森で笛の効果は?
明ケ田尾山からの帰路、梅ケ谷からの急坂を上がり鉢伏山へ向かう尾根
に出た所で一休みをしました。
今日はまだ誰一人としてハイカーに会うことなく シ~ンとした森の中で浸りに
浸っていましたが、なぜか急に胸にいつも入れている笛 (金物で運動会
などで先生がピーピーとうるさく吹いているあの笛です) を一度試しに吹いて
みたくなりました。
この笛を持つようになって4年ほどですが、そういえば一度も吹いた事が
無かったのです。
私は気の小さい恐がりのくせに、無鉄砲な所があって時々回りに心配を
かけてきましたが、それも年々心配性の性分のせいか森で何があっても
いいようにリュックサックにはそれなりの装備をしてきました。
でも、真夏の暑い時には人一倍汗っかきで背中がビッショリになる為、
リュックを置き 3時間ぐらいの近場なら事前に水分をたっぷり取り、
チューインガムを噛んで水分を口に含ませて手ぶらで森に入るときもあり
ます。
そんな身軽な時でも手放さないのはステイックと笛なのです。
ステイックは山道の上り下りには私にとって必需品の杖ですが、笛はまさに
事故、事件、災害、その他保身用の安心材なのです。
もっぱら人に助けを求める時のものですが、一人で森や山の中を歩いている
と、何があるのか予測もつきませんので、ある時から持つようにしたのです。
幸い今まで使うことが無かったので試しもしなかったのですが、今日はなぜか
急に・・・ 地震で生き埋めの人のニュースを見たせいかな?
それとも以前、急に足元がふらついて谷底に落ちて何日も動けず助けを
待っていたという記事を見たせいなのか?
早速 笛をポケットから出して 思いっきり吹いてみました。
静かな森の中に ピーピーと甲高い音が響き渡っていきました。
近くにいた鳥が何事か? と バタバタと飛び立っていきました・・・
一瞬 しまった! と思ったものの、しばらくするとまた森の静寂さが戻って
きて、何事も無かったかのようにさわやかな風が吹いてきました。
ホッ! として実験成功! ・・・と 安堵。
意外と響くのでこれで何かあったときでも 安心!
再び鉢伏山方面へ歩き始めてしばらく経った頃、後方の止呂々美方面から
の細い山道から3人の若者が上って来るのが下方に見えました。
今日始めて見るハイカーです。
* あっちの方だぞ!
* いやこっちだよ!
と言う話し声が聞えます。
少し離れていたので私はそのまま先を急ぎましたが大分経ってから・・・
私は アッ!
ひょっとして私の笛の音に何事か!・・・ と反応してくれた方なのか?
その原因を探す為に尾根道まで上って来てくれたのか?
もしそうだとしたら申し訳ないことをしてしまった・・・
ごめんなさい!
試し笛なんです・・・
今更、何処におられるのか? 探すわけにもいかず自責の念にかられて
しまいました。
もしそうだとしたら善意の若者達にはすみませんが笛の効果は抜群です。
イソップ物語の 「オオカミと少年」 にならないように、今度は本当に助けを
求める時だけに笛を吹くようにします・・・
3人の若者の方々へ・・・
もし私の試し笛に応えて探して下さったのなら・・・・
心からお詫びと感謝を申し上げます。
申し訳ありませんでした。
そして、ありがとうございました。
その日、箕面の森の鉢伏山から見た夕陽は、とても言葉では言い表せ
ないぐらいの素晴らしい輝きでした。
07-7 (完)