北極圏、極限状態の男は

世界遺産が焼け落ちる映像に涙、島岡美延です。
首里城が復元されて間もない頃、初めて沖縄へ。
梅雨入りが近い5月の空は青くはなかったけど、赤い首里城を見た時、未知の文化に興奮を覚えたもの。
地震で崩れた熊本城もショックでしたが、本当に言葉を失う光景です。
こちらは、命の危機にさらされ続ける男。
映画『残された者－北の極地－（11月8日公開）』をご紹介します。
ほぼ一人芝居で圧倒するのは、“北欧の至宝”と呼ばれるマッツ・ミケルセン。
キャリア史上最高の演技、と言われる本作で、北極圏に不時着した男を演じています。
壊れた飛行機をシェルターにしながら、白銀の荒野を毎日歩き回り、魚を釣って、救難信号を出す、という自ら定めたルーティンをこなすパイロット・オボァガード。
もう何日が経過したことか、ようやく上空に現れたヘリコプターは、強風で墜落。
大怪我をした女性パイロットを救い出した彼は、ある場所を目指し、歩き出す。
動けず、しゃべることもできない彼女をそりに乗せて…。
体感型映像、どう生き延びる！？

誰が、どこで行った発言か

朝は霧が出ているところも、島岡美延です。
閣僚って、顔と名前が一致する人とそうでない人が…。内閣の中で特に存在感の大きい二人が、相次いで謝罪。
とはいえ、本人は“問題があると思っていない”からこそ、出た言葉。
文科大臣は、せっつかれて陳謝、あとから発言撤回。
「身の丈」って言葉、久しぶりに聞きました。
言葉自体に罪はありません。差別用語というわけでもないし。
ただ、使うなら「自分のことを語る場合」にするべき言葉でしょう。
仮に、他人に向けてアドバイスのように使う場合、徳を積んだ人生の先輩から発せられるなら納得もできるでしょうが、なぜ、あの大臣に言われなきゃならない？
防衛大臣は、台風3つを呼んだ「雨男」であると、自慢したかったのでしょうか。
日常会話であれば、笑いを取るような自虐ネタとして使ったりしますね。
それを自身の政治資金パーティーの挨拶で語り、会場にも笑いが発生。
大臣は「ニュースになったから、謝罪。撤回はしない」との対応。
受験生のことも、度重なる災害も、エラい人には他人事？

キューブリック監督のそばには

昨日の朝は、タイガー・ウッズに脱帽、島岡美延です。
若い時の“強すぎる彼”より、“色々あって復活した彼”は、より深く長く愛される選手へ。
八千草薫さんの訃報が届きました。88歳。本当に美しく、現役であり続けた女優さん。
この人が生きていれば、91歳。
スタンリー・キューブリック監督没後20年の節目に、2本のドキュメンタリーを同時上映。
映画『キューブリックに愛された男』と映画『キューブリックに魅せられた男』（11月1日公開）をご紹介します。
1999年、『アイズワイドシャット』の完成直後、70歳で亡くなったキューブリック監督。
ある偶然から、キューブリックの専属ドライバーになり、片時も離れなかったエミリオ・ダレッサンドロの30年間。妻に懇願され、辞めようとするも、キューブリックは手放さなかった（『…愛された男』）。
俳優として売れてきた時、自ら専属アシスタントに転身したレオン・ヴィターリも、彼に人生を捧げた（『…魅せられた男』）。
映画界最大の巨人のそばにいた二人が見た、知られざる素顔！

子どもたちのため、母は父を

南アフリカが決勝進出、島岡美延です。
日本代表選手のインタビューを見ていて、本当に大変な犠牲があっての歴史的快挙だったと実感。
W杯決勝は今度の土曜日。
ラグビーのため、家族の時間を犠牲にした、と選手たちは語りました。言葉では表せない困難も相当あったはず。
家族のため、というと、どんなことを想像しますか？
映画『ひとよ（11月8日公開）』をご紹介します。
物語の始まりは、あまりに衝撃的。
暴力をふるう父親を見かねて、母は子どもたちに報告する…、夫を殺めたことを。
その母親・こはるを田中裕子。
15年という時間が流れて、現在。
長男・大樹（鈴木亮平）、次男・雄二（佐藤健）、長女・園子（松岡茉優）の三兄妹は、事件の日から抱えた心の傷を隠しつつ、大人になっていた。
そんな一家に、“15年後の再会”を誓っていた母が帰ってくる。
皆が願った将来とは違ってしまった今、再会を果たした家族がたどり着いたのは…。
『凶悪』『孤狼の血』などの白石和彌監督が、“家族”の究極の愛に真正面から取り組みました。

日本の秋はどこへいく・・・

川崎フロンターレ、ついにルヴァン杯優勝、島岡美延です。
５度目の正直？で手に入れたタイトル、PK戦までの死闘を制して、本当におめでとう！
北海道コンサドーレ札幌は初の決勝進出、今後、強豪チームに定着していくかも。
そんな10月最後の土曜日、台風21号や低気圧などの影響による大雨被害も明らかになってきました。
専門家を含め、どうしても“台風の直撃”ほどの警戒をしていない中、いきなり日常が絶たれたのです。
雨だから車で迎えに来てもらう…、よくある光景でしょう。
車ごと流されたり、車の中まで浸水したことが原因とみられる犠牲者が相次いでしまいました。
日本の10月、秋って、何をするにもいい季節で、食べ物もおいしく、屋外イベントも多く、一方で読書もしたい時期のはず。
想像を超える大雨が繰り返し襲い、サンマも激減、各地のイベントは台風当日だけでなく、現地の被災により中止など、相次ぎました。
ハロウィンも台風の影響を受けています。
紅葉の名所は、これからどうなってしまうのか、日本の秋はどこへ行く…？

「喝！」と言ってほしいのは

台風の時より大雨だった場所も、島岡美延です。
台風15号や19号で被害を受けた地域に、またも信じがたいほどの雨。
そんな昨日、選挙区の有権者に公設秘書が香典を渡していたなどと報じられていた経済産業大臣が辞任。
「任命責任は私にあります」という言葉は、もう何回目？
全部まとめて「喝!!」と叱ってほしいもの。
映画『喝 風太郎!!（11月1日公開）』をご紹介します。
『サラリーマン金太郎』の本宮ひろ志原作、待望の映画化です。
長年の修行を終え、ボロボロの袈裟に身を包み、町へ降り立った僧・風太郎（市原隼人）。
大酒を食らい、女好き、破天荒で非常識、自由勝手で横暴…。
セコイ詐欺師の健司（藤田富）は、風太郎を利用しようと近づく。
家にも会社にも居場所がないサラリーマン末吉（近藤芳正）、ネット依存症の自称インフルエンサー詩織（工藤綾乃）らも、風太郎の自由な生き方に影響を受けていく。
そんな中、ホームレスのためのボランティア活動家、麻季（鶴田真由）に出会った彼らは…。
独特な金言、クセになる？

“台風の予報”ではない時は

朝からかなり本降りの冷たい雨、島岡美延です。
台風21号は日本列島からやや離れたところで、太平洋側を北上する動き。
低気圧の影響で、大雨が予想されると言われていても、やはり「台風が直撃する予報」の時とは、私たちの心構えが違うような。
台風19号では、列車の計画運休、それに伴う計画休業の店舗…。
台風の接近前や、台風から離れた場所でもかなりの暴風雨があったのに、台風が海上を進むとなると「離れた場所の大雨、強風」などのこと、忘れがち。
気持ちの中に、梅雨や夏の集中豪雨、台風ほどではないはず、という油断はないですか。
19号の被害が続く場所で、さらに厳しい状況にならないことを祈るばかりです。
避難所については、本来、避難所ではない場所も明けることになった台風19号。
鍵がなかったりして、開けることが難しかったケースも。
今日の大雨でも避難勧告や避難指示が出される地域がありそう。
思えば、梅雨が明ける気配が見えないほどだった数か月前。
新海誠監督が『天気の子』で描いた光景は、いつかの未来かも。

こうして、看護師になっていく

ソフトバンク、クライマックスシリーズから“勝ちっぱなし”で日本一、島岡美延です。
どのスポーツでも終盤に「トーナメントのつもりで全部勝つ」などと言いますが、それを簡単にやってのけた？
ラグビーW杯のベスト8以降の戦いを“ノックアウト・ラウンド”と呼ぶのも印象的。
さて、今週末の“負けられない戦い”、ルヴァン杯（川崎VS札幌）の初優勝はどちらに？
人生で勝ち続けるのはなかなか大変…。
映画『人生、ただいま修行中（11月1日公開）』をご紹介します。
『パリ・ルーヴル美術館の秘密』など、現代ドキュメンタリー最高峰のニコラ・フィリベール監督の最新作です。
舞台はパリ近郊の看護学校。
誰もが最初は一年生、失敗を繰り返しながら、“こうして看護師になっていく”過程を見事にとらえた、40人150日間の成長の記録。
年齢、性別、出身も様々な生徒たち。どんどん実践の場に出され、失敗ばかり。
「初めてなんでしょ」と不安そうな患者の表情、様子もすべて記録…！
一人一人の真剣なまなざし。応援したくなります。

また起こりうる災害、避難所は

天皇皇后両陛下の美しく凛々しいお姿に安堵、島岡美延です。
誰もが平和で幸せな時代に、と願う一方、令和になってからの半年間でも酷暑や台風など、命や暮らしを脅かす自然災害が相次いでいます。
“被災者になる可能性”を台風19号で多くの人が実感したはず。
避難所のあり方など、これまでとはまったく違う覚悟で再考するべき時にきているのではないかと思います。
避難勧告、避難指示が出ても、ほとんど避難所に行く人が少なかった川崎市で“避難者激増”現象が見られました。
多摩川が氾濫危険水位になり、台風15号の際に87人だった避難者が、19号ではピーク時に33150人に！
指定避難所の学校がいっぱいになり、急遽、市民館に千人近くが避難（小学校から市バスで移動させた）。
東京でホームレスの避難を断った、というニュースがありましたが、「上履きを持っていない人は入れません、スリッパの貸し出しありません」と言われて帰った、という話を市内の知人から聞きました。
避難所で起こりうる混乱、まだまだ“想定”が足りないのでは。

国立の精神科病棟で撮影した物語

即位礼正殿の儀の祝日は、朝から本降りの雨、島岡美延です。
先日、ご紹介したトーハクの『正倉院の世界』に見るように、千数百年、伝え続けられた“形”。
本日の行事もそんな奇跡の一つです。
今も台風被害は現在進行形ですが、どんな状況にあっても、朝は必ず来る…。
映画『閉鎖病棟－それぞれの朝－（11月1日公開）』をご紹介します。
精神科医でもある帚木蓬生の山本周五郎賞受賞作『閉鎖病棟』が原作。
『愛を乞うひと』などの平山秀幸監督が、自ら脚本を執筆し、11年越しで映画化を実現。
国立の精神科病棟を使って、ドキュメンタリー以外のロケが行われるのは初めてだったそう。
死刑執行が失敗し、生きながらえた梶木秀丸を笑福亭鶴瓶。
幻聴に悩まされ、家族から疎まれ強制入院となったチュウさんを綾野剛。
DVが原因でやってきた女子高校生・由紀を小松菜奈。
家族や世間から遠ざけられながら、心を通いあわせる彼らに、衝撃的な事件が起きる…。
実際の病院での撮影ならではの空気感。
優しい“自己犠牲”に、希望を見出す物語。