日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

政治不信はこれまでもあったが

2021年01月30日 09時15分43秒 | 日々雑感
 菅総理大臣は、18日召集された第204通常国会の施政方針演説で、自身が一貫して追い求めてきたものは、一人ひとりが力を最大限発揮し、互いに支え、助け合える、「安心」と「希望」に満ちた社会を実現すること、と強調した。そしてこうした社会を実現するためには、国民の信託を受け、国政を預かる立場にある政治家にとって、何よりも国民の皆様の信頼が不可欠であると、言った。

 全くその通りと思うが、菅首相自身心底からそのように思っているのか、極めて疑わしい。すなわち最近の国会議員の不祥事に対し、説明責任は当人にある等で、他人事としてしか語っておらず、自分が政治家の総責任者であることを忘れている。

 1月15日、自民党衆院議員の吉川元農林水産相が、大臣在任中に大手鶏卵生産会社の元代表から現金500万円の賄賂を受け取ったとして、東京地検特捜部に収賄の罪で在宅起訴された。また自民党の西川元農林水産相もまた同じ企業から現金を貰ったとして既に東京地検の事情聴取を受けているとのことだ。

 1月21日には、河井案里参議院議員は一昨年前の選挙をめぐり公職選挙法違反の買収の罪で有罪判決が言い渡された。河井議員は現金を渡したのは買収ではなく、当選お祝い金とか陣中見舞金とか言っているようだが、そうであるならば国民に納得してもらえると思っているのか。

 また、夫である河井克行元法務大臣も同様な犯罪で現在裁判中であるが、状況的には買収は明確であり、証拠もそろっているのに、こうも長引くのはどうしたことであろうか。河井氏は法務大臣を経験しているだけに法律には詳しいと見えて公選法違反の裁判で、6人の弁護人を解任したり、その内4人を再任したり等の手段で逃げ回り、ほとぼりの覚めるのを待っているかのようだ。

 河井夫妻側には参院選前、自民党本部から選挙資金計1.5億円が提供されていた。野党は買収の原資になったのではないか、と追及しているが、資金の流れは不明のままだ。菅首相は自民党の総裁として、国民の信頼を得るために真実を解明すると一言あって然るべきであるが、菅首相自身もこれに関わっているのか、二階幹事長が怖いのかだんまりを決め込んでいる。

 このような国民の不信を買う出来事の多発は今回が初めてでは無いが、安倍前首相が拍車をかけたことは間違いない。森友学園・加計学園問題から始まり、桜を見る会まで、その都度安倍氏は国民に丁寧に説明すると言いながら、国民の大半は今もって納得できないでいるが、菅首相は過去の話として頬被りでいる。

 安倍前首相が強気でいられたのは官僚の人事権を握り、悪用したからだ。おまけに黒川前東京高検検事長を、検事総長に就任させようと画策までしていたのだ。黒川氏の賭けマージャンが発覚し、この話は無くなったが、もし黒川検事総長が実現していたならば、先述の国会議員の不祥事も闇に葬られていたかも知れないと勘繰ると、菅首相もこの件に一枚噛んでいたと推測したくなる。2021.01.30(犬賀 大好-674)

東京五輪中止の外堀は既に埋まったか

2021年01月27日 09時20分16秒 | 日々雑感
 菅首相は、1月18日召集された第204通常国会での施政方針演説で、”夏の東京オリンピック・パラリンピックは、人類が新型コロナウィルスに打ち勝った証として、また、東日本大震災からの復興を世界に発信する機会としたい”、と従来の発言を繰り返した。しかし、コロナウイルス感染拡大が止まらず、緊急事態宣言の真っただ中、いよいよ中止の雰囲気が周辺で強くなってきた。

 米国の有力紙ニューヨーク・タイムズが15日、国際オリンピック委員会(IOC)等から安全な開催は不可能との声が出始めたとし、第2次大戦後初の五輪開催中止に追い込まれる可能性があると伝えた。

 IOCのバッハ会長は1月21日のIOC委員向けに開いた非公式会合の中で、新型コロナウイルスの影響で実施を危ぶむ声が出ている今夏の東京五輪について、開催する方針を改めて示し、今後の課題として、1万人を超える参加選手や関係者への供給に必要となる大量のワクチンを確保することを挙げたそうだが、全世界の人々へのワクチン供給とオリンピック関係者のみへの供給のどちらを優先すべきかを考えた場合、オリンピックは世界平和の為を考えると答えは簡単に決まる。会長も内心では中止の方向だろう。

 米国ではサキ新大統領報道官が1月22日の記者会見で、新型コロナウイルス感染拡大で開催の可否が注目される東京オリンピックについて「五輪の大ファンとして楽しみにしている」とした上で、「まだバイデン大統領や安全保障チームと協議していない」と述べ、新政権として立場が固まっていないことを明らかにした。

 目下米国はコロナウイルスの最大の感染国で、累計感染者数は世界で断トツ1位の2490万人でバイデン新政権はその対策を最優先課題にしている。新大統領は、トランプ前大統領と違い独断で決めることは無く、周囲の意見によく耳を傾けると言われ、誰もが納得のできる方向を示すと思われるが、コロナ禍を好転させるには数カ月かかると自ら述べている。半年で完全終息出来ればそれだけでも大成果だ。

 東京五輪の開催の可否は国際オリンピック委員会(IOC)が握り、その会長が最終的に決断を下すのであろうが、IOCへの主な資金は米国テレビ局が握る。米国からの選手団の派遣が無い限り最大のスポンサーであるテレビ局は開催に躊躇するだろう。オリンピックを事業と考えているIOCはテレビ局の意向には逆らえない。従って日本のコロナ騒動は勿論、米国のコロナ騒動が収まらないと東京五輪は絶望的となる。

 英紙タイムズ紙は21日、自民党有力議員の話として、政府が内密に東京五輪の中止を結論付けたと報じた。菅首相は表面上絶対に開催すると主張しているが、これだけの状勢でも開催するのは自殺行為でしかない。秘かに、政府が内密に東京五輪の中止を結論付けているとしても不思議ではない。

 それでも22日、関係者への取材で、東京オリ・パラの観客数を巡り、政府、東京都、大会組織委員会は・上限なし、・50%削減、・無観客の3案を想定しており、中止の案は無いことが明らかになったそうだ。中止に対する外堀は埋まりつつあるが、政権は中止の為の大義名分を探っているのでは無いだろうか。2021.01.27(犬賀 大好-673)

PCR検査の一斉検査を何故やらない

2021年01月23日 09時38分37秒 | 日々雑感
 新型コロナウイルスの感染拡大に対する緊急事態宣言が発せられたが、一部の医療機関では患者の受け入れが出来ない状態になっているようで、既に医療崩壊は始まっているのだ。コロナワクチンが容易に接種できるようになるまで、更に医療崩壊が進まないようにしたいが、宣言の期限の来月7日までに感染拡大が収まる見通しは極めて暗い。

 1月18日緊急事態宣言の中、通常国会が始まった。政府は緊急事態宣言の効果を上げるため時短営業要請等における違反罰則を導入する改定案を提出する予定だ。確かにコロナウイルスに対する気の緩みは生じており、罰則も一つの薬かも知れないが、それより政治家を始めとする国の指導者たちが国民に身をもって範を示すことの方が効果があるだろう。

 ワクチンが頒布されるまで医療崩壊の進行を遅らせる手段の一つとして一斉PCR検査があるが一向に進まない。中国はコロナウイルスの発症の地を言われながらも、世界で唯一経済が回復した国と言われている。中国の対策の基本は徹底したPCR検査の実施である。例えば、中国河北省の人口約1千万人の石家荘市は感染者が出たことで、1月8日感染症拡大防止のため全市民にPCR検査を実施するとともに7日間、自宅にとどまるよう通知した。

 PCR検査の長所は、無症状の人の中から感染者を発見できること、また症状に応じて軽症者、中症者、重症者の見極めと症状に応じた対応が出来ることである。限られた施設を有効に利用するためにはこれしかない。

 厚労省データによると今年1月17日現在、PCR検査最大能力は12.9万件/日とのことであるが、実際のPCR検査実施人数は4.5万人とその率は35%に留まり、検査能力を充分生かし切っていない。最近では民間が運営する有料のPCR検査サービスも盛んになってきており、検査能力自体は各段に高くなっているだろうが、実施件数が少ないのはどこかで絞り込んでいるのだ。

 昨年のPCR検査実施に否定的な人の言い分は、検査性能が低いため取りこぼしが多く、また感染者の数が少ないため発見率も低く、その割に費用が嵩むこと、更に広く実施した場合感染者が多く発見されると病院に収容しきれなくなる等であった。しかし、感染者を分類しないと施設に収容しきれなくなっている現実に直面している。

 広島県が打ち出した広島市民の最大80万人を対象にした集中的なPCR検査が来月から始まるとのことだ。今でもコロナ対策に追われる医療関係者から、実現可能性や現場の負担増を懸念する意見もあるそうだ。現在でも色々忙しいのに一層忙しくなるのは嫌だと言うことだろうが、何もしなければ、それはそれで忙しくなることは必須だろう。

 国際医療福祉大の公衆衛生学の教授は今でも「症状のある人に検査するのが基本」と強調しているが、その基本を守った結果が現在の医療崩壊であることを反省しなくてはならない。

 中国のように一斉検査をすることは、法的な根拠がはっきりしない為難しさはあるだろうが、先の教授のようにな従来の慣習、規則から抜け出せない人の意見が国の方針を決めているのだろう。2021.01.23(犬賀 大好-672)

バイデン新大統領を待ち構える棘の道

2021年01月20日 08時57分32秒 | 日々雑感
 本日、1月20日はバイデン大統領の就任式でいよいよ船出だが、行く先棘の道が予想される。ところで、今月5日に米ジョージア州で行われた上院議員選の決選投票で、民主党が2議席を獲得し、これにより、上院(定数100)は民主党50、共和党50の同数となり、決選投票の場合副大統領の意見で決まることになるため、政権運営が容易になったようだ。上院は法案採決のみならず、大統領が指名した閣僚や判事の承認権や条約批准同意権をもち、権限が強いからだ。

 既に下院(定数435)でも過半数を維持しており、大統領・議会が一体となって人事や政策を推し進められることになりそうで、目出度し目出度しと言いたいが、そうでもないようだ。閣僚も黒人、ヒスパニック系、アジア系と、政権の特徴である多様性が表れているが、肝心の民主党内の左派勢力が獅子身中の虫になる懸念もありとのことだ。

 さて、新大統領の行く先は、外交問題、国内問題共に難題だらけである。国内の当面の最大課題はコロナウイルス対策であろうが、その後の社会の分断問題では、税による富の再配分で左派勢力を納得させる必要がある。

 外交問題では、トランプ大統領が在任中、米国第1主義に基づく中国との貿易戦争開始、地球温暖化に対するパリ協定からの離脱、イランとの核合意離脱、更にロシアとの中距離核戦力全廃条約(INF)破棄等、国際協調を乱しっ放しで表舞台から退いた。バイデン新大統領は理念として”分断から協調へ”を掲げているが、これらの問題にどのように向き合うか、具体案が示されておらず、どれも解決が容易でないことを暗示している。

 特に対中国政策に関しては、貿易問題や安全保障問題が待ちかまえている。バイデン氏は安全保障や国内産業保護の観点から中国経済への依存を低減させる脱中国化を主張しており、この点ではトランプ前大統領の強硬路線を引き継がざるを得ないだろう。

 貿易に関し、トランプ大統領の追加関税問題等で昨年の米中間の貿易は極めて低調であったと思い込んでいたが、昨年の米国の対中国貿易赤字は約33兆円となり、前年度から7.0%も増えたとのことだ。トランプ氏の対中国貿易赤字削減計画で、2019年の両国間の貿易総額が前年より14.5%減ったが、2020年の貿易総額は前年より8.3%伸びたそうで、結果として赤字も増えたのだ。政府の意向に拘わらず、民間の自由貿易志向が上回っているようで、脱中国化政策も厳しくなりそうだ。

 さて、日本も関係するTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に関しては、まだ方針を示していない。TPPはオバマ元政権が貿易面での中国との対抗を視野に推し進めたが、トランプ前大統領が米国の利益にならないと離脱してしまった。中国は米国の穴を埋めようと参加を希望しているようだが、世界貿易のルールづくりで中国が主導権を握ることを阻止するため、米国は関係国と結束していく必要性を強調しているが、TPPに再加入に踏み切るであるだろうか。

 自由で開かれたインド太平洋、安全なインド太平洋と称し、日本、オーストラリア、韓国との同盟関係をさらに深めていくつもりのようであるが、日本としては既に経済的に深く結びついた中国との関係をどうするか難しいかじ取りが待ちかまえている。2021.01.20(犬賀 大好ー671)

コロナウイルスワクチンの接種はいつになるか分からない

2021年01月16日 09時53分13秒 | 日々雑感
 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。1月13日、政府は東京とその周辺3県に加え、大阪、兵庫、京都、愛知、岐阜、福岡、栃木の計7府県を対象に緊急事態宣言を発した。感染は人から人へであり、人と人との会話、その中でも飲食を伴う会話が一番の原因とのことだ。しかし、他人との交流は人間本来の営みであり、外出の自粛は短期的には可能であろうが、長期的には無理がある。

 緊急事態宣言は今回が2回目であり、昨年4月7日、東京や大阪など7都府県から始まり、その後、全国に対象地域を拡大した。この時は、初めての経験する新型コロナウイルスの感染拡大防止の為の緊急事態宣言で国民一人一人が緊張しており、外出自粛等をしっかりと守ったため拡大は防止され翌月25日には感染が終息したとして解除された。また、当時は今ほど感染が広がっておらず、クラスター対策もしっかりなされていたことも早急に下火になった要因であろう。

 しかし、現在若者の重症化率が低い等、コロナウイルスの性質が大分分かってきており、また1年近い自粛要請ですっかりコロナ疲れし、緊急事態宣言も前回ほどは効果が無いだろう。一応期限は来月7日であるが、恐らくそれまでに大幅な収束は無く、引き伸ばされることだろう。

 コロナ感染拡大が縮小する為には、国民の7割程度が免疫を獲得する集団免疫の必要があると言われる。免疫は実際に一度感染するか、ワクチン接種によるしかない。しかもこれは一旦免疫が出来れば長期に持続するとの前提があってのことだ。

 日本における延べ感染者数は、1月13日時点で、30.4万人だそうなので国民の0.2%程度で、集団免疫には程遠い。現在できることは、ワクチンが利用可能となるまで、医療崩壊が起こらない程度に感染が少しづつ広がって行くのをじっと見守るしかない。目下第3波の真っ最中であるが、これを何とか抑えたとしても、集団免疫を獲得するまでには第4、第5の波を迎えなくてはならない。

 集団免疫のもう一つの手段はコロナワクチンの接種である。英国では、先月初旬からワクチン接種を開始した。米ファイザーと独ビオンテックが開発したワクチンの1回目の接種を終えた人は100万人近くに達しており、2月中旬までに、70歳以上や医療従事者、優先度が高い人ら計1500万人に、ワクチンを接種することを目標にしているそうだ。英国の人口を約6,300万人だとするとワクチン接種者は2月中旬でも24%、これまでの感染者数は316万人(1月14日)で5%となり、合わせても30%に届かない。

 最初の接種から1か月以上経つのに、英国では感染が少なくなったとの報道は無い。英アストラゼネカとオックスフォード大学が開発したワクチンも、接種が始まる予定だそうで、以後急激に接種者の数が増えるのであろうが、ワクチン先進国の英国でも予定から大分遅れているのが実情だ。

 日本政府は、欧米の製薬会社3社とコロナウイルスのワクチン、合わせて2億9000万回分の供給を受ける契約を結んでいるとの話であり、早ければ2月末から接種が始まるとの報道があるが、英国の実情を知れば、一般の人がいつから利用できるかは全く分からない。2021.01.16(犬賀 大好-670)