ロシアのウクライナ侵攻から2年、島岡美延です。北京五輪・パラリンピックの時に始まった武力による他国への攻撃。慣れる、のも嫌だけど「支援疲れ」ってなんとも辛い響き。
まもなく東日本大震災から13年。映画『水平線(3月1日公開)』をご紹介します。白石和彌監督『凶悪(2013)』で出会ったピエール瀧と小林且弥監督の渾身のタッグ。あの震災後を新たな切り口で描きます。
福島県のとある港町。震災で妻を亡くした井口(ピエール瀧)は、個人で散骨業を営なみながら、一人娘の奈生(栗林藍希)と暮らしている。ある日、彼のもとに持ち込まれた遺骨は、世間を騒がせた通り魔殺人事件の犯人。これを福島の海に撒くのか、苦しい選択を迫られた井口が下した決断は・・・。
心に傷を抱えながら、高齢者や生活困窮者を相手に散骨を請け負う主人公。ジャーナリストの掲げる正義はネットで「大勢の声」になっていく。悲惨な出来事を忘れる自由はないのか。父と娘の葛藤の行方、様々な問いが心に迫る力作。