日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

難民の受け入れ問題

2015年10月14日 08時10分01秒 | 日々雑感
 シリアにおける混迷は増すばかりである。難民大量発生の根本原因を除くことは最重要であるが、難民をとりあえず保護することも重要である。
 難民の受け入れは欧州各国が表明している。7日、欧州議会において仏のオランド大統領と独メルケル首相が難民問題で欧州の結束を訴えた。
 ハンガリーやスイス、デンマーク等一部の国は受け入れ拒否か、消極的である。理由は、国内の経済的困窮や宗教上の問題と言われている。キリスト経とイスラム教は共に一神教であるため共存が困難であるらしい。しかし、同じイスラム教である湾岸諸国が受け入れないのは、紛争が国内に及ぶのを恐れているためと言われているが、イスラム教の宗旨に反するのではないかと懸念される。しかし、いづれ何らかの形でそれぞれの国に影響がおよぶと思われ、安閑としてはおられない。
 シリアから遠く離れた南米各国も表明している。ブラジルのルセフ大統領「我々は両腕を広げて難民を迎え入れる」。ベネズエラ、アルゼンチン、ウルグアイもシリア難民の受け入れを表明している。
 安倍首相は、先日国連演説において、難民対策として、970億円の拠出を表明したが、難民受け入れには触れていない。日本は難民受け入れ拒否を明確に表明していないが、法律上難民を厳しく定義しているため、極めて少数であり、実質的には拒否と同じである。 ニューヨークでの記者会見(日本時間30日)で、シリア難民を日本が受け入れる可能性に対する質問に対しても、受け入れ前に国内の女性活躍等やるべきことは色々あると質問をはぐらかした。
 緒方貞子、元国連難民高等弁務官も「難民の受け入れくらいは積極性を見出さないと、積極的平和主義というものがあるとは思えない」、「非常に国際協力が発達した中では、前と同じ島国根性だけではやっていけない」、と安倍首相を非難している。
 中東における紛争の際、金は出したが、軍事的な協力は出来ないため先進国の仲間入りが出来ないと外務省筋は悔しがったことであるが、今回も金を出すが積極的な受け入れはしないとなると、先進国の仲間入りもおろか、国際社会からも爪弾きされる。
 日本はデフレ脱却等、経済的な問題が多いが、ハンガリー等に比べれば失業率は低く、経済的余裕はまだある。また宗教的なこだわりも少ない。更に少子高齢化社会を向かえ、労働力不足が起きつつある。
 既に日本国内は多くの外国籍の人間は住んでいる。日系の外国人、技能実習制度による人々、留学生、不法入国者等様々であるが、今後益々増えていくであろうし、増やさざるを得ない。外国人労働者一部の人による犯罪行為も時々報道され、外国人受け入れ反対の口実を与えているが、これからの日本は外国人労働者に頼らざるを得ない。難民もその一環と考え、受け入れを考えていかなくてはならない。
(犬賀 大好-172)

沖縄の将来を考える

2015年10月10日 08時50分30秒 | 日々雑感
 翁長沖縄県知事は、9月14日、名護市辺野古沖の埋め立て承認を取り消す方針を表明した。普天間基地は住宅地と近接し、世界一危険な空港と言われ、これを解消するため、新たに辺野古沖を埋め立てて飛行場をつくる計画である。普天間は米国海兵隊の基地である。海兵隊は海外での武力行使により、米国の国益を守る緊急展開部隊である。
 これに先立ち、仲井眞前沖縄県知事は、2013年暮、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋め立てを承認することを記者会見で表明した。その際仲井眞氏は、喜色満面に「今般政府から示されました沖縄振興策につきましては、県の要望に沿った内容が盛り込まれており、安倍内閣の沖縄に対する思いがかつてのどの内閣にもまして強いと感じたところでございます。」とTVで放映されたが、傍目ながらも、これは政治家として極めて拙いのではないかと感じた。
 案の上、年が明けた1月、沖縄県議会の本会議において、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋め立てを承認したことは公約違反だとして、知事の辞任を求める決議が可決された。
 この承認を手土産に引退する予定であったらしいが、予想外の展開に、2014年の沖縄県知事選挙には自民党の推薦を受け急遽出馬し、次世代の党からも推薦を受け選挙戦を戦ったが、翁長雄志氏に破れ、3選とはならなかった。
 先の暮の記者会見において、仲井眞前知事は苦虫を噛み潰したような顔をして、埋め立て承認は普天間の安全および沖縄の将来の振興の為、苦渋の選択である、と表明すればもう少し変わった結果になっていただろう。
 日本政府とすれば、是非は兎も角、普天間から辺野古への移転は米国との約束である。国と国の約束は守らなくてはならない。しかし、沖縄全体から見た場合、基地負担の軽減にはなっていない。新たに飛行場を建設した場合、何十年と固定化されるであろう。いくら振興資金を積まれたところで、基地から逃れることは出来ない。米国としては、冷戦構造が終わった現在、沖縄の重要さは大きく減った筈だ。海兵隊を沖縄に配置する是非は、米国でも様々な意見があるという。
 海兵隊は緊急出動部隊であるので、尖閣諸島に万が一中国軍が占拠するような事態になった場合、頼もしい後ろ盾のように思われる。しかし、そのような事態は可能性があるであろうか。
 米韓両国が朝鮮半島有事の際の軍事計画で、これまで想定していた大規模な地上戦から、ゲリラ・局地戦に力点をおくよう作戦計画を変化させているとのことだ。世の中どんどん変わっていく。尖閣諸島に争いごとが起こるとすれば、中国漁民の上陸等、些細なことから起こるであろう。そこで必要となるのは、まず外交努力である。海兵隊の緊急出動はあり得ない。グアムにいても、十分脅しにはなる。政府としても何十年か先の沖縄の将来ビジョンを示すくらいの努力をするべきである。(犬賀 大好-171)

中国の経済減速を想う

2015年10月07日 08時43分45秒 | 日々雑感
 中国経済の先行きに不安が高まっている。習近平国家主席は先日の米国訪問の際にも、「米中両国は世界の2大経済国として国際経済をリードして、国際金融の安定を守る責任がある」と力説するが、強がりにしか聞こえない。
 “変調する中国経済”と題する朝日新聞オピニオン(9.30)によれば、中国経済の見通しは甘くない。余永定(元中国人民銀行通貨政策委員)氏は、リーマン・ショック後の景気対策が過剰な投資を招き、生産力が需要を上回って、デフレ状態に陥っていると指摘し、対策は、企業の集約を進めて過剰な生産を解消し、成長力のある産業を育てる政策を採ることだと主張する。しかし、前者は雇用問題、後者は不確実性が高いとも言っている。日本は過去20年、デフレ脱却を出来ないと同様に、中国のデフレ脱却は容易でない。
 茅于軾(マオユイシー)(北京天則経済研究所名誉理事長)氏は、中国の経済成長はイノベーションを起こせるかどうかにかかっているとし、イノベーションを生み出す基礎となる、個人や市場の力を発揮できる社会に向けて改革に踏み出すべきだ、と主張する。
 成長戦略やイノベーション、規制緩和の必要性はどこかの国とそっくりである。急激な中国の経済発展は日本を追い越したと喜んだのも束の間、発展後の行き詰まりでも日本に追いついてしまった。デフレ脱却で日本は苦労しているが、規制緩和に関しては日本以上に抵抗勢力が強く困難を極めるだろう。しかし、中国はもっとしたたかな戦略を立てているようである。
 青山瑠妙(早稲田大学教授)氏は、習近平政権は、「新シルクロード経済圏構想」に力点をおく、と言う。鉄道や港湾、プラント、電力設備などを国外で建設することを通じ、インフラ輸出や企業進出を図り、国内で過剰な生産能力を国外に移転しようとする戦略である。
 日本もインフラ輸出は行っているが、中国のやり方はもっと徹底している。日本では到底真似が出来ない。先日、インドネシアにおける高速鉄道建設を中国の企業が受注した。高速鉄道計画を巡ってインドネシア政府が要求していた、・政府に財政負担が生じない、・融資に対する返済保証を政府は行わない、等の点について、中国側が要求に応じる考えを伝えたことから、急遽決まったとの報道である。長年、日本は中国と高速鉄道建設受注を争ってきた。日本が受注を失したことに対し、菅官房長官は常識では考えられない旨を発表したが、相当なえげつなさを感ずる。
 一見、この鉄道建設は中国の何の得にもならないように見えるが、中国本土における過剰な生産能力を持て余している結果とも勘繰ることが出来る。しかし、間違いなく「新シルクロード経済圏構想」の一環との位置付けであろうし、中国はもっと将来のことを考えた上での布石を行っているのであろう。多分賄賂も横行していると勘繰られるが、その点でも日本は真似が出来ない。
 一方、インドネシアにとっては一見得と思える話であるが、これを機会に中国資本がどっと押し寄せる懸念がある。インフラ建設は中国人労働者が専ら行い、インドネシア国民は指を加えて見つめるだけにならなければよいと思うが。       (犬賀 大好-170)

習近平中国国家主席の米国訪問

2015年10月03日 08時09分17秒 | 日々雑感
 習近平中国国家主席は、米国オバマ大統領との会談に先立ち、最初の訪問地シアトルにて、「米中ビジネス・ラウンドテーブル」と称する会議に米中国経済人を大勢招き、米中の今後の経済発展を訴えた。マイクロソフト、アマゾン、アップル、IBM、アリババ等、米中の有名企業トップがこれだけ一堂に会するのは異例との話だ。習近平氏は、「中国経済の潜在力は巨大だ」、「外資の規制を大幅に減らして知財の保護を拡大する」と力説したとのことだ。しかし、インターネットにおける花形であるフェイスブック、グーグル、ツイッターのトップはこの会議に参加しなかった。この3社は中国での利用が厳しく制限されているか、通常のサービスが行えない状態なのだ。
 中国経済の潜在力が巨大であることは間違いないだろうが、規制を大幅に減らすとの言はどうも信用できない。そもそも、米国は、“ネット空間は自由であるべき”を根本原則とするのに対し、中国は、“ネット空間にも国家の「主権」が存在し、国家の安全を守るための規制は必要である”との立場で、インターネットにおける対立は簡単に解けそうにない。
 オバマ大統領と中国の習近平主席は9月末ワシントンで会談した。成果文書では、南シナ海問題、人権問題、アジアインフラ銀行には特に触れず、サイバー問題や経済分野で成果を述べているとのことだ。しかし、サイバー問題では両国政府は知的財産に関するサイバー攻撃を実行、支援しないとしたが、あくまでも表面上の約束で多分有名無実であろう。
 今年6月に米公務員の膨大な個人情報がサイバー攻撃により流出したことが発覚したが、米政府は中国側が関与したと報道している。中国側は自分達こそ被害者と反論しているようだ。
 サイバー攻撃とはインターネットの通信機能を悪用した犯罪行為のことであるが、このような技術に関し、中国の方が米国より勝っているとはどうしても思えない。何しろIT技術は米国発である。報道では中国側が米国をサイバー攻撃しているような報道が多いが、米国の方が探知技術や発覚されない攻撃技術で勝っているのではなかろうか。人間によるスパイ活動は今もって世界中で行われているようだ。サイバー攻撃はそれより有効なスパイ活動であり、おいそれと無くなるようには思えない。今後もっと手の込んだサイバー戦争へと進むのではなかろうか。
 経済分野では、米中投資協定の交渉を加速するとしたが、米国にとってTPPの交渉の方が優先課題である筈だか、この妥結には難航しており、簡単には進むとは思えない。兎も角、習近平氏は国賓として米国を訪問したが、今回中国経済の回復や両国の緊張緩和への道筋は見出せなかったようだ。
 米国と中国の関係がより親密になることは、日米同盟の価値が減る方向である。これで、集団的自衛権行使を容認する安保関連法案の価値が一段と高まったと内心喜んでいる人もいるであろう。(犬賀 大好-169)