老後は森の小鳥と友に・・・
今日(13日)の出発地は、箕面・外院の帝釈寺からです・・・
皿池公園の前から勝尾寺旧参道に入っていきます・・・
昔の町石柱の頭をなでながら・・・
ここから一気に風景は田舎そのものになり、私の好きな山里の光景が
広がります。
田畑では日曜百姓さん? が 所々で農作業をしています・・・
あぜ道に上り、手前の壊れかけた農舎ごしに山々を望むと、信州のアルプス
連山とは違うものの・・・ もうそこは故郷の安曇野のようで、いつも懐かしさで
いっぱいになってしまいます。
ピンク色に染まったレンゲ草が畑いっぱいに広がり愛らしい花を咲かせてい
ます。
黄色い菜の花・・・ 白いネギの花もきれいです。
土手にはムラサキ、ピンク、キイロ、シロ色・・・と、いろんな野草の花が咲いて
います・・・ いつまでたっても名前が覚えられません (笑)。
小さな池のほとりにある柿の木にも、小さな新芽がいっぱい出てきました・・・
ついこの間まで残り柿が数個あって、小鳥達が賑やかについばみながら
井戸端会議に花を咲かせていたのに・・・ 季節の移り変わりを実感します。
前方から杖をついた散歩中のおじいさんがゆっくりと歩いてこられて・・・
・ おはようさん~ と 元気に声を掛けてくださいました。
おはようございます・・・ 今日はいいお天気ですね!
・ そうでんな・・・! 結構や・・・ ほな! ごめん! と、去っていかれました。
森に入りV字の山道から空を見上げると、もう一面新緑のトンネルです・・・
思い切り深呼吸をしてみました。
朝陽が差し込んでくると、若い新芽が嬉しそうにひときわ輝いて見えます。
山道を照らす木漏れ陽も 春の温かさを感じます。
古参道への分岐点で一休みをしていました・・・
旧参道は休日はハイカーの方が多く・・・
( と言っても10分にお一人ぐらいの間隔ですが・・・森の中では多い道です)、
私のようにゆっくりと森の散策を楽しむ者は、狭い道ながら人が少ない
古参道が最適です。
足元には小さなうす紫色をしたタチツボスミレが咲いています・・・きれいです!
私の好きな・・・ さりげない清楚な美しさです。
空ではさかんに鳥がさえずっています・・・ 何の鳥かな?
その時でした・・・
後ろから急に一人の同年輩の方が声をかけてきました。
* あれはメジロですわ・・・ よう鳴いてますわ・・・
さっきから鳴いてる所を狙ってるんやが見つかりませんね・・・
見ると大きなカメラ三脚を担ぎ、その上には大きな望遠鏡を付けた家庭用の
ビデオカメラが見える。
* 今日はよう鳴いてますわ・・・
私は上空でよく鳴いている鳥を見て、つい田舎の早春時のヒバリを思い・・・
・ あれヒバリですか? と 言うと・・・
* あれがメジロですわ・・・
早々に貧学を笑われてしまいましたが・・・
それから次々と鳥が鳴くたびに・・・
* あれはシジュウガラです・・・ あれはカワラヒラ・・・
あの松の上で鳴いてるのは・・・ と 教えていただいても端から
忘れてしまいました・・・ (笑)
・ それにしてもよくご存知ですね・・・ 詳しいですね・・・
(私がカメラを指して・・・)
・ 鳥を撮ってられるのですか?
* ええ・・・ これが老後の趣味でして・・・
これはビデオとカメラの一体型の安い物ですがね・・・
しかし、固定して撮らんとブレるんでこの三脚が重いんで・・・
この望遠鏡も結構重いんですわ・・・
* 鳥は今の時期はつがいで巣づくりの最中で外装が出来、内装が
出来たら餌の虫などを腹いっぱいに食べて、それから子作り
ですわ・・・
もう少ししたら卵が生まれ、二羽で育てていきますねん・・・
そりゃ見てて飽きませんわ・・・
私は毎日365日、山の中を歩いて鳥を見てますねん・・・
楽しいですわ。
・ そんなにですか・・・ すごいですね!
* 定年後に見つけた趣味です・・・
撮った後に家でそれを編集しますが、それがまた楽しい・・・
自然を撮ったNHKのハイビジョン映像のようにはいきませんが、
自分ながら童謡を挿入したりして一枚のDVDにしたり・・・
今のブルーデーはよろしいな・・・ これ作っといたら100年以上
劣化せずに見れますしね・・・
しかし、私が死んだ後はすぐに捨てられる運命かもしれません
がね・・・
と 苦笑されている。
・ いいご趣味ですね・・・ 羨ましいです!
(趣味に夢中になっておられる人の姿には年齢に関係なくいつも若さと情熱を
感じます・・・)
・ 私など鳥にひかれても未だに名前と鳴き声と姿が一致せずにもう諦め
です・・・
だからいつも、ただ いいな~ と 聞きほれているだけです・・・
* 私も最初はそうでしたが、望遠レンズで鳥の巣なんか見ていると
もう夢中になりまして・・・
(おじさんはいろんな思いを一気に話されています・・・)
その時、近くでウグイスが鳴いた・・・ ホーホケキョ!
すると・・・
* あのウグイスは私がここにいるといつも鳴いてくれますねん・・・
それによく聞くと・・・ ホーコッチコイ・・・ こっち来い! と
聞えますねん・・・
ハハハハハ・・・ 二人で大笑いです。
・ 私も先日、四反田谷の上り坂で ホーヨッコラショ・・・ よっこらしょ!
と 聞えたのと同じですね・・・ と また大笑い・・・・
その時またメジロが鳴き始めました・・・
おじさんは早速カメラを覗きながら早や探鳥モードに入られました・・・
老後は鳥と友に・・・ (共に・・・) いいですね!
私は静かにそこを離れました・・・
私は再び鳴いた ホーコッチコイ? の ウグイスに引かれて旧参道から
古参道の狭い山道に入っていきました。
私はいつも首から10倍の小さな双眼鏡をぶら下げていますが・・・
しかし、すばやい鳥の動きを観察できるのはノンビリ屋でノロマの私には稀な
ことなのです (笑)
それでいつも動かない風景をみて楽しんでいるのですが・・・。
今日は尾根道から向かいの山の斜面を双眼鏡で見る・・・
すると、まるであの打ち上げ花火がパッと空で大きく開いた時のように・・・
あちこちの山々に咲く 満開の桜 の花がとても美しく、しばし感嘆の声を
一人挙げながら見とれてしまいました。
(箕面にはエドヒガンザクラ・ヤマザクラ、ウワミズザクラ、カスミザクラなどが
咲くとか・・・)
近くで見るのもいいですが、満開の桜を山越に遠くから眺めるのも
おつなもの ですよ・・・。
近くのヤマザクラの木に目をやると、私にしてはなんとめずらしい・・・
花から花へ飛び交う二羽のメジロを見つけました・・・ ラッキーです。
しばし双眼鏡で、その鶯色をしたきれいなメジロ、その仲睦ましいつがいの
仕草や動きをたっぷりと堪能できました・・・
桜とメジロ・・・ まさに絵になる光景です。
さっきのおじさんの趣味の気持ちがよくわかります・・・
箕面の森にも 巣づくりの季節 がやってきましたね・・・
08-4・14 (完)
箕面渓流での 狩り・・・!
先日の日曜日はあいにくの雨模様でしたが、箕面川の渓流沿いを
歩きました。
この蛇行する川沿いにはよくサギ科の鳥が飛んでいます。
翼を広げると意外と大きく、その優雅な姿で川面を右へ左へ
スイスイと舞い飛ぶ姿には感動してしばし見とれてしまいます。
アオサギ、ゴイサギ、ササゴイ、コサギ、ムラサキサギ、クロサギ、
チョウウサギ、ダイサギ・・・サギと言ってもいろんな種類がいる
そうですが・・・
帰ってきて野鳥図鑑を見てもよく分からない鳥も沢山いて、
いまだに私にはアオサギとコサギぐらいしか区分けが出来ません。
箕面川でよく見られる魚はカワムツで、渓流に住むとして知られて
いるアマゴも住んでいます。
川底にはカワヨシノボリと言うハゼの仲間の小さな魚もいます。
それにサンショウウオは有名ですね。
カワムツはもうすぐ小石混じりの砂地に卵を産み付ける季節
ですね。
この時期、オスは鮮やかな赤と黄色になり求愛のきれいな肌に
なりますから上から見ていてもよく分かります。
アマゴは体の横にごはん形の紫色の模様があり、その近くに赤い
斑点があります・・・大阪府の川で天然のアマゴがいるのはこの
箕面川だけだそうですよ。
この水辺にいる鳥で代表的なものは、何と言っても 青い宝石と
言われる ”カワセミ”でしょうね。
そして、水に潜って水生昆虫を捕らえるカワガラス、長い尾を
ピクピク振って歩く愛らしいキセキレイやセグロセキレイなども
います。
箕面川では四季を通してこれらの観察が出来て楽しいものです。
滝道の落合谷から箕面川をまたぐ 赤いつるしま橋を渡り、
姫岩の横から私は雨で少し増水し岩に激しく当たる渓流を眺めて
いました。
よく見るとすぐ手前の木の枝にあのカワセミが一羽・・・
どうも少し岩陰で水流がよどんだ所を見ているようです。
カワセミはよく見ますがこんなに近くで見るのは初めてです。
さすがに青い宝石と言われるだけあって見事な配色です。
長いくちばしがこれから狩りをするという様相です。
私も息を凝らして、いつ水中めがけて飛ぶのか、カワセミと水面を
交互に見つめていました。
5~6分位たって私のほうが根負けして目を離したときです・・・
その一瞬にカワセミは見事に魚を捕らえ、再び木の枝に戻り
くわえてはねる小魚を上手に口の中におさめるところでした。
うまい!
思わず手をたたきたくなる所をぐっとこらえて 感激してしまい
ました。
そのすばやい行動は、まさに一瞬の目にもとまらぬ早業で、
捕らわれた魚も今ごろ鳥の胃袋の中でビックリでしょう?
そしてカワセミはまた、何事も無かったかのように再び水面を
見つめ、狩りのチャンスを狙っています。
ヘエ~ ! と 感じ入りつつ、何気なく対岸を見たときです。
最初は置物かと思いました。
川岸の水の中で、水面をじ~と見つめて動かないアオサギが
いました。
私がここに来て10分ほどですが、カワセミを見ている間に飛んで
きた形跡はありませんから、長い間そのまま動かずにいたことに
なりますね。
あの細い 長い足で景色に同化して立っているので、凝視しな
ければ分からないぐらいです。
ここでも狩りをしていたのです。
その時です。
一瞬、あの長いくちばしが水中に入ったかと思うと、もうくちばしの
先には跳ねる一尾の魚がくわえられ、すぐに長いのどを震わすと
スル~と呑み込まれていきました・・・丸呑みです。
うまいな・・・!
一人声に出してつぶやいてしまいました・・・
岩に当たる渓流の音で、私の声はかき消されましたが・・・
アオサギも何も無かったかのように、また静かに水面を睨んで
います。
二羽共に真剣勝負の感がして、見ている私のほうがすごい
緊張感です。
ザ~ザ~と白波を立てて、絶え間なく流れる箕面川の動きは、
うるさい位の騒々しさです。
それに引き換え、この狩りをする二羽の鳥達の静寂さ・・・
これは何だ!
この動と静の余りにも大きい対比に、私は感じ入りました。
自然の動・静とその営みに感動しながら私が山道に入ろうとした
とき、目の前の小さな看板に目が行きました。
” ここは禁漁です ” と。
私はまだ魚を狙い 狩りをしている二羽の鳥を振り返りつつ、
まさか君達向けに書いた看板ではないにしても、
” 魚を捕ってはいけないそうだよ・・・ ”
と 思わず微笑みながらつぶやいてみました。 (笑)
新緑の若葉が小雨にうたれ、生き生きと映えています。
まさに春たけなわとなりましたね・・・。
07-4 (完)