今週の日曜日から4日間、昨年度に引き続き、東日本大震災復興支援のボランティアに宮城県まで行って来ました。折から真冬並みの寒波で、予定していた北陸経由から東海道経由に変更。そのため富士山も見ることができました。宮城県では天候にも恵まれ、寒さもそれほどではなく、参加者は精一杯の活動をしました。一年前に比べると、復興は進んだように思いますが、仮設住宅にはまだまだたくさんの方が生活されています。この先まだ時間がかかるなと痛感しました。
ということで、今回はワーグナー。近年ほんとにオペラの新譜がでなくなり、ワーグナーの新録音は、ヤノフスキーの一連のライブがある程度で、他はほとんど見れません。多くの経費がかかるわりには、売れない。また、売れる演奏をする指揮者がいない、ということもあるのかもしれませんね。ワーグナーの録音も、今後買う気持ちにさせてくれる指揮者は、ティーレマンくらいですかねえ。歌手も同じようで、ほんと「冬の時代」なのかもしれません。
となると、昔の録音を捜すことになります。今回は、少々目先を変えて、モンセラート・カバリェによるワーグナーの名場面集(アリア集もおかしいので、こんな表現をします。変かな?)です。伴奏は、ズービン・メータ指揮のニューヨーク・フィル。1981年2月の録音です。このCDは、けっこう前にCDやさんで物色中に偶然見つけたものと思います。
カバリエは、言わずと知れた1933年にカタルーニャ(スペイン)生まれのソプラノで、ベルカント・オペラを得意としていました。言わばイタリア・オペラの歌手ですね。以前にも述べましたが、完璧なブレスコントロールによって発せられる糸を引くようなピアニッシモは、絹糸のような美しさで絶品でありましたねえ。そんなカバリエが、ワーグナーを歌うなんてあるんだなあ、どんな歌声が聴けるのか、ということで、飛びついたのでした。収められた曲は、1「トリスタンとイゾルデ」~前奏曲と愛の死 2「さまよえるオランダ人」~ゼンタのバラード 3「タンホイザー」~貴き殿堂よ 4「神々の黄昏」~プリュンヒルデの自己犠牲です。
しかし、イタリア・オペラで活躍してた歌手が、ワーグナーをとなると、古くはカラスがクンドリを歌ったり、ドミンゴがほぼすべての役を歌うような例があります。ドミンゴはなかなか巧いな、と実感させ、ローエングリンなどはいいですよねえ。でも、ちょっと違うなと思わなくもない。このカバリエは、歌声はやはり大したものです。これだけ淀みなくワーグナーを歌えるソプラノがいたでしょうか、ということです。たいそうな強靱な声を聴くことができます。それは、ニルソンとは言わないまでも、匹敵するソプラノをそれほどあげることはできないのであります。余裕のある声量。低音から高音までスムーズに歌い上げる力量。これまで聴いたワーグナーのドラマティックソプラノの5本の指に入ると思われるのであります。自己犠牲などでは、楽々歌い上げる姿は、ブリュンヒルデの偉丈夫ならぬ、偉丈婦ぶりは圧倒的でもあります。
ただ、問題点もないわけではなく、多少やはり高音が出にくいなと思うところがあります。随所にこんな歌い方はないかな、と思う所も散見されます。加えて。明るすぎるところもある。自己犠牲などは深刻さがもっと欲しい。やはり歌に悩みが欲しいものであります。そして、歌唱にためが欲しい、屈託なくスムーズに進みすぎる。などなどが思うのであります。でも、ゼンタのバラードなどは、実にいいですよねえ。
このCD、総収録時間は、49時間45秒。短いです。もう一曲くらい収めて欲しい。ただ、LPの時代はこんなもんだったんでしょうねえ。また、相変わらず、カバリエさん、げに恐ろしいお顔で写っております。普段はそんな人ではないのにねえ。
(CBS MASTER WORKS 1983 輸入盤)
ということで、今回はワーグナー。近年ほんとにオペラの新譜がでなくなり、ワーグナーの新録音は、ヤノフスキーの一連のライブがある程度で、他はほとんど見れません。多くの経費がかかるわりには、売れない。また、売れる演奏をする指揮者がいない、ということもあるのかもしれませんね。ワーグナーの録音も、今後買う気持ちにさせてくれる指揮者は、ティーレマンくらいですかねえ。歌手も同じようで、ほんと「冬の時代」なのかもしれません。
となると、昔の録音を捜すことになります。今回は、少々目先を変えて、モンセラート・カバリェによるワーグナーの名場面集(アリア集もおかしいので、こんな表現をします。変かな?)です。伴奏は、ズービン・メータ指揮のニューヨーク・フィル。1981年2月の録音です。このCDは、けっこう前にCDやさんで物色中に偶然見つけたものと思います。
カバリエは、言わずと知れた1933年にカタルーニャ(スペイン)生まれのソプラノで、ベルカント・オペラを得意としていました。言わばイタリア・オペラの歌手ですね。以前にも述べましたが、完璧なブレスコントロールによって発せられる糸を引くようなピアニッシモは、絹糸のような美しさで絶品でありましたねえ。そんなカバリエが、ワーグナーを歌うなんてあるんだなあ、どんな歌声が聴けるのか、ということで、飛びついたのでした。収められた曲は、1「トリスタンとイゾルデ」~前奏曲と愛の死 2「さまよえるオランダ人」~ゼンタのバラード 3「タンホイザー」~貴き殿堂よ 4「神々の黄昏」~プリュンヒルデの自己犠牲です。
しかし、イタリア・オペラで活躍してた歌手が、ワーグナーをとなると、古くはカラスがクンドリを歌ったり、ドミンゴがほぼすべての役を歌うような例があります。ドミンゴはなかなか巧いな、と実感させ、ローエングリンなどはいいですよねえ。でも、ちょっと違うなと思わなくもない。このカバリエは、歌声はやはり大したものです。これだけ淀みなくワーグナーを歌えるソプラノがいたでしょうか、ということです。たいそうな強靱な声を聴くことができます。それは、ニルソンとは言わないまでも、匹敵するソプラノをそれほどあげることはできないのであります。余裕のある声量。低音から高音までスムーズに歌い上げる力量。これまで聴いたワーグナーのドラマティックソプラノの5本の指に入ると思われるのであります。自己犠牲などでは、楽々歌い上げる姿は、ブリュンヒルデの偉丈夫ならぬ、偉丈婦ぶりは圧倒的でもあります。
ただ、問題点もないわけではなく、多少やはり高音が出にくいなと思うところがあります。随所にこんな歌い方はないかな、と思う所も散見されます。加えて。明るすぎるところもある。自己犠牲などは深刻さがもっと欲しい。やはり歌に悩みが欲しいものであります。そして、歌唱にためが欲しい、屈託なくスムーズに進みすぎる。などなどが思うのであります。でも、ゼンタのバラードなどは、実にいいですよねえ。
このCD、総収録時間は、49時間45秒。短いです。もう一曲くらい収めて欲しい。ただ、LPの時代はこんなもんだったんでしょうねえ。また、相変わらず、カバリエさん、げに恐ろしいお顔で写っております。普段はそんな人ではないのにねえ。
(CBS MASTER WORKS 1983 輸入盤)
カバリエでは、LP時代に「椿姫」や「トゥーランドット」など、イタリアオペラを愛聴していました。彼女のワーグナーはほとんど聴いてきていませんので、興味深く思います。佳いCDの紹介、いつもありがとうございます。