずは美瑛の町へ行ってコンビニを探します。
今日の昼食と飲み物を購入しなければなりません。
旭川へ向かう国道に出てしばらく走るとコンビニがありました。
ここで買い物をして一路十勝岳の登山口である望岳台を目指します。

 山に向かうにしたがってフロントガラスに細かな水滴が付いてきます。
雨というほどではないのですが霧のような細かな水滴です。

白金温泉まで来るとこの水滴が大きくなってきます。
辺り一面ガスで覆われて視界もあまりありません。
今日はどうかな?と思っていると望岳台に到着です。

 望岳台の駐車場には、すでに、10台くらいの車が止まっています。
車から外へ出ると雨というかガスというか微妙な天気です。
十勝岳の山頂方面を見るとガスで覆われまったく見えません。

 それでも、大した雨ではないので取り敢えず十勝岳を目指して出発します。
私とInさんは雨具の上だけ着ます。
みいちゃんは傘を差して歩きます。
    
     望岳台の駐車場を少し登ると立派な標識がありました。

    
     こんな感じの石だらけの登山道を登ります。

 1時間以上歩くと美瑛岳の分岐があり、それを過ぎると前方に避難小屋が見えてきます。
    
     ここで休憩を取ります。

 霧雨が上がってきましたが、視界がないので足元を見ながら登ります。
ここからコースが急になり避難小屋の左手の尾根に向かってジグを切って登ります。
足元は細かな砂礫で歩きづらいです。

 やっと尾根に到着です。
    
     ここからしばらくは平坦な尾根を歩きます。

 しかし、足元はザラザラの砂礫で足を取られそうになり、本当に歩きづらいです。

 十勝岳の山頂に向かって最後の急斜面を登ります。
この辺りでは早朝に登った人達が降りてきます。
山頂の眺望はゼロだったと話してくれます。

 私達が登って行くにしたがって雲が切れてきます。
    
     白金温泉など山裾の眺望が開けてきます。

 そして、右手の富良野だけ方面を見ると幻想的な光景が広がっています。
    
     昨日登った上ホロの山頂が雲の上に顔を出しています。
その向こうに富良野だけが見えるはずですが、雲に覆い隠されています。

 ようやく山頂です。
   
    ここからは美瑛岳も見えました。
上空は厚い雲がありますが、視界が開けてきました。
何という幸運でしょう。
どうやら、雨女のみいちゃんより私の晴男度の方が若干上回ったのでしょうか?

 (山頂で写真を撮りましたが、花も恥じらう女性達ですので写真はお預けです。)

 さて、ここからどうしょうか相談します。
このまま下山してはおもしろくないので大きなお花畑のある美瑛岳を回ることにします。
「美瑛岳はどこですか?」とみいちゃんが聞くので、「あそこですよ。」と雲の向こうに見えるピークを指さすと、「ヒェー!」行けるかな?といいます。

「大丈夫、大丈夫!」といって山頂から降ります。

 鋸岳の横を通り降ると雪渓が残っています。
ここで先行している老後夫婦の奥さんがおぼつかない足取りで雪渓をトラバースしています。
見るからに危ない感じですので、先行して手を貸します。
普通の登山道は私より速く歩く人達ですが雪の上は苦手のようです。

 後ろを振り返るとみいちゃん達の歩き方も変です。
おっかなびっくり歩いているのです。
「この程度の雪渓を渡るのに随分苦労しているな」と思ったのですが、ここは雪国育ちかどうかの差が出たようです。
雪渓での歩き方を少し教えて渡ってもらいます。

 この雪渓を越えて美瑛岳への登に入る頃からお花畑が現れます。
     
     
      なかなかいい感じに咲いてます。

 そして、美瑛岳の山頂も見えてきました。
    
     一番左のピークが美瑛岳の山頂です。

    
     山頂に向かう最後の斜面を登ります。

 そしてようやく山頂に到着です。
    
     
     正面に十勝岳の山頂が見えています。
    
  
 ここで、ゆっくり休憩して昼食を取ります。

 お腹も一杯になったところで山頂を後にします。
ここからは長い降りが待っています。
足元に十分気を付けて降ります。

 ガレ場からはい松帯、灌木帯をひたすら降ります。
所々雨水が流れ込んで深い溝となっています。
泥が溜まっているところは滑りやすいので慎重に降ります。

 ポンピの沢まで降りました。
何と沢が増水しています。
普段ですと軽く飛び石伝いに渡れる沢なのですが、どうも様子が違います。
    
     あちらこちら探しましたが、いい場所がありません。

私は、ちょっと危険な飛び石を飛んで対岸に移りましたが、彼女たちに勧めるわけには行きません。

 いろいろ考えて、みいちゃんが持っているストックを使い石を放り込んで作った足場を渡ってもらうことにします。
何とか渡り終えてホット一息です。

 この後も数カ所の雪渓をトラバースと軽い渡渉をこなしドンドン降ります。
そこそこ疲労が溜まってきた辺りで前方にシマリスが木の実を頬張っていました。

足を止めて小声でみいちゃん達に教えます。
「オーッ!」、みいちゃんは静かにカメラを出してシマリスを写します。
私達に気づいたシマリスがアッという間に木陰に消えます。

昨日のキタキツネに続いてシマリスを見ることが出来たみいちゃんは満足そうでした。
「よかった!よかった!」このコースを歩いた甲斐があるというものです。

 樹林を抜けると十勝岳への分岐点が近いです。
やっと分岐点まで来ると十勝岳からドンドン降りて来る人達がいます。
今日は朝早く登った人達よりも少し遅く登った人達の方が視界も開けいいやま登りが出来たようです。

 私達も望岳台へ戻ってきました。
さあ、後は温泉で汗を流すだけです。
今日は、吹上温泉白銀荘で入ります。
    

 温泉でゆっくりした後は、昨日泊まったおかせん里さんへ行きます。
Inさんは別な宿ですのでそこまで送ります。

 今日は9時間ほど歩きましたが、みいちゃんは元気です。
しかし、「明日は富良野観光でも良いかな。」ということで、山から観光に切り替えです。

今回は、みいちゃんが満足すればいい旅ですので、「山と観光」いずれも楽しんでもらえれば私としてはいうことがありません。
  


上ホロカメットク山 11年7月

2011-08-21 21:32:07 | 十勝岳山系の山
 お遍路友達のみいちゃんから北海道の山へ行ってみたいと相談を受けていました。
しかし、昨年は日程が合わずに断念。
今年こそはとお互いに日程を調整したところ7月に登れることになりました。

 みいちゃんの希望は、火の噴いている山、活火山に登りたいとのこと。
こう言われれば、北海道の山が初めての彼女に登ってほしい山は、大雪山と十勝岳しかありません。
そこで、みいちゃんには大雪山の旭岳と十勝岳を案内することにしました。


 7月15日(金)

 前日夜に札幌入りしていたみいちゃんをホテルで拾い一路十勝岳を目指します。
しかし、天気の具合が今一つです。
東北が梅雨明けしたからというもの、北海道に停滞前線が居座り、まるで、梅雨のような天気が続いています。

 今日の天気も曇り時々雨です。
昨夜も強い雨が降りました。
札幌から富良野に入っても天気はどんよりとした曇り空です。
十勝岳は厚い雲の中に隠されています。

 これでは、どうしょうもないと思い、計画を変更します。
まずは、多少の雨でも行くことが出来るカミホロカメットク山の麓にある安政火口に行くことにします。
ここなら、十勝岳温泉から40~50分、小雨くらいなら行くことが出来ます。
そして、みいちゃんが希望する噴火口もあるので満足してもらえるはずです。

 十勝岳温泉に向かった登っていくと、何と、道路が封鎖されています。
担当の方に聞くと道路に土砂が流れ込む恐れがあるので封鎖しているとのことです。
でも、9時30分に封鎖が解除されると言います。
時計を見ると解除まで5分しかありません。
それではと、待つことにします。

 ほどなく解除が解かれます。
開いたゲートから十勝岳温泉に向かいますが雲がドンドン厚くなり霧雨模様になります。
望岳台へ向かってみると何とゲートが閉じられ行くことが出来ません。

 仕方なく、予定通り安政火口へ向かうことにします。
十勝岳稜雲閣前にある駐車場へ車を停めます。
通行止めになっていたせいか駐車している車がほとんどいません。

 登山準備をしていると雲が少し薄くなってきたような気がします。
これならと思い一応の目的を安政火口、そして行けそうなら上ホロまでとみいちゃんに告げます。
    
     空が少しずつ明るくなってきます。

 30分ほど歩くと安政火口が見えてきます。
沢を登っていくと辺りの地面は茶色になり、硫黄の臭いがしてきます。
さらに10分ほど歩くと安政火口に到着です。
    
 みいちゃんはこの光景に感激しています。
ここは噴火口を間近に見ることが出来ます。
柵やロープがあるわけではありません。

シュー、シューと亜硫酸ガスを吹き出している噴火口を見ていると風向きが変わり谷の奥から私達に向かって亜硫酸ガスが吹いてきました。
思わずむせながら後ずさりして避難することにします。

 ここで、天気も落ち着いているし時間もあるので上ホロを目指すことにします。
一旦沢を降りトラバースルートに入ります。
そこから富良野岳と上ホロ分岐点を過ぎると沢に残雪が現れます。
    
     この残雪にもみいちゃんは感激してました。

 この残雪を越えた所にキタキツネが1匹こちらを向いています。
この狐にも感激しています。
そして、3百段の階段を登ります。
      
       お遍路でも333段の階段を持っているお寺がありました。

 この階段を登りきるとようやく尾根に出ます。
この辺りからお花畑が続きます。
   
   
 
 最後の急斜面を登りきると
    
 お花畑が
    
 
 そして見慣れない標識がありました。
    
     数年前に来たときにはありませんでした。

 ここから尾根歩きをしてようやく上ホロの山頂に到着です。
でも、辺り一面ガスで何も見えません。
山頂脇にある窪地で時間待ちをしてみます。
    

 30分ほど時間待ちをしましたが、空は明るくなるものの晴れ間はでてきません。
仕方ないので下山することにします。

 そして、下山後の温泉は稜雲閣のしました。
せっかく神戸から来ているのですから、良く取り上げられる温泉で有名な稜雲閣の露天風呂を楽しんでもらうことにしました。
   
    ここの露天風呂も楽しんでもらい、天気は今一でしたが
    それなりに満足してもらえたようです。
 
 さて、今夜の宿は美瑛町にある「おかせん里」という民宿です。
この宿は小さな宿でしたがとてもいい宿でした。
    
     夕食は、質素ですが十分にして満足のいく内容でした。

 圧巻なのは、漫画の蔵書です。
これだけを目的に来ても良いくらいです。
美瑛町に宿を探している方にお勧めの宿です。

 夕食の時に明日の行き先を相談していると、隣に座っている女性が大雪山旭岳に登ってきたけれど高山食斑はまだ早くあまり咲いてなかった。
さらに、裾合平らは残雪の雪解け水が増水しており登山道がジャブジャブの状態だといいます。

 そこで、明日は十勝岳に登ることにします。
そして、天気が良ければ美瑛岳を回ることにします。
さらに、大雪山の情報をくれたInさんも一緒に行くことになりました。

Inさんは大阪に住んでいる50歳の女性です。
北海道の山は初めてとのこと、明日をどうしょうか考えているところでしたのでみいちゃんが誘って一緒に十勝岳へ登ることになりました。

 うーん、明日は両手に花の登山です! 
 

     
   

エサオマンからカムエク縦走 ・ その3 11年7月

2011-08-09 10:35:13 | 日高山系の山
 7月28日(木)

 今日は下山だけですのでゆっくり出発すれば良いと思っていましたが、いつものように4時には目が覚めてしまいました。
昨夜は風も吹かず、疲れもありぐっすりと眠ることができました。

 On氏は写真を撮るといってテントを出ていきます。
しかし、山には雲が掛かっており日の出の太陽を撮ることは出来なかったようです。

 私はゆっくり起きて外へ出ました。
外はガスが切れだして遠くの山も見えてきます。
カムエクの山頂に登り、周囲の山々を楽しみます。
    
     昨年歩いたプラミッドピークからコイカク方面です。

 北側を見ると昨日歩いてきた山並みが見えます。
エサオマンはどこかと思って探しましたら一番奥にうっすらとした群青色に輝いています。
それはとても遠く見えました。
あそこから歩いてきたと思うと、「良く歩いたなぁ」というのが正直な感想です。

 昨日はガスガスの1日でした。
よく考えるとそれが幸いしたと思います。
水の消費量も随分抑えられましたので、まだ十分にあります。
何より、1732mコルからの頑張りがこの余裕を生んでいます。
山頂までの最後の登りは本当に辛かったのです。
でも、それを頑張ったからこそこの景観を見ることが出来るのです。
それは、ここまで頑張った者のみに与えられるご褒美みたいなものです。

    
     目の下には山頂下のテントサイトが見えています。
     皆さんパッキングの最中です。

 6:30分、いよいよ下山です。
カムエクの山頂から昨年歩いた道を下山します。
ここから先は一度歩いた道ですので迷う心配はありません。
まずはピラミッドピークとの分岐点を目指して降ります。

所々岩混じりの尾根ですが、登山道はハッキリしています。
ザックはすっかり軽くなっています。
足取りも軽く分岐点を過ぎ、8の沢カールには1時間30分ほどで到着です。

 ここで沢靴に履き替えます。
雪渓から染み出した冷たい水を腹一杯飲みます。
『美味しい!』ゴクゴク飲むとアッという間に5百のボトルが空になります。

 ここから三ツ股までは難所が続きます。
気を抜かずに慎重に降ります。
    
     三ツ股上部にある滝の巻き道を降るOn氏です。

 この滝の手前に昨年私達がコースミスをした地点があります。
私達は左岸にある巻き道だと思って登ったところが間違いで、そこは、直ぐ左に曲がり沢を渡らなければいけないかったようです。
よく見るとピンクテープが木に巻き付けられていました。

 しかし、このテープが見つけずらいために間違って枝沢を巻き道と思い歩いていく人が多いのです。

 (私達があった人達のいずれもがここでコースミスをしているようです。)

 9:40分、三ツ股に到着です。
ここまで来ると難所は越えたことになります。
時間に余裕があるのでゆっくりと休みます。

 すると、沢の下から登ってくる人影が見えます。
     

どうやら女性のようです。
ポツポツと登ってくる人影を見ているとどうやら3人いるようです。
10分位して私達が休んでいる岩に到着した人達は女性が2人、男性1人の若い3人組です。

挨拶を交わし話をしていると帯広労山に所属している人達でした。

 私達おじさんは、この縦走で会った初めて会った人達にちょっと興奮状態になっています。
しかも若い女性がいるのです。
お互いに写真を写し合い、いろいろな話をしました。

 彼女らと話していると、私が3年前に行ったアンナプルナサーキットで一緒だったOy氏を良く知っている人達でした。

 ここで写してもらった写真です。
    
     左からリーダーのSz氏、私、On氏、Km氏です。

 彼女たちと別れ8の沢出合いを目指します。
ここから8の沢出合いまでがちょっと分かりづらかったです。
巻き道を歩くのですが、右岸の巻き道はあまり使われていないのか荒れています。
そこを強引に降ります。
すると、しばらく歩いているうちにハッキリとした巻き道が見つかります。

12:40分、8の沢出合いに到着です。

3人の人達がテントを張って食事の支度をしていました。
男性2名、女性1名のパーティですが、年は私達より上でしょうか?
ここから会う人達は、ほとんどが3百名山狙いの人達でした。
話を聞くと皆さん本州から来ている人達でした。
8の沢出合いから数回の渡渉をする他は左岸沿いの道や巻き道を使ってドンドン降ります。

 13:35分、中ノ沢付近でOn氏とKm氏が所属している山の会の先輩とすれ違います。
彼らは、昨日入山するはずでしたが札幌が雨のため入山を1日延期したようです。
私は初めてお会いする人でしたが、トムラウシやニペソツの山行記録で読ませていただいた方でしたので初対面とは思えなかったです。
話が尽きないのですが、先を急がなければなりません。
お互いの健闘を祈って別れます。

 8の沢出合いからは巻き道を最大限利用してドンドン降ります。
前方の谷が開けてくると7の沢出合いが近いです。

14:30分、7の沢出合いに到着です。

 ここで、今回の縦走もほぼ終わりです。
ここからは駐車場までの林道歩きがあるだけです。

この林道歩きが疲れた身体には堪えます。
でも、今回の縦走の話などをして歩いているとそれも苦になりません。
途中で1回休みを入れただけで16:30分に駐車場にたどり着きました。

駐車場でお互いに挨拶を交わしました。
ここまで何の事故もなく歩いてこられたことに感謝です。

でも、これでこの山行が終わってしまうことに一抹の寂しさが湧いてきます。

しかし、8月にはコイカクからペテガリを計画しています。
今回の山行で得たものを次回に活かして私達の主稜線歩きは続きます。



  

エサオマンからカムエク縦走 ・ その2 11年7月

2011-08-05 09:54:46 | 日高山系の山
 7月27日(水)

 昨夜は短い時間でしたが雨が降りました。
朝方もテントに当たる雨音を聞きながら「今日は停滞かな?」などと考えていました。
「雨が降っているね~」といいながら取り敢えず起き出します。
寝袋を畳んでいると雨音が消えてしまいます。
こうなると俄然やる気が出てきます。

 テントの外を見るとガスガスですが、雨は降っていません。
体の調子もまあまあです。

 朝食は、昨夜作っておいたアルファ米のご飯をお茶漬けで食べます。
あとはみそ汁にサンマと鯖の煮物です。
お茶漬けは食欲があまりなくても食べることが出来ます。

 5:30分、テントを畳んで出発です。
    
     お世話になったテントサイトです。
     この手前にもう1張り分のスペースがあります。

 ここから十勝側の笹で滑りやすい斜面の降ります。
ハイ松に掴まりながら降るのですが、笹が濡れて滑りやすいので神経を使います。
熊の掘り返しがあちらこちらにあり登山道との区別が難しくなってきます。
そこで、思い切って尾根筋のハイ松に潜り込みます。

以前ここを歩いた方のブログに尾根筋のハイ松にも登山道があると書かれていたのを思いだしたからです。
逆目のハイ松を潜り抜け尾根筋にでると、ありました!
うっすらですがハイ松の枝が切られており登山道があるのです。
といってもハイ松の枝が左右から伸びており足元だけに枝がない状態です。

 それでも、笹の斜面に較べると幾分歩きやすいのです。
    
     こんな状態の尾根を歩きます。

    
     皆さん元気に歩いています。
    
     ガスが時々薄くなってきます。

 ガスが薄くなってくると正面に大きな頂が見えてきます。
ナメワッカ分岐のようです。  

 8:00分、ナメワッカ分岐に到着です。
ここまでが一番ハイ松の濃いところと言われていました。
この部分を1時間半ほどで通過できたのは、天気がガス空で直射日光に当たらなかったため体力の消耗が幾分押さえられたためです。
水の消費も最小限で済みました。
しかし、この先春別岳に掛けては岩尾根が続くので油断するわけにはいきません。

 ナメワッカ分岐でゆっくり休むと岩尾根に足を入れます。
岩尾根はハイ松の枝もあまり気にならずドンドン進みます。
このメンバーには岩尾根の方がハイ松の枝を掻き分けて進むより歩けるのです。
多少の恐怖心を呼び起こされる場所もありますが、皆さんの歩調は変わりません。
    
     ゴジラの背のような岩尾根を通ります。
 
 その岩尾根にキキョウの花が咲いています。
    
     鮮やかな紫色が目にしみます。

 右手は10の沢カールです。
カール壁が急峻なガケとなっていますので右手に落ちろとただでは済みません。
注意深く岩尾根を進みます。

 9:20分、春別岳に到着です。
春別岳というのは通称名です。
1,855m峰に付けられた名前なのですが、それくらい堂々とした山容を持っています。
この辺りはガスが濃かったのであまり先が見えずただただ足元を見つめながら歩いたせいで思ったより距離が稼げたようです。

 この先は、1,917mに向かって登ります。
細かなアンジュレーションでいくつものコブを越えていきます。
30分ごとに休みを入れてドンドン歩きます。

Ko氏の足の調子もいいようです。
メンバーの体調も万全です。

 行動食は銘々が用意していますが、最近人気の高いのがマンゴーのドライフルーツです。
これはいいです。
適当な甘みとノドが渇いていてもそこそこ食べることが出来ます。
私は、この他にドライバナナを持って来ましたが口の中で噛んでいとつばが無くなり結局水を飲まないと飲み込めないので行動食としては失敗でした。

  12:00分、何とか1917mピークに到着です。

 ここからは9の沢カールに向かって降ります。
今日の予定は9の沢カールのコルにあるテン場なのですが、On氏がこの時間ならカムエク山頂にあるテントサイトまで行けるのではないかといいます。

 カムエク山頂で1泊する。
何という響きでしょうか!
岳人憧れのカムエク山頂で1泊するなどという経験はそうそうできるのもではありません。
魅力的なことですが、そこまで体力が持つかどうかが問題です。
まずは、9の沢カールのコルに着いてから決めればいいことです。

 9の沢カールが近づいてきました。
お花畑がカール全体に広がっています。
    
    

 前方にテントサイトが見えてきます。
    

 13:40分、1732mコルに到着です。
ここでテントを張るか、カムエク山頂へ向かうか決めなければなりません。
まずはゆっくりと休憩を取ってから決めることにします。
Ko氏はキネシオテープを貼り替えます。

 このコルから10分も降ると雪渓があり水の心配はありません。
稜線から少し十勝側に降った場所にあるテントサイトは風の影響もあまり受けない最高の場所です。

 40分ほど休んで、カムエクの山頂へ向かうことになりました。
Ko氏の「カムエク山頂まで大丈夫、行けます!」という力強い言葉に押され、みんなの気持ちが一致しました。

 14:20分、カムエク山頂へ向かった登ります。
ここから1903m分岐まで細い岩尾根が続きます。
雨がポツポツ落ちてきますが皆さんの足取りに迷いはありません。
黙々とハイ松を掻き分けて進みます。

1903m分岐に到着しました。
ちょっと広い分岐点にはテントサイトに使える場所がありましたが、私達の目には映りません。
ここから最後の登りに向かいます。

 この辺りはガスが濃くなっており山頂が時折ボンヤリ姿を見せています。
何度か偽ピークに騙されましたが、ようやく、カムエクの山頂が見えてきました。

 17:30分、カムエク山頂に到着です。
山頂北側にあるテントサイトは2張りのテントを並べて張ることが出来ます。
テントを張ってザックを片づけているとガスが張れてきます。
春別岳から歩いてきた山々が姿を現します。
    
      正面が1903m峰、その左手が春別岳です。
      真ん中の一番奥にエサオマンの姿も見えてます。

 陽が落ちるまでこの景色を楽しみました。
今日は12時間の行動でした。
良く歩いたものだと自分の身体に感謝します。
 

エサオマンからカムエク縦走 ・ その1 11年7月

2011-08-03 21:05:11 | 日高山系の山
 エサオマントツタベツ岳(1,902m)からカムイエクウチカウシ山(1,979m)への縦走は、昨年取りかかったもののエサオマンジョンクションピークから南行した1,760mピークで悪天候のため敗退という結果でした。

 そこで、捲土重来を期し、再挑戦を試みました。
メンバーはニペソツ以来のおなじみSu氏、On氏に私の3人に新たにKm氏が加わり4人での挑戦となりました。


 7月25日(月)

 夕方3時半に私とSu氏、On氏とKm氏がそれぞれの車に乗り合わせて札幌を出発します。
そして、中札内にある道の駅で待ち合わせをします。
まだ陽がある内に中札内の道の駅に到着。
早速近くのスーパーで買ったお弁当を食べて夕食とします。
ほどなく、On氏達の車も到着。

 夕食後は、まず、カクエクの登山口へ車を1台デポします。
そして、スタートとなる戸蔦別川6号堰提にある駐車場を目指します。
戸蔦別の林道は両側の草が道路に覆い被さり道が狭く感じます。
夜ですので、林道に鹿が出ているかもしれないので慎重に走ります。

 9時過ぎに6号堰提の駐車場に到着。
早速、別に用意したテントを張って寝ます。
上を見ると満天の星空、明日はいい天気のようです。


 7月26日(火)

 空が明るくなり、鳥のさえずりで目を覚まします。
時計を見ると3時を少し回ったくらいです。
我慢して寝袋の中でウトウトします。
私はこの時間が大好きです。

 4時、すっかり外が明るくなったので起きます。
お湯を沸かし用意した弁当を食べると出発の準備をします。
皆さん手慣れているので瞬く間に終わってしまいます。

 それでは、と4:50分、いよいよカムエクに向かって私達の縦走が始まります。
最初は林道歩きです。
エサオマン林道(今は廃道になっています。)の分岐からフキなどが生い茂る
これが林道?という道を歩きます。
所々に道路標識やガードレールが残っていますので、かろうじて林道だったのが分かります。
でも、左側からの落石などがあり車が通れる状況ではありません。
小1時間ほど歩くと最初の渡渉点に来ます。

 5:45分、最初の渡渉点で沢の様子を見ましたが水は少なく問題はないようです。
     
 
 さあ、ここから沢登りです。
巻き道や沢の中を歩いていくと最初の滝に出会います。
    
     この滝もすっかりお馴染みになりました。

 沢の水が少ないので巻き道を使うより沢の中を歩いた方が涼しくて気持ちがいいです。
1時間以上歩いていると沢の向こうに北東カールの雪渓が見えてきます。
    

 9:35分、上二股に到着です。
ここにはちょっと大きな滝があり、その上は3百メートルほど滑滝になっています。
    

 登山コースは右股を登りますが、左股には残雪が残っています。
    
 
 右岸の急な草付きの斜面を慎重に登ります。
登り終えると目の前に水しぶきを上げた滑滝が続きます。
    

 滝の岩はあまり滑らないので助かります。
とはいえ慎重に登り、時々、右岸に生えている木の枝なども利用しながら安全第一で登ります。

 滑滝の途中でKm氏が足の不調を訴えます。
どうやら沢水の冷たさでふくらはぎの筋肉に負担が掛かったようです。
Km氏はキオシネテープで患部を治療して沢登りを再開します。
Km氏の歩く様子を見ていましたが、どうやら痛みは軽減しているようです。

滝の水が少なくなってくると北東カールはもうすぐです。  
  
 10:45分、北東カールに到着です。
    

 このカールで十分に休憩を取ります。
ここからは水を汲み上げなければいけません。
1人当たり6リットルを担ぎ上げます。

 そして、稜線歩きに備え夏靴に履き替えます。

ジャンクションピークへの登り口を探します。
大きな雪渓の一番左側にピンクテープが見えます。
どうやら、それが夏道の入り口のようです。

 タップリと休憩を取って11:25分、いよいよ稜線へ向かって登山開始です。
しかし、水と沢靴を背負ったザックは重く足が前へ進みません。
歯を食いしばって雪渓の上を歩きます。
ドンドン傾斜が増してくるので4本歯のアイゼンを付けます。
    

 雪渓歩きに気を取られている内にコースを少し右に取ってしまったようです。
でも、このメンバーなら心配はいりません。
どこでも歩けるメンバーなのです。

 雪渓の最上部は岩だらけの沢となっています。
大きな一枚岩を越えるのがいやらしく念のためにザイルを出します。
ここには、沢山のスリングがありましたので、皆さんザイルを使っているようです。
その岩を越えると浮き石だらけの沢が続きます。
    

 落石の危険がある沢筋から左手の灌木地帯へ方向を変えます。
しかし、この灌木地帯を抜けるのが大変でした。
大きなザックが枝にひっつかかり、急な斜面でもあり全員汗だくになって登ります。

 先頭を歩いているSu氏の「はい松が見えてきたぞー」という声を聞いてホッとしました。
何故かというと、この稜線はハイ松が尾根筋だけに生えているからです。


本来のコースは青色ですが、私達は赤色の線を登りました。

 13:13分、やっと稜線に出ました。
稜線には、エサオマンと札内岳を繋ぐ登山道があります。
この登山道で一息つきます。

そして、10分ほど歩くとジャンクションピークに到着です。
13:30分、ジジャンクションピークです。
約2時間の奮闘ですっかり疲れてしまいました。

    
     JPからは、目の前にエサオマンの山頂がドッシリと聳え、山頂の左手には日高幌尻岳が間近に見えます。 
そして、山頂の右手には2週間ほど前に歩いた伏美岳から北戸蔦別岳の稜線が薄く見えています。

 しかし、私達にはこの景観を楽しんでいる時間はあまりありません。

 今夜のテン場となる1760mピークまでハイ松漕ぎが待っているのです。
そこで、エサオマンの山頂ピストンはあきらめ、今夜のテン場となる1760mピークへ向かうことにします。 

 最初は背の低いハイ松で歩きやすいのですが高度が落ちるにしたがって背の高い灌木が出てきます。
そして一番の敵が笹なのです。
笹原に付けられた登山道は廃道寸前といっていい状態です。
靴幅くらいしか登山道がありません。
笹に足を取られるのでたえずハイ松や灌木の枝に掴まりながら歩きます。
そのため、とても時間が掛かってしまいます。

 しかし、時々目にする高山植物の花々が癒してくれます。
    
     この花を見て癒されるのはほんの一瞬です。

 昨年このコースを歩いているのですが、笹の状態が濃くなっているような気がします。
この道は消えてしまう運命にあるのでしょうか?

 約2時間半ほど掛かって16:25分、やっと、1760mピークに到着です。
ピークに掛かる最後の登りは全員バテバテでした。
でも、何とか歩き通すことが出来ました。
    
     歩いてきた道を振り返ります。
     左端がエサオマンの山頂です。
     右端がPJ、ここから続く尾根を歩いてきました。

 テントを張り終えると、早速、On氏は日本酒を飲み出しました。
ナノゲンのボトルに約1リットル担ぎ上げています。
この元気には脱帽です。

 私もほんの少しですがウィスキーを持ってきています。
それぞれお酒を少し飲んで身体の疲れを癒します。
このピークには、テントが3張りほど張れます。
2張りのテントを向かい合わせに張ります。

 昨年は、風が強くてこのテントサイトが使えませんでした。
しかし、今夜は強い風が吹かない予報なので大丈夫でしょう。