新型コロナウイルスの感染もどんどん深刻になり、日々感染拡大が報道されています。心配ですねえ。一方、首相の国会でのヤジ発言。これもまあ「たいがい」であります。そもそも、このお方は首相として最長不倒の記録を打ち立てようとする、日本憲政史上に名を残す政治家であるはず。それにしては「品格」がねえ。加えてカケモリ、桜、検察官などなどで、苦しい答弁を繰り返す中での発言ですので…。ほんとに困ったことですねえ。
まあ、それは置いといて、今回はヨゼフ・カイルベルトの演奏から。1968年に「トリスタン」の演奏中に急逝されたドイツの名匠ですが、それからもう半世紀。残された録音もそれほど多くはないのですが、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、ブルックナーなどの独墺系の演奏には今でも引きつけられるものがあります。数年前にテルデックからの「巨匠カイルベルトの芸術」シリーズにより、その魅力ある演奏を聴くことができ、「カイルベルトのCDを買わなければいけません!」ということで、何度か取り上げたところでした。カイルベルト、私は断然好きなタイプの指揮者です。逝去されたのが60才のときですから、あと10年でも長生きして円熟の演奏を聴かせて欲しかったな、と思うことしきりであります。その昔、1000円盤でこの人の演奏をよく耳にしましたが、セッション録音はそれほど多いわけではない。最近、ライブ音源もディスク化されていますが、モノラルも多いです。そうすると、数年前のステレオの指環の発売は、画期的でしたよねえ。
そして過日、来日してN響と演奏した録音を入手しました。『N響ライブ・シリーズ』の一枚。このシリーズ、サヴァリッシュ、シュタイン、スウイートナー、マタチッチなどの往年のN響を指揮した演奏が聴けるもの。この中で、カイルベルトのCDは、逝去される二か月前の1968年5月の東京での公演のライブ録音。彼は、最晩年の1965,66,68年に来日して主にN響を指揮し、その功績からN響名誉指揮者にもなっています。
この2枚組のCDでのお目当ては、ブルックナーの交響曲第4番。カイルベルトのブルックナーは、セッション録音の6番と9番が有名ですが、他にはケルン放響との8番、そしてN響との4番と7番があります。4・7番をぜひ聴きたかったのですが、この4番以上によかったのが1枚目のハイドンの驚愕とモーツァルトのジュピターだったんです。それで、今回は前者でハイドンの交響曲第94番ト長調『驚愕』。1968年5月14日の東京文化会館でのライブであります。
この演奏、非常に恰幅がよく、分厚い管弦楽が響きます。ブルックナーでは多少物足りなさを感じたのですが、ここではN響、充実度が高い。低音がたいそうしっかりしており、安定感が抜群。その上にしなやかな弦が響きます。近年ではなかなか聴けないハイドンです。カイルベルトの指揮もしなやかにそして剛毅に、曲のよさがうまく伝わってくるのです。至極、巧さがびしびし感じられます。やはり、派手さもないですが、じっくり聴くといろんな仕掛けも感じられ、そのあたりが、この指揮者の凄みなんでしょうねえ。
第1楽章、序奏からたっぷり歌わせ、主部に入ると分厚いオケが鳴り響く。N響もまろやかに歌い上げます。それが実に堂々としたハイドン。 第2楽章、冒頭から押さえた音量がますます小さくなり、耳を澄ましたところでびっくり。そしてそのあとは楷書的な折り目正しい演奏で好感度が高いですね。木管が愛らしく歌います。第3楽章メヌエット。たいそう恰幅がよく、スケールも大きく堂々とした踊りですね。N響が実に力をこめての演奏であります。第4楽章、軽快に始まりますが、どんどんオケの勢いが増してきて、それぞれが力を存分に発揮する気持ちのいい終楽章。本当にカイルベルトのもとでN響が実に頑張っているのでありました。
しかし、そう言っているうちに新型コロナ感染はどんどん深刻に。感染しているかどうかの診断がしっかりできる体制をお願いしたいですねえ。
(King International KKC2081/2 2913年)
まあ、それは置いといて、今回はヨゼフ・カイルベルトの演奏から。1968年に「トリスタン」の演奏中に急逝されたドイツの名匠ですが、それからもう半世紀。残された録音もそれほど多くはないのですが、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、ブルックナーなどの独墺系の演奏には今でも引きつけられるものがあります。数年前にテルデックからの「巨匠カイルベルトの芸術」シリーズにより、その魅力ある演奏を聴くことができ、「カイルベルトのCDを買わなければいけません!」ということで、何度か取り上げたところでした。カイルベルト、私は断然好きなタイプの指揮者です。逝去されたのが60才のときですから、あと10年でも長生きして円熟の演奏を聴かせて欲しかったな、と思うことしきりであります。その昔、1000円盤でこの人の演奏をよく耳にしましたが、セッション録音はそれほど多いわけではない。最近、ライブ音源もディスク化されていますが、モノラルも多いです。そうすると、数年前のステレオの指環の発売は、画期的でしたよねえ。
そして過日、来日してN響と演奏した録音を入手しました。『N響ライブ・シリーズ』の一枚。このシリーズ、サヴァリッシュ、シュタイン、スウイートナー、マタチッチなどの往年のN響を指揮した演奏が聴けるもの。この中で、カイルベルトのCDは、逝去される二か月前の1968年5月の東京での公演のライブ録音。彼は、最晩年の1965,66,68年に来日して主にN響を指揮し、その功績からN響名誉指揮者にもなっています。
この2枚組のCDでのお目当ては、ブルックナーの交響曲第4番。カイルベルトのブルックナーは、セッション録音の6番と9番が有名ですが、他にはケルン放響との8番、そしてN響との4番と7番があります。4・7番をぜひ聴きたかったのですが、この4番以上によかったのが1枚目のハイドンの驚愕とモーツァルトのジュピターだったんです。それで、今回は前者でハイドンの交響曲第94番ト長調『驚愕』。1968年5月14日の東京文化会館でのライブであります。
この演奏、非常に恰幅がよく、分厚い管弦楽が響きます。ブルックナーでは多少物足りなさを感じたのですが、ここではN響、充実度が高い。低音がたいそうしっかりしており、安定感が抜群。その上にしなやかな弦が響きます。近年ではなかなか聴けないハイドンです。カイルベルトの指揮もしなやかにそして剛毅に、曲のよさがうまく伝わってくるのです。至極、巧さがびしびし感じられます。やはり、派手さもないですが、じっくり聴くといろんな仕掛けも感じられ、そのあたりが、この指揮者の凄みなんでしょうねえ。
第1楽章、序奏からたっぷり歌わせ、主部に入ると分厚いオケが鳴り響く。N響もまろやかに歌い上げます。それが実に堂々としたハイドン。 第2楽章、冒頭から押さえた音量がますます小さくなり、耳を澄ましたところでびっくり。そしてそのあとは楷書的な折り目正しい演奏で好感度が高いですね。木管が愛らしく歌います。第3楽章メヌエット。たいそう恰幅がよく、スケールも大きく堂々とした踊りですね。N響が実に力をこめての演奏であります。第4楽章、軽快に始まりますが、どんどんオケの勢いが増してきて、それぞれが力を存分に発揮する気持ちのいい終楽章。本当にカイルベルトのもとでN響が実に頑張っているのでありました。
しかし、そう言っているうちに新型コロナ感染はどんどん深刻に。感染しているかどうかの診断がしっかりできる体制をお願いしたいですねえ。
(King International KKC2081/2 2913年)