各自動車メーカは自動運転車の開発を急いでいるそうだ。背景に、既にIT( Information Technology )企業の米グーグルやアップル社が完全自動運転の開発に着手しているからである。自動車はハード的には完成の域に到達しており、改良の余地は少ないが、ソフト的には運転の自動化等で技術革新の余地が大きい。近い将来に自動車産業を支えるのは、この技術革新を為し得た企業であろう。
平成25 年に閣議決定された「世界最先端IT 国家創造宣言」では、「2018 年を目途に交通事故死者数を2500 人以下とし、2020 年までに世界で最も安全な道路交通社会を実現する」を掲げている。平成25年中の交通事故死者数は4,373人であるので大きな挑戦であり、国としてもIT技術を車に適用することの重大性を認識しているのだ。
事故死の低減のためには、車自身のみならず、道路の整備等も当然重要である。このために、「車の自律系システムと車と車、道路と車との情報交換等を組み合わせ、2020 年代中には自動走行ステムの試用を開始する」としている。交通事故の9割は、不注意や居眠りなどの人為的なミスだそうだ。この点、車に各種のセンサーを設置すると共に、道路にも各種のセンサーを設置し、センサーで得られた情報を総合し、車の安全な走行および周囲の人々の安全を実現するとの構想だ。金はかかりそうだが、IT技術の格好な適用分野である。
自動車企業にとって最大の関心事は車の自動運転であろう。一口に自動運転と言っても、その程度には大きな開きがある。一番初歩の自動運転はレベル1と称し、加速・操舵・制動のいずれかが自動化された状態であるとしている。障害物を検知して急ブレーキを作動させる車は既に商用化されているので、レベル1の一部は既に達せられている。
一番高度な自動運転はレベル4であり、運転者が行き先を入力すれば、後は全く運転に関わらなくても目的地まで運んでくれるとの定義である。これは究極の完全自動走行システムであり、この実用化にはかなりの年数を要するであろう。
最近TVで、高速道路において自動追い越しが可能であることを放映していた。技術の進歩を伝えるための放映であろうが、条件が整えばそう難しいことではないだろう。実際には、追い越される車は、追い越されまいと加速等の妨害行為にでるかも知れない。現実的には、このようなあらゆる条件に対応しなければならず、実用化までにはまだまだ課題が多い。
しかし、走行条件が限定されれば、無人運転の実用化も早まるだろう。一番の問題は、既成の交通システムとの整合であろう。自動運転専用レーンを設ければ手っ取り早いが簡単な話ではない。特に交通量の多い都会においてはハードルが高い。
この点、過疎地における無人バスの運行等に適しているかも知れない。バスは決まった経路で、決まった時間に走る。過疎地であれば元々交通量も多くなく、しかも決まった時間にバスが利用できるとなれば、ある時間帯は無人運転バス専用道路とすることも可能であろうからである。
国の研究プロジェクトでも、完全自動運転の実用化は20年代後半と見込でいる。技術的な課題はいずれ解決されるだろう。問題はそれ以外にある。先述の既存の交通システムとの整合、法規の整備・改正、事故が起きた場合の責任の所在等がすぐ頭に浮かぶ。(犬賀 大好-185)
平成25 年に閣議決定された「世界最先端IT 国家創造宣言」では、「2018 年を目途に交通事故死者数を2500 人以下とし、2020 年までに世界で最も安全な道路交通社会を実現する」を掲げている。平成25年中の交通事故死者数は4,373人であるので大きな挑戦であり、国としてもIT技術を車に適用することの重大性を認識しているのだ。
事故死の低減のためには、車自身のみならず、道路の整備等も当然重要である。このために、「車の自律系システムと車と車、道路と車との情報交換等を組み合わせ、2020 年代中には自動走行ステムの試用を開始する」としている。交通事故の9割は、不注意や居眠りなどの人為的なミスだそうだ。この点、車に各種のセンサーを設置すると共に、道路にも各種のセンサーを設置し、センサーで得られた情報を総合し、車の安全な走行および周囲の人々の安全を実現するとの構想だ。金はかかりそうだが、IT技術の格好な適用分野である。
自動車企業にとって最大の関心事は車の自動運転であろう。一口に自動運転と言っても、その程度には大きな開きがある。一番初歩の自動運転はレベル1と称し、加速・操舵・制動のいずれかが自動化された状態であるとしている。障害物を検知して急ブレーキを作動させる車は既に商用化されているので、レベル1の一部は既に達せられている。
一番高度な自動運転はレベル4であり、運転者が行き先を入力すれば、後は全く運転に関わらなくても目的地まで運んでくれるとの定義である。これは究極の完全自動走行システムであり、この実用化にはかなりの年数を要するであろう。
最近TVで、高速道路において自動追い越しが可能であることを放映していた。技術の進歩を伝えるための放映であろうが、条件が整えばそう難しいことではないだろう。実際には、追い越される車は、追い越されまいと加速等の妨害行為にでるかも知れない。現実的には、このようなあらゆる条件に対応しなければならず、実用化までにはまだまだ課題が多い。
しかし、走行条件が限定されれば、無人運転の実用化も早まるだろう。一番の問題は、既成の交通システムとの整合であろう。自動運転専用レーンを設ければ手っ取り早いが簡単な話ではない。特に交通量の多い都会においてはハードルが高い。
この点、過疎地における無人バスの運行等に適しているかも知れない。バスは決まった経路で、決まった時間に走る。過疎地であれば元々交通量も多くなく、しかも決まった時間にバスが利用できるとなれば、ある時間帯は無人運転バス専用道路とすることも可能であろうからである。
国の研究プロジェクトでも、完全自動運転の実用化は20年代後半と見込でいる。技術的な課題はいずれ解決されるだろう。問題はそれ以外にある。先述の既存の交通システムとの整合、法規の整備・改正、事故が起きた場合の責任の所在等がすぐ頭に浮かぶ。(犬賀 大好-185)