ケムリ研究室no.2「砂の女」 シアタートラム 2021.08.27 18:00~ & 9.5 13:00~
阿部公房は、名前は知ってますが、読んだことはありません。
ケムリ研究室の第二弾は、この阿部公房の「砂の女」
第一弾の「ベイジルタウンの女神」とは全然違った話だそうです。
劇場はシアタートラム。小さな空間での芝居なんですね。
チケットも何とかゲットし。。。行ってまいりました。
いやあ~すごい芝居を観ました。
何だろう、一瞬とも気が抜けないというか、夢中で見ていて、そしてすごく疲れた。
そして、めちゃくちゃ、のどが渇いたのと、なんか、ザラザラするよう気がしました。
どっぷり、芝居に浸かっちゃいました・・・・・
話の内容は
「ある砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれる一軒家を訪れることになる。そこには一人の寡婦が住んでいた。家の中にはひっきりなしに砂が流れ込み、女はひたすら砂を掻き出し続けている。男は脱出を試みるが、女や村人たちに逃げ道を阻まれて閉じ込められ・・・。複雑怪奇な作品かと思いきや、リアルな心理描写や肌ざわりが、読むものを惹きつけて離さず、その顛末がどうなるのか気になって仕方がない中毒性を持つ作品。この作品を、KERAがどのように舞台化するのか、そして、緒川たまきが体現する砂の女の世界とは・・・」
(エンタ・ステージより)
一人の男が、ある駅に降り立ち、バスに乗って終点まで。
彼は数学の教師をしていて、休みの日に、砂丘に昆虫採集にきたのだった。
駅に向かうバスはもうないと、村人に教えられ、彼から紹介され、砂穴の底の家を訪れる。
そこは、本当に砂穴の底にある家で、縄梯子で降りていく。そこには女が一人で住んでいた。
翌朝、彼が旅立とうとすると、縄梯子ははずされてしまっていた。男はその家から出ることができなくなっていた。
その村では、砂かきをしないと、家が埋もれてしまうため、毎日「砂かき」の必要があり、
外部から来た人をこうやって閉じこめ、強制的に砂かき要員としていたのだった。
男は女と共に砂を毎日掻き出す生活になる。そうしないと、水も与えられない環境だからだった。
村人に見張られていて、掻き出した砂と引き換えに、穴の上からの水や食料の配給されるとう生活だった。
しかし、彼は逃げ出すことを画策していた。
そして何とか地上に出たが、村の蟻地獄のような砂地にはまり、村人に捕まり、また女の家に戻されてしまった。
そして、女とともに夫婦のように暮らし始めた。
ある日、女が激しい腹痛を訴え、子宮外妊娠だとわかり、村人によって病院に運ばれる。
1人残された男がふと見ると、縄梯子がそのまま残されていた。
しかし、男は逃げようとはせず、女が戻ってくるのを待つのだった。
そして・・・7年後、男の妻からの失踪届が受理された。
最初にも書いたけど、
まずは、芝居中ずっと、なんかザラザラした感じが皮膚に伝わってきました。
見ているだけで。。。そうなるってすごい。砂自体があるわけではなく、プロジェクションマッピングや音だけなんですけどね。
さらに、トオルさんやたまきさんが水を欲すると、私ものどが渇くような感じ。
こういうのって何て言うの?疑似体験?
それにしても、女も毎日砂かきをして、一生を終えてしまうと思うと、、、なんだか悲しいというか儚い。
働き手として、さらには女の相手として、村人たちに穴に閉じ込められた男も悲しい。。。
っていうより、穴の底で待っていた女に、とらえられてしまった男という感じになるのかな?
まさに、蟻地獄。。。。と言うか砂地獄。
ただ、そんな生活だけど、たまきさんの可愛さとトオルさんの飄々としたとぼけた感じが
悲観的なだけでなく、どこかホッとする感じさえあって、ギスギスした感じじゃないのが、またよかった。。。
あーいう、水もない極限状態に陥ると、二人通じあってくるんですかね?
で。。。それから7年も二人は暮らしているということでしょう?うーん。砂の魔力?
何度も書いちゃうけど、すごい芝居をみたとしか言いようのない。
出演者6人で、こんな舞台を作ってしまうなんて・・・
それと、生演奏がすごく素敵だった。この芝居観とぴったりの音色
美術も素敵だった。プロジェクションマッピングと波打つ布、それから音。。。これだけで、砂底と吹き込む砂
そういったものをリアルに表せるなんて。。。感動でした。
キャストの感想だと
緒川たまきさん
もう、色っぽいし、かわいいし、強いし・・・すごく魅力的でした。
ラジオを聴きながら笑顔で踊るシーンとか、かわいかったな~
たまきさんのためにある役という感じでした。
仲村トオルさん
最初はわけもわからず、閉じ込められて、かなり怒りモードで(当たり前だ)
カリカリととがっていたけど、だんだんとぼけた素に感じが出てきて、
なんか憎めない都会の男を、ステキに演じてました。
「急にいなくなった俺を、みんなが探してるはずだ」と言ってたのに、誰も探しにも来ないし。。。
寂しくなっちゃう感じも切なかった。
でも、女のことを大切に思うようになっちゃうんだよね。そのあたりの気持ちの変化も
すごくよく見えてとれました。
村人たちのオクイシュージ、武谷公雄、吉増裕士、廣川三憲さん
村人だけでなく、警察官とか、男の同僚の教師とか、さらには、黒子まで本当にいろんなことをされてました。
たぶん着替えとかも、とっても多く大変だったろうな~
そうそう、男の人形も操ってましたよね。
おじさんたち、頑張った!!
ホントに素晴らしい舞台でした。
五感すべてに訴えてくるような舞台・・・初めてだったかも
東京千秋楽のカテコでは、ケラさんも登場。
3回目のカテコで登場した、トオルさん、涙ぐんでいて・・・
こういう状況下で東京公演完走できたこととか、この芝居を演じきれたこととかに
感動したのかなあ・・・
もちろん、客席もスタオベで拍手拍手でした。
こんなすごい芝居をありがとうございました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます