森の中のオバタリアン!
教学の森から六箇山を経て、箕面ゴルフ場沿いの山道を 三国峠 へ向かって歩いているときでした。
前方から、急にけたたましい笑い声が聞えてきました。
一瞬、嫌な所へ来てしまったな・・・との実感!
しかし、ここはしばらく抜け道が無い所なので仕方なく前へ進んでいきました。
すると前方に、セキセイインコが二羽いるみたいに 赤、黄、青色の派手な帽子にそろいの派手な服装で・・・ ここは、どこ?
ミナミのキャバレー? と勘違いするような格好の女性が2人歩いていました・・・!
失礼ながら山の中でなんとも場違いの感じです。
またそれが大声でしゃべり、一方はケタケタと大笑い・・・
何がそんなにおかしいの?・・・と 思う内に 結構遠くから内容が聞き取れる。
「今度の嫁がな・・・お母様・・・言うねんで! アホか! 笑わせるな・・・ゾ~とするわ! 今までな オカン オトンやのにな・・・どついたろかと思うねん! カレーをな ライスカレー って 言いよんねん・・・ それどんなんやねん・・・ 食えるのか? ここは東京とちゃうねんで!
それにな・・・玄関入ったら スリッパ並べて置いたんねんで・・・ なんやこれ! 履け言うんかいな? めんどくさ! 放ったろか思たわ! ほんまに・・・」
お嫁さんの事だろうが、こんな調子ならさぞ大変! と 思いながら・・・こんな調子で二人の会話が延々と途切れなく続く。
思わず横顔が見えたので 凝視したら、耳には大きなダイヤ? のイヤリングがだらしなくぶら下がっている・・・ ドハデな化粧に服装! 何でこの森の中でその恰好?・・・ まさかお猿さんに見せる為でもあるまいに・・・?
私も仕方なくゆっくりとその後ろで距離を取って歩く・・・しばらくしてウグイスが ほ~け け け け きょ・・・! まだ練習中のようだが・・・ それを聞いて早速始まった・・・
「あれ なんちゅうとりやねん・・・ おちょくっとるんちゃうか? もういっぺん鳴いてみいな・・・ おい! とり! おい! とり! はよ! 鳴かんかいな・・・ やきとりにするで・・・!」
大声で怒鳴るのでウグイスはそれから二度と鳴かなかった。 私は思い切って二人を追い越した・・・お先に・・・と。 それがおかしかったのか、後ろで大声で笑っている・・・ 失礼な! やがて分岐点に着きました。 右側の山道を行くと 滝道へ下りる道です。 私の行く左側はゴルフ場を横手に見ながらやがて前鬼谷・後鬼谷から三国峠へと段々と森が深くなる・・・
当然、あの二人は右へ行くのだと思い、左に入った道でリュックを下ろしお茶を飲み一休みとしました。
すると間もなく またあのけたたましい声が左道のこっちへやってくる! なんと! なんでこっちへやって来るの・・・ ? この山道に、よりによって何で入ってくるんだろう・・・?
私はいつものように森に浸りながら静かに散策を楽しみたいのに・・・ もう!
すると後方でプレイ中のゴルファーに大声で話し掛けている2人の会話が否応なしに聞えてくるのです。
「あんた! その腰もっと入れて回さなあかんわ・・・前ちゃうで・・・横へやで・・・前なら夜の専門やけどな・・・ハハハハ・・・」 私は思わずお茶を吹き出してしまった・・・
「あんた! さっきそこで拾ろたボールやるわ・・・これエエ ボールやで・・・ こっちのほうがよう飛ぶで・・・」 ゴルファーもありがた迷惑でプレイできずに困っているが、二人の迫力に押されっぱなしの様子・・・
更に二人は次に打つゴルファーに大声を張り上げた・・・「はよ・・・しいな・・・おそいで・・・兄ちゃん! しっかり穴いれなあかんで!」
いらぬお節介だが案の定、最後の人はOBになったようだ。
それを見たおばさん達はまた無茶苦茶言って笑っているが、私はその毒気から離れたくもあり、早々に立ち去ったのでした。 私の感覚ではまさに 「異星人・・」
大阪のおばちゃん(オバタリアン)の中でも 最上級クラスだな・・・?。 箕面の森ではいろんな人に出逢ったけどまさに 別格! 私は先を急ぎやっと大ケヤキの所まで来て一休み・・・ ほっとする!
静かに目を閉じて深呼吸をして悪気で乱れた心を静める・・・ やがて静かな森の遠くで完璧な 「ホーホケキョ・・」 と鳴く声が聞えてきました。
あの ニ羽の派手なインコ(失礼!) は あの美しいウグイスの鳴き声を聞いて今ごろ何と言っているのでしょうか・・・?
聞きたくもアリ、 聞きたくもナシ・・・ですね。 森の中 派手なインコのこえ響く (花詩)