こんなCDを買った!聴いた!

最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

フィッツウィリアム弦楽四重奏団

2020年05月17日 21時30分40秒 | ベートーヴェン
メトロポリタン歌劇場の公演、コロナのこともあり、ネットで無料配信していますね。今週は、「ナクソス島のアリアドネ」と「ルチア」を見ました。これはいつでも観れるのがいいですねえ。画像もきれいです。アリアドネはJ・ノーマン、J・キング、K・バトル、ルチアは、A・クラウスとJ・サザーランドでした。アリアドネは以前にBSでやってましたが、ルチアは1982年の公演。クラウスとサザーランドは圧巻でしたねえ。この配信、ずーっとやって欲しいですねえ。

今回は、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第13番変ロ長調作品130であります。いわゆるベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲の1曲です。演奏は、フィッツウィリアム四重奏団。1983年ロンドンでの録音です。このCDは、少し思い出がありまして、1987年頃でしたか、神戸の住吉の近くにあったCDやさんで買いました。安い輸入盤を買いたいのですが、当時はタワーさんもまだ日本にはなく、扱うお店がそれほどなかったんですね。それで神戸に住む友人に教えてもらったのがこのお店。当時室内楽を聴こう!と思っていた時期で、中古レコードなどをよく買ってましたが、やはりCDも欲しいということで、このお店に行きました。職場の先輩からベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲がいい、と言われていたこともあり、このCDを買いました。アバドとVPOの英雄と一緒に買いました。2500円くらいだったかな。

このフィッツウィリアム四重奏団もまったく存じ上げませんでした。どころか今も寡聞にして…。イギリスのSQで、1968年頃から現在まで活動されています。ショスタコーヴィッチの全集など高く評価されているらしいです。ベートーヴェンは、15番とこの13番の録音がありますね。

しかしこの曲、最初聴いてこれほんまにけったいで、これのどこがいいねん、と思っちゃいましたね(笑)。まあ、要は慣れでがね。この曲は、終楽章が大フーガだったのが、不評で別の終楽章を作曲し、このフーガを単品として独立しました。そのことから、①大フーガを除くもの。②大フーガを終楽章としているもの。③大フーガを終楽章において、そのあとに新しい終楽章を置くもの、と三つの演奏の形があります。③が一番多いのかな。ブタペストSQやベルリンSQは①ですが、これはやはり寂しいですね。あの第五楽章のカヴァティーナのあとに大フーガがないのは私的には考えられないのですが…。でも、大フーガのあとに新しい終楽章を演奏するのもおかしいと言えば、おかしいですねえ。この曲、悪くはないのですが蛇足のように思えたり、であります。

フィッツウィリアムの演奏、昔よく聴いたので言わば刷り込まれています。言わばこれがデフォルト的。他の演奏と比べると、テンポはゆったりで平坦。躍動感や弦の切れ味や深い表現など聴き劣りするようなところは多々あります。また、ユニゾンはきれいな響きを聴かせてくれますが、個々の楽器の音色もイマイチのところもあったり…。だから、他のSQの演奏の方がいい、と比較すれば思うことがよくあります。でも、この演奏を聴くとああいいなあ、としみじみ思う。ゆったりとしてテンポで、しっとりでもねちっこくでもなく、けっこうあっさりめで軽快。弱音の使い方も巧み。ここでこんな強弱か、というところ。高音を押さえて低音を大きめになどに耳が引かれる。そして長く伸ばすフレーズ。それらで情感たっぷりな演奏になっていき、それがけっこうな聴き応えのある演奏となってますねえ。

第1楽章、これが長い。全体的にゆったりめだが、とくにゆったりのところもあったり。でも冗長感はなく、締まった印象が強い。軽めの表現だが、弦の響きが心に染み込む。第2楽章。2分ほどの短い楽章。抑え目の音量で軽快さが心地よい。第3楽章、穏やかで起伏のないアンダンテ。個々の楽器のバランスがいい。穏やかにひたむきに語りかける。第4楽章、第2楽章とならび気分転換のようですね。愛らしい旋律だが、ここでも押さえ気味の表情。そして第5楽章カヴァティーナ。この楽章とこの演奏はいいです。ほんとにゆったりとしたテンポと弱音で、切々と語りかける。本当に穏やかで安らかな心地に。この調子で約9分、まさに至福の時間であります。いいなあ。そして、お待ちかねの大フーガ。ここまでのゆったりとした気持ちがここで大きく変容するかと思いきや、それほどの凶暴さはなく、ここでも押さえ気味のところにこの曲のよさが滲むような演奏。また約18分の中で、いろんな変化や工夫もあり、けっこう面白いな、と思わせるところも散見されます。その点では秀逸かなあ。そして第6楽章。もうなくてもいいや、と思わせるところがこの曲の不幸なところ。でもここでの演奏は透明感があり、このSQの巧さも感じさせ、いいなと思います。

ところで、緊急事態宣言の解除の首相の発言に「ここからコロナの時代の新しい日常を取り戻す。今日はその本格的なスタート」とありました。「コロナの時代」ってどういう意味やつもりで使ってるんでしょう。どっかの小説家の題目から取って来たんだろうが…。私はなんだか不機嫌になりました。
(London 411 943-2 1985年 輸入盤)

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2 コメント

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Unknown (クレモナ)
2020-05-23 21:45:22
今週は、天気が悪く、しかも、何十年ぶりという寒さ、いくら、走り梅雨とはいえ、寒すぎの週でしたが、今日になって、やっと、暖かさが戻ってきました。コロナの感染者も、千葉県では、極端に減ってきました。解除もまもなくですが、日常的には、あまり変わらないのが、現実ではないでしょうか。マスクをしたり、買い物の頻度を減らしたり、人との接触を減らしたりするのは、解除されても、変わることはないと思います。それこそ、「コロナの時代」?だからです。この言葉、私も、大いに、違和感があります。
さて、ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第13番ですが、アルバンベルク、ブダペストくらいしか、所有していませんし、あまり、頻繁に聴いている曲ではないので、コメントできません。ただ、この曲で問題の、大フーガですが、これは、気に入っている演奏があります。弦楽合奏用に編曲された版で演奏している、フルトヴェングラー/BPOのライブ盤です。5番のシンフォニーとエグモントと、大フーガは収められたCDですが、いかにも、フルトヴェングラーが取り上げそうな曲で、ベートーヴェンの偉大さを、感じさせます。
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コメント、感謝です。 (mikotomochi58)
2020-05-24 21:19:18
クレモナ 様、コメントありがとういございます。いよいよ明日、全国の緊急事態宣言が解除されますね。約二ヶ月間でしたが、いろいろと大変でしたね。第2波、第3波などは、御免被りたいものです。プロ野球も開幕されるとか。これも楽しみですねえ。
ベートーヴェンについては、今年生誕250年なんで、いろいろと話題となることも多く、いろんな場面で曲を聴くことも多いのですが、やはりその偉大さを聴けば聴くほど感じますねえ。聴く度に新しい発見もあるので、しっかり聴いて行きたいと思います。またご教示ください。
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