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先日、アバドのマーラー交響曲全集をタダで入手しました。というのも、HMVのポイント交換ということです。HMVのポイントは、100円につき1ポイント。1ポイントは1円という換算なんですが、たまにポイント15倍のセールがあります。このときを狙ってCDを購入するのですね。加えて、私はダイヤモンド会員(まあ、よくCDを買うとこんなにになれる)で、ポイントは2倍となるのです。それで、ポイント30倍。要するに、10000円買うと3000円分のポイントがつくという計算になります。これは大きいです。3割引きということですからね。そうして、貯めたポイントで、かのマーラー全集を交換したということです。めでたしめでたし。
さて、そのアバドのマーラーなんですが、アバドのマーラーはけっこう複雑。1976年のシカゴ響との『復活』が最初のレコーディングですが、そのシカゴ響とは1984年までに1・2・5・6・7番を録音します。一方で、VPOとも1977~87年に3・4・9・10番を録音しています。そして、1989年にBPOの音楽監督となって以降は、BPOと2005年までに、2番以外をすべて録音。2番も1992年にはVPOと録音しています。そして、2003年以降はルツェルン祝祭管弦楽団とマーラーを取り上げ、そのライブで2番が発売されています。以上概略ですが、この全集は、シカゴ・VPO・BPOが混在するけっこう複雑な構成になっています。シカゴとVPOで行った1980年代の録音のCDのジャケットは、統一した模様が描かれてましたので、それを中心に全集を組むこともできたんでしょうが、そうならなかったのも、いいのか悪いのか複雑であります。
そんな全集の中から、マーラーの交響曲第3番ニ短調です。クラウディオ・アバド指揮VPO。1980年9月12、22、26日、ウィーンのムジークフェラインザールでの録音です。以前にも述べましたが、1990年代に朝比奈と大フィルで聴いて以来、どうもアレルギー状態だったこの曲なんですが、このアバドの演奏を聴いて、このアレルギーが完全に払拭されたみたいであります。なんとも、アバドとVPOは、この長大で複雑な曲を、夢見るような美しい曲として再現しているのです。特に、VPOの演奏が素晴らしいです。オケの美音が曲の美しい旋律を、一層引き立てています。マーラーの音楽ってこんなに美しかったんだ、と言わんばかりです。それぞれの楽器が各旋律の中に溶け込んでいるみたいであります。
第1楽章、30分を超える長大な楽章。冒頭のホルン、主部のトロンボーン、朗々とした響きが心に染み込んでくる。マーラーの分裂性の反映とでもいうか、明暗などの変化が繰り返されるが、その変化の表情がたいそう豊かです。展開部などで聴けるヴァイオリンのソロは、ゲアハルト・ヘッツェルですが、実にとろけるような美しいです。低弦の響きも充実しています。第2楽章、出だしのオーボエをはじめに、柔らかい木管の響きと優しい金管の音色は、曲の美しさを絶妙に表現しています。マーラーの曲の優しさが十二分に発揮されていますねえ。第3楽章、第2楽章からの継続の流れが心地よい。中間部ではポストホルンが効果的に用いられています。これもまたうまい。刺激が少ないと言えば言えるかもしれませんが、極上の美の中で展開されるマーラーの世界であります。そして、2枚目となって、声楽が入ります。第4楽章ジェシー・ノーマンの独唱。これってアルトなんでしょうが、ノーマンは余裕の歌唱。ノーマンは好きなので、これも言うことありません。少年合唱をへて、終楽章。この終楽章もきれい曲で、これをまたVPOの美の極みのような演奏。ここまでくると、多少「清き流れに住みかねて、元の濁りの田沼恋しき」的になる気もしますが、そうはいえスケールの大きな美の世界が展開されています。そんなわけで満腹になってしまいました。
こんな演奏を聴くと、アバドのマーラー、もっと聴かねばいけません。最近のルツェルンでの演奏も、要チェックであります。
(DG 447 023-2 1995年 輸入盤)
さて、そのアバドのマーラーなんですが、アバドのマーラーはけっこう複雑。1976年のシカゴ響との『復活』が最初のレコーディングですが、そのシカゴ響とは1984年までに1・2・5・6・7番を録音します。一方で、VPOとも1977~87年に3・4・9・10番を録音しています。そして、1989年にBPOの音楽監督となって以降は、BPOと2005年までに、2番以外をすべて録音。2番も1992年にはVPOと録音しています。そして、2003年以降はルツェルン祝祭管弦楽団とマーラーを取り上げ、そのライブで2番が発売されています。以上概略ですが、この全集は、シカゴ・VPO・BPOが混在するけっこう複雑な構成になっています。シカゴとVPOで行った1980年代の録音のCDのジャケットは、統一した模様が描かれてましたので、それを中心に全集を組むこともできたんでしょうが、そうならなかったのも、いいのか悪いのか複雑であります。
そんな全集の中から、マーラーの交響曲第3番ニ短調です。クラウディオ・アバド指揮VPO。1980年9月12、22、26日、ウィーンのムジークフェラインザールでの録音です。以前にも述べましたが、1990年代に朝比奈と大フィルで聴いて以来、どうもアレルギー状態だったこの曲なんですが、このアバドの演奏を聴いて、このアレルギーが完全に払拭されたみたいであります。なんとも、アバドとVPOは、この長大で複雑な曲を、夢見るような美しい曲として再現しているのです。特に、VPOの演奏が素晴らしいです。オケの美音が曲の美しい旋律を、一層引き立てています。マーラーの音楽ってこんなに美しかったんだ、と言わんばかりです。それぞれの楽器が各旋律の中に溶け込んでいるみたいであります。
第1楽章、30分を超える長大な楽章。冒頭のホルン、主部のトロンボーン、朗々とした響きが心に染み込んでくる。マーラーの分裂性の反映とでもいうか、明暗などの変化が繰り返されるが、その変化の表情がたいそう豊かです。展開部などで聴けるヴァイオリンのソロは、ゲアハルト・ヘッツェルですが、実にとろけるような美しいです。低弦の響きも充実しています。第2楽章、出だしのオーボエをはじめに、柔らかい木管の響きと優しい金管の音色は、曲の美しさを絶妙に表現しています。マーラーの曲の優しさが十二分に発揮されていますねえ。第3楽章、第2楽章からの継続の流れが心地よい。中間部ではポストホルンが効果的に用いられています。これもまたうまい。刺激が少ないと言えば言えるかもしれませんが、極上の美の中で展開されるマーラーの世界であります。そして、2枚目となって、声楽が入ります。第4楽章ジェシー・ノーマンの独唱。これってアルトなんでしょうが、ノーマンは余裕の歌唱。ノーマンは好きなので、これも言うことありません。少年合唱をへて、終楽章。この終楽章もきれい曲で、これをまたVPOの美の極みのような演奏。ここまでくると、多少「清き流れに住みかねて、元の濁りの田沼恋しき」的になる気もしますが、そうはいえスケールの大きな美の世界が展開されています。そんなわけで満腹になってしまいました。
こんな演奏を聴くと、アバドのマーラー、もっと聴かねばいけません。最近のルツェルンでの演奏も、要チェックであります。
(DG 447 023-2 1995年 輸入盤)
アバド/ウイーンPOの3番は素晴らしいですね。僕も大好きです。同じように好きなのが4番ですが、どちらの曲でもゲルハルト・ヘッツェルの惚れ惚れするぐらいに美しい独奏ヴァイオリンが聴けますね。
僕もこの機会にEMIのフルヴェンBOX含む6点を購入してしまいました。HMVは円高ユーロ安の為替差益を、値下げではなくポイントで返してる感じですね。わかっちゃいるけど買ってしまいます。
アバドのマーラーはBPOとの5番しか持っていませんが、自己主張を押し付けず、オケの美点をよく弾きだしている演奏だと思いました。この全集、気になりますね。
そんなわけで、アバドのマーラーに近頃注目しています。