城山三郎「落日燃ゆ」新潮社より転記
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「関東軍は、もはや日本の軍隊ではない。別の独立した軍隊ではないか」
という独立説までささやかれた。
関東軍司令官本庄中将は、事変勃発以来、参謀たちの手で軟禁同然の目にあい、信仰三昧の生活を送らされていた。
暴走したのは関東軍だけではなかった。
朝鮮軍司令官林銑十郎大将は、天皇の御裁可も届かぬ先に、勝手に鴨緑江を越えて朝鮮軍を満州に送った。
軍は参謀総長が外務大臣あたりに文句を言われてはおもしろくないので、閑院宮載仁親王を担ぎ出した。
海軍もこれにならって、伏見宮を軍令部長に戴いた。
関東軍は独走し続け、三月には満州国建国宣言が行われた。
五月、犬養首相は海軍の一団に襲われ斃れ、軍部の無言の威圧が、また強まった。
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「関東軍は、もはや日本の軍隊ではない。別の独立した軍隊ではないか」
という独立説までささやかれた。
関東軍司令官本庄中将は、事変勃発以来、参謀たちの手で軟禁同然の目にあい、信仰三昧の生活を送らされていた。
暴走したのは関東軍だけではなかった。
朝鮮軍司令官林銑十郎大将は、天皇の御裁可も届かぬ先に、勝手に鴨緑江を越えて朝鮮軍を満州に送った。
軍は参謀総長が外務大臣あたりに文句を言われてはおもしろくないので、閑院宮載仁親王を担ぎ出した。
海軍もこれにならって、伏見宮を軍令部長に戴いた。
関東軍は独走し続け、三月には満州国建国宣言が行われた。
五月、犬養首相は海軍の一団に襲われ斃れ、軍部の無言の威圧が、また強まった。