ソヨゴの子!
才が原林道を北上していてふっと思い立ち、久しぶりに谷山
山頂付近にあるソヨゴの子木たちに会いに行きました。
何年か前の大型台風の時に、根こそぎ倒れたソヨゴの大木!
根を空へ向け、僅かに一部の根が地中とつながっているだけ
でした。
しかししばらくしてそこを通ると、その横倒しの太い幹から小さな
芽が出て、それが空へ向けて幹と直角に伸び始めていました。
ガンバレ! ガンバレ!
私はここを通るたびに声(肥え)をかけ、見守ってきました。
スクスクと成長していく姿は自分の子供を見ているようで
嬉しくもあり、かすかに土中とつながっているだけの根や幹が
いつ力尽きて枯れるかも知れず、心配でハラハラしてきました。
到着すると、もう何十本も育っている子木の内、もう3m以上に
伸びているものもあり、順調に成育しています。
更に嬉しかったのは、それぞれがサクランボのような赤い実を
いっぱいに付けていることでした。
立派に成長したものです。
図らずももうすぐ「成人の日」です。
箕面でもお祝いの催しが行われますが、このソヨゴの子たちも
まさに成木に達したようです。
でもその子木の根元を見ると、相変わらず親幹の上で根が地中に
届いていないのです。
なんとも面白い格好ですが、やがて親木は枯れてもこの幹が
朽ちて栄養素になり、いずれはその下の地中に根を張っていく
だけの力を蓄えているような気がします。
自然の生命力はものすごいものがあります。
箕面の森の樹林管理資料(*)によると、落葉広葉樹林地や
照葉自然林でも、このソヨゴは主な伐採種に属しているようです。
つまり人間の有用性から、その一部は手入れの対象種であり
切り倒される運命にあるのですから、その旺盛な生命力が還って
生存を脅かしているのは皮肉なものです。
(* NPO法人・みのお山麓保全委員会里山管理部会の
山麓の樹林管理ガイドライン市民懇話会 編集
「山麓・里山樹林管理ガイドライン」 からです。)
谷山谷から医王山の二十二曲がりを下っていると、
急に木立の間から視界が開け、遠方にキラキラキラと輝く
大阪湾が見えてきました。
双眼鏡で眺めてみると大型船舶が浮かんでいます。
手前には高層ビル群の林立する大都市大阪の上空を
伊丹空港へ向けてゆっくりと着陸態勢に入って降下している
飛行機が見えます。
府の咲島庁舎WTCビルも見え、その先の関西空港の
ターミナルビルの屋根が光っているのも見えます。
あの関空から都心の梅田まで8分ほどで結ぶリニアカー構想も
話題ですが・・・?
自然溢れる森の樹間から見る近代機械化文明の世界・・・
日々変化し変貌していく新世界・・・
横に生える樹齢80年近い松の老木も、この変遷をここから
眺めてきた事でしょう。
私もタイムスリップしたような感覚で眺めていました。
あのソヨゴの子たちがやがて大地に根を下ろし、更に成育して
子木を育てていく頃には、この風景はどう変っていくのだろうか?
それまで今や枯れススキ状態の自分だけど、もう少し生きて
新時代も見てみたいものです。
ちなみに枯れススキは多年草だから、一見枯れたように見えても
春には必ず芽を吹くものだから・・・
髪の枯れススキにも希望が湧いてきます・・・? (笑)