こんなCDを買った!聴いた!

最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

錦秋のヴァイオリン

2009年11月03日 17時31分10秒 | メンデルスゾーン
文化の日です。11月の声を聞いた途端に、寒くなりました。この寒さはそうは続かないみたいです。まあ、考えてみれば、今年もあと二月になりましたね。この日曜日、恒例の正倉院展に行ってきました。去年と同じく6時過ぎに家を出て、8時半に奈良博に着きました。今年は阪神で奈良までの相互乗り入れ出来るようになったので、少々速く行けるかと思ったのですが、休みの早朝ということもあってか、それほど変わりませんでした。娘と一緒に行ったのですが、今年は、神亀三年の『山背国愛宕郡計帳』をふたりで飽きるほど見てました。やはり実物は違いますねえ。いろんなことがわかります。また『隠岐国郡稲帳』と『隠岐国正税帳』が並んで見れてこれもおもしろかったです。昼から、西の京に行きましたが、唐招提寺は金堂の修理が終わっての法要、薬師寺は東塔が修理のための足場を造ってあり、ともによく見えなかったのが残念でした。帰りは阪神と近鉄の相互乗り入れで、西大寺から三宮まで乗換なし。ゆっくり車中で睡眠を取って帰ることができました。確かに便利ですねえ。
閑話休題、正倉院展の前日、岡山の総社の中古やさんで、いわゆるメンチャイ、メンデルスゾーンとチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲のCDを599円で買いました。演奏は、チョン・キョンファのヴァイオリンとシャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団。1981年の録音です。この曲、最近聴いてないですねえ。メンデルスゾーンは、全集もの以外ではCDとしては初めて買いました。その昔、娘が産まれる前に、ミルシュテインとアバドのレコードを、胎教にいいだろうということで、なぜか京都の十字やさんで買った記憶があるくらいですかね。しかし、今回この二つの曲、聴いてみると、やっぱり実にいい曲ですよねえ。うーん、繰り返して聴いちゃいました。今回はメンデルスゾーンの曲を取り上げます。この曲はその昔、シャンプーのCFに使われていましたね。懐かしいです。
チョン・キョンファのヴァイオリン、いいですよねえ。まず音色が一本筋が通っていて、安定しています。強靱な語り口で少しも弱音を吐かないヴァイオリンです。それで、情熱的で熱いところは熱く、そして艶っぽさも時折感じさせる、ほんとに立派な演奏です。それは、低音から高音まで過不足なく、また少しの弱点も見せずに奏でられる技巧の素晴らしさも兼ね備えていますね。なんというか、ひとつのヴァイオリンの理想型のように思います。第1楽章の冒頭、すすり泣くような調べから始まり、テンポは少し速めです。いかにも流麗で、かつリズミカルに進んでいきますが、立ち止まるところはしっかり止まってじっくりと旋律が流れていきます。そしていつの間にかカデンツァ。もう少し長く聴きたいなとも思いますが、これは作曲者のものなんで、まあ仕方ないことですね。むしろこれ以降がけっこうおもしろい。オケがうまくサポートしつつ、このあたりのデュトワとの呼吸もいいです。第2楽章、この主題も優美な旋律でヴァイオリンにはぴったりで、ここもチョン・キョンファ、あっさりのように聞こえるが、繰り返し聞くと味が出て来ます。優しく濃い音色が満喫。そして、第3楽章、オケのとかけ合いの中で曲が進む。チョン・キョンファは簡単に弾いているようだが、一音一音がしっかりと刻まれる。爽快な楽章ですが、それも ヴァイオリンの鮮やかさが光る。特に音色の変化がおもしろいし、決して息切れしないところも見事。コーダの加速の中、最後に弾かれる高音もよかったです。
チョン・キョンファのヴァイオリンを聴いて、もう20年も前に日本橋のワルツ堂で、初老のおじさんと店員さんが、「チョン・キョンファのヴァイオリンの音が変わったなあ!」談義をしていたのを思い出します。
(London POCL-5013 LONDON NEW BEST 100 1993年)

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