はみは怖かった。
噛まれると死ぬとも言われていた。
だが怖いもの見たさに、
ハミがいると素通りせずに長い棒切れで叩いて遊んでいた。
その頃(小学生の頃)毎年、庭の軒先にハミを棒差しして干していた。
よく干したら、父が粉にして煎じて飲んでいた。
飲むと力がつくと父は言っていた。
後年、
実はそれは、
祖父の残りものであることを母から聞いて知った。
祖父は畑でつかまえたハミを、その場で皮を剥いで血を吸っていたそうだ。
血を吸ったハミを父に渡し、父は骨を煎じていたに過ぎなかった。
その話を母から聞いて・・・・間もなくして、
笠岡湾干拓地の農地でハミに遭遇した。
その時、小学4.5年生だった長男と畑にいて見つけた。
ハミは塒(とぐろ)を巻いてこっちを見つめていた。
長男に、
「動かずにハミをじっと見ていて」(←にらみ合うとハミはじっとしている。これも母から聞いていた)
と言って鍬を取りにいって、持ってきた。
そして鍬の先端の金属部分で
思いっ切り頭を叩いて一撃で殺した。
無事成功したが、そのことがあってから
長男は誘っても、二度と畑に来ないようになった。
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「聞き書 広島の食事」 神田三亀男 農山漁村文化協会 昭和62年発行
はみ
はみ皮をはぎ、内臓を除き、身に味噌をつけて焼いて食べる。
干して保存しておき、焼いて食べてもよい。
回復、強壮剤になる。
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「日本の風土食探訪 市川健夫 白水社 2003年発行
栄養価の高い蛇
まむし
蛇は虫とはいえないが、よく食べられてきた。
味が最もよいのは縞蛇でよく燻製にして食べられる。
青大将は体が大きいが、肉はあまりうまくない。
しかしその卵はコロイド状で脂肪に富み、茹でて食べると実に美味である。
胎生の蝮は、薬用として親しまれている。
全国各地で生きている蛇を売る店があるが、そこで注文すれば蝮を粉末にした生薬として売ってくれる。
蝮の中では赤蝮が一番薬効が高いので価格が高い。
日本では蝮をインドネシアから輸入している。
これを使用した保健剤も出廻っており、私たちは知らない間にその恩恵を受けているのである。
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「鴨方町史民俗編」 鴨方町 昭和60年発行
ハミは捕らえると皮をむき、骨を干す。
少し切って焼いて食べるとか、焼いた骨をすり鉢に入れてすって粉にして飲む。
薬になるという。
ハミは丸ごと焼酎漬けにする家もある。
サカオ (シマヘビ)という蛇も薬になるといって、干した骨を焦がして食べる人がある。
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