箕面の森の小さなできごと&四季の風景 *みのおハイキングガイド 

明治の森・箕面国定公園の散策日誌から
みのおの山々を歩き始めて三千余回、季節の小さな風景を綴ってます 頑爺<肇&K>

森で踊るキノコ!?

2021-07-18 | *編集・夏/7月

森で踊るキノコ!?

 今日は朝から夏日です・・・ 

湿度も相当高そうです。

 

私は箕面・白島西から細い道を山手に上り、鎮守の森へ・・・

散歩中のご夫婦が大きな声で話しています・・・

73 7・11

 

   「あんた!  これヤマモモの木やんか!

        ものすごい大きさやな!」

   「ほんまやな!  でかいな!」

と、二人して見上げていました。

この森にはシイやクロガネモチの木もあり、確かにいずれも大木で

ビックリです。

 

普請池などを横目に森に入ります・・・

振り返ると、大阪市街が樹木の間から一望できます。

欝蒼とした森に入ったとたんに大きな羽音が・・・

ふっ! と横の樹を見るとスズメバチがいっぱいです・・・

あわてて避難です・・・ クワバラ クワバラ!

 

巨岩の医王岩を腰を反らして見上げると、先端のてっぺんに

小さな木が見える・・・

双眼鏡で覗いて見ると、松の幼木のようです・・・

あんな岩の上で育つのかな・・・?

 

欝蒼とした薄暗い森を登っていくと、歩く山道の両斜面に

キノコが沢山顔をだしています・・・

白、茶、灰、黄、肌色など、大小さまざまのいろんなキノコが次々と

目に飛び込んできます・・・

 

(後で調べてみたら・・・ 

これは毒キノコに違いない・・・ と思っていた アカヤマドリ という

大きなキノコは、パスタやリゾットに適しているキノコだとか・・・

傘が不規則にひび割れた黄土色で派手な衣装なので

すぐに見つかります。  私の見た最大は傘が20数cm、

本によりと30CM前後のものもあるとか・・・ 

グロテスクなので、まさか食べられるとは!  です。

 

反面、林の中に上品に並んで、まさに桜色したとても可愛い

サクラタケ は、一見美味しそうに見えて・・・

これが毒キノコだとか・・・

人は?  否、キノコは姿形だけで判断してはいけませんね・・・ 

 

道を外れて、しばしキノコ探索をしていると・・・

少し先で動くキノコが・・・?

  エッ!  まさか!  

  何で・・・?  

近寄ってみると、まるでキノコがダンスをしているように、傘が大きく

左右に揺れています・・・

 

笑いキノコを食べた人が、笑いが止らずに死にそうになった話は

聞きましたが、キノコ自身が笑っているようでもあり、

思わず ゾクッ! と背筋が冷たくなりましたよ 

 

冷静に再度よくみてみる・・・

どうやら根元が動いているようです・・・ 何かがいるに違いない・・・

緊張感が走る・・・

でも、怖いもの見たさにゆっくりと傘を小枝で押しのけて・・・

覗いて見ると・・・

 

  ワー!

  分かった!

 

沢山のコガネムシ(カナブン)が、根元で食事中でした・・・

押し合い、へし合いで、その都度上の傘が揺れていたのです・・・

原因が分かってホッ!  分かると拍子抜けです。 

 

でも、こんな調子で薄暗い森の中で、白い傘のキノコがあちこちで

踊りだす・・・ と想像するだけで、気の弱い私などは卒倒しそう

です・・・!?

 

それとも、一緒に踊りだしたりして・・・?

’13 7・11

 

 


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高山・棚田からの夢!

2021-07-18 | *編集・夏/7月

高山・棚田からの夢!

 私はいつも箕面の森の鉢伏山(604m)から明ケ田尾山(619.9m・

箕面最高峰)へ行くと、帰路は高山の村落に下ります。

逆に清水谷~東海自然歩道を歩くと北攝霊園を横切り 高山の村落を

抜けていきます。

 

箕面(みのお)の隣村となる 大阪府豊能郡(とよのぐん)高山地区・・・

人口何百人? の過疎地ですが、昔の古きよき時代の田舎の風情を残して

いて、私はここを通るたびに 故郷・信州の安曇野(あずみの)を思い出して

懐かしくなるのです。

高山に店は一軒も見当たらず、府道沿いにあったガソリンスタンドは閉鎖し、

小学校も先年廃校になり、何の施設も見当たりません。

 

おじいさんやおばあさんがノンビリと畑仕事をされていて、昔ながらの大きな

家屋の回りにはいつも季節の花々が咲き誇っています。

今は田植えも終わり、農家の軒先には玉葱が沢山かけてありました。

稲は40cmぐらいの高さで風になびいていますが、これが秋になると稲穂に

スズメが押し寄せているし、道脇の柿の実はたわわに実り、鳥たちが

ついばんでいる姿に見とれ、私はコスモスの咲く土手で浸るのが楽しみです。

 

森の中からセミが鳴きだしました。  今日も猛暑日です。

今日はここの鎮守の森で一休みにしました。  

大きな杉の大木に囲まれていて、昔懐かしい神社の境内がありますが、

今は無人のようです。

 

子供のころ遊んだ故郷の神社を思い出します。

あの頃は神社の境内でボールも古布と糸で丸く固め、木の枝をバット代わり

よく野球をやったものです。

木登りをしたり、お社の回りでかくれんぼをしたり、それに帰り道ではマツタケ

やマイタケ、ゼンマイやワラビを採ったりして帰ったものでした。

終戦直後ですから田舎とはいえ食糧難でしたからね・・・

川遊びをしているとザルでどじょうを採ったり、田んぼではタニシやイナゴを

取ったり、木登りをするとスモモやアンズ、柿やグミなどをとったりして遊びと

食糧調達を一緒にやっていたようですが楽しかったです。

 

話がまた昔話で寄り道してしまいましたね・・・ ごめんなさい!

 

この鎮守の森の神社境内でお昼のおにぎりを食べながら、いろんな昔の

想いに浸っている時、お婆さんが小さな女の子を連れて境内に入って

きました。

お婆さんは杉の大木が茂りうっそうとした境内の前まで来ると、見慣れない

(村民以外のよそ者) がいるので一瞬 ビックリされて構えておられ

ましたが、私がおにぎりを片手に こんにちわ! と言うとやっと笑顔になり 

こんにちわ! と応えてくれました。

 

お嬢ちゃんも ニコ! とすると可愛い頭をちょこっと下げてくれました。

なかなかお行儀がいい子です。

木の切り株に腰掛けて二人で綾取りを始めました・・・懐かしいですね。

お婆さんの両手のヒモをお孫さんがとったりして二人で笑っています。

いい光景です。

 

 

私は目の前の棚田の一番上まで行ってみたくなり あぜ道を上りました。

水田の稲は元気に育っています。

クワを担いだお爺さんが上から下りて来られた・・・

 

  「こんにちわ!」 

  「ああこんちわ!  どこいくんだ?」 

  「この一番上まで行って棚田の景色をスケッチしたいんで・・・ 」 と、

   私は持っていたスケッチブックをかざす・・・

  「そうかい! いい眺めだわ・・・ 気いつけてな・・・」

  「ところで・・・ この先はどこへ行けるのかね?」

  「山の中まで入っていける・・・ 車だと行き止まりだがな・・・」

  「ありがとう! 」 

 

森の中から見事なウグイスの鳴き声が聞えてきました。

段々畑の稲の上を もう沢山のトンボが飛んでいます・・・

年々トンボが飛ぶのが早くなる感じがします・・・?

脇の畑には沢山のトマトがたわわに実っています。

 

棚田の上に出た・・・

  ワ~!  いい眺めだな・・・!

下方一帯の段々畑には若い稲が風になびいて気持ち良くそよいでいます。

下方の右にはさっきの鎮守の森を見下ろし、正面の先の方には府道が見え

、その先にはお寺の鐘が見え、高山の集落が見えます。

その先にはかの有名なキリシタン大名だった<高山右近の生誕地石碑>

があります。 

かつてのキリシタン時代の史跡が所々に見受けられます・・・

   いい眺めだな~! 

 

私はその場に座り、スケッチブックを持ったまま浸りこんで風情を楽しんで

いました。

こんな所にセカンドハウスが欲しいな・・・山小屋の!

私の愛読書の一つ、150年前に書かれたヘンリー・D・ソローの

「森の生活」を思い出していました。

 

トンボと共に白いチヨウチョが飛んでいます・・・

土手には黄色と紫の名も知らない草花が咲いています・・・

鳥の声、風が心地いい、空気がなんとおいしいんだろう・・・

ここから箕面駅までは車で山越えをして約25分、私がいつもの山道を歩い

て 約150分位だから、まさに都市近郊の田舎です。

しかし何の施設もなく、陸の孤島のように感じるのか?  住む人は意外と

少ない。

 

山を上り、しばし森の中で過ごした後、違う道を下ってきた時でした・・・

場違いのようなモダンな家がある・・・よく見ると無人で表札が外されている。

その近くにも大きな家が荒れ放題?で表札も無く放置状態だったのだが・・・

  森の中に何 ? 

考えたら・・・かつて別荘だったんだと理解すると同時に  欲しいな・・・! 

と思わずさけんでしまった・・・( 単純人間なんです! )

 

  広い森の中にいい建物だな・・・

私はもうすぐに自分が作業服を着て家の修理をしたり、庭を手入れしたり、

森の整備をしたりして汗を流している姿を勝手に想像してしまいました。

人の家と土地なのに・・・ 勝手に夢を膨らませてしまう自分に苦笑!

でもいい物件を見つけてしまった・・・

実現不可能? とは思いつつ、振り返りつつ山を下りてきましたが、

当分しばらくはこれで夢を見れそうです。

 

また高山(たかやま)を歩く楽しみが増えたのは確実です!

  夢見つつ眠ってみた夢 夢芝居     (花詩

’13 7・11

 


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山頂で感謝!

2021-07-18 | *編集・夏/7月

山頂で感謝!

 ‘90花博 みのお記念の森に着くと、すでに多くの人々がいました。

野鳥観察や撮影の為に大型カメラを担いでいる人、

お父さんに連れられた二人の幼児が、各々虫かごに網を持って、

バッタを追いかけています・・・

年配のご夫婦がリュックを背に、両手にストックを持って、山へ

向かっています・・・  

ハサミを片手に枝葉を採集? している方もいます。

いつになく人が多いように思いましたが、それとてもこの広大な森に

7~8組の事ですから、大した事はありません。

 

森の北の外れから、突然に電気ノコギリのバリバリ キンキン 音!

休日に作業されているのは珍しい事ですが・・・?

近づいてみると、箕面ビジターセンターの職員の方です・・・

・ どうしたんですか?

      * いや~ シカですわ!  シラカシが全滅ですわ!

         この分厚い樹皮をはがして食べるんで・・・

         グルッと丸裸になってしもうて、すぐに枯れてしまい

         ます。

         金網で囲わんとあきませんわ・・・  

と、悔しいような、諦めのような顔をして、倒れた樹木を切り、枝葉を

切って、整理されていました。

 

尾根筋に上ると、北の方角から ポンポン バンバン・・・ と、猟銃を

撃つような音が聞えてきます・・・

そう言えば止々呂美地区の森では、害獣駆除日と、その為の

注意表示が出ていましたから、その作業中なのかもしれません?

シカ、イノシシ以外に、最近は捨てられたペットのアライグマまでが

猛繁殖して、お互いに森の食糧争奪戦を繰り広げているようです

から、残念ながら駆除も仕方がないのかもしれません・・・

人間との適正な共存共栄が必要ですからね・・・

 

私は長谷山(568.2m)への尾根道に入りました・・・

この尾根の東側は、四反田谷にかけてリョウブ、コナラ、クヌギ、

アラカシ、カエデ、モミジ、ヤマザクラなどの、緑豊かな雑木林が

広がり、西側は植林された杉やヒノキの森が広がり、尾根を

挟んではっきりとした分布状況が分かり、面白い森です。

 

長谷山頂を越して更に南に進むと高圧鉄塔があり、周辺が

伐採されているので、急に視界が広がります。

私は腰を下ろして一休みにしました・・・

東南の方向に大阪平野の街並みが見渡せます・・・

いつも見える生駒山、金剛山などは少し霧がかかっているようで、

かすんでいます。

 

私はリュックから、今朝自分で作ったサンドイッチと、ポットから

珈琲をいれて、少し早いランチタイムにしました・・・  

美味い!  

山や森で食べる物は、どうしてこんなに美味しいのでしょうか? 

 

沢山の野鳥が鳴いています・・・

賑やかなヒヨドリが二羽、後方で追いかけっこをして遊んでいます・・・

チェ チェ ツツ- ツアー あれは何の鳥?

名前は分からないので、そのさえずりの真似しましたが、なんだか

楽しそうです。

 

少し先のほうで ゴソ ゴソ と何か動く物が・・・?

早速双眼鏡で探してみると、長い尾を引きずったオスのヤマドリが

森に入っていく所でした・・・

あんなに長いと、森の中では邪魔じゃないのかな?  と、いらぬ

お節介を考えてしまいました・・・ 

あの長い尾は、メスへの求愛の舞いに必要なんだろうな・・・?

 

今日は梅雨の合間とは思えないような好天です。

寒がりの暑がりで、汗っかきの私ですから、今日のように爽やかな

風が吹き、汗をかかないようなお天気は、最高の散策日和です。

ワタ雲がふんわりと浮かんでいます・・・

眼下には、枝先に白いクリーム系の小花をつけたクマノミズキが、

満開の花を咲かせています。

今の季節は白い花が目に付きますね・・・

ヤマボウシ、マタタビ、ガマズミ、ムシカリ・・・  きれいです!

 

ピー ヒョロロ・・・

見上げると、トビが大きく輪をえがいて飛んでいます・・・

見上げたついでに頭上の高圧鉄塔を見ると・・・

「関西電力・山下線32号・昭和22年6月建設・・・ 」 の文字。

私と同じような年齢です・・・

この鉄塔は62年間、この山頂にたって送電しているんだな・・・!

もう10年も前に引退して隠居生活の私ですが、この鉄塔はまだまだ

現役で活躍中です・・・

ご苦労さん!   

私は思わずつぶやきました。

 

はるか下のほうに、府道(茨木-能勢線)が走っているのが垣間見え

ます。

清水谷園地が見えます・・・ 

その上方には、清水谷と勝尾寺圏の山並みが続きます。

何人かのハイカーの方が、歩いて来るのが見えます・・・

しかし歩き方がおかしいな・・・?

 

早速、双眼鏡で覗いてみると・・・

皆さんが片手にゴミ袋を持ち、もう一方につかむ金ゴテを持って

おられます・・・

そうか!  ゴミを拾いながら歩いておられるのだな・・・

クリーンハイキングの方々のようですが・・・ ?

見ていると道の両側にまたがり、ゴミを丁寧に拾っていきます・・・ 

その数、10数人です・・・

 

走ってくる車が、なにごと・・・!?  と、減速し、 事情がわかると

又、加速していきます。

このゴミの殆どは、走る車から投げ捨てられた空き缶やゴミです

から、そのボランテイア作業の皆さんの姿を見せるだけでも、

抑止効果がありそうです。

 

それにしても、山頂でノンビリとくつろぎ、森の散策を楽しんでいる

私と、懸命に汗を流して清掃活動をされているボランテイアの

方々・・・

その差に、私は少し気恥かしくなってしまいました。

 

ありがとうございます・・・

皆さんのお陰で、いつも箕面の森を楽しむ事が出来ます・・・

遥かかなたの方々に聞えようもありませんが・・・

心からの感謝をつぶやきました。

 

清水谷の方角で、ウグイスが鳴きました・・・

ホー ホー コッチコイ ケキョ ケキョ  ホー コッチコイ・・・

こっちへこい!  と、ボランテイア活動に誘われているように

聞こえましたが・・・?

’13 7・8


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猿の大家族!

2021-07-18 | *編集・夏/7月

猿の大家族!

 今日は箕面駅前から滝道を歩き、落合橋の先から右に折れ、姫岩から

地獄谷へ入りました。

梅雨の谷間の晴れ模様です。

見上げるとこの周りにはモミジの大木が沢山あり、新緑から濃い緑になって

きた葉に太陽が反射してキラキラときれいに輝いています。

横の渓流もいつもより水量が多く、岩に当たる水しぶきの音が気持ちのいい

リズムとなって森に響いています。

 

いったん箕面ドライブウエイに出ると、すぐ前の山道から再び地獄谷を上り

ます。

山道沿いにはシャガ(胡蝶花)が群生していて清楚な白い花が美しい。

しばらくしてこもれびの森へ向かう尾根道と谷道の分岐にでるので、今日は

尾根道へ向かいます。

左へ曲がったところで急に上のほうから ヒュー という鳴き声! 

見上げるとケヤキの大木の上に一匹の猿がいました。

見張り役か? 

仲間に合図を送ったのかな?   人間が来るぞ・・・! とかね?

 

以前、ババタレ坂で同じような光景で上を見上げたら突然水滴が降って

きた・・・

とっさに避けたがどうやら猿が私におしっこをかけたようだった。

近づくな!

そんな警告だと分かったのはその少し先で40-50匹の猿の群れが山のほう

へ移動中だったのです。

私は足止めをされて彼らが山のほうへ去っていくのを待っていた事があり

ました。

 

今日は何か・・・?

そのまま木の上の猿は静かなので、私は尾根道を上っていきました。

狭い山道から尾根に出ると周辺の山々が見渡せて気持ちがいい・・・

咲き遅れたモチツツジのピンクの花が一輪だけ咲いている。

ここは他に比べて松の木が多い・・・しかし、マツクイムシにやられたのか

枯れ木も目立ちます。

 

いろんな低い木々が茂る雑木林にやってきた時、前方の木の切り株の上に

大きな猿が座ってこっちを見ていました。

私は歩をゆるめてゆっくりと上ります。 堂々としたボス猿の様相です。

目を合わさないようにして横を通るとあちこちに猿達がいてこっちを伺って

いる。  どうやら猿の群れの中に入ってきてしまったようだ。

 

私の前を歩いている猿の下には小さな赤ちゃん猿がしっかりつかまってい

たり、逆に歩いている猿のお尻に乗っかっている小猿がいたり、小さな小猿

同士がじゃれあって遊んでいたり・・・視界に入るだけで20匹以上だ。

 

その時だった、突然ギャーギャーとすごい声で何匹かの若い猿達? が 

ケンカか? 遊びか? 分からないが騒々しく騒ぎ始めた。

あちこちで樹木の小枝がしなったりはねたりしている。

何事・・・!  自分の体が硬直してくるのが分かる。

でもしばらくして静かになった。   ホッ! とする!

 

周りの猿達は何も無かったかのように我関せず・・・いつもの事といった

感じ。

さっきのボス猿はというと・・・役目が終わったのか?  

切り株の回りにいつの間にか数匹のメス猿? が 取り巻き、寝そべる

ボス猿を囲んでかいがいしく毛つくろいをしている。

穏やかなものだ・・・

私は覚悟を決めてそこへ座り込んだ。

 

ゆっくりと回りを見渡すとまだまだ驚くほどの数の猿がいる・・・

私を受け入れたのだろうか?  

みんなは私を無視したかのように思い思いに行動している。

あの枯れ木の松の樹皮をバリバリ剥がして中の虫を食べているもの、

小枝の木の実をしきりにつまんでいるもの、

お母さん猿のオッパイを放さない小猿、

その横では眠っている子猿を抱いて自分もうつらうつらして半分寝ている

親猿もいる・・・

人間生活と同じような構図に苦笑する。

老年猿がたまに私の方をチラリと見るぐらいで、他は全く私を警戒していな

い様子です。

 

私も最初は恐かったが、そのうち慣れてきて、自分もこの猿達の家族か? 

なんて事は感じないけど、心は穏やかになって彼らを眺めていました。

すると急にまた・・・

今度は何か悪さをしたのか?   

体の大きな猿が、若い一匹の猿をすごい勢いで追いかけ始めた・・・

若い猿はキーキーといいながら逃げ回っている。

どうやら何か怒りをかう事をやったようだ。

賑やかな騒動があっても、あの親子猿は相変わらず私の前でウトウト居眠り

をしている。

子供猿は遊びに夢中だ。

 

私はその時なぜか信州・安曇野の田舎から大阪へ引っ越してきた子供の

ころの事を思い出していた。

その頃の大阪・下町の長屋での風情を思い出して急に懐かしいものを感じた

からだが・・・  隣近所はみんな仲間で家族のようだった・・・

子供の悪さへの注意もみんなでしていたし、喜びも、楽しさも、哀しみも、

怒りも、みんなで共有していたし、防犯や防災などもみなで助け合っていた。

温かい人情が下町全体にあって安心して生活していたように思う。

私はそんな古きよき時代の人間生活の縮図を垣間見ているような気がして

眺めていました。

 

 

まもなく私はゆっくりと腰をあげてこもれびの森へ向かいました。

振り向くとあのボス猿は恍惚気分でまだ寝そべっていました。

それにしても私の人生 一度でいいから・・・ あのような恍惚のハーレムに

浸ってみたいものだ・・・ なんて!   うらやましく思うのでありました。

 次の世では猿に生まれてこようかな !?

’13 7・8

 

 


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夏の森のひとコマ!

2021-07-18 | *編集・夏/7月

夏の森のひとコマ!

 朝から暑い夏の日差しが照り注ぐものの、森影に入ると

ひときわ涼しさが感じられて、気持ちのいいものです。

 

政の茶屋園地に着くと、「箕面の山パトロール隊」の腕章を

つけた方々が集っていました。

今朝は6時から <夏だ! 早起きクリーンハイキング> の

イベントがあったようですが、もう次の活動に入られている

様子・・・ いつも感謝です。

 

自然3号路に向うと、まだ倒木による通行禁止表示が・・・

しかし、6月27日からもう一ヶ月経つので入ってみる事に

しました。

上がってすぐにその状況を知ることが出来ました。

あの梅雨明けの豪雨での被害、大小10数本の樹木が自然路を

ふさぐように折り重なって倒れています。

この一ヶ月の間、そのまま手付かずの様子です。

しかし、この間にハイカーの方々が多く通られたようで、

通れる道筋ができています。

倒木の下をくぐり、上をまたいでやっと豊能自然歩道へでました。

 

箕面川ダム湖に着くと・・・

湖周路沿いにアベリア(ハナゾノツクバウツギ)の白紅色した

小さな花が満開に咲いています。

いつも釣り人の車でいっぱいの路上に車がない?

見れば湖に下りれる垣根沿いに高いフェンスが新設されて

います。

これでは釣り人も入りようがないようですが・・・?

 

湖東路に入って行くと、先の方に何かいる?

近づくと一匹の老猿が柵の上に座り、物思いに耽るように

静かに前方を見つめています。

すぐ後を通ってもその姿勢は変らず、その姿に哀愁漂う淋しさを

感じました。

 

湖南の西の山から、山伏の吹く法螺貝の音色が風に乗って

何度か聞えてきます・・・

あの天上ヶ岳の<役の行者昇天の地>(瀧安寺奥の院)で

今日は何か行事でもあるのでしょうか?

そう言えば、あの山の向こう側の天上ヶ谷は、

箕面猿の故郷のようですから、あの老猿は法螺貝の音に

懐かしい故郷を見つめていたのかもしれません?

 

場違いのような所に、キンシバイの真黄色い花が二輪

咲いています。

 

箕面トンネル北口から府道茨木能勢線沿いに、しっかりした

歩道橋が、箕面林道のかおり橋近くまで1Km程続いています。

ここから西側のダム湖、箕面川を眼下に眺めながら歩くのは

気持ちのいいものです。

立派な設備なのに、いつもハイカーの姿さえ時々見かける

程度・・・欄干の上は猿たちの足跡が多くついています。(笑)

 

下方で人の声がするので覗いてみると・・・

湖岸で3人の若者が釣り糸を垂れています・・・

どんなにフェンスで囲っても、抜け穴はあるもののようです。

それにしても10数mもある湖面までどこから降りたのだろうか?

 

ネムノキが淡紫色の花を咲かせています。

かおり橋の下が箕面川の源流とのことですが、

そこに一台のワゴン車が停まっていたので川を覗いてみると、

子供二人を含む家族連れが楽しそうに水遊びをしていました。

 

清水谷園地から清水谷林道へ入って行くと、ヒガンバナの近縁と

言われるキツネノカミソリが、オレンジ色のきれいな花を咲かせて

迎えてくれました。

有毒植物とのことですから、その優雅な花を撮るだけにしました。

 

白い小菊のようなヒメジョオンが道端に咲いています。

紅紫色の花、果穂をつけブドウのような実をつけたヤマゴボウが

数ヶ所見受けられます。

 

一休みにして横を流れる小さな谷川の流れで手、顔を洗うと

冷たくて気持ちのいいこと・・・

カワトンボが舞い、少し先でホオジロドリ? が水浴びを

しています。

時折りウグイスが鳴き、シジュウガラが飛んでいます。

見上げれば樹間の先に真っ青な空と白い雲が~

こんな小さな風景と、そこに浸る静かなひと時が・・・

私が一番至福を感じる時なのです。

 

林道から続く自然8号路を上り、尾根の東海自然歩道にでると、

勝尾寺の鐘の音、読経が森にこだまして聞えてきます。

 

最勝ヶ峰(538.5m)の眺望のいい岩場で一休み・・・

暑い中にも心地よい風が吹きぬけていきます。

遠く生駒山、金剛山の上空にはモクモクと大きな入道雲が

見えています・・・いい眺めです。

 

東海自然歩道の暑い尾根道を避けて、途中から自然4号路に

下っていくと、なぜかいつになく森が明るい?

周辺をみるとスギ、ヒノキ林が間伐されて、暑い日ざしが山道を

林床を照らしています・・・暑い! こんなはずでは~(笑)

しかし途中からまたいつもの緑のトンネルに入り、涼しい山道を

下りました。

緑陰では気温が3-4度は低くなると言いますから、

まさに森は清涼の世界です。

 

夏休みに入ったせいか少年が一人、お父さんと一緒に

大きな網を持ち、虫かごを提げて上がってきました。

挨拶をして少年の目を見ると、生き生きとした好奇心いっぱいの

澄んだ目をしていました。

 

かつて昆虫少年だったあの<鉄腕アトム>の作者 手塚 治虫や

ノーベル賞作家の川端康成など多くの著名人が、

その少年時代に情緒を育んだというこの「箕面の森」に思いを馳せ

改めて思い起こしました。

 

夏の箕面の森にはいろんなひとコマがあるようです。

 ’10-7-25  (晴れ)

 

 


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梅雨明けの森へ!

2021-07-18 | *編集・夏/7月

梅雨明けの森へ!

 今日、梅雨明け宣言がなされ やっと! と言う思いで空を見上げ

ました。

カラッとした爽やかな風が吹き、久しぶりに澄んだ青空に

さっそく入道雲が浮かんでいます。

 

滝道から箕面大瀧に着くと ド ド ドドドド~ と、滝幅いっぱいに

まさに怒涛の如く水が流れ落ち、その爆風が水滴を霧状にし

周辺が霞むぐらいの絶景です。

ここ何回かの大瀧での感動と印象は、私の心に強く残るものです。

 

滝上にでて「箕面野猿管理事務所」前に来ると、南側にある

「杉の茶屋・野生植物園」で、「箕面自然観察会」の方々が

草花の植付け作業をされています・・・ ご苦労さまです。

 

天上ヶ谷林道へ入る小さな百年橋を渡り、自然2号路を上ります。

梅雨明けの箕面川渓流は豊かな水量に溢れ、その岩しぶきや

流れる音がかなり上の方まで響いて聞えます。

 

時折りスギ、ヒノキの大木に両手を当て、その精気を頂き

いつものようにゆっくりと森に浸りながら上って行きます。

 

やがて自然3号路から箕面ビジターセンターに下りてくると、

日頃見ない幼稚園のバスが3台停まっています。

いつもと違う可愛い子供たちのいる光景に目を細めました。

 

一休みしながら見ていると・・・

可愛い帽子をかぶった園児たちがいくつかに分かれ、

先生の後に続きながら、あるグループは森の博物館で動物や

野鳥の剥製、蝶々や昆虫の標本に目を丸くしたり、

川沿いの岩場で紅羽カワトンボを見つけて歓声をあげたり、

ウグイスやキビタキの鳴声にみんなで耳を澄ませたり、

セミの抜け殻を見つけ、説明を受けて大喜びしたり・・・

森の中で見聞きするもの全てが新鮮なようで、好奇心いっぱいで

目を輝かせています。

幼い子供たちにとって、こんな豊かな森の中で自然を体感できる

事は、大きくなっても忘れない良い思いでになる事でしょうね。

 

ババタレ坂を上っていくと、岩場のどこから湧き出てきたのか?

水の流れがあり細い谷川となっています。

手を浸すと冷たくて気持ちのいいこと・・・

しかしいつの間にかその流れは消えて、その間わずか10m位

でのこと・・・どこから湧き出てどこへ消えるのか?

その小さな流れの音が、静かな谷間にこだましているのが

印象的でした。

 

こもれびの森の展望台に着くと、10数名の賑やかな方々が

昼食中でした。

大阪のオバチャンとオッチャン連といった感じで、

ほろ酔いのジッチャンもいる様子。

 

  *  ニイちゃん! この下の坂 上がってきたんかいな!?

 

また爺をつかまえてニイちゃんです。(笑)

しばらく話していたものの、早口で鉄砲玉のような大阪弁には

全くついていけず、早々に失礼しました。(笑)

 

風呂ヶ谷を下っていくと、珍しいキノコを3種見つけたので

早速デジカメで撮っていると・・・

急に横の杉の木の根元から ジジジ~ と大きな音で

何か飛び出したので ビックリ!

よく見ると木の上にとまり、羽化したばかりのセミが、

まだ初々しい羽根を木漏れ陽で乾かし、温めているのが

見えました・・・ようこそ箕面の森へ!

もうしばらくすると、森を揺るがすセミの大合唱隊の演奏会が

あちこちの森で始まることでしょうね。

 

風呂ヶ谷の谷川にかかる小さな丸太橋を渡ろうとすると

木が朽ち、崩れかかっているので、落ちないように

慎重に渡ります・・・

少し下りると、下流の2ヶ所は新しい杉丸太で架け替えられて

います・・・順じ改修されるようで一安心です。

しかしこんな深い谷間の安全の為にも、作業してくださる方々が

いるかと思うと本当に感謝です。

 

途中から雲隣への森の山道を上がっていくと・・・

間もなくして 「・・・落石の為、通行注意・・・云々」 

近づくと、いつもポロポロと小さな落石のある岩場から

大きな岩が何個か落下しています。

つい先日の豪雨による土石流のTV映像を思い出し、

早足で通り抜けました。

 

急斜面を上りきると、雲隣の森の展望台へ到着!

若い二人の女性がお喋りに夢中です。

最近は「山ガール」と呼ばれる若いハイカーが多く見受けられる

ようになりました・・・なんだかブームだそうですね。

山ガールとは、確かに可愛く柔らかに感じられますが、

同じ意味でも「山女」ではちょっと怖いですからね。(笑)

 

挨拶を交わすと道を訪ねられました。

市販の山旅の案内書では、森の複雑なルートまでは分からない

ので、私はこんな時の為にコピーして持っている自分専用に

編集した<箕面の森のハイキングマップ>を差し上げながら

説明すると、大変喜ばれました。

 

どうぞゆっくりと箕面の森に浸りながら、自然の散策を楽しんで

ください。

 

梅雨明けの森の中を、爽やかな夏の風が通り過ぎて

いきました。

 ’10-7-17 (晴れ


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