TOMATOの手帖

日々の生活の中で出会う滑稽なこと、葛藤、違和感、喪失感……などをとりとめもなく綴っていけたらと思っています。

みんないいヒト

2024年09月06日 | エッセイ
平日午後12時半からのNHK朝ドラ『ちゅらさん』を録画している。
2001年に放送されていたものの再放送である。
堺正章さんやキャンディーズの田中好子さんなど、顔ぶれも懐かしい。
ヒロイン恵理と文也が東京で出会い、結婚し、家庭を持ち、そしてそろそろ大団円を迎えそうである。
この展開は、朝ドラの中の朝ドラ。
おしまいには、すべての葛藤や仲たがいが解決されて、よかったね、となる。
伯母は、「あんなにみんながうまくいくはずはない」と文句を言いつつ、それでも見ているらしい。
姑と嫁、義理の親子、実の親子……。
どんなに初めはもめていても、そのうちわかり合えるよね、朝ドラだもの、というような期待をもっている。
朝ドラというくらいだから、キホン、1日の初めに見るのである。
せめてドラマの中だけでも安心していたいのである。

さて、再放送ではなく、現在放送中の『虎に翼』もそろそろ終盤である。
ストーリーも、原爆裁判を終え、そろそろまとまりつつある。
裁判の話だけでなく、寅子の周辺で起きる問題—育児休業や、認知症問題など、今に通じるさまざまも盛り込んでいる。
ラストスパートに向けてちょっと問題盛り込み過ぎ? 義理の娘との関係性もそんなにあっさりとうまくいくものかしら? という気もしないでもないが、放送期間が決まっているのだからしかたがないかもしれない。
そんな中でも、余 貴美子さん演じる認知症のおばあちゃん百合さんには見入ってしまう。
『ちゅらさん』では、ヒロインと同じアパートに住む女性役で出演もしている。
同じ女優さんを20年の時を隔てて同時進行で見るのもおもしろい。
彼女の演じるおばあちゃんには、とてもリアル感がある。
とかく、俳優さんの年令が演じる役柄に追いついていかずに、実に若々しいおじいさんおばあさんができあがりがちなこのシリーズだが、彼女だけは別格である。
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早くも……

2024年08月31日 | エッセイ
実家に台風見舞いの電話をする。
するとついでのように母曰く、「火曜日の〇〇さん、8月いっぱいでおしまいにしてもらうように、△△さんに電話しておいたわ」。
〇〇さんとは、母を毎週火曜日に訪問してくれている看護師、△△さんはケアマネである。
訪問看護ステーションの管理者、〇〇看護師、そしてケアマネさんが実家に勢ぞろいして、訪問看護の契約書を取り交わしたのは7月。
母の体調に不安があったために、安否確認を兼ねて、わたしが依頼したのである。
契約の説明中、母も、「そうね、そうね」と乗り気なお返事をしていたが、あとになって「何が始まるの」「何をしてくれるの」と、実は訪問看護について理解していなかったことがわかった。
実際、訪問看護の時間は、バイタルチェック、脳トレや折り紙、軽いストレッチ、残りは専ら母のおしゃべりで過ぎるようで、母も看護師も、訪問看護の必要性について疑問を抱き始めているようだった。

思えば、訪問介護の計画も、「自分の目で確かめながら買い物をしたいから」という母の鶴のひと声?で計画倒れになり、訪問リハビリも、「あのくらいなら自分で歩ける」と、2,3か月で終了となった。
そのたびにケアマネさんに御足労をおかけしている。

まあやってみないとわからないのだから、何でも試してみるのはいいのかもしれないが、そもそも介護保険サービスというもの、「試す」余裕のある時に頼む性質のものではなく、必要性に迫られてやむをえず、という時にお願いする類のもののような気がしないでもない。
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椅子がきた

2024年08月30日 | エッセイ
台風接近による気圧低下のためか、何もしないのに(しないからか)、朝から腰が痛む。
低気圧で頭が痛くなる現象を「台風頭痛」というらしいが、「台風腰痛」というのもあるかもしれない。
「今日はお天気が悪いから神経痛が出てねえ」という高齢女性のセリフを、ドラマかなんかで見たような気がする。

先日購入した椅子が届いた。
11時から13時までにお届けします、と昨日ショートメールが届いた。
台風接近の最中、到着が遅れるのではないかと思ったが、図ったように、11時2分ごろにインターホンが鳴った。
(11時になるまでこの土砂降りの中、時間調整していたのではないかというほどのタイミングである)。
あらかじめ組み立てまでをお願いしていたので、椅子の形を成した状態で狭い玄関先にそれは運び込まれた。
梱包のビニールはびしょ濡れだが、しっかりと包まれており中身は無事である。
配送員が去ったあと、これまた狭い廊下ともいえない廊下を、ワゴンやらゴミ箱やらをどかし蹴散らしながら、部屋の中に滑り込ませる。
キャスターが付いているので移動は楽だが、足元の部分が意外にスペースを取るのである。

参考までに、取扱説明書をめくってみて驚いた。
背面、座面のほかにキャスター5つ、ボルトなど30近くの部品がバラバラになった絵が載っている。
それらを組み合わせたり差し込んだりして、順々に椅子の形にしていく手順が書かれている。
果たしてこれを見ながら自分ひとりで組み立てることができただろうか。
つくづく、完成した状態での配送をお願いしておいてよかったと思う。

高さを調整してパソコンデスクの前に設置。
そのための椅子、のはずであった。
しかし実際には、本棚に本を取りに行ったり、冷蔵庫の中のものを出しに行ったりと、あっちにゴロゴロこっちにゴロゴロと椅子に座ったまま移動。
これではものすごく横着になりそうである。
同じ姿勢を続けるのは腰によろしくない、とものの本にあった。
気をつけなくてはいけない。



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百閒先生ふたたび

2024年08月29日 | エッセイ
台風がうじうじといつまでも進まないので、天気図を見るたびにじれてしまう。
後ろから背中を押したくなる。
どっちに進むのかまだ決めていないらしい。
このたびの台風はそうとう優柔不断なようだ。
悶々と天気予報とにらめっこしていてもどうなるものでもなく、突如の大雨で電車が止まっても困るのでそれを言い訳に1日家にこもって本を読んで過ごした。

内田百閒の『百鬼園戦後日記』を。
百鬼園先生の作品に初めて出会ったのは『御馳走帖』だっただろうか。
なにげなく書店で見つけて立ち読みして、買った。
作家との出会いは不思議。
誰かから勧められたというのでもなく、書店でなんとなく手に取って心惹かれて……というのが多い。
きっかけについて記憶にも残らない。
その時々のマイブームというのがあり、そのまま2冊目、3冊目と買い求め、ひととおり読み終わるとブームが去って、また何年かすると再び読みたくなってくる。

百閒先生の本もその類である。
実に細々と書いてあるために読むのに時間がかかり、根気が続かずに何年も遠ざかっていたのだが、このたび時間ができたのでまた読みたくなったのかもしれない。
絶版になっていてamazonで検索すると、中古なのにそうとうなお値段になっている作品もある。
戦後日記には、当時の靴の値段から、天気予報が復活したこと、東京市から東京都になったことまで書かれている。
個人の生活を描きながらも、社会の動きが伝わってくる。
焼け出されてかろうじて雨露をしのぐことになった掘立小屋に客人がやってきた。
3畳に満たない空間である。「さあ、奥へ奥へ」と招き入れたというエピソードは、こんな状況下にあってもユーモアをなくさない先生ならではである。
酒好きの先生のこと、「先生は空襲のとき、お酒を一合持って逃げたんだそうですね」と問われると、「いいえ、一升瓶を持って逃げたら、その中にたまたま一合の酒が入っていたんです」と答えるくだりなんかは、百閒先生らしい!と知り合いでもないのに、なんだか昔から知っている人に会ったような、懐かしいような、そんな気分になる。
先生の奥様が胸のうちについて書いた文章があれば、先生の知られざる一面がわかって興味深かっただろうな、と残念に思うのだが、ブログだのSNSだので誰でも彼でも心のうちを吐き出す機会のある今とは違い、当時はつつましやかだっただろうから、そうしたことは思いつきもしなかっただろう。

今後、お気に入りの作家に何人、出会うことができるだろう。
脚本家の向田邦子さん、絵本作家の佐野洋子さん……。
今は故人でも、作品を通じて何度でも出会うことができる。
ネットで本を買うことができるのは便利だが、書店を徘徊する体力がなくなってきたのでその機会も限られていくかもしれない。




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夏の1日

2024年08月24日 | エッセイ
行きつけの美容院が閉店になったので、口コミの評判が良く、値段も安め、駅から近いという店を発見して行ってみた。
駅前の新しくできたビルの中、階段を上った突き当りの店である。
エレベーターに慣れていたのか、2階の階段がきつく感じられる。
店の中には10席ほどあり、お客さんが老若男女合わせて6,7人ほど。それぞれにスタッフがついている。
客層が若いので、少しいたたまれない。
待っている間、あたりをきょろきょろ見回し、初めての客の雰囲気全開。
今まで通っていた店が、ひとりかふたりのこじんまりとしたところだったせいか、賑やかに感じられる。
真ん中の席に案内される。
担当は若い女性である。
初対面の挨拶がてら名前を教えてもらったが忘れてしまった。
カラーの色だの、「前髪を切り過ぎないで」だの「髪の毛の量が多いうしろはボリュームをおさえてほしい」だのという注文を忘れないように言わんとしていて緊張していたためだろうか。
膝の上にホカホカと温かい抱き枕のようなものを置いてくれる。
冷房が効き過ぎていたためにちょうどいい感じだ。
スタッフが「雑誌、お読みになります?」と聞いて、タブレットを渡してくれる。
ディスプレイの中に何十いや、何百種類の雑誌がずらりと並んでおり、表紙をタップすれば中を読めるようになっている。
ページめくりの要領はスマホと同じである。
「へええ、こんなのがあるんですかあ。すごいですねえ」とわたし。
動揺を隠せない。
これまで美容院の雑誌といえば、「女性〇〇」とか「週刊〇〇」など、紙の雑誌が常で、ページの間に髪の毛がはさまっていたりしたっけ。
いつのまにか、雑誌も進化していたのね。
できばえは、髪の切り具合も色も希望通り。
まあ、それほど凝った形をお願いしたわけではないんだけどね……。

と書いていると、外で花火の音が聞こえ始めた。
海の近くで恒例の花火大会が始まったらしい。
部屋の向きの関係で、音しか聞こえない。
そういえば夕方から駅前が混み始め、警察官が交通整理をしていた。

花火大会に最後に行ったのはいつごろだろう。
町内会の夜店や盆踊りにもよく行った。
夜のお祭りは、終わったあとの静けさがなんともさみしい。
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