東京の今年の夏は猛暑もさることながら蒸し暑い日が連日続いている。これも太平洋高気圧が日本に沿って張り出し、この高気圧の縁に沿って湿った空気が日本に押し寄せているからだそうだ。その為関東地方が湿気の多い猛暑となり、東北地方の日本海側に異常降雨をもたらしているのだそうだ。
高気圧が発生する原因は、寒冷な陸地面や海水面に接する大気が冷却され、密度が大きくなり、体積が縮小して沈み込み上空の空隙部に周りからの大気が流れ込み、それが高気圧となるのだそうだ。
最近の地球温暖化は海水温の上昇を招いているようだが、太平洋の海水温も上昇していると思うと太平洋で高気圧が発生し易くなっているとは感覚的に合わない。日本の冬季におけるシベリア高気圧は、寒いシベリアの大地に発生するので直感的にも分かりやすいが。
太平洋と言っても広く、特に西太平洋熱帯地域の海面温度の影響が強いらしい。ラニーニャ現象では、西太平洋熱帯域の海面水温が上昇し、この帯域で積乱雲の活動が活発し易くなるそうだ。そこで赤道付近で上昇した大気が中緯度まで運ばれてきて下降し、太平洋高気圧となるのであろう。太平洋の海水温が多少上昇したところで熱帯地域の海水温がそれ以上に上昇しておれば日本近辺の高気圧が強くなると理解すれば納得できる。
エルニーニョ現象では西太平洋熱帯域の海面水温が低下し、逆の現象となるそうだ。ラニーニャ現象では日本付近の夏は太平洋高気圧が北に張り出しやすく、気温が高くなる傾向となり、エルニーニョ現象の日本付近の夏は太平洋高気圧の張り出しが弱く、気温が低く日照時間が少なくなる傾向があるとのことだ。
従って東京に高温多湿をもたらしているのはラニーニャ現象となるが、気象庁も今年8月10日 ラニーニャ現象が続いていると発表しているから間違いないだろう。そこで今年は西太平洋熱帯地域の海面温度が高くなり、これにより太平洋高気圧が北に張り出しやすくなり、東京に高温多湿をもたらしていることになるが、次の疑問はなぜ西太平洋熱帯地域の海面温度が高くなるのであろうか。
ラニーニャ現象とエルニーニョ現象はある周期で交互に繰り返すそうだが原因はよく分かっていないのだそうだ。気象衛星等の観測手段や大型コンピュターの発展により気象予報の確度は上がったが、気象変化の根本となる現象に関しては未開な部分が多い。偏西風の蛇行に関しても原因は分かっていない。現在日本の南海上を台風11号が西方向に迷走しているが、今週末進路を北向きに変えるようだ。これも偏西風の影響のようであるが偏西風の動きはなかなかつかめないようだ。
地球温暖化は間違いなく進んでおり、気象の変化を極端にする方向に働いているようだ。最近のヨーロッパの異常高温、中国大陸の異常渇水等、世界各地に異常気象をもたらしている。ラニーニャ現象、エルニーニョ現象が極端化すると日本の気象はどうなるのであろうか。2022.08.31(犬賀 大好ー842)