昨日より気温が下がってまた冷たい雨、島岡美延です。服装選び、お間違いなく。
空気の冷たさよりも言葉の冷たさが突き刺さる時代に――。映画『52ヘルツのクジラたち(3月1日公開)』をご紹介します。2021年の本屋大賞受賞、町田そのこの同名小説が原作。『ソロモンの偽証』『いのちの停車場』などの成島出監督が渾身の映画化。「52ヘルツのクジラの鳴き声は、あまりに高音で他のクジラたちには聴こえない。だからこの世で一番孤独なクジラって言われているんだ」という言葉が心に残ります。
傷を抱え、海辺の街の一軒家に移り住んできた貴瑚(杉咲花)。「ムシ」と呼ばれる少年との出会いが呼び覚ましたのは、今はもう会えない安吾(志尊淳)との日々だった――。
ここで描かれる親からの虐待の凄まじさに言葉を失うけれど、実際にも理解不能な事件があとをたちません。貴瑚を愛する男の役は宮沢氷魚、愛と言うより束縛。親子、恋人、友人、近所の人・・・、あなたの孤独の理由はどこにありますか?