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古賀茂明-岸田首相が「投資で儲けろ」とけしかける&落葉キノコ出る

2023年10月03日 | 社会・経済

「資産政策3連発」が招く“円安地獄”で庶民はもっと貧しくなる 

政官財の罪と罰

AERAdot  2023/10/03

「海外からの参入を促進するため、資産運用特区を創設し、英語のみで行政対応が完結するよう規制改革し(中略)日本に投資いただくことを強く求めたい」

 921日、岸田文雄首相が米国ニューヨークで行ったスピーチの一節だ。

 海外から日本への投資を拡大しようというのは結構なことだと思う人が多いだろう。しかし、これが日本経済を助けるどころか、持続可能性に疑問符がつく日本経済の破綻に向けた第一歩になってしまうのではないかと私は懸念している。

 話は少し前に遡るが、2021年の自民党総裁選を思い出してほしい。

 岸田氏は、分配政策の柱の一つとして、金融所得課税強化を打ち出した。その根底にあるのが「新しい資本主義」という考え方だ。「市場や競争に任せれば、全てがうまくいく」という新自由主義的な考えの弊害を指摘し、「格差と貧困の拡大」を問題視する姿勢は、これまでのアベノミクスとは一線を画すものだった。

 とりわけ、金融所得課税の強化は、象徴的なテーマだ。

 所得税は給与などの所得が多いほど税率が上がる累進制で最高45%が適用される。しかし、株式の売却益などの金融所得は給与と分離して一律15%の税率を適用する分離課税を選択できる。金融所得が多い富裕層は総合課税であれば高い税率が課されるのに、分離課税によって所得全体からみた税負担率が下がってしまう。その結果、所得1億円を境に所得税の税率が実質的に低下していく逆転現象が起きる。これが1億円の壁」である。富裕層を不当に優遇する不公平税制だから、これを是正するのは当然だ。

 では、その後、これがどうなったのか。

 総裁選で金融所得課税が話題になっただけで、市場には衝撃が走った。株価が下がり、「岸田ショック」とさえ言われた。株式保有を不当に優遇する制度が是正されれば、株価にマイナスの影響が出る。誰でも予想できる話だ。

 しかし、岸田首相にとっては驚きだったのだろう。この方針は大きく後退し、ほとんど意味のない改革で終わってしまった。

 25年分の所得から、所得が30億円を超える「超富裕層」に限定して、30億円から3.3億円を引いた上で、たったの22.5%の税率をかけて税額を計算し、これが通常の税額を上回る場合にその差額を徴収することにしたのだ。対象となる人はわずか200300人で所得50億円でも負担が23%上がるだけだという。ふざけた話だ。

 また、総裁選の時に岸田氏は「所得倍増」も掲げた。しかし、こちらも、早々に、時期は区切らないとして公約を撤回してしまった。

 広く知られているとおり、労働者の実質賃金は、安倍晋三政権の時から減少傾向が続き、民主党政権の最後の年の12年に比べて大幅ダウンしたまま。今も16カ月連続マイナスが続いている。今年の春闘で大幅賃上げが達成されたと喧伝されているが、実はこれは大嘘である。連合が発表した賃上げ率は平均で3.58%と表面的には高く見えるが、これには定期昇給分が含まれていて、本当の賃上げであるベースアップは、定期昇給とベースアップを区別できる組合の平均で2.12%に過ぎなかった。物価が3%上がっているのだから、これでは、どう頑張っても実質賃金はプラスになりようがない。

 岸田首相は、「構造的賃上げ」という言葉で宣伝しているが、賃金上昇が物価上昇に追いつかない状況が恒常化し、「構造的賃下げ」になっているのだ。こうなると国民の暮らしは苦しくなるばかりで、将来の夢もなくなる。

 岸田首相は、賃金で勝負するのはかなり厳しいということは比較的早く肌で感じたのだろう。「所得倍増」を諦めて、「資産所得倍増」を前面に打ち出した。働いても豊かにはならないので、金融商品を買って豊かになろうというキャンペーンである。

 確かに、日本では、家計の金融資産2115兆円のうち、現金・預金が1117兆円と過半。欧米に比べてかなり高い。「貯蓄から投資へ」は、これまで何度も唱えられたが、実際にはほとんど進まなかった。だが、今回は少し状況が違う。

 NISA(少額投資非課税制度)などの改革が実施され、国民の間に真剣に投資について考えようという雰囲気が醸成されていることに加え、大幅な円安が続き、ドル建て資産などの魅力が増していることから、国民の海外資産への関心が高まっているからだ。特に若者層で海外資産への投資が急激に広がっている。これは、円預金一本というよりは望ましい変化だと言えるかもしれない。

 一方、日本の金融機関の金融商品の開発や販売行動は、長らく庶民の利益ではなく、自分たちの利益最優先で行われてきたことも徐々に知れ渡ってきた。そこで、岸田政権は、23年になると、「資産運用立国」を掲げ、その中で、日本の資産運用会社の改革と能力アップを目指す方針を打ち出した。国民に貯蓄より投資をしろと言うのだから、その投資が利益を生むように運用会社の質を高めるというのは、確かに悪い話ではない。その結果、投信の手数料や株式売買手数料の引き下げ競争も起こり望ましい変化も生じている。

 資産所得倍増、資産運用立国と続けた政策に手応えを感じたのだろう。岸田首相は、さらに資産政策第3弾を打ち出した。冒頭に紹介した「資産運用特区」である。海外の資産運用業者を日本に誘致して、日本株に投資してもらうために行政手続きの英語化に加え、運用を担うファンドマネジャーのために住宅や子どもの教育環境を整備することまで打ち出した。至れり尽くせりである。

 資産所得倍増資産運用立国資産運用特区。「資産、資産、資産!」という岸田首相の政策は、前述のとおり、働いて豊かになるというシナリオを諦めるという意味がある。その代わりに投資で豊かにということなのだが、まず、預金すらできない人々が多数いることを忘れているという批判がある。

 金融所得で大儲けしている富裕層にしっかり税金を払わせるという元々の約束はどうなったのかという声も出るだろう。

 だが、岸田氏の資産政策3連発には、もっと深刻な懸念があることを指摘しなければならない。

 それは、1200兆円を超える日本の公的債務に関連する。かなり前から持続不可能だと言われ、リベラル系の経済学者などが、今にも財政破綻が起きると警鐘を鳴らし続けてきた。これ以上借金が増えると海外勢に国債を売り浴びせられて国債が暴落するとか、ハイパーインフレになるというストーリーだ。私はそんなことは簡単には起きないと見ていた。日本の家計の金融資産の多くが銀行預金にとどまっていてそれが国債購入に当てられていたからだ。

 しかし、今は違う。国債の残高は引き続き増えているが、それでもそれが消化されているのは、日銀が大量にこれを買い支えているからである。

 日銀が際限なく国債を買うので、国債の価格は下がらず、金利の上昇は抑えられる。これにより、財政の金利支払いの負担が極端に低下している。住宅ローン金利も抑制され不動産バブルに拍車がかかる。通常の金利を支払うだけの利益も出せないゾンビ企業もそのまま生き残る。結果として、日本経済は低位安定を続けているのだ。

 仮に、日銀が国債を買わなくなれば、その価格が暴落し、金利は急騰する。財政の金利負担が急増し、住宅ローン破産が増え、ゾンビ企業は一気に倒産ラッシュとなる。だから日銀は国債を買い続けて、マイナス金利政策を続けざるを得ない。

 日銀が金利を上げられないのに対して、海外の金利は上昇しているから、金利差が原因で円安が進む。原油をはじめ輸入物価が上がっているのに、さらに円安で拍車がかかる。

 こういう状況で岸田「資産政策3連発」が効果を発揮するとどうなるのか。

 若者層に海外投資の機運が盛り上がっているが、これはすぐにあらゆる年代に広がるだろう。海外の運用会社が日本での活動を強化する時、海外資産への投資の機会は確実に増える。ドル資産に投資して儲かったという話は、巷に溢れていて、どうやって乗り遅れないようにしようかという意識も広がっている。ドル預金で年利5%といっても、為替が10円円高になったら大損なのだが、日銀が大幅な金利引き上げに舵を切ることはできないように見えるし、長期的に見れば、日本経済がジリ貧だということはほとんど自明なことのように思える。少なくとも、全資産を円で持っているより、半分はドルにしておこうと考えても決して無謀な博打ではなく、むしろその方が安全な投資姿勢である。

 ということで、岸田資産政策が効果を上げれば、家計の金融資産の大量海外流出が進む可能性が高い。そうなれば、円を売る動きになるのだから、円安に拍車がかかる。物価に上昇圧力がかかり、海外投資する余裕のない庶民は「円安地獄」のどん底に堕ちるわけだ。

 そして、銀行預金から大規模な海外投資への転換が起きれば、その時こそ、国債の買い手がなくなり、日銀の直接引き受けが見えてくる。もちろん、日本政府への信頼は地に堕ち、国債暴落・金利急騰で日本経済破綻というシナリオだ。

 一方で、海外投資に巨額の資産を振り向けた富裕層は、巨額の利益を手にすることができる。日本がもう住めない国になったと思えば、豊富な外貨を手に海外に移住することもできる。

 貯蓄から投資というのは、決して悪い政策ではない。

 しかし、その前に、本来なら日本産業の強化を進めなければならなかったはずだ。アベノミクスの成長戦略が失敗して、日本の産業競争力が地に堕ちたことで、国民に残された投資先は海外のみ。そのタイミングで「効果的な」資産政策3連発。

 海外からは笑い話のように見えるかもしれないが、日本という国から逃げられない我々庶民から見れば、こんなに恐ろしい話はない。


昨日からの雨でキノコがにょきにょきだ。
待ちに待った落葉キノコも出てきた。

ナラタケ(ボリボリ)も


ヒラタケは昨日食べたがまた採ってきた。

ヤナギタケは手が届かず。



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