こんなCDを買った!聴いた!

最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

朝比奈さんのジャンジャンのブルックナー

2011年09月28日 21時33分51秒 | ブルックナー
またまた、私事で恐縮ですが、今年大学を卒業する息子が就職の内定をもらいました。これで子どもが二人とも就職するということになり、親としてもなんとか責任を果たせたかなと、ホッとした次第です。息子は私と娘の関連産業に勤めることになり、それはそれでよかったし、本人も努力をしたんだな、と思っています。4月から採用されるので頑張って欲しいものです。しかし、これで扶養家族は家人だけとなるので、またCDもたくさん買えるかな、と思う次第です(笑)。

そんなわけで、今回はブルックナーです。交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』であります。今年になって、この4番は三度目の登場。特にこの曲が好きだ、ということでもないのですが…、今回は朝比奈隆指揮大阪フィルハーモニー交響楽団によるもの。朝比奈さんのこの曲の演奏は、10種類ほど聴くことができます。1970~80年代が5つ、1990年代以降が5つあります。今回のは、1976年7月29日東京文化会館でのライブ録音。ジャンジャンの全集からの一枚です。ジャンジャンの全集とは、1970年代後半に渋谷のスタジオのジャンジャンのオーナーが朝比奈さんのブルックナーにいたく感動して全集録音をしたもの。今となってはかなり昔の録音です。朝比奈さんの演奏は、1990年代以降多くのライブなどが発売されますが、1980年代まではそれほどのLPやCDがあったたわけではなく、このジャンジャンのブルックナーは、非常に貴重なものでした。

「その朝比奈のブルックナーのCD…現在廃盤になっているジャンジャンの全集がCD化されれば、そのなかの「第二」「第五」「第八」は推薦に値しよう。また近い将来、新しいレコーディングが行われる予定もあり、大いに期待できるのではあるまいか」(宇野功芳『交響曲の名曲・名盤』講談社現代新書1991年)

1990年代初めまではこんな状況でした。朝比奈さんの演奏は最晩年の10年間に、それまで以上にたくさんCD化されるのです。このジャンジャン全集は、その後2000年にグリーンドアからCD化され、2~3年前にタワーレコードでのセールで思わず買ってしまいました。あのジャンジャンの全集がこの値段で買えるのか、と飛びついたわけです。

さて、この4番なんですが、東京文化会館の特徴と言われますが、残響が非常に少なく、オケの音が非常に近くて鮮明です。それはそれで迫真の演奏ともなるのですが、逆にオケのアラが非常に目立ってしまう。管楽器のピッチは外れるし、アンサンブルの乱れも…。非常に大フィルの悪い面が非常に目立つのですね。しかし、曲を聴いていくに連れて、「そういうことはどうでもよくなって(どうでもよくならない人もいるであろうことは否定しない)」(『レコ芸』2010年11月号の増田良介氏の文を引用)、この演奏の素晴らしさを実感していくのでした。この演奏のよさとは何か。それはこれほど気持ちの籠もった演奏があるだろうかということです。朝比奈さんの指揮に必死についていく大フィルの、武骨ですが、力の限り力のこもった大熱演なのであります。以前に、1973年のブルックナーの5番の演奏と同じような感想を持ちました。若い朝比奈さんの凄絶なブルックナー、それでいて4番の優美なメロディは慈しむように歌わせているところも非常にいいですねえ。第1楽章、テンポは晩年の演奏に比べれば早め。それでも粗さはあるが、細部まできれいに聞こえます。そして、各楽器は生き生きとブルックナーを歌うし、ここぞと言うときは力強さはいいです。第2楽章、弦と木管は活気のある響きで歌い上げていきます。残響に乏しいことから、実に音がストレートに入ってくるので、その生々しさは逆に感動的でもあります。そして第3楽章スケルツオ、まず主部の圧倒的な力強さと迫力は、心に響きます。その反面、粗さも共存していますが、やはりこの力強さには圧倒されます。金管の咆哮も凄まじいですねえ。そして、第4楽章ここでは最大の盛り上がり。確かに気になるところも散見しますが、尋常でないこの爆発と、細部に細部に至るまでの強靱な表現には、脱帽です。この楽章、昔フルトヴェングラー盤を聴いて、これはすさまじさに感動を憶えましたが、それ以上であります。

こんな朝比奈さんと晩年の朝比奈さん。かなり表現に違いがありました。どちらも最良の遺産でしょうか。しかし、このジャンジャン盤、この録音がなされたことも、すごいことですねえ。
(グリーンドア-ジャンジャン JJGD-2004 2000年)

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2 コメント

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コメントありがとうございます。 (mikotomochi58)
2011-10-03 21:28:34
バルビ 様、コメント誠にありがとうございます。また息子の件につきましても、重ねてありがとうございます。ほんとにまだまだ人生これからだ、と思うと、うらやましいですよ。あのころに戻れたら、とおもうこともあります。でも仰るとおり、私もまだまだ頑張らなければと思うし、人生これからだ、と思って、日々頑張っていこうと思います。頑張りましょう!
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Unknown (バルビ)
2011-10-01 19:18:47
お子さんのご就職、おめでとうございます。このご時世ですから、たいそう喜ばしいことかと存じます。

まぁ、それにしても、これからの人は、未来がたくさん開けているわけですから、羨ましいですね。

いや、といって、自分自身の人生を諦めているわけではありませんよ。あたしだって、まだまだ音楽を浴びるほど聴くことができるんですからね。まだまだこれから楽しみな人生が待ってるんですよね。
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